PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

スーパートライアル2020 R4近畿大会

2021-02-21 13:58:28 | トライアル
久しぶりの全日本トライアルDVD、「スーパートライアル2020 R4近畿大会」が発売開始です。


2020年全日本トライアル、最終戦。チャンピオンが決まるというのに誰も見なかった無観客試合でいったい何があったのか。
その運営も試合展開も、丁寧に描きました。
また全3戦となった2020年のシリーズ全体が選手たちにとってどういう流れだったのかもわかるようになっています。

というわけで、スーパークラスの選手たちの走りを、今回も撮影できた分全部入れ込んだので、ありゃあ、また2時間超えてしまったあ。
画質を落とすのも忍びないので、特典映像「レディース+黒山陣」は、ネット配信という手法を試みてみました。DVDジャケットにあるQRコードを読み込めば、HD画質のトライをお手持ちのデバイスで見ることができます。その他、新しい編集ソフトによる、これまでとはちょっと変わった作り方も。

優勝を逃しても小川友幸選手の上にいれば、ついにチャンピオン獲得となる野崎史高。
前戦では優勝。怪我を負いながら今回も絶好調な黒山健一。
一方、今シーズンまだ優勝がない小川友幸。
さらに実力もポイントも僅差で並ぶ、小川毅士、柴田暁、氏川政哉。
短期決戦シリーズに賭ける選手たちの、死闘と逆転劇を存分にお楽しみください。

CM動画はこちら。
https://youtu.be/XtZX7v2XS_Q

DVD裏表紙の案内表示は、以下の通りです。
--------------------------------------
What’s Happened? 全日本トライアル史上初めて無観客での開催となった、2020年第4戦近畿大会。どうしてこうなったのか、どのように運営されたのか。
What’s Happened? ランキングトップで最終戦を迎えた、野崎史高。一方ディフェンディングチャンピオン小川友幸は、今季まだ無勝。そして二人の闘いに切り込む、黒山健一。全3戦という短いシリーズでのタイトル争い最終戦で、いったい何が起こったのか。
What’s Happened? ゼッケン4番をつける柴田暁、5番に落ちてしまっている小川毅士、急激な成長を見せる6番氏川政哉。3人のランキング争いで何があったのか。
特典映像レディースクラス+黒山陣は、webにて公開!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スーパートライアル2011 第3戦中国大会

2020-10-28 13:46:40 | トライアル
短期決戦の2020年JTR。
東北大会が終わり、チャンピオン争いは1ポイント差で最終戦と、面白くなってきましたね。

そんなところに、2011年のJTR、中国大会をAmazonプライムビデオにアップです。
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08LMDVPHQ/ref=atv_dp_share_cu_r

CM動画はこちら。
https://youtu.be/rkQKteMyIng

2011年シリーズは東日本大震災の影響で、全5戦と、短いシーズンでした。
そして今回の第3戦中国大会も、台風の襲来によりもしかしたら中止されたかもしれない試合です。

付近をゆっくり進む台風12号の中を、鳥取のHIROスポーツパークに向けて走るロケ車。すぐ横の川は氾濫寸前で、会場に到着する前から取材カメラは大活躍。この映像って、トライアルより報道局に売った方が価値あるんじゃね?






高速は通行止めで、列車もストップ。観戦を予定していたお客さんから「どのルートでもたどり着けません」との連絡が入ったけど、こちらもどうしようもなし。


それでもロケ車は、なんとか会場にたどり着く事が出来ました。


でも会場内の川も、こんな状態。


ニュースによると台風の勢力は、中心付近の気圧は965hPa。すでに死者73名、行方不明者19名が出ているそうです。風速は35m/sとのことでしたが、土曜日は目に入っていたのでしょうか。雨は激しいのですがそれほどの風は感じられず、傘を飛ばされずにライダースミーティングを開く事ができました。


でも台風は速度が遅く、大会当日の日曜日も付近にあります。
積算降水量は1000mmともいわれる、激しい雨と泥の中で強行開催された大会。
スーパークラスをもってして、転倒が続出です。


































セクションインの前に気合を入れるのでしょうか、はたから見ていると時々「変顔」をする選手がいます。




こちらは雨と泥を得意とする、野崎史高選手。今回も台風の中で笑顔を見せています。

さて、大荒れの中で試合の行方は?

作品はトップライダーだけではなく、残念ながら優勝争いに絡めない選手たちの走りも全て追っています。

台風と言えば、昨年と今年の中部大会は台風で中止。でも昔は台風でも開催が強行されることは普通で、ほかにももてぎの世界戦などでも大雨の中で撮った覚えがあります。
でもさあ、バイクは雨でも泥でもまあ平気だけど、ビデオカメラは機械部分もレンズもものすごく水に弱くて大変なのよねえ。
そうそうこの大会、土曜日に黒山健一選手がドロドロのウオームアップ場で転倒。ステップがふくらはぎに突き刺さるという大怪我で、病院送りになっています。


そんな事がないように、選手がいかんなく実力を発揮し、お客さんも観戦を楽しめるようにしてほしいものです。あとプレスが重要な撮影チャンスを逃すことがないようにね。
※会場に来られなかったお客さん、入場料ももちろんですが、足代、宿泊代などの払い戻し出来たのかなあ…

今年と去年の中部大会中止は日曜日が晴れたという結果論からも賛否ありますが、というわけで個人的には英断だったと思う次第です。

あ、おまけの動画がありました。こちらもお楽しみください。
https://youtu.be/-9ioNlOpsSw

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スーパートライアル2011 第2戦北海道大会

2020-09-13 12:21:47 | トライアル
全日本トライアルを配信で見よう!
今回は2011年第2戦 北海道大会をアップです。
https://tinyurl.com/y3dltcv3

データを送ってからアップまでの時間は少し改善されたようですが、Amazonからの要求がそのたびごとに違って、なんだかなあ。
前回までも送っていたCM動画。今回はせっかく作り直したのにamazonから必要ないと言われたので、別途以下にアップです。
https://youtu.be/KQKxmMf6M20

大会レポートも作りなおしました。以下をどうぞ。

-------------------------

全日本トライアル北海道大会は、毎年7月の終わりか8月頭に開催されます。

北海道は梅雨がないから、夏休みの旅行に合わせて、なんて理由もあるんなんでしょうね。
ただ、北海道だから涼しいだろうと観光気分で行くと、結構ひどい目に会うんですことに…

というのも、北海道の夏、日なたはかなり暑いんです。

北海道にはあまり高い建物もないし、会場のわっさむサーキットは日を遮る山も木もあんまりありません。このため選手も観客も審判も、厳しい直射日光にさらされてしまうのです。
2011年の北海道大会は、まさにコレでした。






スーパークラスはスタートが遅いため、太陽がかなり上がってからの試合開始。
さらに1ラップ目、第1セクションからどの選手もなかなかトライしない「お見合い」になって、みなさん直射日光にさらされます。

野崎史高選手は、ひとりステアの日陰に逃げ込んでいます。首には氷パックを当てているのかな?

