CAVALIER WORD ~無頓着な言葉~

日常のどうでもいいこと・ささいなことを適当に無頓着に綴ります

確定申告の際に誤りの多い事例

2011-01-20 23:40:55 | 税法
 2011年ももうすぐ2月となり、所得税の確定申告の時期を迎えます。国税庁のHPのトップ画面にも確定申告の特集が挙げられていました。

 その確定申告の際によく見られる誤りを国税庁が紹介していました。

<誤りの多い事例>
1.国外所得の申告漏れ
  日本国内に住所を有する人は国外預金等の利子(源泉分離課税のものを除く)も課税対象となる所得に含まれます。

2.副収入の申告漏れ
  インターネットオークションなどで得た所得も一定額を超えると課税対象となります。

3.一時所得の申告漏れ
  満期保険金を受けった場合なども課税対象となります。宝くじなど課税対象外のものもあります。

4.医療費控除額の計算ミス
  予防接種などは医療費控除の対象となる医療費に含まれません。

5.地震保険料控除額の計算ミス
  地震保険料のうちに火災保険料などが含まれている場合はその部分は控除の対象外となります。

6.寡婦・寡夫控除の適用漏れ
  控除が適用できるにもかかわらず、申告の際に適用していないケースが多いようです。

7.配偶者特別控除の適用ミス
  配偶者控除との併用はできません。

8.基礎控除の記載漏れ
  全ての申告者が適用できますが、記載漏れが多いようです。

9.電子証明書等特別控除の適用ミス
  前年以前に同控除を受けている場合には適用できません。


 書店で販売されている確定申告に関する書籍にもこれらの内容は具体的な内容が紹介されていました。


国税庁HP
【申告相談】|確定申告時期に多いお問い合わせ事項Q&A|国税庁 

告別式を2度に分けて行った場合の葬式費用の取り扱い

2011-01-13 23:35:38 | 税法
 相続税では、亡くなった方(被相続人)の財産の評価額(≒時価)に税率を乗じて相続税額が計算されます。
 この場合の「財産」は、一般的な財産を意味する現預金、土地などプラスの財産の他に、借金や滞納税額などのマイナスの財産も含まれ、これらの合計として財産の評価額がプラスになったときに相続税が課されます※。

 相続があった場合には当然ながら葬儀が営まれる訳ですが、この葬儀(通夜・告別式)にかかる費用はマイナスの財産とみなされ、財産の評価額からマイナスされます(これを債務控除といいます)。

 この程、被相続人の葬儀を死亡時の住所地及び出身地の2か所で営んだ場合、両方とも債務控除の対象となる葬儀費用に該当するのかという照会文書に対し、名古屋国税局がいずれも債務控除の対象として差し支えないとの回答を出しました。

 なお、法会(法事)に関する費用は、葬儀が亡くなった方を葬る儀式にかかる費用であるのに対し、追善供養のために営まれるためのものであることから、債務控除の対象にはなりません。


国税庁HP
別紙 告別式を2回に分けて行った場合の相続税の葬式費用の取り扱いについて|名古屋国税局|国税庁

※正確にはプラスになった評価額が基礎控除額(現在は5000万円+1000万円×法定相続人の数、改正があった場合は3000万円+600万円×法定相続人の数となる予定)を超える場合に相続税が課税されます。

所得税法 帳簿書類の記帳・保存義務の改正

2011-01-04 23:55:04 | 税法
 現在所得税法において青色申告者と一部の白色申告者に適用されている帳簿書類の記帳義務及び保存義務が、更正等の改正に併せて全ての個人事業者に適用されることになりました。
 細かい規定は省略しますが、「一部の白色申告者」に該当するのはおおよそ「確定申告書を提出している者で、その確定申告書に記載した事業所得・不動産所得・山林所得の合計額が300万を超えている者」となります。

 現在青色申告者に対して更正をする際にはその理由附記の義務が税務官署側に設けられているのにたいし、白色申告者に対する更正についてはその義務が設けられていません。2011年度の改正において、白色申告者に対する更正についても理由附記の義務が税務官署側に設けられることになり、併せて全ての納税者に証拠書類に該当する帳簿の記帳義務が設けられました。

 個人的には今回の改正は申告納税制度のより厳格な運用を図る目的なのかなと思います。ただ、零細事業者の事務負担が増大することは間違いないので、大丈夫なのかなという気もします。


※「白色申告者」という用語は条文上存在しませんが、「青色申告者」に対する言葉として便宜上使用しました。
※更正:税務署側が調査により税額を変更すること。基本的に増額更正のみ。「更生」ではありません。

