PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2018年東京モーターサイクルショー

2018-03-26 22:47:16 | オートバイ
毎年関東への春の訪れと同時に開催される、東京モーターサイクルショー。
今年も桜と同時に、おねえちゃんが満開です。









おっと、おねえちゃんを見に来たんじゃなかった。
世界中のメーカーの、最強最速最新マシンの数々。











ロードマシンはよくわからんところもあるけど、それでも思わずカメラ向けたくなる「すげー」って感じは伝わってきます。

ちょっと変わったところでは、こんなものを見つけました。

その名の通りロシア生まれのサイドカーメーカー。


でも今は本社はアメリカになったそうで、ロシア時代より製品の完成度が格段に上がったそうです。
「ブレーキもブレンボになりましたし」by担当者


フロントサスがテレスコピックでない理由は?の質問には
「うーん。多分軽いんじゃないですか?」のお答え。

おそらく日本ではそんなに売れない(失礼)だろうに、それを越えたものづくりへのこだわりが感じられて、好印象なメーカーでした。

さてさてそんな中、今回の取材の目玉はこちらです。


ヤマハが本気で作った、電動トライアルバイク「TY-E」。


開発には成田匠さんが関わっていたようで、この時からのノウハウも反映されているんでしょうね。
https://www.youtube.com/edit?o=U&video_id=glZ7NFANIrU

※こちらは全日本トライアルに初参戦した電動バイク。2014年北海道大会大会。セクショントライの模様は、拙作DVDに収録です。

さてこのTY-E。
プロジェクトがはじまったのは3年ほど前、というから、後方排気マシンTY250Fiとほぼ同時期だったようです。


すっきりした下回りは、TY-Fiよりカメにした時など扱いやすそう。

おお、シフトチェンジペダルがないぞ!

フレームは強化プラスチックによよるモノコック構造とのことで、ステルス戦闘機のような外観。
ステルスらしく、どこに何が入っているのかはよくわかりません。


燃料タンクやエアクリーナーなど必然的に置き場所が決まってくるパーツがないので、もうちょっとスタイルに自由度があってもいいように感じます。たとえば今のレース用マシンでは、シート高はリアタイヤ頂点より低いのが普通ですよねえ?

リヤフェンダーの下にあるのは、トランスか何かの放熱板?
うーん、これではすぐ泥まみれになって、放熱効果激減の気が・・・
まだまだ改良の余地はありそうですが、その分ワクワクします。

そして黒山選手はデモで、このTY-Eを走らせてくれました。










ウイリーやジャックナイフでは相変わらず見事な切れ味を見せる、黒山選手。
ただ、ステアケースっぽいトライをやる時は、これまでのエンジンバイクに乗り換えています。

反対側のスロープから登ったのは、エンジンバイクに乗り換えた直後。
エンストで失敗した黒山選手。「暖気運転が出来ていなかったあああ!」

さり気なく電動は暖気が必要なくエンストもなくてGood!とアピールしますが、瞬発的に大きなパワーが必要な場合は、まだエンジンマシンの方が扱いやすいのかもしれません。




ヤマハと黒山選手は、このマシンで今年のトライアル世界選手権E-Cup(電動バイク世界戦)に出場します。
このクラスは昨年から開催され、マルク・コロメが全戦優勝(といっても全1戦)で初代チャンピオンになっています。
※ヤマハトライアルのボス木村治男さんも、当時全1戦の全日本トライアル(JTR)で優勝して「初代全日本チャンピオン」になったのでした。

E-Cupは、今年はフランス(7月14,15日)とベルギー(7月21,22日)の世界戦と同時に開催される、全2戦。
黒山選手はこの2戦両方に出場し、世界チャンピオンを目指します。

ただ問題は、フランス大会がJTR北海道大会と重なっていること。
このため黒山選手は、北海道大会をキャンセルせざるを得ません。

黒山選手は今回ヤマハやダンロップのトークショーで、「出る試合は全部勝つ」と語ります。


もし6戦全勝が実現したとして、黒山選手は120ポイント。
小川友幸選手が6戦とも2位、北海道大会優勝で、122ポイント。どうしても追いつくことが出来ないのです。
えー?黒山選手が5年間追いかけて来たタイトル奪還、12回目の全日本チャンピオンはどうなっちゃうの?