こんなこともひとつのテクニックとして勝負に影響してくる、厳しい自然環境なのです。


選手を苦しめるのは、暑さだけではありません。
北海道大会は行けるか落ちるかのセクションが多く、下手すると一瞬で結構な怪我に繋がってしまうのです。
小川毅士選手。

この大会の少し前にエンデューロ大会にも出場。
※この年は僕も二つのレースを年間追いかけて、大変だったなあ。

毅士選手は初挑戦目標を上回る成績を出してノリノリだったのですが

1ラップ目の第1セクションで、顔から着地する大転倒をしてしまいます。


この時はクエスチョンのスタッフでもあるという松下美加さんが、大活躍。
取材そっちのけ(笑)で審判や進行さんを押しのけて、素早く適切な処置を施します。
※この時の松下さんは、緊急医療救護なんちゃらの資格ももっていたそうです。

そのかいもあって、毅士選手はなんとかレースに復帰。痛みをこらえ鼻血を抑えながら、走り続けます。




直射日光と怪我に加え選手たちを悩ませたのが、不安定な判定。
マーカー接触やらバックやら、選手がほどんど自覚できないペナルティで競技が止まってしまうのはどの大会でもありますが、今回もいろいろありました。これは何とかしてほしいものだと思います。

たとえばこのポイント。ステアに当たった後輪は自然に左へ滑り落ちるんだけど、マーカーに当たったかどうか選手には自覚がありません。

北海道大会はセクションも毎年同じパターンが多いんですが、まあそれは場所の問題もあるので仕方ないのかもしれません。
ただその同じセクションの同じところに、今年もマーカーが置かれています。
選手は当然きわどい所を狙ってきますので、毎年触れた、触れない論争が起こるわけです。結果審判は選手と言い争い、観客もケンカを見せられ、他の選手は時間が奪われます。なーんにもいいことはありません。

あの暑さの中で日陰もなく立ち続ける審判は、さぞや大変でしょう。バイクで動き回るトップライダー達を徒歩で、しかも足場の悪い不整地で追いかけるのもきついことでしょう。そんな環境でも判定ミスは絶対しないのが、最低条件だからねえ。審判の負担を少しでも減らすためにも、運営側は大会終了後に全体を検証してほしいものです。


さて、開幕戦で黒山選手に完敗した、小川友幸選手。

北海道のスタート台では、後ろから黒山選手にせっつかれます。

でも試合での敵は他の選手でなく、自分自身です。
友幸選手は1ラップ目中盤に着いてしまった、自分で納得できないたった1回の足着きと、試合の最後まで闘い続ける事になります。



開幕戦から3ヵ月も空いて開催された北海道大会。この時間を使って海外遠征に行ったのが、柴田暁選手です。

何年もこんなに頑張っているのにどうして勝てないのか、柴田選手はその壁を突破するために渡欧、世界選手権に挑戦してきたのです。

はたしてその努力は、報われるのでしょうか。



というわけで、様々な障害を乗り越えようとする選手たち。写真だけではわからない勝利への執念を、存分にお楽しみください!


































ステアから落ちた田中善弘選手を掴もうとして、自分が落っこちるアシスタント。

幸い怪我はありませんでしたが、アシスタントも行くか落ちるか、必死ですね。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スーパートライアル2011 第1戦九州大会

2020-08-06 15:33:22 | トライアル
amazonプライムビデオでトライアル。
2011年の全日本トライアル第1戦 九州大会の配信ファイルを、アップしました。

本当ならこの年の開幕戦は、3月13日の予定でした。ところがその2日前、金曜日に発生した東日本大震災。翌日土曜日からオープン予定だった関東大会はもちろん、近畿大会も早々に中止が決定。
何かやったらバッシングされるんじゃね?というMFJを覆う底なしの自粛ムードの中、この年の九州大会責任者だった工藤やすゆきさんが「いつまで委縮していても仕方なか。マイナスの連鎖を断ち切って大会やるのも、復興たい!」と言って開催したのが、この大会でした。


当時はまだ現在のスペシャルステージ制が完成していない時代。2ラップを予選、3ラップ目を決勝とするルールです。ラップごとの時間配分制限などに問題はありましたが、スーパークラスが全部で9人というのは、見る方としてもちょうどいい感じではないでしょうか。今はJTRで見られなくなったライダーも何人かいて、時代を感じさせます。
たとえばこの人。

同じくベータに乗る、この選手やあの選手。



こちらの選手は、この年からIASにカムバック。


このライダーは今も現役バリバリですが、この時はホンダの4ストに乗っておりました。

おっとっと。


この年ゼッケン1番を着けるのは、小川友幸選手。

2回目のチャンピオンをとったのち、最初の試合を走ります。


タイトル奪還を目指して友幸選手を追いかけるのは、黒山健一選手。

もちろんこの選手も、タイトル獲得を目指します。


2011年全日本トライアル第1戦 九州大会。
CM動画はこちら。
https://youtu.be/eJvhsFayegI
もちろんDVDでも販売しております。
http://question-tv.com/video/dvd00.html

amazonプライムビデオでご覧になる方は、こちらからどうぞ!
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%AB2011%E7%AC%AC1%E6%88%A6%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E5%A4%A7%E4%BC%9A-%E5%B0%8F%E5%B7%9D%E5%8F%8B%E5%B9%B8/dp/B08F6ZQR2X/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%AB2011%E7%AC%AC1%E6%88%A6%E4%B9%9D%E5%B7%9E%E5%A4%A7%E4%BC%9A&qid=1596552043&sr=8-1
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019年JTR R1近畿大会レポート<スペシャルセクション>

2019-04-29 10:29:37 | トライアル
2019年JTR 開幕戦もスペシャルセクションを迎えます。
18人のうち上位10人の出走枠に入ったのは、以下の選手たち。

 1位 野崎史高 2点
 2位 黒山健一 6点
 3位 小川友幸 8点
 4位 小川毅士 24点c12
 5位 氏川政哉 24点c9
 6位 柴田 暁 26点
 7位 斎藤晶夫 34点
 8位 藤原慎也 47点
 9位 成田 亮 51点
 10位 武井誠也 52点