2011年度税制改正項目(一部抜粋)

2010-12-30 23:52:38 | 税法
 2011年度税制改正おいて改正が見込まれる法人税・所得税・相続税・消費税の改正項目を一部列挙してみました。
 なお、情報源の資料には消費税の項目に「地球温暖化対策のための税」とありましたが、詳細を知らないため、省略させていただきます。

※各項目の(+)は税率引上げ・課税ベース拡大等による増税項目、(△)は同様に減税項目を表します。
〔法人税〕
・基本税率の引下げ(△)
・減価償却制度の見直し(+)
・貸倒引当金制度の見直し(+)
・寄附金の損金算入制度の見直し(+)
・試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度の見直し(+)
・外国税額控除制度の適正化(+)
・中小企業者等の軽減税率の引下げ(△)
・雇用促進税制(△)
・中小企業者等基盤強化税制の廃止など租税特別措置法の見直し(+)
・公共法人等又は協同組合等に係る法人税率の引下げ(△)

〔所得税〕
・給与所得控除の見直し(+)
・退職所得控除の見直し(+)
・青年扶養控除の見直し(+)
・配当所得の分離課税等の要件の見直し(+)
・通勤手当非課税制度の見直し(+)
・年金所得者の申告手続きの見直し(△)

〔相続税・贈与税〕
・相続税の基礎控除の引下げ(+)
・死亡保険金に係る非課税制度の見直し(+)
・相続税の超過累進税率構造の見直し(+)
・未成年者控除の引上げ(△)
・障害者控除の引上げ(△)
・相続時精算課税制度の適用要件の見直し(△)

〔消費税〕
・免税事業者の要件の見直し(+)
・課税売上割合95%以上の場合の消費税の仕入税額控除の見直し(+)

 項目的には増税項目が多くなりますが、法人税の税率引下げが大きく響き、全体では2011年度は3,061億円の減税、2012年度以降は年646億円の減税と予測されています。


 現在私は法人税と相続税を勉強しており、勉強済みの所得税と消費税も含めて改正となる部分がどこかはなんとなくわかる(どう変わるかは勿論わかりません)のですが、改正が多すぎるのではないかというのが率直な感想です。
 来年以降に詳細が公表され次第、このブログで自分なりに整理していきたいと思います。


http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/23kaisei/23zougenshuu.pdf

滞納額のプチ情報

2010-11-24 22:15:57 | 税法
 税目の中でも消費税は滞納が多いと言われています。消費税は預かり金の性格が強いため、滞納が発生しやすい形態であることは確かです。同様の理由で源泉所得税も滞納されるケースが多くなっています。この点についても語りたいのですが、また後日時間があればにします。

 実際のところ消費税の滞納がどれくらいあるのか少し気になったので調べてみました。
 こうした情報も国税庁のHPにフツーに載ってるもんなんですね。

 平成21年度時点で滞納整理中(←滞納してるんだから早く納めてくださいよって催促している税額の合計をイメージしてください)の額が全税目合計で約1兆5000億円、そのうち消費税は約4500億円となっていました。
 滞納税額の約1/3が消費税です。法人税の約2倍、相続税の約3倍の金額になります。本当に多いですね…。事業者は消費者からの徴収だけはしっかりやって納税はしないんだからひどい話です(経営状況とかで致し方ないケースもあるっちゃあるんですけどね。でも滞納しちゃダメですよね)。
 因みに所得税(申告所得税+源泉所得税)は約7000億円でした。

 なお、滞納額は消費税も含め年々減少傾向にあります。滞納額のピークは平成10年で当時は約2兆8000億円の滞納がありました。半分くらい減少した感じでしょうか。今後もこの傾向が続いてほしいものです。 


国税庁HP 平成21年度租税滞納状況について
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2010/sozei_taino/index.htm

相続税 基礎控除引き下げを検討

2010-11-12 22:53:20 | 税法
 政府税制調査会が2011年度税制改正において相続税の基礎控除額を引き下げる方向で調整に入りました。

 現在、相続税の基礎控除額は5,000万円+法定相続人の数×1,000万円となっています。したがって、最低でも相続時における財産評価額が5,000万円以上ないと相続税が課税されません。
 よくモデルケースとなる両親と子供2人の家庭の場合は、配偶者と子供2人が全て法定相続人に該当し、基礎控除額は5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円となります(このケースで子供2人にさらに子供(死亡者=被相続人からみて孫)がいても法定相続人は3人のままです。孫は法定相続人に該当しません。ただ、孫が法定相続人になる場合が必ずしもないわけではありませんので、個々の事情は詳しい方にお尋ねください)。
 この基礎控除額が大きいため、相続税の課税対象となる相続件数は全体の約4%(2008年は約4.2%)となっています。

