PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

スーパートライアル2018 第2戦近畿大会

2018-10-19 12:48:03 | 日々の事
2018年シリーズも最終戦を迎える10月。
今更なのは分かっておりますが、ようやく第2戦のDVDが完成いたしました。
もしかしたら、ホントに最後の「スーパートライアル」になるかも?

CM動画は以下にアップいたしましたので、半年前を思い出して御覧ください。
https://youtu.be/Lm-oToppLqM

36年前の全日本トライアル

2018-06-22 22:18:44 | 日々の事
フランスのトライアル仲間、オリビエ・バージョンさんからメール。
ルジャーンRTLを始め、日本やヨーロッパの歴史的トライアルマシンを博物館並に集めている旧車クラブのメンバーです。

※オリビエさんと、彼のマシン倉庫








彼らにとって最高のトライアルマシンは、ホンダの4スト。
オリビエさんの愛車も、こちらとなります。


メットが黒山健一選手の、以前のレプリカバージョン。
オリビエさんはライディング的には、健一選手のファンなのだそうです。
「健一選手はEクラスへの参加で、今年のフランス大会に行くよ」と伝えると、成田匠選手の参加も含めてすでに情報はご存知。
「残念ながら自分はフランス大会には行けないが、ベルギー大会には行く。楽しみだ」とのことでした。


で、彼からのメールの主要件なんですが、まずこの映像を見てくれ、と。

https://youtu.be/o9DoFEQPsD4

うわあ、こりゃまたすげえ映像が残っていたものです。
んで、海外からこの動画を見つけるちゅうのもすげえ。

で、彼からこの質問です。

「We found this video on internet. Can you date it?」

このページには「1976年頃」と書かれていますが、オリビエさんの言うには
「I think it is 1982 as Kuroyama has N°1 (japanese champion 1981)」

ゼッケン1番を着ける黄色いスズキのマシンに乗っているのが黒山一郎選手ですが、黒山選手がチャンピオンを獲ったのは1976年と81年。この動画をアップした方はここから「1976年頃」という数字を導き出したのでしょう。でもフランス人の言うには、走っているマシンからこれは1982年ではないか、と。

82年なら工藤靖幸選手も出ていたはず。
というわけで、オリビエさんとは共通の友人である工藤さんに聞いてみました。

※工藤さんとオリビエさん


※オリビエさん所蔵の、ビーミッシュスズキ


※さらにレアな、エンジンがスズキ、フレームがFIで有名なマクラーレンという、マクラーレンスズキ。


ホイールベースが今のマシンより短いようですね。ステアが低くターンが主体の当時は、この方が良かったのでしょう。
またメインフレームがガソリンタンクになっていて、これはあのショッキングだったベータゼロより先行した設計です。

この他にもオリビエさんは、黒山一郎選手のゼッケンプレートなんてものも持っていました。

で、工藤さんから回答が来た上記動画の年代ですが、結果はオリビエさん大正解!! の1982年。
秋田県で開催された、全日本トライアル東北大会だということが判明いたしました。
以下、工藤さんからいただいた選手情報です。

#1 黒山一郎
#2 丸山胤保
#3 小谷重夫
#5 山本昌也 
#6 加藤文博
#9 畑山和裕
#43 成田省三

畑山選手は、その後のMFJ東北トライアル委員長。
山本昌也選手はRSC(HRCの前身)契約に抜擢されたばかりでしたが、この年から5年連続全日本チャンピオンを獲得。
5年続のタイトル獲得はこの時の昌也選手と2002年からの黒山健一選手しか達成しておらず、今年小川友幸選手が6連覇を達成すると、ついに破られることになります。

ライディングはありませんが、近藤博志さんも下見中の姿が映っているとのこと。
工藤さんは#13をつけて出場。こちらもゼッケンは映っていませんが、23分12秒付近のマシンと乗り方で判明。
ほかに3分40秒付近の車検でも映っているそうです。

工藤さんは1981年に、熊本から上京。現在野崎史高選手が所属するYSP京葉の大月さんの元でメカニックをやりながら、全日本に挑戦していたそうです。ちなみに畑山選手も当時大月ヤマハで働いていました。
工藤さんのマシンはTY250ですが、ヤマハのサポートによりエンジンは320cc。他にも前後サスやスイングアームがスペシャルだったそうです。

ただタイヤは全員がバイアス。
この歳世界チャンピオンを獲得したルジャーンを翌年の1月に招いスタジアムトライアルで、ルジャーンは1人だけラジアルタイヤで日本人ライダーが行けないところをスイスイと。
工藤さんは「確かに実力も違ったばってん、それだけじゃなかったとばい」と今でも悔しがっております。
※この時実は、山本昌也選手もラジアルだったとの噂もあり。