再昇格の武井選手は、もう帰り支度をしていたところに出走の知らせを聞いてびっくり。

目標は相変わらず「怪我しないように走ります」ですが、9位の成田亮選手とは1点差。もしかしたら、まだ上が狙えるかもしれません。

SS第1は、崖の登り降り。


武井選手はここを3点で粘り切りました。


次を走る成田選手は、途中で止まってしまい、5点。

これで順位が入れ替わりました。


もし5点をとると武井選手に3点差にせまられる藤原選手は、3点で走破。


斎藤選手も3点で登ります。


ここまで6位の柴田選手。5位の氏川選手とは2点差なので、逆転の希望があります。

柴田選手は1点で上がりました。

5位につける氏川選手は、ここまで毅士選手とは同点。さらに先に走った2点差の柴田選手に1点で登られ、巨大なプレッシャーをかかえてのセクションインです。

結果は5点。柴田選手に抜かれ、ひとつ順位を下げてしまいました。

1点で登った柴田選手とは、ここまで2点差の毅士選手。3点をとると同点に追いつかれ、5点だと逆転されてしまいます。

結果は3点。氏川選手は引き離しましたが、柴田選手に追いつかれてしまいました。

そして優勝を争う、トップ3人。
 1位 野崎史高 2点
 2位 黒山健一 6点
 3位 小川友幸 8点 

ところが友幸選手は、ここでもミスをしてしまいます。


この失敗で、友幸選手が最終SS2をクリーン、野崎選手がSSをふたつとも5点でも、優勝には届かないことが決定してしまいました。

自分がここをクリーン、野崎選手が5点なら、トップを奪い返せる黒山選手。

結果は3点。優勝の行方は、野崎選手の走りに委ねられます。

最後のトライで挑んだ野崎選手。

しかしここを2点で登り、黒山選手を引き離します。


いよいよ最後の最後、SS2を迎えて、ここまでの減点です。

 1位 野崎史高 5点
 2位 黒山健一 9点
 3位 小川友幸 13点
 4位 小川毅士 27点c12
 5位 柴田 暁 27点c10
 6位 氏川政哉 29点
 7位 斎藤晶夫 37点
 8位 藤原慎也 50点
 9位 武井誠也 55点
 10位 成田 亮 56点

勝負のSS2は、第11セクションの改造版です。


SS1で成田選手を1点リードした、武井選手。

1点で走破。

これで成田選手は最後を0点でも、クリーン差で武井選手には追いつけません。

結果は3点でした。

藤原選手は、すでに8位が確定。もしここで5点をとっても、武井選手に逆転はされません。

結果は2点。

7位が確定している、斎藤選手。

途中で岩から落ちてヒヤッとしましたが、足着きはこの1点のみでアウトしました。

SSの失敗で順位を落とした氏川選手ですが、まだ柴田選手、毅士選手を逆転できる可能性を残します。

斎藤選手より手前の岩で落ちてしまいますが、なんとか立て直して3点でアウトです。

これでもし5点をとっても、クリーン差で氏川選手をかわせる柴田選手。

2人が足を出したポイントはノーミスで走り、ついにクリーンが出るのか!と思った出口直前で、ありゃまあ、の1点です。

「足を着いてはいけない、と思うと着いてしまうのが、トライアルなんです。しょんぼりです」

続いて入る毅士選手は、もし2点以上をとると柴田選手に逆転、5位に落ちる立場に追い込まれました。

しかし、このセクション初めてのクリーンで走破。4位を守り切りました。
ゴール後のインタビューでは「雨が降らなくて良かったです。セクションがハードになっていたら、骨折した指が持たなかったかもしれません」とのことでした。

そしてトップ3の闘いです。
 1位 野崎史高 4点
 2位 黒山健一 9点
 3位 小川友幸 13点

残念ながら優勝の可能性をなくしている、友幸選手。

気力が尽きたのか、最終セクションもいつもとは違う精彩を欠く走りで3点。

野崎選手とは4点差。逆転優勝にはクリーンしかない、黒山選手。

インから・アウトまで、完璧な走りでクリーン。

野崎選手の走りを待ちます。

5点さえとらなければ優勝の、野崎選手。

斎藤選手、氏川選手、友幸選手が危なかったポイントでは、先に足を出して1点で走る安全策。

最後はきれいに決めて、ついに優勝を手に入れました。





 優勝 野崎史高 減点6c17
 2位 黒山健一 9c19
 3位 小川友幸 16c17
 4位 小川毅士 27c13
 5位 柴田 暁 28c10
 6位 氏川政哉 32c9
 7位 斎藤晶夫 38c8
 8位 藤原慎也 52c8
 9位 武井誠也 56c6
 10位 成田 亮 59c6
以下SS不出走
 11位 磯谷 玲 55c3
 12位 久岡孝二 56c3
 13位 吉良祐哉 60c6
 14位 平田貴裕 65c3
 15位 永久保恭平 66c3
 16位 山崎頌太 70c2
 17位 岡村将敏 71c1
 18位 砂田真彦 79c1


雨が予想されたためやさしめに設定されたセクションで競われた、超神経戦。
拮抗する実力を持つ3人の中で、どうして今回野崎選手は勝てたのでしょうか。
もしかしたらそれは2人のチャンピオンが、どうしても勝たなければいけない、という至上命令と宿命を背負っていたのに対し、野崎選手はチャレンジャーとしての立場で走れたからなのかもしれません。


ここを制した野崎選手は、人生初めての開幕戦での優勝です。
野崎選手は「いつもの年は出だしが悪くて、シリーズ中盤から後半に向けて調子を上げていく、という展開でした。でも今年は、最初から1番という重荷をかついで戦わなければなりません。これからちょっと、重圧がすごいと思います」と語ります。

この優勝がシリーズを通して、吉となるのか凶なのか、
野崎選手にとっては、テクニックではないメンタル面でのトライアルが始まります。


会場では表彰式が終わるとほぼ同時に、ついに雨が降り出しました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019年JTR R1近畿大会レポート<2ラップ目>

2019-04-28 09:33:35 | トライアル
大会当日朝の予報では、午前9時から降り出すとなっていた雨。
でもスーパークラス1ラップ目終了までは、降らずに耐えました。
スマホの天気予報を見ると、午前中は曇りに変わり、雨の降り出しは12時からになっています。
そーかー、やはり2ラップ目は降るか。


雨対応でやさしめに作られたセクションで、選手たちは厳しい神経戦を闘います。
1ラップが終わった時点で、優勝争いは
 1位 黒山健一 0点
 2位 野崎史高 2点
 3位 小川友幸 6点
の3人に絞られてきました。

