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福ミス受賞作!

2012年05月07日 | 文学

G.Wはどこにも行かず(仕事だったので・・・)、帰宅後、お風呂に入って筋肉をほぐして眠るまでの時間、まったり読書タイムでした。


「第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」受賞作
『誰がための刃~レゾンデートル~』(著 知念実希人)を読了。


ネタバレにならない範囲で・・・。

19世紀にイギリスを震撼させたあのJack the Ripperのようなシリアルキラーによる猟奇殺人が起こる。殺されるのは毎回、警察や司法の手を運よく免れ「自由」を手にした殺人者。”正義”の名のもとに葬り去るその手口は、残忍だが鮮やかな仕事ぶり。苦痛を感じる間もなく、崩れ折れる。声を発することもなく・・・。

岬雄樹(主人公)は順風満帆な人生を謳歌する青年。ところがある日、思いもよらぬ”最後の審判”を下される。築いてきたキャリアと約束された未来が足音をたてて崩れた後に残ったのは、絶望感と不公平感。
しかし絶望の淵から這い上がる。そのきっかけは・・・殺人であった。



とまぁ、こんな感じで始まるんだけど・・・。

主人公の絶望と自分の犯した罪の重さに苦しむ姿、一方でひょんなことから出会った少女を救うため孤軍奮闘する彼なりの”正義”と”使命感”がひしひしと感じられる作品に仕上がっていると思う。新人ながら力量の高さに感銘をうける。

本作のタイトル”誰がための刃”というのは、シリアルキラーの立場での”刃”と主人公岬雄樹の立場での”刃”の二つの側面から読むことができる。はたまた、全く別人の”刃”という側面も。

いろいろな思いが錯綜しつつ、物語は展開していく。

読んでいて、殺人のリアルな描写と心理描写にゾクゾクさせられながら(おかしいかな!?)世界観に引き込まれいった。

描き方が丁寧な印象を受けた。主人公と犯人、どちらも一貫した思想というわけでなく、時間の経過とともに迷い・惑い・苦悩を経ながらそれが強化されたり転向したりと変遷を辿る。その心理描写が実に真に迫っていると感じた。


作者は、現役の外科医らしい。
豊富な医学的知識と実際的な臨床経験を存分に生かしている。とくにターミナルケアの場面におかれた患者の心理がどういうふうに変遷するのか、治療経過とともにその部分は読んでいて非常に勉強させられた。





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