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巡り合い<3>出逢いと聖志の葛藤と後悔

2020-03-29 10:43:25 | 恋愛小説:巡り合い


大学付属の第二経済学専門学校で、何度か聖志が講義をしていくうちに、生徒達とも打ち解けたようだった。
生徒達は、聖志が経済学専門学校での優等生の生徒だったか、卒業してから就職活動をして就職し現在の状況で、どんな仕事をしているのかを知っていく。
しかし、現実的でもあり未知的でもある聖志の講義で生徒達に質問の問いかけに、生徒からの質問は殆どなかった。
疑問を持つ生徒はいても、質問をしてくる生徒達になるとは限らない事は想定内だと聖志は思っていた。
聖志には優等生の生徒達を作りだし、優秀な社会人にしようとする野心的な思惑もあり、それは聖志が苦難を乗り越える体験からだった。
優秀な人材の発掘と人手不足や企業での平等な扱い方、発想力、分析力、行動力、社交性のある社員にする事でもある。
そして、上下関係の関わり方についても講義をし、企業の一社員としての自覚を持たせ、長きにわたり社員を続けられるよう講義をする。
講義中、雨が降り続き、講義が終わると雨は上がり、窓の外から陽(ひ)が教室へ差し込んできた。
聖志は講義終了前の最後に、外を見ながら輝いた生き方をしたければ、疑問があれば、その疑問を解き明かす事だと静かな教室内で生徒達に普通の声でささやいた。
静かな教室内では聖志の声は教室内全体に広がり、その時、生徒達は外を見つめる聖志の後ろ姿の背中を全員が見つめていた。
手を上げた生徒がいたが質問があれば、まずは自分で本でも読んで調べる事だと、講義後のレポートでの提出するよう生徒達に提案した聖志だった。
興味があって手を上げた生徒達の中には、聖志を馬鹿にした心を持っている生徒達がいる事に気づいて理解していた。
経済学だけでなく、人との関わる事の重大さの心理学やコーチング対応等も学んだ聖志でもあり、生徒達との接し方を考えながら実行していた。
何故、聖志は、生徒達に距離を置く事を考えたのだろうか?
単なる興味だけでなく好奇心を持たせ、自己分析や様々な視点を変える事や行動力の速さ等も大切なことである事を、生徒達に伝えようと考えていた。駿河聖志という人物を良く知られていた事で、大学からの依頼と社長の指示で会社命令として、聖志に講義をするよう依頼してきた理由は、そこにあったのだ。過去の大学の学生であった時には、発想力、分析力、行動力、社交性があり未来志向である聖志の人物像は、聖志の周囲には先輩後輩問わず、当時大学内の学生達に知られていて、聖志は学生達に声を良くかけられていた。

聖志は講義をする参考の為に、准教授の講義を生徒達と一緒に、准教授の講義に参加し聞いていた。
聖志は准教授に渡していた講義後のレポートの内容が、准教授の講義によって名前は非公開だが、講義で生徒達に公開されていた事に気付く。
准教授は講義が終わると、君達の先輩のレポートを元に参考にしたんだと生徒達に伝えていた。
生徒達は、駿河聖志という名前を知っていたが、もしかしたら講師をしてる聖志のレポートだと気づいていたのかもしれない。
聖志は、講義を始めますと言うだけで、生徒達には自分の名前を伝えてはいなかった。
生徒達は駿河聖志に会った事はないが、優秀で存在感のある人物と思われていた。
当時の聖志のレポートの内容は、他の学生達のレポートの内容とは全く違っていた。
現実的で視野が広く未来志向で、まだ一年生なのに社会人としての内容でもあった事から、聖志ならば学生達の心を動かせると思い、卒業生の聖志に講義の依頼があったのだろう。
講師になって月3回の月、水、金の午前中1時間ほど講義をするたびに聖志は、過去の出来事を振り返る事があり、特に離れ離れになった葉月の事を思い出すが多くなっていた。
学生当時の聖志の同期生から良く声をかけられていたが、学生の頃と就職後まで数年間の同棲生活をしていた葉月の思いを考えていた為に、同期生から距離を置き接する事は、頭を下げ挨拶をするくらいで殆どなかった。
聖志にとって葉月との事は忘れていたはずだが、心の中では葉月への今でも愛する思いが残されていた。