1ラップ目第9セクションのミスで3位に落ちてしまった、友幸選手。

ライバルからのプレッシャーを避けるためでしょう、2ラップ目は早周りを始めます。

第2、第3、第4はクリーン。


第5セクション。友幸選手のひとつ前を走った久岡選手は、失敗です。。


友幸選手もここでは、2点を着いてしまいます。

でもこれが、友幸選手にとっては2ラップ目唯一の減点となりました。

1回目に1点をとった、第6セクション。

今度はクリーンです。

2ラップ目の友幸選手は、このあともクリーンを続けます。
1ラップ目に大失敗をした第9も今度は0点で、ラップ合計減点を2点にまとめました。

----------

1ラップ目を合計2点で、2位で折り返した野崎選手。
1回目に1点をついた第3セクションを、今度はクリーン。


斎藤選手が2回目も失敗した、第5セクション。


野崎選手は、1点で登ります。

野崎選手にとっては、これが2ラップ目唯一の減点。
第6セクション。

第9セクション。

第11セクション。

野崎選手は2ラップ目の後半を、全てクリーンで走ります。

----------

1ラップ目をオールクリーンで終えた、黒山選手。

このまま行けば、もう長らくご無沙汰になってしまっている優勝を手に入れることができます。実は黒山選手が前回優勝したのは、昨年の開幕戦関東大会。すでに1年間優勝から遠のいてしまっているのです。

友幸選手と同じくメンタルを気にしたのでしょう、黒山選手もライバルたちから離れます。
早周りを選んだ友幸選手とは逆に、もう周りに誰もいなくなった一番最後のトライです。


第2を0点で終え、第3セクション。
慎重な下見の後、アシスタントの黒山二郎さんの息子、陸一(りくと)君に「チェーン真っ直ぐになってる?」とチェックさせてから、ようやくトライです。


きっちりクリーン。

この試合、黒山選手はスタートから1回も足を着かない完璧なトライを続けながら、2ラップ目の第5セクションにやって来ました。

陸一君から「野崎さんはここで1点」と報告。

そのポイントを、しっかりチェックしたのですが…。

この岩に行く手前の加速路で、黒山選手は足を出してしまいます。

ついにオールクリーンが崩れ「うおおお!」と吠える黒山選手。

野崎選手、友幸選手が足を出したポイントはノーミスでクリアして、減点は1点です。

よほど悔しかったのでしょう。3ラップ目はないのに黒山選手はバイクを停め、足を出したポイントを睨みつけていました。

黒山選手はもう選手活動を始めている陸一君に、「難しいポイントを気にしすぎると、あんなふうに手前で足が出てしまうんや」と、トライアルの難しさを教えます。

いや、もしかしたらその言葉は陸一君にではなく、自分に言い聞かせていたのかもしれません。

気持ちを入れ替え、第6セクションはクリーン。


第7、第8も0点で、黒山選手は第9セクションにやって来ました。


友幸選手、野崎選手はクリーンでしたが、柴田選手は1点。

油断のできないセクションに、黒山選手は集中力をさらに高めて挑みます。

ところが…

なんと、失敗。一気にトップから陥落してしまいます。

これでここまでの順位は
 1位 野崎史高 3点
 2位 黒山健一 6点
 3位 小川友幸 8点

試合は2ラップ目の最終セクションを迎えました。
早周りの友幸選手はクリーンでしたが、吉良選手は、5点。


1ラップ目5点の砂田選手は、3点。


1ラップ目3点の久岡選手は、2点。


1ラップ目クリーンの氏川選手は、1点。


1回目は落ちてしまった柴田選手、今度はクリーン。


野崎選手も、0点。


黒山選手もクリーンしますが、このままでは優勝を手にすることはできません。


2ラップが終わって、SS出場枠に残った10人の減点は、以下のとおり。

 1位 野崎史高 2点
 2位 黒山健一 6点
 3位 小川友幸 8点
 4位 小川毅士 24点c12
 5位 氏川政哉 24点c9
 6位 柴田 暁 26点
 7位 斎藤晶夫 34点
 8位 藤原慎也 47点
 9位 成田 亮 51点
 10位 武井誠也 52点

残すは2つのスペシャルセクション。
まだまだ順位が動く可能性があります。

雨は結局2ラップ降らずに耐えましたが、14時50分開始を予定されていたSSは観戦を考慮。
雨の降らないうちに、ということで35分早め、14時15分のスタートとなります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019年JTR R1近畿大会レポート<1ラップ目>

2019-04-27 00:00:19 | トライアル
和歌山県にある湯浅トライアルパーク、4月14日、全日本トライアル開幕戦当日の朝8時頃の風景です。

開幕戦の会場は、どことなく穏やかな雰囲気。
パドック横には昨年もあったこのブースが、お客を集めています。

地元の大学が、スポーツマッサージをしてくれるのです。
仕掛け人は元国際A級トライアルライダーの、戸田一男さん。

今はこの大学の教授を勤めており、もしかしてトライアル界の出世頭?
施術代は昨年は無料でしたが、今年は「ワンコインのお心付けをいただければ幸いです」とのこと。
国際A級小谷徹選手がスタートに遅れたのは、ここでマッサージをしてもらっていたため、というのは秘密です(^^)

パドックの反対側では、スーパークラスがウォーミングアップ中。

スーパークラスのスタートは、午前9時から。
まだ雨は降っていませんが、天気予報は午前中からの降水確率を80%と伝えています。
IASのスタートは18人。これだけで約20分という、一大イベントでございました。


今回用意されたセクションは、スーパークラスは第1を飛ばして、第2から第11までの10セクションを2ラップ。これに加え18人中10位までの選手が、2つのスペシャルセクションの出走権を得ます。

雨が予想されるため、セクション難易度はやさしめです。
最初の第2セクションでは岡村将敏選手と砂田真彦選手が1点を着いたほかは、皆クリーン。
だったのですが、ありゃあ、氏川選手だけ2点をとってしまいました。
練習だと100回やっても0点でしょうに、やっぱり固くなるんですねえ。


