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『檻の中の少女』(著 一田和樹)

2011年05月09日 | 文学

「第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」受賞作『檻の中の少女』です。

以前、このブログで紹介していたけど、そのときはまだ読んでいませんでした。

先日、近所の啓文社で購入し、すぐに読了しました。

過去2回の受賞作も読んでいますが、第1回のときに優秀賞を受賞した『少女たちの羅針盤』(水生大海)は福山市を舞台にして映画化されています。
映画のタイトルはもちろん『少女たちの羅針盤』です。

「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の選考委員長は、地元福山市出身の作家島田荘司先生です。ご存知ですよね?
『占星術殺人事件』で鮮烈なデビューを飾り、御手洗潔シリーズや吉敷シリーズなどを書かれている高名な作家です。

実はボクは、過去にこの「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の市民選考委員をしたことがあります。第1回の時のことでしたが、当時はたしか市民20名程が一次選考に加わっていました。それ以来、どんなミステリー作品が賞をとったかなっと受賞作が出るのをたのしみにしています。

今回の受賞作は2作品ありました。

ひとつは、一田和樹さんの『檻の中の少女』。

「息子は自殺支援サイト『ミトラス』に殺されたんです」
 
サイバーセキュリティ・コンサルタントの君島のもとへ老夫婦が依頼にやってきた。
自殺したとされる息子の死の真実を知りたいのだという。息子はミトラスに多額の金を振り込んでいたらしい。
ミトラスは自殺志願者とその幇助者をネットを介在して結びつけ、志願者が希望通りに自殺できた際に幇助者は手数料を受け取ることができるというシステムで、ミトラス自身はその仲介で多額の手数料をとるのだという。

さまざまな情報を集め、やがて君島が「真相」を解き明かし、老夫婦の依頼に応えたとき、これまで隠されてきた本当の真実が見え始める――――。


本の帯に書かれているままです・・・。

ここであらすじをバラすのはミステリー好きな読者の楽しみを奪うようで引けてしまうのでしませんが、冒頭部分はすご~く軽~い私立探偵だし、軽いノリがどうも合わない、大丈夫か?って思うかもしれません。でも読み進めていくと、かなり高度なPCのセキュリティに関する豊富な知識が披瀝されつつ、それが事件の核心に触れる重要な要素となっていることがわかります。PCに詳しくなくても、「こんなことが可能なのかッ」「出会い系の仕組みがなんとなくわかった!」って感じると思います。軽薄で俗物的な私立探偵がネット犯罪を暴く・・・ここまでいうと単なるハイテク犯罪小説?て思われるかもしれません。
でも、これはミステリー小説です。
最後に暴露されるのはネット犯罪の裏に潜む人間の醜悪さ、ひどくおぞましいほどの悪意です。ここまで人は闇に魅了されるものか、悔しさを憎しみに昇華させ、その憎しみを晴らすことに執念を燃やすことができるのか・・・と愕然とします。

ぜひ読まれてみることをお勧めします。


もう一作品は『鬼畜の家』(深木章子)です。
『鬼畜の家』についてはまた後日・・・。







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