WoodSound~日綴記

山のこと、川のこと、森のこと、その他自然に関することをはじめ、森の音が日々の思いを綴ってみたいと思います

傘がない

2014-08-04 | Opinion
今日は一日だけ休みをもらった。
昨夜は家族全員で、有馬に宿泊。
家からは車で15分。奥座敷のようなもの。
ゆっくりお湯につかって、美味しい料理に舌鼓。
その後、旅館内にあるカラオケボックスに。

カラオケなんてほとんど行かないが、
子供たちは歌う。歌う。

私も昔聴き馴染んだ歌を歌おうと思って、
本をくるとふと目に止まった曲。

井上陽水の
「傘がない」

歌ったことはないがリクエストしてみた。

曲自体はそんなに起伏のあるメロディーではなくむしろ単調。

でも歌詞がすごい。



  都会では自殺する若者が増えている
  今朝来た新聞の片隅に書いていた
  だけども問題は今日の雨 傘がない

   行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
   君の町に行かなくちゃ 雨にぬれ

  つめたい雨が今日は心に浸みる
  君の事以外は考えられなくなる
  それはいい事だろう?

  テレビでは我が国の将来の問題を
  誰かが深刻な顔をしてしゃべってる
  だけども問題は今日の雨 傘がない


   行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
   君の家に行かなくちゃ 雨にぬれ

  つめたい雨が僕の目の中に降る
  君の事以外は何も見えなくなる
  それはいい事だろう?

   行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
   君の町に行かなくちゃ 雨にぬれ

   行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
   君の家に行かなくちゃ 雨の中を

   行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
   雨にぬれて行かなくちゃ 傘がない

なんという即物感。
ざらざらする乾いた感触。

なにかなぁと思ってたどり着いた。

ピーター・ブリューゲルの絵画
「イカロスの墜落」

ロウで固めた鳥の羽をつけたイカロスが、
飛び立ったが太陽に近づきすぎてロウが溶け墜落する様を描いた。
こんな一大事が起こっているのに、
農民たちは普段どおり畑を耕し、日常の営みをしている。

ちなみに私は実物をルーブルに行ったとき、
一番長く時間をとって鑑賞した。


例えばこの歌詞を現在に置き換えてみると・・・

 都会では
 少女を拉致して自分ごのみに育てたいという奴がいる

 テレビでは
 我が国の自衛という武力を他の国に使うことを知らぬ間に決めている

 だけども問題は今日の雨 傘がない

 行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
 君の町に行かなくちゃ 雨にぬれ

 街が水没するほど雨が降っても


などといったところかな。


浅間山荘事件が起こったときに作られた歌。
連合赤軍が最期のあがきをして、
学生運動も下火になりつつある頃。

就職も決まって髪を切ってきたとき。


お上に対する世間の声が弱まってきたとき。

なんだか現在の世相に似ている気がする。

陽水はこんな時代が来るとまさか予期していたわけではないだろうが、
この曲を歌いながら、

「すごいなぁ、この曲」

と改めて感じさせるほど、
実は世の中は逼迫しているのかも知れない。




行かなくちゃ。


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