第3セクションからは少し難易度が上がり、新昇格の山崎選手は5点。


再昇格の武井選手。早くもかなり危なかったけど、よかった、怪我はなかった。


スーパー3年目の久岡孝二選手も、失敗。


夢の一桁ゼッケンの藤原選手も、5点。

この岩の右側にあるマーカーに後輪が接触してしまう選手が、他にも何人も出てしまいます。
吉良祐哉選手も、マーカーの犠牲に。


氏川選手はこの岩はクリアしたものの、そのあと足着きの2点。


でも今年4番をつける柴田選手は、クリーン。


黒山選手、友幸選手も0点。



でも野崎選手は出口手前で、1点をとってしまいました。


第4セクション。


斜面の途中から再スタートする上りで、吉良選手は失敗。


まくれ返りそうになりながら、氏川選手は1点。


柴田選手も、1点。


でも黒山、野崎、友幸選手の3人は、ここをクリーンで終えます。




試合は第5セクション。
SSDTのような沢登りにやって来ました。ここは昨年は大雨で、川のようになっていたところ。
今年はまだ雨が降っていませんが、斎藤選手は沢の部分で5点。


氏川選手は、岩の上のターンで3点。氏川選手、今日はまだクリーンがありません。


柴田選手は、岩から転落。


ほかの選手が全員減点をとったここを、野崎、友幸、黒山選手の3人はキレイにクリーンしました。



今回やさし目のセクションではありますが、第4も第5もクリーンしたのは、実はこの3人のみ。スーパークラスの中でこの3人が、いかに突出した実力を持つのかよくわかります。

となりの沢に移動して、第6セクション。昨年雨が降る試合で、平田雅裕選手が足を大怪我したところです。
そしてここに来て、ついに雨がぱらつき始めました。


斎藤選手は手前で足を着いてしまいますが、最難関の大岩はクリア。



氏川選手も、今日最初のクリーン。


第5で「やってもうた」の柴田選手、失敗を引きずらずにクリーン。


黒山選手、野崎選手も0点だったのですが



あれまあ、友幸選手がちょい足で1点。ここまでオールクリーンが崩れてしまいました。

チャンピオンでも、こんなミスがあるんですねえ。

先ほどぱらぱら来た雨はやんで、第6の奥に作られた新開発の第7セクション。
V字の谷を左右に飛び移りながら進む設定です。

氏川選手は、この飛び移りで1点。


トップ3の中で最初に入った友幸選手は、0点。


黒山選手も、クリーン。


ところが、野崎選手は1点。

野崎選手はオールクリーンの黒山選手、1点の友幸選手に続き、合計2点で3位に着けます。

セクションゾーンを大きく移動して、平地に作られた第8セクション。
このタイヤ越えのラインが狭く、ちょっとせせこましい設定です。
野崎選手と同じ、合計2点だった毅士選手は、ここで1点。
柴田、野崎、黒山、友幸、氏川、斎藤選手はクリーンです。



1ラップ目終盤を迎えて、ここまでの順位は
 1位 黒山健一 0点 
 2位 小川友幸 1点
 3位 野崎史高 2点
 4位 小川毅士 3点 
 5位 柴田 暁 6点
 6位 斎藤晶夫 7点
 7位 氏川政哉 9点
 8位 武井誠也 12点
 9位 久岡孝二 15点
 10位 成田 亮 17点c3
 11位 平田貴裕 17点c2
 11位 山崎頌太 19点c2
 12位 永久保恭平 19点c1
 13位 吉良祐哉 20点c3
 14位 藤原慎也 20点c2
 15位 磯谷 玲 21点
 17位 岡村将敏 24点
 18位 砂田真彦 25点

試合は第9セクション。

最後のこの登りがなかなか難しく、野崎選手と競っていた毅士選手を始めとして、ここまで全てのライダーが5点です。

斎藤選手はここでバイクを降りてしまいます。


氏川選手はアウトへの左側のマーカーの内側を走ることができません。


でも柴田選手はクリーン。


黒山選手も0点。


野崎選手にとってここは、トラウマ的セクション。
昨年はこのセクションまで圧倒的トップだったのですが、ここを2回とも登れず、それが原因で3位に終わってしまったのです。



野崎選手、今年のトライ。

なんだか簡単にクリーンしてしまいました。

昨年はまったく問題なく登っていた、友幸選手。ところが今年は…

アシスタントの田中裕大さんによると「ちょっと慎重になりすぎました」という5点。
友幸選手も試合後のインタビューで「去年も1回も失敗していない得意パターンだったんですけど、やっぱりプレッシャーですね」と、神経戦を走るメンタル面での難しさを語ります。

しかし失敗を引きずらず、次の第10はクリーン。


でもこの第10は、ライバルたちも0点で抜けています。


1ラップ目最後の、第11セクション。


出口手前のステアが難しく、久岡選手は3点。


ここまで合計6点と、友幸選手と同点に追いついていた柴田選手。

登り損ねたのですが、諦めずに粘ります。
でも気持ちの焦りでしょうか、結局落ちてしまいました。


友幸選手はここをクリーン。

とりあえず、柴田選手を突き放します。

ここまでトップを走る黒山選手。最期も0点で、ラップオールクリーンを達成です。


最後に入った野崎選手も0点。

この結果、友幸選手は3位で試合を折り返すことになったのです。

1ラップ目の順位は以下のとおり。
 1位 黒山健一 0点
 2位 野崎史高 2点
 3位 小川友幸 6点
 4位 柴田 暁 11点
 5位 小川毅士 13点
    斎藤晶夫 13点
 7位 氏川政哉 14点
 8位 武井誠也 22点
 9位 藤原慎也 27点
 10位 久岡孝二 28点
 11位 成田 亮 30点c3
 12位 平田貴裕 30点c2 1点1
 13位 山崎頌太 30点c2 1点0
 14位 磯谷 玲 30点c1
 15位 永久保恭平 34点
 16位 吉良祐哉 35点
 17位 岡村将敏 39点
 18位 砂田真彦 40点

前後の選手の減点差はほとんどなく、このあと雨が降り始めてひとつでもミスが出れば大きく順位が入れ替わる状態で、試合は2ラップ目を迎えます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019年JTR R1近畿大会レポート <大会前日>

2019-04-26 00:05:24 | トライアル
いつもの年より1ヵ月ほど遅い開幕となった、2019年の全日本トライアル。
会場となった湯浅トライアルパークの桜は、葉桜の一歩手前です。



今年のスーパークラスは、全部で20人にまで膨れ上がりました。
この20人のうち藤波貴久選手、平田雅裕選手はエントリーしていないのですが、それでも参加は18人。
スーパーを除く国際A級のエントリーが39人ですから、国際A級の3人に1人がスーパークラスになってしまったのです。