とにかく日本トライアルはルジャーンに惨敗して、その悔しさから黒山一郎さんがヨーロッパに渡り、ここでもコテンパテンになるものの、その後2世ライダーのブラック団に引き継がれ世界クラスに成長していきます。

というわけでこの動画、開国前日本「鎖国トライアル」の、最後の姿でございました。

スーパートライアル2017 第2戦近畿大会

2017-09-14 11:34:14 | 日々の事
本当に「今ごろ」ではありますが、2017年全日本トライアル第2戦 近畿大会のDVDが完成いたしました!
※あ、そこのキミ、笑わないように。
発売は9月20日からとなりますが、ご連絡頂ければ20日までにはお手元に届く形に出来るかも。


以前このブログにも書きましたが、今年は全日本トライアルDVDは基本的に作らないつもりでした。
ところが各所/各位様から「待っているのに」「無くなるなんて許せない」など、沢山の応援や抗議が(笑)。
楽しみに待って頂いているというのは、制作者冥利につきること。
じゃあご期待に応えようじゃないか!という訳で、とりあえず第2戦までは完成させた次第です。

元々大会の速報は、ブログの写真レポートでフォロー。
映像は、時期/時間に関係なくお楽しみいただける内容にしているつもりです。
実際今回編集しながら、自分でも「そんな事があったんだ!」「この時はこうだったんだ」と新たな驚きで楽しむことが出来ました。
そうそう、東京モーターサイクルショーでの小川友幸&黒山健一デモンストレーションも、必見です。

CM動画はこちら。
https://youtu.be/QjKOQlrIgyc

以下、DVD解説文です。

----------------

昨年終盤から快進撃を続ける、黒山健一選手に、このままではタイトル防衛が危ない小川友幸選手。
2017年の全日本トライアルは、第2戦にして早くもチャンピオン争いの顔を持ち始めていた。
さらに、開幕戦では惜しくも2位をのがした小川毅士選手、新しいアシスタントでパワーアップした柴田暁選手、最後は逆転優勝も可能な位置につける野崎史高選手も加わり、試合は予想不可能な展開を見せる。
全日本開催は初めてとなる会場では、想定外のアクシデントも続発。この中でトップライダー達は、読めないラインや岩、タイム、そして何よりも自分自身と闘っていた。

特典映像には、小川友幸選手と黒山健一選手によるトライアルデモンストレーションを、たっぷり30分収録。セクションも何もないビルの屋上が、笑いと歓声、拍手に包まれた。

スーパートライアル2017 第1戦関東大会

2017-06-25 13:30:47 | 日々の事
ふうふうぜいぜい。
今頃ではございますが、2017年全日本トライアル開幕戦 関東大会のDVDが完成いたしました。

時間で価値が変わる内容ではないと自負してはいるものの、やっぱりちょっと遅いなあ。

私、長らくJTRの映像制作をしておりますが、この仕事、とにかく時間がかかるのが問題です。
やるからにはつじつま合わせやアリバイ作りのような映像は作りたくないし、何よりも選手たちが全身全霊で走る姿を見ると手を抜ける訳もありません。
出来る限り多くの選手のトライとその気持を描くと、どうしても時間がかかってしまうのです。

今年はなんとかこれを打破しようと、この開幕戦の編集では色々工夫をしてみました。
例えばこれまでの様に全IAS選手ではなく、描くのは基本的に表彰台に上がる6人に絞る。
構成を考えず、セクションの順番通り、トライの順番もほとんどそのまま入れる。
BGMは極力使わず、ナレーションもこれまで以上に減らす。

でも結局またまた本編は100分で、短くならず。
何より第1目標だった制作時間の短縮には何かの効果があるどころか、逆に伸びてしまいました。
これは困った。

拙作にはそれでも熱烈なファンがいて下さいます。
今回もそんな皆様のご要望に応えるべく頑張った次第ですが、このままだとトライアル以外も含む他の映像制作ができなくなってしまいます。

というわけで、もしかしたら今年はこれが最初で最後の「スーパートライアル」になるかもしれません。
発売は一応7月1日ですが、事前にご連絡頂ければ今月中にはお手元に届けられるかも。
頑張って走った選手たちの姿を頑張って描きましたので、今回は負けてしまったガッチファンのあなた!あなたも、是非見てやってくださいませ。


CM動画はこちら。
https://youtu.be/93N3KozbcYs

以下はDVDの解説文です。

----------------

全ての選手が等しくチャンピオン獲得の可能性を持つ、開幕戦。会場には新開拓を含む、超ハードなセクションが用意されていた。
一瞬のミスで順位が大きく入れ替わるという設定。それは誰もがどこからでも逆転でき、どの選手にも優勝のチャンスがある、という事を意味するのだ。
この舞台でスーパークラスの選手たちは、まずはスペシャルセクションを走れる10位までを、さらに表彰台に登れる6人の枠を目指す。
最終目的である優勝を手に入れるため、何人もの選手が体制をもチェンジして来たのである。