そうなると、ヤマハにとっての頼みは、野崎史高選手となりますね。
どこかで友幸選手を破ると、野崎選手にとっても初めての2番以上のランキングを手に入れられるかもしれないわけで。
JTRは、台風の目となった野崎選手に期待です。

昨年のE-Cupの出場ライダー。
コロメ以外は知らない名前ばかりで、実力もわかりません。


マシンやセクションも不確定要素が多く、黒山選手といえども苦戦するかも?
ただ野崎選手(ジュニア)、藤波選手に続いて日本トライアル界に「世界チャンピオン」をもたらす可能性もあるわけですね(^^)

今回のモーターショーには、もう一台電動トライアルバイクが展示されていました。
モーターのメーカーが作ったこちらは、砂田真彦選手がテストライダー。



最大出力の10kwって、馬力に換算すると13.6PS。
RTL300Rが15.5kw(21.1PS)ですから、入門トライアルバイクにはちょうどいい感じではないでしょうか。


というわけで、色々なメーカーのものづくりの心と未来への期待にちょっと触れられた、今年の東京モーターサイクルショーでした。

トライアルデモは、今年は小川友幸選手、黒山健一選手に加え、西村亜弥選手も参加。



レディースクラスでは無敗/無敵の西村選手とはいえ、スーパークラスに混ざってのデモではさすがに実力差、体力差が出てしまう部分もあります。
でもそこは持ち前のガッツと明るいキャラでカバー。


西村選手の人間飛びでは、黒山選手がマジで怖がるこの表情。

このあと西村選手は「ほら2人、そこに寝て!」と女王様命令で友幸選手も並べ



見事に飛んでくれました。

友幸選手と黒山選手も、打ち合わせは全くしていないというのに息のあった技を見せます。




友幸選手は「ほら!西村選手、休んでないで!」と技をリクエスト。「えー、じゃない!マイクで声全部拾ってるからね。はいやって!!」






定番風船割りでは、久岡孝二選手が小間使いとして活躍します(笑)


西村選手の、後輪風船割り。決まった〜!


黒山選手は気分のいい時にしかやらない秘技「スーパーマン」を披露。

さらに昨年は見られなかった「スーパーマンVer.2」まで。


僕のすぐ後ろのお客さんも「かっこいいわあ。まじトライアルかっこいいわあ」と叫んでいましたが、沢山のお客さん大満足のうちに、第45回モーターサイクルショーは幕を閉じました。





そんなところに、残念なことがひとつ。
一般財団法人日本モータースポーツ協会(MFJ)がそのブースで、映像工房クエスチョンのDVDを無許可で放映していたのです。
イベント中ずっとウチの映像をリピート。大阪モーターショーでも同じだったとのこと。
ウチにはなんの断りもなく、これって泥棒じゃん!

大会の映像は最終的にはMFJに権利があるという規約は知っていますが、構成やナレーションはウチの著作物であり、作品をダマテンで流すのはレベルの違う話。これは多大な投資と情熱で作り上げた、ウチが著作権を保有する作品なのですから。
私を含めこのイベントに参加したメーカー、ライダー、みんなが力を合わせ創意工夫してオートバイの未来を拓こうとしている中、本来主導的立場のはずのMFJがこの程度の意識って、どーゆーこと?

法令を調べてみると著作権法違反は、「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金。法人などが著作権等を侵害した場合は、3億円以下の罰金」とのこと。
さてMFJはこの3億円分に、どう落とし前をつけてくれるのでしょうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