※上の写真には雅裕選手も入っているため、総勢19人となっています。

国際A級スーパークラスは、世界選手権でもトップを走る実力を持つ選手のために作られたはずですが、ここまで膨らんでしまうとなんだかなあ…。
スーパーの名にふさわしい希少性、スター性がなくなってしまうのもナニですが、一番問題なのは、スーパー内のトップと2桁ゼッケンの実力が大きく開いてしまっていること。
このためトップライダー以外は、実力以上の危険なラインに挑まされてしまうのです。

昨年新昇格だった平田雅裕選手。雨の降ったこの近畿大会は、足を傷めてリタイアでした。

雅裕選手は中国大会でも大転倒。この結果、その後の全日本に出場することができませんでした。


雅裕選手は今年もスーパークラスに籍を置きますが、過去には怪我でトライアル自体を辞めてしまった選手が何人もいるのです。

2018年IAチャンピオンで今年スーパーに再昇格した#18武井誠也選手と、2位昇格の#19永久保恭平選手も、かつて怪我で降格した選手です。


トライアルは辞めずにA級で頑張ってくれたことは嬉しいですが、インタビューには二人共「今度はとにかく、怪我のないように走ります」とのお答え。

IA4位で新昇格の18歳、スーパー最後の20番を着ける山崎頌太選手も「少しでもセクションを出ること」が目標だそう。



昨年までの各大会リザルトを見ると、トップ数人以外はほとんど5点だらけ。
そりゃ怪我しないことだけを目指して走っているんだから、当然です。
結果レースは「トライアル→挑戦」とは真逆の、やっている方も見ている方も、いったい何が面白いの?という内容になってしまうのです。
いったいMFJは、トライアルをどういうスポーツにしようとしているのやら、大変に疑問です。
このままでは新昇格、再昇格選手たちの才能と情熱が、次々に潰されしまうのではないでしょうか。

じゃあスーパークラスは何人くらいが適当なのか、というと、個人的には8人くらいなのではないかと思います。
というわけで、上位8人の選手をご紹介いたしましょう。

ゼッケン8番の、藤原慎也選手。

「夢のシングルゼッケンですよ」というマシンは、今年からベータです。


自己最高位のゼッケン7を着けるのは、斎藤晶夫選手。


でも昨年最終戦まで氏川選手と競って敗れた結果なので、満足度はイマイチなよう。
今年は6番以上を目指します。

先輩を破り、昨年のゼッケン15を一気に半分以下まで減らした、#6氏川政哉選手。

今年もまたゼッケン半減が目標?との質問には「昨年は目標だったランキング5位以内に入れなかったので、まずはそれを」との答え。
なるほど、最年少16歳という若さなのにビッグマウスではなく、きちんとライバルの実力を計算しているんですね。

今年ゼッケン5番を着けるのは、小川毅士選手。

長らくキープしていた4番から落ちてしまった形ですが、「いろいろアンラッキーが重なった結果なので、今年は最低4番を取り返します」との決意です。
ただちょっと心配なのは、オフシーズンの練習でクラッチ指を骨折してしまったこと。

まだ指に違和感があるそうで、明日の大会、もし雨が降ったら結構きつい展開になりそうです。

かつて田中善弘選手をやっと破り、昨年は毅士選手に競り勝って、ついにゼッケン4番まで上がってきた柴田暁選手。


あと上には3人しかいません。
オフシーズンにはこのうち二人、黒山健一選手と小川友幸選手のホームグラウンドを訪ねての武者修行で、鍛えてきました。
練習ではそこそこ一緒に走れたそうですが、試合はまた別物。柴田選手にとって残る3人は、これまで以上に大きな壁なのだそうです。

ヤマハのパドックには、いつもの黒山健一選手と野崎史高選手の名前。
でも今年はゼッケン番号が入れ替わっています。


黒山選手は昨年は電気バイクでの世界戦参加のために、北海道大会を欠場。このため、ゼッケンは3番に落ちてしまいました。

今年の電気バイク世界選手権がどうなるかはまだ決まっていないそうですが、全日本に専念できれば2番、あるいは1番奪取は当然、との自信を見せます。


そして11年続いたというゼッケン3番から、ついにランクアップした野崎史高選手。

今回のゼッケンには恒例の仮面ライダーデザインもなく、こりゃ下見したあと、思わず3番のマシンに跨ってしまうようなアクシデントが起こるかも?

「残るはあとひとつ。当然狙っては行きますが、黒山選手の強さもよくわかっています。落ちないよう頑張ります」との言葉。
3位も警戒しなければなりませんが、過去雨の大会では何度も優勝している、野崎選手。明日ももし雨が降れば、またまた強さを発揮するかも。

そして1番を着けるのは、昨年MFJ史上初という6連覇を達成した、小川友幸選手。

毎年開幕戦では、マシン開発などの仕事で練習が不十分だった友幸選手。
でも今年は開幕戦が1ヵ月遅く、練習場が雪に覆われる事も少なく、調整はバッチリです。

体長もマシンも問題なく、もはや負ける要素が見当たりませんね、との質問には
「そんな事ないです。勝てるかどうかはいつも不安です。プレッシャーだらけですよ」という意外なお答えです。
「これからは自分で自分の記録に挑むわけで、自分から来るプレッシャーと、この座を狙ってくるライバルからのプレッシャーもあります。いかにメンタルを維持できるか、ですね」
なるほどねえ。この辺りはテッペンに立った人間にしか、わからないことなのかもしれません。

大会前日。土曜日の会場は、この快晴です。

しかしこの青空からは信じられないことに、翌日曜日の天気予報は、雨。
スーパーがスタートする9時から降り出し、お昼ごろにはかなり強く降るとの予報が出ています。
雨を見越したセクションは、かなりやさしめに設計されています。
このセクションと天気がどんなドラマを生み出すのか、2019年最初の闘いが始まります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

MFJ MOTO AWARDS 2018

2018-12-16 23:22:31 | トライアル
ウエア姿ではないライダーが見られるイベント、MFJモトアワーズ2018を取材して参りました。
MFJ全カテゴリー、トップ3の表彰式です。


会場には、各カテゴリーのチャンピオンマシン。

もちろん小川友幸選手のマシンもあります。



トライアル界からの表彰は、まずはレディース。

チャンピオン:西村亜弥 2位:小玉絵里加 3位:山中玲美

国際B級

チャンピオン:山森篤志 2位:冨名腰慶亮 3位:和気聖司(欠席)