スタートダッシュを目指す彼らは、針の穴をつくようなクリーンを狙う。
ある者は渾身の力でセクションを抜け、またある者は大クラッシュ。あの小川友幸ですら、マシンが高く空を舞ってしまうのである。
映像はそんな彼らの走りをセクションごとに切り取り、ラストの大逆転までを追いかける。

特典映像は、開幕戦2週間後に東京モーターサイクルショーで開催された、小川友幸と黒山健一のトークショー。
開幕戦裏側のぶっちゃけ話を、お笑いアクセル全開で披露する。

2017年トライアル世界選手権日本大会に向けて

2017-05-21 15:42:02 | 日々の事
5月27日、28日にツインリンクで開催される、トライアル世界選手権日本大会。
これに先立ち、東京青山のホンダ本社ウエルカムプラザにて、藤波貴久選手と小川友幸選手のトークショーが開催されました。




やって来ました、藤波貴久選手と小川友幸選手。


MCはおなじみ、小林直樹さん(+女性一人)です。

藤波選手は5時間前に日本に着いたばかりだそう。
人気者はつらいよ状態ですが、そこは藤波選手。お客さんを楽しませるトークを展開です。


一方の小川友幸選手。このイベントへの出演は、今年の始めから決まっていたとのこと。
だけど全日本ではしばらく勝てない試合が続いて、「行きたくねえなあ」と思い悩んでいたのだとか。
でも直前の九州大会で優勝出来たので、ようやく笑顔で出演できて本当に良かった、と顔をほころばせませす。


トークは今年のトライアル世界戦のルール変更から始まり、2人の子供時代の話にまで。

画面左でQR50に乗っているのが3歳の頃の藤波選手で、この頃からエンジンとかをブイブイ言わせていたのだとか。
一方右側で自転車に乗っているのが、5歳当時の小川友幸選手。
将来の夢は実はトライアルではなく、「サッカー選手」だったそうです。

この他22年間、300戦以上も世界戦に出場し続けてる藤波選手、40歳を超え今なおタイトルを守り続ける小川友幸選手、なんて切り口からのお話も。

最後はもちろん、1週間後の世界選手権日本大会必勝の決意表明です。

2人のトークは以下に動画でアップしましたので、お楽しみ下さい。
https://youtu.be/Uq1wcfE-qgk

続いてファンと直樹さんはウエルカムプラザの表に移動。バイクに乗った2人が現れます。




藤波選手がここでデモを見せるのは、久し振りですね。
ホントに目の前で技を見られるトライアルの面白さを、存分に見せて回ります。


青山交差点のすぐ脇でのデモンストレーション。天気には恵まれたけど、とにかく狭い!
向かいには交番もあって、タイヤがちょっとでも公道に出たらヤバイ事に。
セクションだったら減点5点ですみますが、無保険車走行の減点は6点ですぜ。
ふたりとも遠くにパトカーのサイレンが聞こえると、マジにビビっていたくらいです(笑)

そんな中でのデモ。
ウイリーやジャックナイフくらい、と思うかもしれませんが、ここの路面は磨き上げられているのでとても滑るのです。
さらにカーペットが敷かれている部分もあって、これがまたズルズルと動く!

藤波選手、カーペットのズレまで計算してのみごとな寸止めですが、男の子、思わず腰が引けています(^^)
小川選手も脅かしモード?






最初は「これ、どうやって行ったらいいんや?」と言っていた直線のセクションも、あっという間に教習所の一本橋より簡単に行ったり来たり。




こちらのセクションも、軽々と飛び越えます。




直樹さんを上に立たせて、ダニエル、ダニエル。

この辺はさすがにトニー・ボウを頂点とする世界の技ですね。動画で数えた所、藤波選手は19回続けてダニっていました。

さらに直樹さんを寝かせて

あえてギリギリの高さで越えてみせます。




大盛況のうちにそろそろお時間も・・・というところに、藤波選手「これまだ演ってないやん!」と小さなキッカケを発見。


きちんと跳んで見せて、ライダーも観客も満足のうちにデモは無事終了です。

みなさん、1週間後にもてぎでお会いいたしましょう!ちなみみに入場券は、ここウエルカムプラザの1階でも販売しています(笑)


これでデモンストレーションは終了。
かと思ったら、2人はまた戻ってきてひと盛り上がり!