聖志は講義がない時は、春奈、結衣、桔梗との男女の関係を続けていくが、ある時、聖志の講義が終わったあと、授業をさぼり聖志の後をついてくる女子生徒の一人がいた。
聖志の後をついてくるのを知りながら、何もなかったように歩いていく聖志だった。
いつもなら会社へまっすぐ戻るのだが、その日は東京の街をフラフラと歩きながら、鏡やガラス越しに確認する聖志であった、急に立ち止まると彼女も立ち止まる。
常に緊張感の中で仕事をしていたが、これは面白い出来事で気が楽になり楽しめると思った聖志は、久しぶりに仕事の事をを忘れる事が出来た。
細い路地を通りはアクセサリー通りと呼ばれる道を歩き、アクセサリーを見ながら聖志は離れて、彼女は同じようにアクセサリーを見る。
陽(ひ)が暮れ、光り輝くネオン街となりはじめたとき、立ち飲みバーへ入り、ビンビールを2本頼み、隣に一本を置いた。
聖志がビンビールを飲みはじめると、彼女は隣に座り、ビンビールを持った。
「君の名前は確か、成島奈菜(なるしまなな)だったかな?」と聖志が声を掛ける。
「はい、でもどうして私の名前を知っているのですか」と答えた。
講義の時には、講義室の一番前の中央に座っている女子生徒だったし、レポートの提出で名前を知っていたんだよと、聖志は生徒の奈菜に話した。
聖志は、なぜ?後をついてくるのかと聞くと、話しがしたかったとだけ答えた奈菜だった。
そして、ただ黙って同じ姿勢のままで、奈菜の話を聞く聖志だった。

成島奈菜には、両親がいなかった。叔父と叔母に育てられ、高校を卒業すると自立し2年間で貯めたお金で、聖志と同じ大学付属の専門学校へ入学していた。聖志が卒業した経済学の専門学校は2年間と大学2年間で4年間で卒業すると、他の大学よりも専門的な企業に就職率が高いことを調べたと言っていた。
聖志は、四年間居られるかなと言うと、彼女は不思議な顔をしていた。
聖志は、四年間居られたが、それは選ばれた人間のみであることを教えた。
教えると彼女は、ショックを受けたのか、考え込んでいた。
信じるのは自分自身、精一杯やっていると選ばれるかもしれないと、独り言のように話す聖志だった。
ビンビールを一本ずつ飲み終わり、聖志は店を出ると、聖志の後を追うかのように、彼女はついてくる。

彼女は聖志の手をとり、2人はネオン街に消えていくが、奈菜が聖志を引っ張るようにしながら街を歩ていくと、その先にはホテル街を歩いていた。後は、そのまま奈菜と聖志はホテルの中へ入った。
一般の普通に人と、付き合うことが苦手の奈菜は、孤独感で寂しかったのかもしれない。
聖志がベッドへ横になると、奈菜は並ぶようにして聖志の横に寝た。
何がしたいと聖志は聞くが、しばらく返答はなかったが「抱いて欲しい」と言う奈菜だった。
聖志は生徒の奈菜の気持ちを良く考えながら、奈菜の過去の話を聞きながら聖志は、奈菜の心の中での葛藤と苦痛、悲しみや寂しさを感じ取ってしまい、奈菜の過去の生い立ちを聖志は知る事によって、葉月との同棲生活をしていた過去と照らし合わせてしまう。
元同棲生活していた葉月は、恋愛しても「恋」と「愛」は違うと言っていたのを心の中で、ふと浮かんだ言葉だった。
恋や愛でもどちらでも繋がっていたいと思うだけで男女の関係は、誰にでもあるとも葉月は言っていた事も葉月との夜の情事の中で良く話していた事も思い出す聖志だった。
しばらく会話が止まるが、奈菜は聖志の過去を聞くことはなく、その後はベッドの上で男女の関係となり、奈菜とっては初めてとなったようだった。
奈菜は、聖志と共に居る事で他の誰よりも学べると考えていたようだが、男女の関係が続くと何となく野心を抱いているのかもしれないと聖志は感じ取っていた。

聖志が他の女性とも関係がある事を知らぬまま、いや男女の関係が続くと他の女性関係を知ってるかのようだった。
聖志の講師としての契約期間は3年間で、1年生から3年生まで同じ生徒達への講義を続け、生徒達は4年目には就職活動を始める事になる。

聖志と成島奈菜との関係は、3年間を過ぎても関係は続いていたが、奈菜のレポートの内容を見て聖志は考える事があった。
「奈菜、僕のいる会社で面接を受けてみないか、僕は人事にも関わりがあるんだ」と、聖志は奈菜に言っていた。
奈菜は、すぐには答える事が出来ずにいた。
「まだ、就職活動をする期間中で幾つかの企業の面接を受けてみたいんです」と聖志に奈菜は答える。
「そうだね、それは君にとっては良い事だよ、僕のいる会社の面接は最後でいいよ」と聖志は奈菜に言った。
人見知りをする奈菜にとっては良い体験になると聖志は思った。

聖志が営業部第一課の課長と企画室の室長を兼任する事では問題はなかった。
聖志を課長に推薦したのは、元課長で他の同じ企業へ出向していた先輩だった。
課長を経験した社員は人事に関わる事が出来るようになっていたからだ。
会社の売り上げは平行線である為に、会社の売り上げを伸ばしていく為には、聖志を第一課の課長にすれば、会社の売り上げを延ばせるのではないか職員も意識改革出来るかもしてないと考え、先輩にはある思惑があり、聖志にアドバイスをしていた。
そして先輩の思惑通りに、聖志は営業部第一課の課長になり、社員及び社内業務改革提案書を作成し、役員会で全員の役員の承諾を得て、理事会でも承認され会社のトップの会長からも指示が得られ、会社の売り上げは職員の意識改革の提案書から成長戦略によって売り上げは徐々に延びていった。
しかし、大学で講師をして講義をしていく中で知らず知らずのうちに、聖志の精神面や身体面では、重圧感を体で感じるようになり、異変が起きて限界を感じるようになっていく。
講師をしていると必ず講義後にレポートを作成しなければならない、そして大学の後輩である河野春奈のレポートを読んでいると、男性目線でのレポートの内容であった。
自分が学生の頃に書いたレポートの内容と、ほぼ同じ内容が書かれた事に気づいてしまい、春奈との同棲生活をしていたのは、偶然ではなく必然の出会いだったのかもしれないと思う聖志だった。
そして、成島奈菜のレポートは女性目線でのレポートの内容で、過去の同棲生活をしていた葉月のレポートの内容と同じような内容が書かれていた事で葉月の事を思い出してしまう。
徐々に聖志は、葉月への愛を裏切ってしまったと強く感じるようになり、葛藤と後悔という感覚に落ちる事があった。
それが、聖志を追い詰められていくが、あと1年の我慢として考えるが、同棲相手の春奈は聖志の精神面と体調不良を気にしていた。
男女の関係が続き、大学での講師を続け、葉月の事を思い出すたびに、聖志の野心は、いったい何処へ向かうのか?

気になる春奈は、同じ企業に出向していた元課長の先輩に聖志の状況を伝え相談していた。
メールや携帯電話での会話の中でのやり取りで、春奈と先輩とは聖志よりも深い関係になっていたようだ。
「春菜、駿河の事はきにするな、必ず乗り越えられるよ」
「私は、同棲生活をしていたのに、彼には愛されてはいませんでした」
「そうだろうな、あの2人は繋がってる事に気づいたんだろ」
「でも私は彼の為に何ができるのか考えてしまうんです」
「いいか、君が新人の時に営業部第一課に推薦したのは駿河だったんだ、大学生の頃の君の全てのレポートの内容を読んだようだ」
「私のレポートの内容を見てたんですか?」
「そうなんだ、それで君を推薦枠にして、営業成績がトップになるのを待って、2年目で主任にしたのも駿河だったんだ」
「駿河が愛しているのは君ではなく野村葉月だ、僕は彼女に駿河の生活の全てを手紙で書いて、そして聖志への彼女の思いを確信した」
「私は、どうしたらいいのですか?」
「君に出来る事は駿河の全ての女性関係を整理して彼女に会い、彼女の聖志への思いを知る事だと思う、その後の駿河が自分の意志で決めると思うし課長になると人事権を持てるんだ」
「分かりました、出来る限りの事をしてみます」
「聖志は野心を持ったからこその人生だと思う、それから今後の君をどうするかは恐らく駿河が決めると思う、僕も聖志と同じ野心を持ったからこそ課長になれたのかもしれないな」
「私にも野心を持てるのでしょうか」
「それは君次第だと思う、男の聖志と同じ野心ではなく、女性ならでの君の野心を考えてみたらどうだろうか」
「女性ならでの野心ってどういう事でしょうか?」
「僕も君のレポートの内容を読んでみたよ、君は野村葉月と同じ女性だろ、聖志の様に男性ではないのだからな、今度は僕と顔を合わせよう」
元課長の先輩は春奈の心の中で傷を負わせないように、春奈が自分の本当の思いを考えてしまうように会話をしたようだ。

「野村葉月とは別人だけど顔つきが良く似てる、噂は信じるな、あの2人は繋がってる、いつかわかる」と言われた事を春奈は思い出していた。
どうする?春奈よ、冷静に考え動きだせ、気張れ春奈よと、春奈はコーチングをする聖志との同棲生活をして会社で見て知った自分へのメッセージを心の中で囁きながら抱く。
「野村葉月とは別人だけど顔つきが良く似てる、噂は信じるな、あの2人は繋がってる、いつかわかる」
春奈の推薦者は誰か、新人なら営業部第三課の社員になるはず、営業部第一課に推薦したのは、先輩と聖志だった事を春奈は知る事になった。
そして、聖志の周辺の身辺整理を考えた春奈は、野村葉月と会ってから、主任の春奈には社内で新たな人生の転機が訪れる事は、この頃は知るよしもなかった。


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