鳳倫閣２階の本堂へ続く階段に、篤志の方のご寄付により昇降機が設置されました。
倫勝寺本堂を兼ねた鳳倫閣が竣工したのは、平成３年１１月。当時としては画期的な構造の建物でした。
１階が葬儀や法事ができるホールと和室、そして霊園の管理事務所。
２階には本堂と会食用の和室、方丈の間などがあります。
特に２階は、襖をはずせば和室と本堂がつながって大本堂として使えますので、お彼岸や施食など大きな行事のときは非常に便利です。
ただ開館当初から言われていた難点は、本堂である２階へのエレベータが無いこと。
階段は手すりを両側に付けてあり、また横幅も広くとってあってあるので登りやすいのだけれど、高齢の方にはなかなかタイヘン・・・
おじいちゃん、おばあちゃんを抱き抱えたりおんぶしたりして２階にお連れしたり、車椅子ごと運びあげてということもありました。
でも若い方が２、３人いなければそう簡単にはいきません。
車椅子の方や足腰の弱い方が、２階の本堂に上がれないから一階でお参りが終わるのを待っている、などということも聞くようになりました。
せっかくお参りに来て頂いているのに、階段が昇れないから・・・なんて言われた日には、住職、泣くに泣けません。
いろいろとエレベータについて調べたり実際に設置されている現場を見たりして計画を練りましたが、
後付けのエレベータでは鳳倫閣の使い勝手が悪くなるだけで、しかも費用が莫大・・・ということが解っただけでした。
エレベータをつけたかったのだけど、予算が無くてねえ、と先代住職がよく申しておりましたね・・・。
９０パーセント以上あきらめていた今年の夏、あるお檀家さんに棚経にお伺いしたところ、
普通の木造住宅なのに、なんと階段にリフトが設置してあるではないですか。
スムーズに動いて、しかも静か。以前に見た、うるさくて油まみれの汚いリフトとは大違い。
おお！これなら寺にも設置できそう！ということでお経が終って聞いてみたところ、
今は普通の階段にも設置できますし、条件が合えば補助金も出るそうですよ、とのこと。
しかも設置費用はエレベータのウン十分の一。何とかなるかも、のレベル。
なぜ「何とかなるかも」と言えば、実はこの階段用リフトを目にするすこし前、今年一月にお葬儀を出された方の遺族Ａ木さんから、
思いがけないほど多額のお布施の申し出があったからなのです。
お寺のお役に立ててくだされば故人夫婦も喜びます、と。
有難いです。偶然とは思えません。
大蔵大臣と相談し、さっそく鳳倫閣の保守をお願いしている業者と連絡を取って段取りを始め、昨日・９月２９日にようやく完成と相成りました。
９月２９日は曹洞宗開祖・道元禅師様のご命日。こんなありがたい日に設置出来たのも有難い不思議な御縁です。
涙が出ます。
中央エレベータ工業製のステップリフト。
設置されたリフトに早速乗ってみました。
鳳倫閣の階段のカーブに合わせて設計施工していただいたレールの上を、少し大きめの椅子型のリフトが速すぎず遅過ぎず、実にスムーズに走行していきます。
（１、２階の間を、おおよそ２分弱くらいで走行します）
電動ギア式の駆動装置も実に静か。法要中に運転音が気になることはないでしょう。
カーブの所では自動的に速度を落としますし、斜面を走行してもイスは水平を保ったまま。
安全ベルトもあり、階段幅も介添えの人が一緒に階段を上り下りするだけの余裕がありますので、初めて乗る人でも安心です。
リフトをつけさせて頂いて、本当に良かったです。これで長年の懸案がひとつ解消しました。
御参りでご利用の際は、所員等、係の者に申しつけて遠慮なくお使いください。
時節因縁が結実しないと、物事は成らないものです。
施主のＡ木さん、本当にありがとうございました。
良い時節に良い御縁をいただき、感謝申し上げます。そしてすばらしい功徳を積まれましたこと、心よりお慶び申し上げます。
願わくはこの功徳をもってあまねく一切に及ぼし、我らと衆生と皆ともに佛道を成ぜんことを。
ちなみに写真のモデルは拙寺の大蔵大臣、先代住職の寺族さんです。
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今日のおまけ
芙蓉が咲いております。いつもなら夏祭りのころに咲いているのに。
ひどく暑かったこの夏のせいで、おかしくなってしまったのでしょうか。 百日紅もまだ元気で咲いていますしね・・
萩はいつも通りの時期に咲きはじめました。花数がすこし少ないような気がしますが。
朝顔もそろそろ終わりですね。種が膨らんできています。今度の休みに始末しないといけないかな・・。
今日はここまで。
