自国生活・ジコクフッカツ

日本ってすごい。

うぅーん....って言うな!

2009年01月14日 | Weblog
人間歳がかさむと、元気に見えるが、色々ガタが出る。
仕方ない、車だって、10年乗れば、修理が必要になる。

日本に帰国後から、家から歩いていける、かかりつけの病院を探していたが、なかなか見つからなかった。
仕方なく、会社の近くの病院へ、ひょっと入ったが、大きな過ちをしてしまった。

建物自体は、ものすごく立派。まるで、上々企業のオフィスビル。
受付の女性達も、全員、銀行みたいに、制服を着て、受付カウンターに並んでいる。
床はピカピカに磨かれ、掃除の人が、常時いる。
病院内は数階に分かれていて、エレベータを使って移動する。

ところが、感動は、ここまでだった。
受付から診察まで、最低でも2時間待ち。
しまいには、4時間待ちもザラ。
待合室の椅子に空きは無い。
されに、外に休憩に行って、数時間後に戻ってくる人もいるほどだ。
この病院の待合室で、この2年間、何冊の本を読みきったか。

診察を受けても、さらに薬が出てくるまでに、30分はかかる。
そして、10分後に、やっとお会計。なんとなく高いと思うんですが。
今までかかった病院の10%増しと言っていい。

内科と一緒に、婦人科も入っていたので、丁度いいと思ったのが、さらにやばかった。
婦人科の先生と診察室内で話している話し声が、待合室で待っている人に、ばりばり聞こえる。
何時間も待つ間に、何人の女性の、とても深い、入り込んだ、婦人科の病状を聞いたことか。
さらに、色々な家庭の事情まで聞こえてくることもあった。
まるで、昼ドラの内容みたいだったこともある。
自分のは、たいした面白みも無いが、
待合室の人達にはしっかり聞こえていたのだろう。

その待合室で待つ患者さんたちは、婦人科にかかる人達ばかりではない。
内科の診察を待つ患者さんだっているわけで、おじさんたちが、婦人科の診察の内容をしっかり聞いていたことになる。
まったくもって、ため息がでる。

やっと内科の先生の診察が受けられると思いきや、その先生は、患者の話を聞かない。
「あぁ~、そうですか、うぅーん、うぅーん、うぅーん....」。やけに、笑顔だ。
ただの笑顔じゃない。
分かった、分かった、あんたの言ってることは分かったから、さっさと帰ってくれ....と、笑顔で追い払っているようだった。作り笑顔の、本物を観た。

とにかく「うぅーん」が、長くて、多い。
さも患者の話をきいているように思えるが、
実は、うぅーん、うぅーんといって、患者の声をかき消しているだけだった。
それを知ったのは、薬を受け取ったとき。

なんと、先生さんよぉ~、この薬が効かないから、違う薬を処方してくれと、さっき診察室で言ったのに。
聞いてなかったの?それとも日本語が通じなかったのか。
いや、あの、うぅーん、うぅーん、に、かき消されたようだった。
また同じ、効果のない薬が処方されていた。


最近、知り合いに教えてもらった、自宅から一つ前の駅近くにある小さな診療所を、今日覗いてみた。
今までの病院とは違い、古めかしい建物の2階に、その診療所はあった。
床は歩くと、ちょっとぎしぎしと言う。
受付には、年期の入った女性が、ご丁寧に患者さんに声をかけていた。
常連は名前と病名までしっかり暗記しているようだ。
待っている患者は数人。以前のとは全く違う。
すぐに、先生の診察室に呼ばれた。

先生は、ものすごぉーく、丁寧に、丁寧に、お話してくれた。
色々な情報をくれて、そして、こちらの生活環境、それだけ毎日ストレスのかかる仕事をしているかなど、とてもゆっくりやさしく聞いてくれた。こちらが話しているときは、「うぅーん。」なんて、発しない。
ちゃんと、耳を傾けてくれてた。

古い建物の小さな病院だったけど、命が救われたような気がした。