国際A級

チャンピオン:武井誠也 2位:永久保恭平 3位:小野貴史(欠席)
武井選手と永久保選手は、二人共来年スーパークラスに再昇格するそうです。

国際A級スーパークラス

チャンピオン:小川友幸 2位:野崎史高 3位:黒山健一
野崎選手は「今年は11年続いたランキング3位を、ついに脱出出来ました」とニコニコ顔。

小川選手には6連覇達成のプレートも、同時に贈られます。



全日本ランキングは落としてしまった黒山選手ですが、海外参戦功労賞部門で、FIMトライアル選手権 TRIAL-E CUP2位獲得が表彰です。


となりの1番は、FIM世界耐久選手権でチャンピオンを獲ったF.C.C TSR HONDA Franceチームです。


各カテゴリーの雑誌記者などが決めるプレス賞。
トライアル部門からはMFJ全カテゴリーでかつて誰も実現していない6連覇を達成した、小川友幸選手。と、それを支えた田中裕大さん。

裕大さんがこの表彰式に呼ばれるのは、1999年にIBチャンピオンになって以来、19年ぶり。
「スピーチもなかったので、リラックスして壇上に立てました」とのこと。
「でもメカニックも受賞って、他のカテゴリーに誤解されないか心配ですわ。ロードレースなんかねえ、メカニックが「オレも貰えるんちゃう?」ってね」(笑)

今年のトライアルプレス賞はもうひとり。全日本に挑戦し続けて21年目にしてついにチャンピオンを獲得した、国際B級 山森篤志選手。

プレス賞受賞者には記念の写真パネルが贈られます。

裕大さんは早速、どの大会のどのセクションの何ラップ目かをチェックしている模様です。




今年表彰された全選手の集合写真。さあ、ウォーリーを探して下さい。


さてこのイベント、最初にMFJ大島裕志会長から1年を振り返ってと来年に向けての計画が発表されました。

それによると、MFJライセンス人口は昨年に続き減少傾向を打破できなかったとのこと。全体では前年比98%となりました。

カテゴリー別には、ロードレースが96%、モトクロスが94%。トライアルも現状維持が出来ず、99%だったそうです。

2018年の良かったところとしては、トライアルに関しては、小川選手の6連覇8回目のチャンピオン達成、西村選手の3年連続レディースチャンピオン達成、そして四国で大きなレース開催ができた、との報告。

来年に向けては、デモンストレーションなどを開催し、スクールなどの育成プログラムをできるだけ実施。
さらに関東大会をもてぎで開催することで「さらにレベルの高いレースが期待できる」という事でした。

※「認知度向上を目指す」なら「シティートライアル」にももっと積極的に協力すればいいのに。

トライアルに限らず全体の問題であるライセンス人口減少の現状を打破するために、MFJは今年から「モーターサイクルスポーツ殿堂顕彰」なる表彰カテゴリーを新設しました。
MFJの歴史を辿るビデオが上映され、トライアルからはこんな映像が紹介されます。



※おお、ガッチよりも存在感がある?裕大さん(笑) しかし「世界チャンピオン」の項目なのに、藤波貴久選手ではないんですね・・・

そしてこの「モーターサイクルスポーツ殿堂顕彰」の第1回目として、ロードレース世界選手権で1968年に日本人として初優勝をした高橋国光さん、1963年にマン島TTレースで優勝した伊藤光夫さんが表彰されました。


これは個人の感想ですが、先人の偉業を改めて表彰することは、僕はライセンス人口を増やしオートバイ文化を育てるためには役に立たないように思います。
高橋氏、伊藤氏は偉大だとは思いますが、過去の栄光を再確認しても、それはMFJの発展時期を取り戻すことにはつながらないからです。
MFJとモータースポーツの抱える問題は、新しい選手が育って来ないこと。今は選手どころか、一般ライダーですら減少に歯止めがかかっていないのです。MFJはここを何とかする対策を出さないと。

レースではトライアルに限らず、モトクロスの成田亮選手、ロードの中須賀克行選手など、多くのカテゴリーで連続チャンピオンが常態化しています。それはもちろんその選手のとんでもない才能と不断の努力によるものですげえ事なのですが、新しいライバルが育って来ないことも確かです。
MFJは「昔」ではなく「今」と「未来」の選手とファンを(ついでにプレスも)どう大切にして新たに獲得していくか考えないと、このまま縮小を続けるしかないと思います。

というわたくしの個人的愚痴はともかく、会場では表彰式に続いて懇親会が始まりました。


乾杯の音頭は、中須賀克行選手(JSB1000)、小川友幸選手(TR IAS)、成田亮選手(MX IA1)の、3人合わせて(多分)延べ28回という黄金のチャンピオンたち。

会場にはお茶とジュースとサンドイッチ。
僕は昨年この表彰式に行っていないので今年が初めてなのかわかりませんが、これまでこの懇親会にはビールや日本酒、お寿司やパスタなどのバイキングが用意されていました。この辺にもMFJの縮小が出てしまっていると思うのは、タダ酒を期待していた私のゲスな気持ちがいけないですね(苦笑)


飲食物には関わらず、ライダーと参加者は大盛り上がり。
中須賀選手はすでにヤマハと来年のハンコを押したことを暴露。成田選手もホンダとの契約更新が決まったそうです。
小川選手は「僕はまだハンコは押していないんですが、多分来年も(同じ体制で)走らせていただけると思います」

今年1シーズン2回の優勝を遂げ、ゼッケンをついに2番に上げた野崎選手。
「ようやくここまで来ました。残すはあとひとつだけですね!」と来年に向け意気盛んです。


黒山選手は「今年はいろんなレースを走れて、結局全部外してしまったのはともかく、貴重な体験が出来ました。来年もチャンスがあるなら、電動バイクも含めてチャレンジしたいです」

心配される今年のデ・ナシオンで負った足の怪我ですが、見たところ普通に歩けています。ちょっと安心したのですが、「まあこのくらい(日常生活)なら問題無いです」とのことで、まだまだ完治とはいかないようです。チャンピオン奪還にこだわらない発言も、このあたりが関係しているのかもしれません。

小川選手は「どこまで行けるかわかりませんが、来年は6連覇の記録をもうひとつ伸ばせればと思います」


裕大さんは「小川さんは、(氏川)政哉が伸びてくるのを待っていると思いますよ。もちろん負けるつもりはないけど、チャンピオンを譲るなら彼に、ってね」


おや、お客さんの中にこんな顔が(^^)
「来年は夢のシングルゼッケン(8番)です!」


さてこれで2018年のレースは完全に終了。来年のモータースポーツ界はどんな展開になることでしょう。
そしてこの偉大な選手たちが元気な最後のチャンスのうちに、MFJがモータースポーツを次世代につなげていくことを切に願います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2018年南牧耐久トライアル

