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巡り合い<5>聖志の辞表は無効根回しと思惑

2021-01-09 11:32:01 | 恋愛小説:巡り合い


聖志は人事部に辞表を出したはずが、以前に会社の役員会と(取締役会)理事会での判断で辞表は先送りで無効とされていた。
しばらくすると、聖志に営業部統括部長から出張命令が出された。
「駿河聖志君、忙しいと思えるが少し話があるのだが、今大丈夫かな?」
「他の社員に任せているので、大丈夫です」
「君の会社への貢献した事を上層部と役員会で話し合いをしたのだが、人事部に提出した辞表は今すぐには認められなかったんだが君の思いを知りたいんだ」
「そうですか、率直に申し上げて思いを変える事はありません」
「そうか君の思いは変わらないのか、理事会でも決まった事だが、出張は初めてだろうが、第一課の課長としての役割として出張をする事も仕事の1つなんだ」
「そうなんですか?はい、分かりました、会社の以降なら出張します」
「よろしく頼むよ、駿河課長、頼りにしている」
人事部に提出した駿河聖志の辞表は、役員会で認めるかどうか判断をする会議でもあった。
役員会では、駿河聖志の営業部第一課から第三課までの職員の意識改革や第一課から第三課を統括した部署を作るという助け合い提案書などで、会社への売り上げの上昇で年商を上げた経緯があり、優秀な社員の駿河聖志の辞表は認められず理事会でも認められなかった。
役員達は頭を悩ませながら、駿河聖志が会社に残る策を考えるようになる。
数人の第一課で課長を務めた優秀な人材を、他の企業に出向させている事で、聖志を会社に繋がりをもたせる事を考え始める。
この時は、何処の企業に就職をするのか全く分からなかったが、人事部の部長からの他の極秘任務の話を役員会で発言をしていた。
「駿河聖志は、元同棲相手の元に戻るかもしれません」
「どういうことか?わかるのかね?」
「はい、野村葉月をご存知でしょうか?」
「そうか、だいぶ過去の事で駿河聖志と野村葉月の事を忘れかけていたよ、誰もが知ってる事だったね」
「そうです、恐らく野村葉月の勤務先で就職を考えている可能性はあります」
「現在の情報では、野村葉月は印刷会社に勤務しているはずです」
「それならば、その印刷会社を調査しておこう、しかし現在は河野春奈君と同棲していると聞くが」
「それは大丈夫です、彼らの極秘で調査をしてるのは彼女です」
「なるほど、役員会での調査だけでなく、他の調査もしているとは知らなかったよ」
「人事部では、履歴書から常に調査し、推薦枠や推薦する人材確保がもっとうですから、内定者がいれば役員会に知らせしてます」
営業部第一課の元課長を出向させてるのは、待遇や出向先からの依頼を続けるように、そのままの企業名を名のって根回しをして先手を打って出向先には投資し合併しクループ会社にしていた。
野村葉月の実家と勤務先の情報を得てから、役員達は行動に移す事を役員全員が一致で賛同された。
聖志は出張した事が無かった為、出向させる為には、幾度か出張させて慣れるよう、理事会では役員会へ指示を出していた。
営業部統括部長からの指示によって聖志は出張する事になる。
初めての3日間の出張だが、葉月の実家に近い企業の出張先があり聖志は時間が空いた時には、数年間の離れ離れになっていた葉月に会いに行く予定を立てた。
水曜日の1日目は、挨拶回りと今後の仕事の打ち合わせで精一杯であった。
木曜日の2日目は、朝早くから原稿整理に追われ、仕事が終わったのは夜中になってしまった。
金曜日の3日目は、午前中で早く仕事が終わり、午後には葉月の実家へ立ち寄る事ができたが、この時の聖志は、顔を合わせたのは、葉月の父親と兄だけであった。
土曜日と日曜日は休日この日は、葉月の実家の近くの観光ホテルの旅館の菜の花に2泊3日で泊まる事にし聖志は一大決心をする。
会社は土曜日と日曜日は休日で月曜日には、聖志は会社に出社し受付で挨拶を交わして、営業部第一課の課長と企画部室長としての部屋へ行く予定だった。
しかし、夕食後にベッドで横になっていた聖志の部屋にホテル側からの電話がかかってきた。
「駿河様、野村葉月という方から、お電話がありました、どうしますか?」
「はい、電話をつないでください」
「もしもし、聖志、久しぶり、お元気でいますか?」
「元気でいるよ、どうして泊ってる事が分かったの?」
「お母さんからきいたの、泊っているのは私のお母さんの旅館に泊まってるって」
「え、お母さんの旅館に泊まってるのか?」
「そうよ昔と違って、お母さんは女将をやってて名簿記録に駿河聖志って書いてあるって」
「そうなんだ、まったく知らなかったよ」
「あのね、大崎サトルさんって聖志の上司で出向している元課長の先輩だよね」
「ああ、僕を課長に推薦してくれたんだ、僕にも連絡があるよ」
「私の所にも時々手紙が届いて、聖志の生活環境とか、これからの聖志についても書いてあるよ」
「僕のこと?どんな事かな」
「詳しい事は、会ってから話すから、待っています」
「わかった、幾つかの仕事が終わったら、実家に帰るから、その時に手紙を見せてくれる?」
「いいよ、聖志には嘘は付けないし嘘は見抜かれるから、ハハハ」
この時の電話の会話では、河野春奈の事を伝える事はなかった。
一通の手紙を残され離れ離れになったはずなのに、葉月の優しさを感じていた聖志だったが、葉月との電話で会話をした夜に聖志は奇妙な夢を観る事になる。
「葉月の実家は、山林に囲まれた、空気の清んだ町だった。田んぼや畑、そして虫たちのメロディーが聖志の心を休ませてくれる。葉月の実家の入り口で、小さな男の子が砂遊びをしている。そして、葉月の母が、子供の相手をしている。今の時間は15時過ぎ、葉月の母は家に入り、代わりに父親が子供の面倒を見ながら縁側でお茶をはじめた。大きな旧家だ。昔ながらのつくりで、ほのぼのしている。聖志が、道で葉月の実家の様子をみていると、後ろから声を掛けてくるものがあった。どなたですか?と聖志は聞くと男女の姿であった。男性は見た事もなく、女性は葉月の姿であった。聖志は、結婚をしてしまったのかと一瞬思った。男性は葉月に知り合いかと声を掛ける。葉月は、首を縦にふり、男性は家の中に入っていった。結婚したんだねというと首を横にふる葉月だが、男性は四つ違いの兄であった。聖志と葉月は、最初は会話が上手くいかなかった。すぐに家には入らず、少し道を歩きながら話をした。春奈さんって綺麗な人ねと、葉月は聖志に話しかけた。聖志は、春奈と会ったのかと聞く。