 相続税の計算方法は、まず財産評価が行われます。
 この「財産」ですが、ぱっと思いつくものとしては、土地、建物、現金などがあげられるかと思います。その他にも有価証券(株、国債など)、被相続人が保険料を負担した受取保険金、絵画、骨董品なども該当します(生前贈与加算、相続時精算課税制度などもありますが、ここでは割愛します)。これらの財産については個々に評価額を計算します。基本的には評価額=時価ですが、納税者に有利なように時価よりも安く評価されるものもあります(例えば土地)。
 これらの評価額の合計から先程の基礎控除額が減額され、その金額に税率を適用して「相続税額の総額」が計算されます。したがって、評価額の合計が金額的にかなり大きい基礎控除額を超えなければ相続税は課税されません。
 そして、「相続税額の総額」を各相続人の相続割合に応じて配分し、そこから配偶者の税額軽減や障害者控除、未成年者控除などが控除されて納付する相続税額が計算されます。

 税収の増加を図る目的から、課税対象となる相続件数を6%程度に引き上げるのでは、との見方がされています。
 担税力のある資産家からの増税を図るという観点からは理にかなっていると思いますが、新たに課税対象となる人たちの公平感を考慮して、基礎控除額の引き下げと併せとともに最高税率の引き上げ等も検討してはどうかと思います。



<2010年11月16日追記>
 相続税の基礎控除額ですが、現在の5,000万円の部分を2,000万円引下げ、「3,000万円+1,000万円×法定相続人の数」の方向で調整が進んでいるようです。

法人税5%減税で2兆円の減収

2010-10-22 23:20:27 | 税法
 昨年の政権交代以降、いろいろと税法改正が騒がれています。改正如何によっては試験問題に大幅な影響を与えかねない我々税理士試験受験者としては、戦々恐々としているところです。まぁ、改正があるぶん、改正の趣旨に沿って適切に税務申告ができるように動くのも税理士の仕事なのですが…

 現在、経済産業省が要請している特定業界の法人税の税率を5%減税した場合、国税・地方税併せて最低でも1.6兆円、最大で2.5兆円の減収になると予想され、財務省が減収分の税金を補う代替案を経産省に逆要請しています。この金額だと教育予算がまるまるなくなるくらいの減収ですから財務省が代替案を要請するのも致し方ないところです。果たして経産省は代替案を示せるのでしょうか…?

 一番支持を得られそうなのは所得税の限界税率の引き上げかな、と思います。
 所得税は所得の多寡に応じ5%、10%、20%、23%、33%、40%の税率が適用されます。これに地方税(いわゆる住民税)の10%が所得の多寡に関係なく加算されます。つまり、最高で50%となります。単に50%というと、年収が1億円だったら5000万円も税金でもってかれんのか、と思われそうですが実際には最高でも4000万円チョイくらいです。でもまぁ、1億円も年収あるなら税金を5000万円くらいにしても生活に支障ないよねってことで、45%くらいの所得ラインを新たに作ってもいいんじゃないかなと思います(+地方税の不足分は地方交付税交付金の増額で対応)。
 当然ですが、これが最もベストな選択肢ではないとも思います。というより、ベストなはずがありません。一番支持を得られそうと前述したのは単に人口比率の問題です。高額所得者の方が圧倒的にマイノリティーですからね。

 因みに法人税は40%強と一般的に言われますが、法人税自体の税率は30%です(中小企業は一定金額まで18%)。これに法人住民税+事業税が加算されるので、それらを合計すると40%を超えます。
 あと、所得税ですが、同じ収入であっても適用される税率が異なったり、税額が異なったりすることがあります。これは家族構成などの個人事情を計算の際に考慮するからです。そのため、「年収○○円なんだけど税金いくら?」ときかれても、即答しかねるのが正直なところです(学校でバイトで生計を立てている人にきかれた際に困りました。科目は違えど税理士試験の勉強している分、真剣にきいてもらえたため説明できましたが、まだそれ以外の方に説明するのが難しいです。専門用語って覚えてしまうと本当に便利で、それを使わずに説明するのは相当難しいと痛感しました…)。参考までにですが、サラリーマンは税率20%の人がもっとも多いようです。