久しぶりにふらっと書店に寄りました。とくになんか買う予定はなかったんだけど、タイトルに惹かれて思わず購入!
「七十歳死亡法案、可決」(著 垣谷美雨)
~七十歳になったら安楽死という法案が可決された近未来の日本が舞台~
日々の介護疲れでど~しようもなくなった妻。
妻のことなどお構いなしにノー天気に世界旅行に出かける夫。
職場の人間関係から退職、ひきこもりになった息子。
親の遺産に目がくらんだ親戚一同・・・でも、親の介護はしたくない。
少子高齢化がすすみ、高齢者への年金と医療費が財政をひっ迫・重い介護負担を強いられる家庭・・・。それらを一挙解決するための秘策があった!
それが「七十歳死亡法案」。
読んで字のごとく、七十歳になったら死ぬ!
国家が積極的に安楽死させるって法案。そんなんヒドイって!
でも、これのおかげで高齢者が年金のありがたみを再認識したり、”生活の質”をもとめた暮らしをするようになったり・・・良いことがたくさんあるらしい。
もちろん、小説の世界のなかの話だけど。
読んでいて、奇抜な発想に「ん~~~~」と唸ってしまったけど・・・。
こうまでうまくはいかないだろうけど、発想としてはおもしろかった。
ちなみに・・・。
小説のなかで描かれたほど極端ではないけど、4年前には「診療報酬終末期医療相談料の設定(廃止)」、今年の老年医学会の「人工栄養(胃ろう)中止のガイドライン議論」など、高齢者への医療についてどこまで医療するのか、どう終末期を迎えるのかという議論は実際にされているんだよね~。
たしかに人工呼吸器をつけて、胃ろうで栄養を摂るって生きているというより”生かされている”状態に近い。「生」の本質からすごく離れてしまったところにいるように思う。そこまでして生きる・生かすってことに意味があるんだろうかってね。人間としての尊厳が、そんな状態にあるんだろうかって感じてしまう。(もちろん、人それぞれ思うところは違うし、大事な人にはできるだけ長く生きていてほしいって思うのは当然のことだと思うよ。)
厚生労働省の専門部会の議論や、老年医学会の議論がどう進んでいくかすごく興味あるんだけど、患者やその家族の意思を尊重した終末医療が行われるよう期待します。
けっして医療費の高騰、財政逼迫を理由にして医療の質を低下させてほしくはない!
私は普段からなるべく病院に行かなくてすむようにしたいと思います。まあ手術が必要になったりしたらどうしようもないですけどね。垣谷さんがお好きでしたら、原田マハさんもおすすめですよ。