聖志が来る以前、有給休暇をとり、葉月に会いに行き、聖志の事を全て話していた。死を考えた事も、同棲の事も、付き合っている女性たちの事も全てだった。葉月は春奈の話を聞いて、東京にいた頃の懐かしさと、聖志の事を考えるようになる。聖志は、子供の名前を葉月に聞いた。名前は「正志(まさし)」、聖志の志をつけていた、正志は聖志の子供であることを話した。「会いたい?」と葉月は聖志に聞いた。会わせてはもらえないと思っていた聖志は、首を縦にふった。「会いたいな」と聖志は葉月に言った。葉月は、写真を見せていたから、きっと正志は、すぐわかると思った。聖志は、葉月の後をついて、葉月の実家へ向かう。葉月は冷静でいられるのは、春奈が全てを話し、お膳立てをしたからだ。聖志は玄関へ入ると足がすくむ思いがあった。葉月が、帰ったよと一言を言うと、真っ先に出てきたのは、正志だった。正志は、葉月に抱えられ、誰だかわかる?と言って聖志に会わせる。しばらく無言で、正志は指をくわえ、じっと聖志の顔を見詰めていた。
「パパ」この一言が、聖志と葉月の「絆」であった。聖志と葉月は、目に涙を浮かべていた。葉月は、聖志に正志を抱かせる。正志は口をあけて笑顔で「パパ」と繰り返す。上にあがったらどうかと、葉月の家族に言われ、居間へ通され、両親や兄へ挨拶を交わす聖志。葉月や両親、兄、聖志は何から話していいやらという感じであったが、正志が話し出すきっかけを作ってくれた。正志は、写真でしか見たことがなかったはずだったが、父親の聖志にべったりで笑う。その笑顔が、家族や聖志を笑顔にしていた。葉月の両親は特に何も言わず、母は日本酒と摘まみをテーブルに持ってくる。
父親と兄と聖志は日本酒を飲みながら、正志を見ては笑い葉月が正志を抱きかかえようとすると正志は嫌がり、聖志の胡坐(あぐら)の中にすっぽり入る」
聖志は現実的でも何だ夢だったのかと思いながら起床時には汗をかき、浴衣はびっしょり濡れていた。
自分の思いが夢になったのか?マサシって誰だ?奇妙な夢だと常に自己分析をする聖志は思った。
時計のアラームが鳴り、夢によって目覚め朝になると聖志は、本来は自分の実家へ行くだろうが、実家には行かず観光ホテルの旅館の菜の花から電話をかけ少しだけ話をしたが、葉月は聖志の何もかも知られていた。
聖志と葉月の関わりは、小学校から中学校では同じクラスの同級生、高等学校では教室は一クラスで理数系を選んだ事で同じクラスの同級生になると2人は交際を始める。
葉月の実家と聖志の実家は歩いて30分ほどで、葉月と聖志の家族同士の行き来して長い付き合いがあり、2人は同じ大学付属の経済学専門学校を受験し合格した。
大学付属の経済学専門学校では2年間、その後の2年間は経済学専門大学の学生となり4年制の大学卒業生となった。
そして、2人の家族達の実家は地主で大きな旧家で、聖志と葉月の同棲生活をしている事も家族達は知っていたが、家族達は将来を見据え良く話し合いをしていた。
本来、家族達の実家は地主で大きな旧家では、両親が写真を見せ相手を選び許嫁(いいなずけ)として顔を合わせ、お見合いをするのが当たり前だったが、長い付き合いから恋愛での2人の交際は認められていたが、ただ葉月は次女で結婚する相手は長男ではならない事は変わら無かった。
聖志は土曜日と日曜日は出張後の記録を書き終えたら、ゆっくり休息して月曜日には会社へ戻るはずだったが、日曜日の朝に営業部統括部長から会社から与えられた携帯電話に電話連絡があった。
「駿河課長、今どこにいますか」
「地元の観光ホテルの旅館の菜の花に宿泊しています」
「そうですか、それは良かった、月曜日その地域の観光協会センターに出向いてくれますか?」
「どういう事でしょうか?」
「とりあえず観光協会の担当者と名刺交換と話をするだけいいです」
「それだけでよいのですか?」
「金曜日の午前中に連絡があり観光協会センターから当社への仕事の依頼があり第三課では内容が曖昧で何もわからないので現地で話を聞いてみて下さい」
「わかりました、内容の詳細を聞いてみます」
「駿河課長、よろしくお願いしますね」
これこそが聖志を出向させる為に役員会や理事会で決められ会社での根回しの先手を打つ1つだったが、聖志はまったく気づく事なく全く知らなかった。
旅館の支配人に観光協会センターの電話番号を聞いて、月曜日の午前9時に観光協会センターの担当者宛てにアポの電話連絡をする。
「営業部第一課の駿河聖志と申します、これから観光協会センターへ伺います」
「はい担当者に伝えておきます、よろしくお願い致します」
「何かの書面があれば全て集めるよう、お伝えください、30分後にはセンターへ行けると思いますので、ではまた」
聖志が観光協会センターに到着後、名刺交換をした後すぐに観光協会センター広報部の担当者5人との会話を始め話し合いをした。
5つの町は合併され周辺の環境が変わり「合併後の町おこし案」という企画書があった。
その企画書には欠点があり、聖志は全てを読み、町おこしに必要な項目だけをチェックをして企画書の内容をまとめ、聖志から質問を始める。
「企画書だけでなく、広告やパンフレット等はありますか?」
「はい、ありますが秋用のものでもいいですか?」
すぐに、テナント募集中の広告や旅館で写真と料理等が紹介しているパンフレットを一枚ずつ持ってきた。
「とりあえず見せて下さい、紅葉の秋の風景ですね、紹介分の内容は良く書かれてますね、これでも良いと思います、どのくらいありますか?」
「今現在は、テナント募集中の広告は10万枚、パンフレットも10万枚の印刷されたものはあります」
「それでは、今すぐ僕が書いた合併後の町おこし案の企画書面をファクスしてください、宛名は企画部でお願いします」
「それから出来れば10万枚を追加して印刷しておいてください、印刷会社なら印刷前の版下があると思いますので、少し安くなると思います」
「今すぐに印刷会社に連絡をしてみます」
「それから今あるテナント募集中と旅館のパンフレット10万枚の全てを当社に送ってください、今できる事から始めましょう」
「5つの町を車で案内しますので見てもらえたらいいのですが」
担当者からの依頼で、聖志は合併した5つの町の景色を見に行く事になり、車の中で左右の景色を見ながら気づいた事があった。
それはテナントでは疎らに数件の店があり、旅館の整備や道路の整備も終わっていると思い、すぐに携帯電話で春奈に連絡をした。
「もしもし春奈、僕だ、今大丈夫かい?」
「大丈夫だけど、どうしたの?」
「新たに仕事だ、今のプロジェクトは、幾つあるのかな」
「8件あったけど、今は4件になってます」
「よし、ファクスを見てくれ、町おこし案の企画書を読んでみて、新しくプロジェクトチームを作る、人数はカメラマンを含む10人体制でやるよ」
「今見たら、ファクスが届いてますよ、これって何?企画書だけなの?」
「とにかく体制作りが必要だからな、明日には広告とパンフレットを一枚ずつ持って、会社に出社するから」
「はい、分かりました、企画書を読んで担当者を決めておきます」
「春奈は4件のプロジェクトと営業部第一課のフォローするだけでいいからな、僕が担当する」