2018-11-22 11:52:10 | トライアル
群馬県の山村。
「猟友会には言ってありますので大丈夫だとは思いますが、今は禁猟期が終わっています。気をつけて下さい」というくらいの山奥です。

実際帰りには車窓から、熊を解体していると思われる現場を見かけました。

11月18日、ここで開催された「南牧耐久トライアル」を取材しました。
主催は、米澤満夫さん。

「昔の国際A級ライダーですよね」と聞いたら「今も国際A級です」とのお答え。こりゃまた失礼。
スタッフからは「総統」「元帥」「将軍」「労働党総書記長」などとも呼ばれておりましたが、ご覧のとおりに笑顔のやさしい紳士です。
「南牧耐久トライアル」はこの米澤さんの強力なリーダーシップがあってこそ実現している、「トライアルとはこういうスポーツだ」という想いを込めた大会なのです。

コースは1周4km。6つあるセクションを5ラップで、20km。

このコースが、南北耐久トライアルの耐久たるゆえん。

選手はこの、合計20km30セクションを3時間以内で走ることを目指します。
3時間を超えると2分毎に1点のタイムペナルティー。5時間を超えると失格で、勝負は足着き+タイム減点で競われます。

今年の参加者は、37名。

意外とトレール車が多いなあ。


選手は普段は山走りやエンデューロでバイクを楽しんでいる、という人が多く、ガチガチのトライアルライダーはほとんどいませんでした。
マシンはトライアルタイヤ装着が義務。他にどんなモディファイがしてあるのかと近づいてみると



性能アップより取っ手がたくさんです。

こちらの選手は腕上がりを防止するという器具で、スタート前から腕のマッサージ。


まあ、そういう大会なわけです。

朝9時過ぎ、2分毎に1台のスタートで試合が始まりました。



第1セクションは、こちら。

JTRと違って高いステアやきついターンなどはありませんが、それでもここはかなりの難度で、どの選手もバタバタで抜けるのが精一杯です。


JTRと違いセクションの制限時間無し、アシスタントも必要ありません。選手たちはほとんど下見をすることもなく、「ブロック1個右!」などとは全く違ったトライアルが展開されます。

他のセクションはこんな感じ。


まるで国内A級クラスのような「平地のターンと多少の登り降り」といったかなり易しめ。
なのに第1だけ厳しいのは、そこに行くまで選手たちはまだほとんどコースを走っていないからなのでしょう。

そしてこちらが、そのコースの一部。「一の滝」と呼ばれるところです。


ツルツルの岩に、選手たちは文字通り七転八倒です。















選手たちはマシンを引き上げるだけで全体力を使い果たし、ようやく登ってもそのあと走る気力もありません。


少し進んで、またばったり。



この沢を登った先にも、難所が。






下りも大変だあ。



そしてすぐにまた登り。




悪戦苦闘を続ける選手たちは、みんなこんな顔になっちゃいます。




セクションだとエスケープも出来ますが

コースはそういうわけには行かないのです。

極限まで体力を奪われた選手たちは、NB並みの簡単なセクションで軽いターンをするだけでもままなりません。


スタートではウイリー披露と元気一杯だった、井之前正輝選手。

あっという間に身体が伸びきって息も絶え絶えに。



拙作「野崎史高の 変身!!トレールテクニック 2号」でお世話になった「バイク屋タンデム」の杉浦勝好選手。




IAS斎藤晶夫選手のお父さん、斎藤輝夫選手。


完走14位でゴールした直後。


同じく完走12位でゴールした直後のタンデムチーム、宮原剛選手。

セローでお疲れ様でした。



腕上がり対策をしていた遊佐圭伸選手は、転倒でエキパイを破損してしまったようです。


この選手は、チェーンが外れてしまいました。


道端には、こんな状況も。


今年のこの大会。国際A級スーパークラスから野崎史高選手と成田亮選手が賞典外で参加です。


成田選手は全日本そのままのシェルコに乗って、難しかった第1セクションをただ一人クリーンです。


野崎選手が乗るマシンは、タンデム杉浦さんが作ったスペシャルトリッカー。

おや、ゼッケンがもう2番に!



スペシャルとはいえトライアルマシンではないのでクリーンを逃すシーンもありましたが

とにかく速い!
コースではどんどん他の選手をぶち抜いて行きます。


1周20分程度? 他の選手を撮っていたら、ありゃまあ、もう次の周回でやって来た。




実はこの大会、野崎選手は1ラップ目でシフトペダルを破損。その後全てを1速固定で走っていたのだそうです。

このシフトペダルの破損は、宮原選手のセローでも起こっていました。

ヤマハさーん、これは改良しないとオフロードバイクとして問題ですよー。

今回の大会には、IAS磯谷玲選手の弟、郁選手がエントリー。

野崎選手は試合後半、郁選手に追い着いたものの、さすがに転倒はしない磯谷選手。
野崎選手はなかなか抜けずに、タイムをロスした部分もあったとのこと。

磯谷選手が3点をとった第3セクション。

野崎選手はクリーンで走破。


そして野崎選手は、5ラップを1時間58分で走り切ってしまいました。

インターナショナルクラスの選手が5時間かかっても回り切れない事も多いコースなんですから、驚きです。


ちなみに完走したライダーの5ラップに要した時間は
磯谷郁選手:2時間22分 真田啓行選手:2時間50分 田上択選手:3時間58分 菅原明弘選手:3時間59分。
残る12人は4時間代で、賞典外の成田選手は2時間10分となっています。

他の選手のゴールを待つ間、野崎選手は次男君とバイク遊びです。



JTRでは野崎選手のアシスタントを務める中山浩さんは、今回は最も重要な周回チェック係。

スタートからもうすぐ5時間。
「残り10分であと1周できるなら、回って下さい」で、失格になる選手が出始めました。



あーあ、ウエアボロボロ。でも心はピカピカ。


これにて大会は終了。
結果は37台出走中、完走16台。
優勝:磯谷郁選手(減点15) 2位:真田啓行選手(減点42) 3位:石山直弘選手(減点82)


3人共トライアルマシンでの出走で、トレールバイクの最高位はTE250iで参加の田上択選手の10位(減点125)でした。

なお賞典外の成田選手は減点15、野崎選手は22。
でもこの大会の目的は、完走や減点、順位ではないですよね。
米澤さん含めライダー達は、なんでこんなやらなくてもいい大変な苦労をわざわざするのか。
そこには、幸か不幸かオフロードバイクなんてものを知ってしまった人間の、アイデンティティーがあるのです。

皆さん、また来年「魂のトライアル」でじっくり自分と対話しましょうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする