亭主のフシギはまだ続く
新しい住まいにも慣れ 亭主の仕事も段々安定し 平穏な中にも
フシギな亭主が 現れては また一段落し
そんな繰り返しだったが 一番記憶にあるのは
酔ってグチを吐いたときである
「オレ 大学行き直すから オマエ 働いて・・」
は? なんて? 気の迷い? 酒の酔い?
亭主の電報的な話のしかたは このときから すでにあったようだ
まず結論ありきでくるから 困ったもんだ
聞けば 実力のないヒトが大学出というだけで 給料が自分より高いのですと
だから亭主の負けず嫌いの頭では 自分も・・ということなんだろうな
しかし短絡的なことよ
アンタのそんな夢のために ワタシが快く許可すると
思ったのか?
三人の小さな子供を育ててる時に 働けるかい!
どこから そんな考えがでるんだか
そしてついに フシギ本命がやってきた
妊娠したのだ・・ワタシが
ワタシは憤った
避妊の手当てなしの無理強いの結果だったからである
しかも 過去にも一度 流している
その時も 亭主のだらしなさからの結果である
計画性のないだらしなさで 二度までも流す結果となり
その度に亭主がキライになっていった
亭主はさしたる良心の呵責もなく まるで他人事だった
考えると コレが亭主を生理的に嫌悪するはじまりだったかと思う
アテにならない亭主の代わりに ワタシが避妊手術をするかなと
考えたとき ふっと思った
ワタシばかり痛い思い(心と体)をしなきゃいけないのって理不尽だよね
ちっとは亭主にこの荷を背負ってもらっていいのじゃないか
男性の不妊手術である
そうして 断固たる態度で 徹底抗戦を申し出た(話し合い)
亭主の抵抗は 呆れた口実に表れた
「オトコが それすると役に立たなくなる率が高いと聞いた・・」
なんと哀しい言い逃れか
もう三人もアンタの因子は引き継いでるんだから
お役御免は大変結構です
しかしながら ここはアメ鞭で ヨイショする
「あなたなら ダイジョウブ!(アンタの口癖やで)
それに ワタシも心配しなくていいし・・(ウソやけどね)」
亭主は観念したのか 友人『ふたりで受ける』と言い出した
はぁ? まぁ それで受けてくれるなら 結果オーライですが
しかしなんと 土壇場で友人は トンズラしたのだった・・ザンネン
仕方なく亭主は ひとりで予定通り 受けて帰ってきた・・・日帰りなのだ
歩いても響いて痛いのに よく日帰りさせたもんだと思うが
反面 痛さに耐えてる亭主を見てると 笑みがこぼれて仕方なかった
ちっとは人の痛みを 感じるがいいのさ
これで罪の意識も 軽くなるっちゅうもんだ
しかし負けてなかったねぇ
亭主曰く
「手術はしたが 子種は採ってある 次の嫁が来た時に
子供が出来ないと可哀想だから」
本末転倒とはこのことだ
まず今の嫁の心配を先にしろよ
ザンネンながら 次の嫁が来る気配はまったくないが・・
家族への思いやり精神が 元々欠落していて 学習することも
出来ないオトコだったのだ
こんな亭主だから 複数の不倫も平気でできるのだと今はわかる
それも逃げ道のある後腐れのない相手ばかり?
いやいや 夢を見るのはけっこうだけど
もうちっとレベル上げてくんない?