春奈は第一課の課長になる前の様に、自分の能力を発揮させているような聖志の様に思い感じていた。
広報部の担当者3人と町の案内中に、電話で的確に指示を出していた聖志の行動力に驚きを隠せなかった。
「もう始まっているのでしょうか?」
「はい、今出来る事があるというのは、チャンスでもあるんです、広告とパンフレットで様子見です」
「広告とパンフレットだけでよろしいのでしょうか」
「だだ、どういう方向性で動くか分からないので、しばらく様子を見ながら、2週間か1か月以内の猶予を下さい」
「はい、わかりました、よろしくお願いします」
「町おこし案でプロジェクトチームを立ち上げますので、しばし待っていて下さい」
広報部の担当者3人は、こんな営業マンがいる事に衝撃的だったのだろう。
車の中での話した内容としては、町では、あまり働く場所がなく、若い世代の人は、他の地域へ流れてしまっている事、また、5人の町長の集まりで過疎化への危機感で5つの町が1つになり合併すると(約1万5千人以上となる)という事、そして、合併をしてから道路の整備が行われ生活道路だけでなく、上りと下りの左右二車線で四車線の道路が整備されていた事、元々は5つの町で観光組合だったが合併した事で観光協会センターと変えた事、小学校と中学校は同じ敷地にあり、高等学校は公立高等高校となった事
「駿河聖志さんて、ご実家は何処ですか?」と担当者は聞いてくる。
「僕の実家は、この地域です」と聖志は答えた。
「そうでしたか、やはり駿河様の御子息でしたか、恐らく町役場で勤務する同級生がいると思います、森山印刷会社で働く野村さんてご存知ですか」
「そうですか、それは心強いですね、野村葉月の事でしょうか?僕とは同級生です」
こんな世間話から聖志の実家の現在や野村葉月の実家の現在を話してくれる担当者だった。
まず最初は、駿河家の本家と分家と野村家の本家と分家のある広い地区の一つの町から始まり この地区には苗字が違う住人達もいた。
聖志の実家は資産家で地主であった為、花の栽培が主体で全てが畑となっていた為に、ガラスハウス栽培以外の他の土地の一部を更地にして、賃貸契約のテナントが中心でベンチャー企業や中小企業や個人事業にテナントを貸し、駐車場を整備するよう依頼をしていた事で、賃貸契約での不動産業に舵を切った事や葉月の実家も資産家で地主であった為、農家であったが田んぼの農地だけを残し、畑の土地では、飲食店やスーパーが中心で駐車場等を整備するよう依頼をした事や葉月の実家では、閉鎖された旅館を6階建て再改築工事をして、新たな観光地開発の為に、旅館の運営は、葉月の母は女将と長女は若女将として任せるという事や働く場所を多く作り出す事で、他の地域から働きに来るように、そして若い世代の人が移住者の人口を増やし、観光地として観光客を増加される構想を承認してる事や賃貸契約での不動産業に舵を切った事。
聖志にとっては実家の現在の情報を知った事で、旅館の菜の花の宿泊ではなく、久しぶりに実家に行き泊めてもらおうと思う聖志である。
実家の近くいると聖志は実家に電話をすると、母親が出て父親に代わると、すんなりと戻って来いと言われた。
観光協会センターでの仕事は午前中には終わっていた。実家では聖志の部屋が以前と同じように整理したままだった。
その後、午後に春奈からの電話での連絡があり、観光協会センターの担当者が車で広告とパンフレットを持ってきたとの事だった。
「それなら、すぐに広告とパンフレットを見て、問題がなければプロジェクトチームで旅行会社や本屋やトラベル関係の会社に10枚ずつ配っといてくれ」
「はい、了解しました、コネを使って配って、お願いしますと伝えるようにしていきます」
「それから、広告とパンフレットがあるなら会社に出勤せず3日間の有給休暇の用紙に書いて営業部統括部長に提出してくれ」
「はい、了解しました」
聖志は有給休暇を取れば、企画書の提出には部長達数人の捺印が必要になる時間がかかる組織に縛られる事なく自由に動けると思い、今の観光協会センターの仕事を早いうちに方向性を見いだそうと考えていた。
午後6時頃には、聖志の実家へ葉月からの電話での連絡があり、一人で葉月は聖志の実家に訪問すると聖志の両親は笑みを浮かべていた。
「よく来たね、聖志は部屋にいるから、会って良く話をした方がいいね」
葉月は聖志の部屋に入って、2人だけで久しぶりに話をしていた。
「葉月どうしたの?」
「会いたかったから会いに来たんだよ、あのね、もう限界ですと書いた手紙は聖志が嫌で書いたんじゃなくて、妊娠が分かってからつわりで吐く事に我慢できなくて書いた手紙だったの、ごめんね」
「そうだったのか、それで全ての荷物を置いて離れていったのか、僕は思い違いをしてたんだな」
「会社は退社して、東京では無理だったから、私の実家に戻って近くにある産婦人科の病院に通院して子供を授かって出産して育ててたの」
「そうだったんだ、戻ってくる思ったから葉月の荷物はタンスの中に入れてた、そんな時に別の女性と同棲生活をしてしまったんだ、ごめんな」
「私は良かったと思ってた、同棲生活をした彼女がいて、聖志は彼女に助けられたんだよね」
「うん、仕事忙しくて早く出世したくて卒論レポートを現実にしようと思ってさ、過労から睡眠障害で死を考えた時に彼女に助けられた、何で知ってるの」
「だって、出向先の元課長の先輩の大崎サトルさんからも教えてもらってたから」
聖志は、葉月の話を聞いて、なぜ先輩の大崎サトルを知っているのかと思い黙ってしまうが、葉月は自分の思いを聖志に伝えていく。
「私は聖志に会いたかったから会いに来て、誤解された手紙の意味を話したかったの、本当にごめんなさい」
聖志は葉月に、3日間の有給休暇を取った事や観光協会センターでの町おこしの依頼で担当者として仕事をしてる事を伝えた。
「えっ?観光協会センターからの10万枚の印刷依頼があったのは、聖志からのアドバイスだったの?」
「どうして知ってるの?」
「それは、今は秘密、後で教えます」
葉月は聖志に自分の当時の状況と思いを伝えると、葉月は聖志の実家から自分の実家に帰っていく。
そして次の日は、聖志は広告とパンフレットを一枚ずつ持って会社に出社する事になるはずったが、すぐに有給休暇が認められた。
聖志の出向への為の第一歩と捉えた営業部統括部長は有給休暇20日間を超えていた為、聖志の3日間の有給休暇を、すぐに認める事にした。
有給休暇1日目には、町おこしプロジェクトチームの担当者から電話連絡があり、昨日一日で3人の課長達の名刺にある営業先や新たな旅行会社にも広告とパンフレットを全て配り終わりましたとの事だった。
名刺先だけでなく使える情報は何でも使えと聖志は、常にプロジェクトチーム達に言っていた。
さすがプロジェクトチームだなと聖志は思い効果の方はと聞くと、配った先では協力してくれるとの事だった。
そして、聖志は観光協会センターへ出向き、今日はどうですか?と聞くと、旅行会社からの予約の内容について等や個人からのテナントの内容等の問い合わせの電話が少し多くなっているとの事だった。
「とりあえず、問い合わせには丁寧に対応してください」と言い少しは効果があるのかと思い、この大切なチャンスを見逃さない様にと聖志は思った。
第2弾は、追加印刷した広告10万枚とパンフレット10万部を配布出来ていない東京内の旅行会社への配布だなと思い、会社にいる町おこしプロジェクトチームの担当者へ電話でその旨を伝える。
そして聖志は、本社の役場へ行くと同級生がいて、新たに整備された全ての建物や農地等についての情報をまとめている書面があるか確認すると、あるとの事で書面をコピーしてもらう。書面を良く見ると5つの町では、新たに整備されたものは、都会にあるような国民生活に関わる建物や観光地としての条件を満たしていた。
聖志は、プロジェクトチームの担当者へ電話連絡をして、チームのデザイナー2名とカメラマン2名を決め、車で約35分で来れる事を話し観光協会センターへ来るよう指示を出す。
デザイナー2名とカメラマン2名が観光協会センターに到着すると、観光協会センターの5人の担当者と聖志達は今後のプロジェクト企画会議を開き話し合いをする。
そして、観光協会センターの担当者を10人出来れば20人に増やす事を問い合わせの電話が多くなっていくと5人では対応不可能になる事を前提として要請した。
森山印刷会社ではパソコンでは、イラストレーターのソフトでレイヤーを使いA4サイズで広告とパンフレットのデザインをしていた為、チームのデザイナー2名を森山印刷会社に派遣する。
パンフレットの紅葉の写真のあるトップページだけをコピーペーストして、パソコンを持ってきているチームのデザイナー2名でパンフレットのトップページだけを編集して、表のタイトルや裏面には新たに整備された建物を載せ、メインタイトルは「超格安町おこし見学ツアー」サブタイトルは「町おこしの里より」「料金:1人だけ:1000円:ご家族様:1000円」という広告を作成し終えたら、すぐに観光協会センターの担当者から広告20万枚を森山印刷会社に印刷依頼をするようにした。
カメラマン2名は観光協会センターの担当者2名と車に乗り道路沿いの建物の全ての写真を撮影し、聖志は電柱がない事をアピールするよう指示を出す。5つの町でも同じ事があり閉鎖していた旅館を再改築工事で5つの旅館を開催され、役場は本社は聖志の実家の役場と4つの町では支社となった事を聖志は聞いていた。
聖志は、久しぶりの営業周りで、懐かしくなり初心を忘れない入社当時を思い出していた。
まずは名刺交換から始まり顔見知りになり、最初は全ての情報を取り何をしたいのか、担当者の意見や状況などを把握する事から、聖志の手腕が問われる事になる。
営業から企画を立て見積もりは後で作り、まずは行動に移しチャンス見逃さず、交渉していくのが聖志のやり方である。
もしもだが、この案件が自分が担当する事になると、5つの町の地域を発展させる大きなプロジェクトとなり、常に葉月の元にいる事が出来ると聖志は考えていたのかもしれない。
聖志は、旅館の菜の花に宿泊せず、3日間の有給休暇の時は、自分の実家に帰って家族に声を掛ける事なく自分の部屋で泊まる事にした。
「せっかく帰って来たのに、話し合う事も出来ないのか?全く礼儀正しくない、どういう教育をしたんだ」
「お父さん、聖志は疲れてるのだろうから声を掛けなくてもいいじゃない、休暇を取っても仕事の事で頭がいっぱいなのよ」
森山印刷会社で印刷する20万枚の広告はいつになるのか、印刷後には何をすべきかを考えていたが思いつかず、町おこしの両親に詳しく話をする事にした。
「父さん、町おこしについて聞きたい事があるんだけど」
「お、話に来たな、この馬鹿たれが、もっと早く来ればいいのによ、なんだ」
「町おこしって5つの町の合併から始まったの?何で葉月の実家と家の実家の土地だけに、旅館や飲食店や企業や個人事業主の会社が多くあるのか?教えて」
「合併前に役場から道路の整備計画があるので道路になる土地を売っていただけませんかって頼まれんだ、それで聖志が高校卒業前に道路になる土地代とか町おこしの事を役場と話し合ってたんだ」
という事で、聖志は父親から町おこしが始まった時の事から教えてくれた。
詳細は聖志の地区の町は、聖志が育った町が一番広い町だった、そして当時は町長も町おこしになるからと言われ、土地の面積を調べてから道路になる場所の土地を売却する事になり、葉月の実家のと聖志の実家の土地だけではなく他にも土地を持っている人達も協力して、土地を売買していた。
最初は聖志が育った地区の町だけで、道路の整備が始まり電柱はなく電柱の代わりに道路の歩行者道路の地下に作られ、町おこしが始まっていた。
そして葉月の実家では、閉鎖されていたが改築と増築工事をした旅館の菜の花の運営を任され、葉月の母は女将となり長女は若女将となっていた。
旅館の周辺では、飲食店等やお見上げ店等を増やし駐車場も整備された。
聖志の実家では、起業家やベンチャー企業関連や個人事業主の会社を呼び込む事になり駐車場も整備され、他の地域から働く社員や職員達の為に集合住宅やアパートや戸建ての住宅等も多く建設されていた。
私立の小学校から高等学校まで、そして保育園、病院、スーパーマーケット等の生活に関わる場所が次々と建設されていったとの事だった。
役場では町おこしプレジェクトという事で、企画やプロジェクトチームがあるという企業に依頼してようだった。
その企業というのは聖志が推薦で選ばれ勤務している企業で企画広告代理業の会社であった。
聖志は父親に企業の担当者って誰かと聞くと、名刺が残されていてプロジェクトチーム担当リーダーの名前は、元営業部第一課の課長の大崎サトルという人物だった。
聖志は、同姓同名なのか?とも思ったが、間違いなく出向している元課長の先輩である事を知った。
その後は、隣接している他の4つの町は過疎化が進み危機感から、各町では各役場に相談し5つの町での町おこし計画案が出されたとういう事だった。
4つの町では空き家が多くあり、リフォーム工事をして、移住希望者を増やそうとする企画書もあり、企画書の内容には道路の整備する事の内容も書かれていた。
そして4つの町では道路沿いにテナントを多く作り、脱サラした起業家や農地があるので農業に従事する人材を集めようとする内容も記載されていた。
聖志は驚く事ばかりで、今の町おこし企画に自分が担当になった理由を知った。
営業部第一課の元課長の大崎サトルの事を知っているはずだが、営業部統括部長からは何も言われてはいない。
これは誰かに巧妙に仕組まれたものだったのだろうか?と思う聖志だったがプレジェクトの導きと思考を変え考えていたが、気になるのは「大崎サトル」という人物とは何者だろうか。
社員を導いていく人物だったのだろうか?と聖志は思うようになり自分の名刺を両親に渡すと、大崎さんと同じ会社に勤務して、現在の聖志は営業部第一課の課長になってた事を知らなかった両親だった。
聖志は勤務先や自分の立場を両親に伝える事はなかったのは、営業回りでの忙しさで伝える事ができない状況が続いていた。
「父さん、母さん、ごめん」と聖志は謝るが、両親は首を縦に振り笑顔で愛情からか「聖志、町おこし企画、頑張れ」と応援してくれた。
有給休暇2日目には、再び町にある整備されている建物を見て回り、全ての建物や農地やテナント等についての情報をまとめている広告の裏面の書面の内容を確認していく。
午前中に早い段階で森山印刷会社で印刷した20万枚の広告が観光協会センターに届き、聖志は広告の表と裏を確認し、デザイナー2名に20万枚の広告を持って、すぐに車で東京の会社の企画部へ届けるよう指示を出し、午後から以前と同じように、東京の会社にいる町おこしプロジェクトチームの担当者達に新たに印刷した広告を旅行会社や本屋など様々な場所に配布し、大型バスで超格安町おこし見学ツアーの曜日を考え、配布した旅行会社では、協力してもらうよう指示を出した。
その後、東京の会社にいる町おこしプロジェクトチームの担当者から電話連絡があり、毎週金曜日と土曜日と日曜日で、大型バスを持つ旅行会社は協力してくれるとの事だった。
大型バスを持つ旅行会社は必ず協力してくれると考え、旅行会社にとっても大型バスを動かせる事は利益にもなる、多くの旅行会社は聖志の営業先でもあったからだ。
観光協会センターの担当者にも、その旨を伝え聖志は今後は様子を見る事にしたが、観光協会センターから中小企業やテナント希望者等からの多くの電話が絶えないと言う事だった。
また、合併前の4つ地区の役場でも移住希望者やテナント希望者等からの問い合わせが多くなっているという事、旅館への予約件数が多くなっているとの事だった。
「超格安町おこし見学ツアー」の広告での宣伝で効果があると、見えないものが現実味を帯びて、やっと動き出したと確信した聖志だった。
有給休暇3日目には、多くの旅行会社は聖志の営業先で聖志は企画アドバイザーでもあった。
午前中には直接的に聖志に連絡があり、旅行会社の担当達と話し合いをすると「超格安町おこし見学ツアー」のツアー客の予約や旅館の予約の問い合わせの電話もあり、どう説明したら良いのかわからないという事で、超格安町おこし見学ツアー広告を見ながら説明し広告の裏面を見れば対応できるのではと、聖志はアドバイスをすると旅行会社の担当達は納得した。
その後、4つの地区の役場を回りながら、移住者希望等の問い合わせ内容を聞きながら、職員達に対応マニュアルを作成し対応していく事が賢明かと思いますと、チャンスを逃さないよう対応をして下さいと聖志はアドバイスをしながら、午前中で仕事を終わらせた。
何故なら聖志は4つの町おこしの基礎を築き上げ、後は役場や観光協会センターが独自で対応していけば必ず成功するだろうと聖志は思った。
そして、基礎を築き上げた後は、春奈を営業企画プロジェクトチーム担当リーダーと任命して、聖志は担当リーダーから外れ他の仕事に専念し辞表が受理されるのを待つ事にした。
聖志は、春奈に電話連絡をして、全ての営業部のフォローと企画プロジェクトチームのリーダーを務めるよう伝えると春奈は頷きながら理解した様だ。聖志は春奈を課長に推薦して課長である自覚と覚悟と野心を持たせる目的でもあった。
食事をとり一段落した午後には、聖志は20分の道を歩いて葉月の実家へ向かい、葉月への思いや今後の事を話し合おうとするが玄関前では少し緊張感を抱いた。
しかし、玄関を開ける声を掛けると子の姿を見て、その緊張感はなくなった。
「こんにちは、聖志です、誰かいますか?」と玄関を開けて声を掛けると聖志の前で姿を見せたのは子供の姿だった。
「お母さん、お父さんが来たよ、お父さんが来たよ」と子供は部屋の奥にいる葉月を呼びに行った。
「驚いちゃったよ、町おこしの仕事で忙しいんじゃないの?」
「もう、僕にはやる事はないよ、担当リーダーから外れて担当者は別の人に任せたから」
「別の人って誰?河野春奈さんでしょ」
「何で知ってるんだよ」
「ある人からの手紙で聖志の行動は、お見通しです」
「もうしかしてだけど、手紙の相手の名前は、大崎サトルじゃないのか?」
「玄関で話す事じゃないから、私の部屋で話しましょ」と葉月は聖志に言った。
葉月は聖志を自分の部屋に案内しながら、子供の名前知ってるのと言うと聖志は夢の事を思い出した。
「もしかしたら、子供の名前は、マサシだったりして」というと葉月は驚いていた。
「何で知ってるの?」「奇妙な夢を観た事があってさ、子供が出てきて、マサシってな」
葉月の部屋の中に入ると、子供がブロックの組み立てをして遊んでいた。
「ねえ、聖志、子供の名前の漢字で書くと、どう書くか知ってる?」
聖志は少し考えたが、分からずにいた。
「正しいと聖志の志を取って、正志って書くんだよ、聖志の子供だからね」と葉月が正志を見て声を掛ける。
「お父さんだよ、お父さんの顔ずっと見てたから絵も書いてるよ」というと正志は聖志の胡坐の中にすっぽりと入った。
そんな姿を見た葉月は聖志の驚く顔を見て笑っていた。
「お母さん、ジュースが飲みたい、お菓子も食べたいよ」と正志は聖志の姿を見ても平気だった。
「はいはい、聖志は何が飲みたい?コーヒーだよね」と葉月は言った。
こんな会話が続くと聖志は、まるで愛情があって家族のようだと思うと言葉を失っていた。
「正志はオレンジジュースでいいですか」「うん」
そして、葉月は飲み物やお菓子を持ってきたが、白く塗られた木箱も持ってきた。
「聖志、この木箱は、私が大切にしていたものが入ってるの、見たいでしょ」
「ああ、見てもいいのか?」と聖志が言うと葉月は木箱の蓋を開ける。
木箱の中身は15通の手紙が入っていて、聖志は手紙の裏を見て書いた人を確認する。
「なるほどね、全て同じ名前だな、大崎サトルか」
「全部、聖志の事ばかり書いてあるの、聖志の勤務状況と営業活動や女性関係と生活に関わる内容ばかりだよ」
聖志は、一通ずつ手紙を読むと、本当だ僕の事ばかりで、葉月は聖志の全てを知らされていた。
「出向している元課長の先輩の顔を見た事あるのか?」
「見た事はないけど、手紙が届いていると、まるで幽霊の言霊みたいって思ってた」
「僕は、電話で話した事はあるけど会った事はない、幽霊の言霊か面白い表現だ」
葉月は河野春奈と会い、全ての事を話した事を聖志に明かし、春奈と同棲生活をしている事も知っていた。
正志は聖志の胡坐の中で眠っていて、マサシを布団に葉月と聖志で布団に寝かせる。
「なあ、葉月、今後はどうするか考えてみるか?」と聖志は葉月に言った。
「ねえ、それって、プロポーズの言葉ととらえていいの?」
「今は分からない、会社に辞表を出したけど、まだ承認されてないし、後は1つだけ最後の役割があって新入生の面接官をやってから受理されるかもしれないしな」
「そう、組織ってそうなんだよね、良く分かる、私もそうだったし、今は実家に帰って良かったと思う、明日は会社に戻るの?」
「ああ、会社に戻って色々と整理する事があるから、実家に帰ってくる時があると思うから、また話し合おう」
葉月と聖志は、この日の夕方まで2人で自分達の思いを確認しながら話し合っていた。
有給休暇3日間が終わり聖志は会社に出社すると、聖志の机の上には、営業企画書は山積みになっており課長の捺印を押していた。
その時に人事部から第一課営業部に戻った聖志に電話連絡があり、12月そろそろ履歴書を読み、新入社員の内定者を選ぶ時期が来ているとの事だった。
担当は人事部の課長と営業部第一課の課長の聖志が担当する事になっていた。
そして、人事部の部長からは入社試験の内容は聖志に全て任される事になり、聖志は営業部での全社員の意識改革をした時の事を思い出しながら、入社試験の内容を考えながら作成していく。
問題は、自分の長所と短所を書く事と自己分析や発想力や行動力を文章で書くことが中心で、あとは文章の問題によって、レ点チェックシートの内容を採用した。
そして聖志は人事部に試験用紙を届けて試験内容を人事部で確認と精査してもらう事になるが、内容を読んでもらい人事部長からは次の日に承認された。
募集をすると200人の履歴書が会社に送られていた。
人事部の課長と聖志は全ての履歴書を読み、入社試験定員は100人に絞り込まければならなかった。
試験後には、更に入社試験に合格した70人に絞り込み、内定者として面接の日時を記載した書面を送る事になる。
会社の規模を広げる為には過去では30人であったが、更に会社の規模を広げる事と定年退職者が多くなっているとの事で以前よりも多く内定者は70人雇用する事になった。
4年の大学を卒業者で、経済学専門の大学卒業生と他の企画に関わる大学卒業生に限られた条件付きだった。
営業部では50人、企画部では20人、営業部では第一課から第三課に振り分けられる事になり、面接で企画部を選択した学生は企画部に配属される。
面接官は人事部長と人事課長と営業部の社員と企画部の社員と、面接官の聖志は履歴書と卒業論文のレポート内容で部署を決める役割があり人事部に決定した書面を提出する。面接期間は2月1日から一日10人で7日間、入社日は4月5日で、ホテルで入社式が行われる予定がたてられる。
面接が始まり面接期間は2月1日から一日10人で7日間であるが土日も休日出勤で休みなしで始まった。
一人30分以内で午前5人午後5人に分けて人事部長と課長と営業部の社員と企画部の社員からは質問する。
聖志は書記の役割で履歴書と卒業論文のレポート内容を見て記録を取るだけで質問する事はなかった。
最終日の最後の入社試験は受ける事がなく推薦状があった奈菜はスーツ姿で面接に来た時は、人事部の課長と聖志は質問をするようになる。
人事部の課長の質問は5分で終わり聖志以外の面接官は、面接室から出ていき、面接室にいるのは聖志と奈菜の2人となった。
成島奈菜については、個人講義をして誰よりも知っていたのは推薦状を提出した聖志けだったと面接官達は知っていた。
大学での聖志は経済学だけはなく男女の心理的な事や社会人としての覚悟なども講義していると、常に一番前の席の中央に座り講義を聞いていた事で、奈菜が信じられるのは聖志だけだった。
奈菜の卒業論文レポート内容を見ながら聖志は次々と質問をし営業部第一課の社員になれるかどうか試す事にした。
個人講義をしていくうちに男女の関係を持つようになると、奈菜は自分の過去の生い立ちの全てを聖志だけに話を打ち明けていた。
奈菜は、人との関わりや交流が出来ず孤独に生きていた人生を送っていたが、卒業論文レポート内容には社会人になり会社員となる覚悟や人間関係や人との交流や会社への貢献や心理的な自己分析や相手への尊厳や尊敬心やコーチング等の内容が含まれていた為、営業部の課長として聖志は1つ1つ確認するかのように質問し答えるよう接していた。
「奈菜、久しぶりだね、君は営業部第一課に配属になれるよ、たぶんね」
「ありがとうございます、先生との出逢いと2人だけの個人講義で自分自身についても考えながら経済学の予習復習してました」
「そうか、それは良かった、君との関わりは、僕も勉強になりました」
「先生は以前とは違い丁寧語を使うのですね」
「ああ、それは今の僕は営業部第一課の課長として話をしてるんだ、どうして僕を先生というのか教えてください」
「私にとっては、今でも先生であって、いつまでも先生なんです、入社したら変わるかもしれませんが」
奈菜は微笑みを浮かべながら質問に答えてくる。
「それから私は、春奈さんから先生の事を聞きました」
「春奈と会ったのか?どんな事かな?」
「それは春奈さんとの約束で秘密です、私も変わらなければと思っています」
「成島奈菜さん、君のレポート内容を実行する事で、きっと変われると思いますよ」
聖志は奈菜との会話で、春奈が密かに自分の為に動いていた事に気づいた時で質問は終わり、聖志は奈菜を会社の1階までエレベーターで降りて玄関先で奈菜を見送ったが、気になる生徒だっただけに、成島奈菜の過去を調査していた。
本当の両親は事故で亡くなり、奈菜が1歳の時に施設に入った時の旧姓の名前は小島奈菜であったが2歳の時に、子供が出来ない夫婦は施設を訪れ奈菜を養女として引き取り、成島奈菜という名前となり奈菜は本当の両親の事は記憶にはなく、育ての資産家の両親に何不自由なく可愛いがれていて両親とは仲良く育っていたが、小中高と人見知りがあり生徒達や他人との交流が出来ず大学生になっても社交性は全くなく、講師だった聖志との出逢いにより、聖志は個人講義をし奈菜の人生は変わっていた。
しかし聖志は、高校時代に資産家で成島家の葬儀行った時に奈菜と良く似た少女を見かけた事で、成島という苗字が気になり実家に電話をして確認をする。
聖志の母によると、成島家は資産家だった為、資産家同士のお見合いで駿河家の分家の数人の次女が嫁いでいる事を聞き、母に成島奈菜の名前を伝えると子供が出来なかった成島信二さんと京子さんの娘さんとの事で養女を迎えた事を知り受験した大学は何処か聞くと、母からは聖志と同じ大学である事を知らされた。
聖志は、親戚関係を母に聞くと苗字は違うが成島家とは親戚である事を聞かされ、聖志は奈菜とは親戚関係だった事を知ると偶然だったのか必然だったのか。
「奈菜は気づいていたのだろうか、知っていたのだろうか?」
巡り合い出逢う運命だったのかと思ったが、血縁はないが奈菜に親戚関係の事を話す事はなかった、いずれにしても後には知られるだろうとも思った。
奈菜の現実を知った聖志だったが、奈菜との過去の関係については冷静になり今後は会社員として距離を置き接していこうと判断した聖志だった。
そして、この時に聖志は、この面接が最後の仕事だと思い辞表が承認されるだろうと思っていた。
聖志は会社の仕事から全てを退き、今の自分がすべき事を考えていた。
聖志が思い描いた人生とは、会社を辞めて実家の町の第1区にある商社会社で営業する事を考えていたが、その人生は叶うかどうか。
これまでの給料は、手取り40万円、葉月の田舎へいけば、半分にもならないだろう。
聖志は、給料よりも葉月の姿を思い浮かべ、家族を選ぶ事になるのだろうと考えていた。
しかし、営業部統括部長から会社の営業部第一課の元課長の社員として出向の話があった。
「駿河君、君の辞表を承認する事は出来なくなった、取締役会と役員会で判断した事で、会社の社員として元課長の社員として出向の辞令が決定した申し訳ない」
「え、どうしてでしょうか?」
「君への対応として、それなりの最善の待遇で出向させるという事に全員が一致し辞表は無効となったんだ、そして会長の鶴の一言で取締役会(理事会)や役員会では、会長の指示には従うしかなかった」
「そうですか、わかりました、ですが出向先は何処になるのですか?」
「駿河君の実家の株式会社の森山印刷会社の営業部が出向先になると思うが、どうかな?」
「サラリーマンですので会社の指示に従いますが、有限会社ではなくなったのですか?」
「実は、町おこしプロジェクトの時に、会社の規模を広げる事で印刷機など設備投資をしてグループ企業になって株式会社になっていたんだ伝えず申し訳ない」
「いえ、そんな事は気にしてはいません、出向先が近くで良かったです」
「プライベートの話がするが、野村葉月さんと実家は同じだったね、過去の話を聞いていたんだ」
「葉月との事は知られていたんですよね、僕は分かっていました、もしかしたら部長は葉月の事を知って出向先を選んだのですか?」
「いや、そうではないが今後もプロジェクトアドバイザーとして町おこし企画に関わって欲しくてね」
「出向先でもプロジェクトに関わるのですか?」
「まあ、そういう事だ、それから1か月に3日間は会社に来て企画部のサポートと営業先の接待をしてもらいたいんだが役員会からの依頼なんだ会長も私も断る事は出来なかった」
「営業部統括部長と会長も大変ですね、わかりました、役員会は何かと偏屈ですね」
営業部統括部長と話をしてると聖志は自分の卒論レポートの内容を思い出し、聖志の幸せも考えてくれたのではなかろうか?
聖志は全てを退き今の自分がすべき事を考えていたが、営業部統括部長と話し合う事で頭の中では考えすぎていたのかもしれないと聖志は思ったのだろう。
営業部統括部長からの臨機応変な性格がある聖志を出向させる為に、会社での根回しと考える聖志であったが、そんな事など気にする聖志では無かった。
サラリーマンとしての覚悟は、聖志が大学卒業時の卒論レポート内容に書いていた事で、当時の常務取締役と人事部長に大学の教授から推薦書と卒論レポートは届けられていた。
覚悟とは野心を持ち根回しや思惑や臨機応変で自由な発想で企業への貢献する事や出世後は社員達の意識改革等そして社員達は人材ではなく人財(財産)であるという事が書かれていて聖志は自分自身も変わっていけばならないという考え方を持って大学の卒論レポートの内容を現実のものとしていた。
どんな組織の環境であっても様々な環境に、すぐに慣れる事も聖志の能力の1つである事を現在の営業部統括部長も卒論レポートを読み見抜いていたようだ。
そして組織の中でも自由にさせる事によって年商を上げる為に会社に貢献できる優秀な社員でもある事も気づいていた。
営業部統括部長は会社の会長とは切っても切れない関係である事や極秘任務で春奈が聖志の身辺調査や身辺整理をしていた事や役員会などで聖志への対応など上層部全体で今後の対応を話し合った事を辞表を出していた聖志に全ての出来事を営業部統括部長は話していく。
会社の会長の名前は「野村藤次郎」であり、野村家の分家の親戚で葉月は姪にあたるという事で葉月や駿河家の聖志の全てを知っていて、それなりの最善の待遇で出向させる為だけでなく聖志の幸せも考えていた様だった。
上層部では様々な聖志への対応について様々あったが、野村会長の鶴の一言で上層部では会長の指示には従うしか無かったが役員会の条件だけは断る事は出来なかった。
聖志は、営業部統括部長からの話を黙って聞いていたが、弱さを見せない聖志でも心の中では弱さがあり様々な出来事があり気になっていたのだろう。心の中では負担や重荷や後悔がある事に聖志は気づいてしまったが、社内で人目を避け1人になると初めて聖志は涙が溢れてしまう。
しかし全てが明らかにされた事で負担や重荷や後悔から解放感を感じて喜びを感じて、聖志は何度も深呼吸をしてから社内の業務に戻った。
そして聖志は町おこしのプロジェクトの基礎を築いたあと全ての業務から退き、春奈に全ての営業部のフォローと企画プロジェクトチームのリーダーを務めるよう伝え、聖志の目を合わせると同棲生活では野心を抱く目つきだったが、野心を持たない聖志の優しい目を初めて見た春奈は下を向き涙をこらえて頷きながら理解した様だった。
春奈は聖志と葉月との「心の絆」という愛情が深く長きにわたり繋がっているのだと、元課長の出向社員の先輩の言葉を再度思い出し、春奈は12歳も離れた彼への思いと関係を真剣に考えるようになっていた。
いつもの通りに聖志は社内を歩いていると、野心を抱く事はない聖志には社内は全く別の世界にいるかのように感じていた。
野心を持っている時には全て記憶に残されていたが、野心を捨てた聖志が室長をしている企画部の部屋に入るまでに多くの社員達から挨拶をされたのか全く記憶に残る事はなかった。
企画部の部屋へ入り椅子に座るとテーブルの上にはプロジェクト企画書などの書類が置かれていて聖志は目を通すだけで、営業部第一課の課長の椅子に座ると営業企画見積書があり捺印をする聖志だった。
聖志は営業部の職員達を歩きながら見回していると春奈は言葉はなく静かに気づくまで、聖志の机の前に立っていた。
いつも通りの春奈の表情と姿で営業企画見積書を読んで持ち手渡されるとハンコの捺印をしていくと、最終のページに付箋(ふせん)が貼られていた。
笠原結衣、大原桔梗、成島奈菜の身辺整理はつきました。私の気持ちも整理出来ました。
後は私が全ての彼女達を引き受けます駿河課長の営業先も私が全てを引継ぎますと書かれていた。
元課長の出向社員の先輩と春奈は長きに渡って何でもどんな事でも話せる関係が築かれていた事で春奈は気づき先輩からのプロポーズで婚約から結婚をする事になる。
そして春奈は両親に電話で先輩の大崎サトルとの婚約の話をしてから、両親に彼を合わせていた。
聖志には元課長の出向社員の先輩から聖志に婚約と結婚の手紙が届けられ、聖志は春奈が幸せな人生を送れるだろうと思った。

春奈は聖志が辞表を出したタイミングで、聖志から距離を置くよう笠原結衣と大原桔梗に伝えると彼女達は、聖志との男女の関係は断つ事になった。聖志が辞表を出したタイミングで出向命令が出されるという噂があった時には春奈は第一課長の聖志の仕事の全てを引継ぐ事を伝えていた。
笠原結衣と大原桔梗は河野春奈を本当に信じられるかどうか試していた頃でもある。
常連客も増え年間の年商も上がった事で、全て春奈に任せる事になったが、女性に接待はできるのかと不安を感じていた時に、常連客でもある営業部統括部長が聖志の接待していた店に出向くと笠原結衣と大原桔梗に、第2課と第3課の男性の課長が接待する事と、毎月3日間は全ての情報を持つ聖志が接待をする事を伝えると彼女達は納得したようだ。
全ての情報とは笠原結衣と大原桔梗には黒皮の手帳の中に書かれたもので、聖志は手帳に書かれた情報の全て知ってメモリーカードに保存していた。
会社の本部には毎月3日間は聖志は出勤し定時後には、高級料亭と高級クラブで接待をする事を営業部統括部長から聞いていた。
そして新情報があれば聖志に伝える事が出来ると笠原結衣と大原桔梗は思い、彼女達は第2課と第3課の男性の課長と春奈に黒皮の手帳を見せる事はなかったのは聖志以外に知ってはならない内容もあったからだ。
聖志との男女の関係は断つ事が出来たが信じられるのは聖志のみ彼女達には、まだ野心というものだけが聖志との繋がりでもあった。
この付箋の意味は、聖志はこれまでの事がどういう事だったのか考えていたが気にする事には当たらないと思っていた。
春奈は、自らの片思いの恋と聖志の自殺未遂(診断書には過労による睡眠障害)を隠し、聖志が生きたいと思えるようになるタイミングを計っていた。だからこそ聖志を見守り支えながら自由にしてくれていた春奈だった。
春奈の両親から同棲相手の聖志に会わせるようにと言われていたが、春奈の先輩への気持ちに変化した事で会わせる事をしなかった理由も聖志は理解していた。
聖志は手取り40万円という高額な給料よりも葉月の田舎へいけば半分にもならないだろうと考える聖志だったが、家族を選ぶ事になり春奈であれば接待以外は自分の後を引き継ぐ事もできるだろうし、企画部や営業部他の社員も、それなりに一人立ちをしていると聖志は感じ取っていた。
聖志は上司の営業部統括部長に退職の話をし、田舎でも小さいながら同じ業種があると話をする聖志だった。
しかし上司の営業部統括部長からは今後も続けられないのかと言われ、一身上の都合で辞表を受け取ってもらえたが役員達には聖志へ対処する思惑があった。
春奈の聖志の身辺調査を元に観光協会や役所からの依頼を全て請け負っている印刷会社に聖志は就職すると考えてられ、今まで勤めた企業から田舎の小さい企業への仕事を回せると思っていたのだろう。
この頃には春奈が持っていた依頼した興信所の情報は過去の表向きの情報の内容だけであり、数年の時が過ぎ現在の葉月と家族の情報の内容ではなかったと聖志は確信に至った。
春奈が身辺調査をしている事は、しばらくしてから葉月からの連絡の手紙と笠原結衣と大原桔から聞いて人事部からの依頼を受けている事も葉月と会っていた事も全て知っていたが知らないふりをしていたが会社の役員達の極秘の思惑だけは気づけなかった。

聖志が引き出しの中と机の上の私物や書類を整理して今後の営業の仕方などの申し送りを営業部の社員達にした。
「駿河課長、会社を辞めるのですか?課長がいなくなったらどうなるのですか?」
「辞める事はないよ、ただ会社の社員として出向するだけだ、毎月3回は戻って来るよ」
「そうなんですか?社員達の中では、辞表を書いたと噂で聞いてましたけど」
「お前達は、もう自分で動けるんだから一人前になったんだよ、俺がいなくても大丈夫だ、噂を信じるな、新しい課長なるだけだ」
「え?誰が課長になるんですか?」
「俺は何も知らない俺がいなくなれば、掲示板に辞令書が提示され課長が分かると思う」
聖志は全員の社員達から尊敬されていた存在であり、大学での卒業論文レポート内容は、社会人になって会社内で現実となった事で全てやり遂げたと思うと気が楽になり野心というものは抱く事もなく、新しい人生を歩む世界を思い描くようになると、営業の仕事の内容を細かく書いて申し送りをした後に一段落ついた聖志は私物や書類を持って実家が同じ葉月の元へ向かう。
出向先の森山印刷会社に出向してから数日後に会社の掲示板の壁に貼られた人事の辞令用紙を見ると、営業部統括部長や役員達の捺印があり最後には推薦者の名前は駿河聖志と大崎サトルと書いてあり、もう1つの推薦状は聖志と先輩が推薦状を書き、人事部に提出していた事を春奈は知った。
営業部第一課の課長と企画部の室長は春奈が引き継ぎ、接待などは聖志と一緒に仕事をしていた他の営業部の社員達が引き継ぐ事となる。
掲示板に提示された辞令用紙を春奈と社員達が見ていると、春奈は社員達に挨拶を交わしただけだったが、営業部の部屋では自分の立場をはっきりさせる言葉使いだった。
「女性の課長ですが平等で普段通りの皆さんでいて頂ければ幸いです」
と聖志の言葉を引用して社員達と接していた。
会社では女性初めての課長となった事で少し驚いた様子だったが、社員達は春奈に挨拶をしてると営業部統括部長が社員達に声を掛ける。
「会社初の女性の課長だが常務取締役や代表取締役社長と会長からの推薦もあったので、皆さん宜しくお願いしますね」
課長になった春奈からの言葉で聖志と同じ様にサラリーマンの社員達は従う様になっていたが、聖志は社員達の意識改革は継続され春奈は聖志と同じ手腕でモチベーションは保たれ維持された。
聖志が森山印刷会社に出向が始まる30日後には、会社の掲示板の壁に貼られた人事の辞令用紙には部長として出向を命ずると駿河聖志の名前が記され出向先も書かれていた。
森山印刷会社の企画営業部の部長としての役付けで出世していた。
社員達の反応は、ただの出向社員ではなかったと営業部第一課長からグループ企業の部長に昇進したんだと社員達の誰もが思っていた。 
「駿河課長は知ってて、何で言わなかったのだろう、河野部長の事は知ってたのかな?」
「河野部長ってさ、駿河課長と同じ言葉を使ってると思わない?」
「そういえば、同じこと言ってて、俺ら社員のモチベーション変わってねえよな」
課長が変わっても何も変わってない事を社員達は気づいた時だった。
そして営業部統括部長から代休と有給休暇の話があり出向前に30日間、ゆっくり休んでから出向先に出勤するよう聖志は言われる。
葉月の親戚関係にある会長をしてた野村藤次郎は葉月と聖志の関係は良く知っていた為2人の幸せを考え指示を出し、聖志への今後の優遇措置対応は営業部統括部長に任せる事にした。


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