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『ベオウルフ』(2005)

2007-11-05 23:51:18 | 映画・DVDレビュー
ベオウルフ

エスピーオー

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のちのち
『マウスタウン』と同時に届いたのが『ベオウルフ』DVD。日本未公開。
監督・脚本:ストゥーラ・ガンナーソン 主演:ジェラルド・バトラー
原作は古英語によって書かれた英国最古の英雄叙事詩『ベーオウルフ』第一部。『指輪物語』の原作者J.R.R. トールキンの研究対象としても知られています。

ストーリー:西暦500年。デネ国のスロースガール王(ステラン・スカルスガルド)は、新宮殿ヘオロット城を夜ごと巨人グレンデルに襲撃され、多くの家臣や兵士たちを虐殺されていた。
王の血縁であるイェーアトの勇士ベオウルフ(ジェラルド・バトラー)は、10名の戦士を従え、海を渡って救援に駆けつけ、やがて怪物の棲処を探し当てる。
或る夜、またもヘオロットを襲撃したグレンデルは、死闘の末、腕一本を残して逃走する。後を追うベオウルフ。
グレンデルの目的は何か。また荒れ地に住む魔女と噂されるセルマ(サラ・ポーリー)が知る怪物の秘密とは……

映画の原題は『ベオウルフとグレンデル』。映画を観た後では、その原題のままの方が良かったのではないかと思いました。
『指輪物語』=『ロード・オブ・ザ・リング』以来のファンタジーブームに乗っかった、いわば原点に遡っての映画化──と思うのは大間違い。これは「ファンタジー映画」ではありません。大向こう受けを狙った映画ではなく、「アクション・アドベンチャーの金字塔」なるDVDのキャッチコピーも、おおよそ的外れです。少なくとも「ヒロイック・ファンタジー」的なものを期待して観ると、失望することになるでしょう。
なぜなら、この映画は「ファンタジー」ではなく、「英雄譚」でさえないかも知れないからです。扱っているテーマはきわめて今日的なもの、即ち「報復の連鎖」であり、その原因でもある偏見と憎悪です。
誰かがそれを止めない限り、不毛な闘いは終わることなく続く──ベオウルフが英雄となったのは、彼こそがその「誰か」であったからです。そして、物語の悲劇的主人公はグレンデルの方であり、それが、この映画のタイトルを『ベオウルフとグレンデル』とすべき理由です。

さて、2005年のトロント国際映画祭等で一定の評価を得ながらも、この映画がアメリカでは限定公開、日本でも(劇場公開を求めるネット署名なども行われたものの)結局未公開になってしまった理由は、様々に憶測されていますが、近々公開されるロバート・ゼメキス監督『ベオウルフ/呪われし勇者』との力関係による「オトナの事情」が働いたため、という説が有力です。
が、まさに上で述べたようなテーマ性のゆえに、ガンナーソン版は公開が見送られたのだという「穿った見方」も、一部では囁かれているようです。単にバイアスのかかった見方ならいいのですが、実際に作品を観た後ではその噂もまんざら外れてはいない気がして来ました。

何にしても、通常の流通形態を取れなかったことは、作品それ自体のみならず、主演ジェラルド・バトラーにとっても気の毒なことでしたが、でもジェリーさんのベオウルフは十分魅力的です。
一見タフなアクション・ヒーロー、実は「怪物」の心を理解しようとする理性と情けを持った英雄であり、これが後に『300』のレオニダス王に繋がって行くのだろうと思いました。

ゼメキス版の予告編は『スターダスト』を観に行った劇場でも流れていました。ベオウルフ役はレイ・ウィンストン……って、あのレイ・ウィンストンですよね?声は確かに彼ですが。CG加工ばりばりにしても、『300』並みに体をしぼったんでしょうか。そして『300』同様の革パンツ……北ヨーロッパでそのスタイルは、たいへん寒そうです。
コスチュームや雰囲気から見て、こちらはばっちりヒロイック・ファンタジー寄りみたいです。

なお、この映画について、ジョン・マクティアナン監督、アントニオ・バンデラス主演の『13ウォリアーズ』と似ている、と言う声も聞きましたが、それについてはまた改めて。

『ベオウルフ』本家公式サイトは下記に。
BEOWULF & GRENDEL Official Movie Website

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