さらに館内での記念撮影大会と、大サービス。

おや、手の角度が「シン・ゴジラ」になっている。
というわけで、ゴジラ並みの活躍を期待しましょう!

2017年全日本トライアル 第3戦九州大会

2017-05-17 11:08:04 | 日々の事
2017年の全日本トライアル九州大会が開催されたのは、大分県に昨年の終わりに出来たばかりだという「玖珠トライアルヒルズ」。


近くにはこんな景色が広がり、黒毛和牛にも出会えるすげえ気持ちのいい所です。






しかしなんで「ランド」や「パーク」という名前ではないのかと思ったら、いやあ、こりゃ確かにヒルズだわ。


本部となった鉄筋コンクリートの立派な建物は、もともと身障者用の施設だったらしいです。

その周りに平坦な駐車場があり、選手パドックやスタート台もここに設置。
この本部周辺はさすがに全日本クラスのイベントでは多少狭いものの、こりゃ快適な環境だわい。


ところがここからセクションまでが、非常に遠い遠い。
細い山道を延々降りて行くんだけど、えっとぉ、降りたって事はあとで登んなきゃならないんだよねえ。


一応後半のセクションは登り坂途中に点在させたり、1ラップ終了後に本部まで戻らなくてすむ設定で工夫をしておりました。
しかし最終セクションから本部までは、急なオフロード登り坂を10分以上の強行軍。

コース途中で休んでタバコを吸っている人がいて、こちらが息を荒げてゼイゼイ登っている時に受動喫煙を食らって思わず殴りたくなったけど、フラフラでそんな元気も出せない状態です。

ようやく最後まで登り切ったところにいたのは、レッドブルのサンプルプレゼントのお姉ちゃん。

長い登り坂でもはや息も絶え絶えとなっている観客は、まるでネフド砂漠で湧き水を見つけたアラビアのロレンス軍のように、ほとんどひざまづかんほどの態勢ですがりつきます。
天使に見えたお姉ちゃん、入れ食い状態でさぞや充実したお仕事が出来たことでしょう。


というわけで移動コースは悲惨でしたが、トライアル場としては非常に恵まれた環境。
泥のターンやヒルクライムが主体で、ステアもあるものの危険度は低く設定されています。


会場は金曜日に豪雨が降ったとのこと、その水が粘土質の地面から湧き出てる状態です。

これは総合的な走破力、耐久力が試される試合になりそうです。

ここに全国から集った選手たちは、104人。
さすがに遠いのかIAやIBはやや少なめでしたが、スーパークラスは14人が揃いました。


今回の見所は、昨年ニューマシンに乗り換えてから負け知らずの黒山健一選手vs4連敗中の小川友幸選手。
黒山選手は「いやあ連勝なんて絶対止まるものですから」と言いながらも、その裏には「止めてなるものか」との気持ちが滲みます。

一方の友幸選手は「ここで勝って中国大会でイーブンに持ち込み、得意の北海道大会で勝ち越し、という計画です」と言いながらも、実は40歳を越えて年齢的にももう勝てないのではないか、とのすさまじい焦りやプレッシャーと闘う日々だったようです。


試合は序盤、いつものごとく黒山健一、小川友幸、野崎史高、小川毅士の4人が僅差で並ぶ展開。
毅士選手は1ラップ目前半トップに立つものの、怪我をした左指が腫れ上がっていたそうで次第に順位を落としてしまいます。


野崎選手もカード接触などが続き、優勝争いに絡む走りにまでは至りません。


トップ争いは、やはり黒山選手と友幸選手。
1ラップ目は抜きつ抜かれつの大接戦ですが、ややリードは黒山選手。



友幸選手は2点を追って、1ラップ目最終の第10セクションにやって来ました。

先に入った黒山選手。土のステアを上がった先でこの状態になってしまいます。

判定は5点。
しかしアウト後黒山選手は審判に「テープは切れていないし前輪も出ていない」と主張し、判定は1点に変わります。

次に入った友幸選手はクリーンしましたが、ここまでの減点は友幸選手の12点に対し、黒山選手は11点。
黒山選手は1点差ながらトップで折り返した…はずでした。

というのは、2ラップ目の途中、先ほどの判定がまた変わったのです。
セクションの形状を大きく変更させ修正が必要となった、と5点の判定。
この結果、1ラップ目トップは12点の友幸選手。
3点を追う立場となった黒山選手ですが、晴天で少し土が固まった第2セクションの泥々登りをただ一人クリーンで抜け、同点に追いつきました。


ところが友幸選手がクリーンする第5で、カードに後輪が接触。5点をとってしまいます。


友幸選手は確かに足は着くものの、粘り強くマシンを前に進め続けます。


黒山選手は友幸選手が2点になる第6をクリーン。




じわじわと迫ってくる黒山選手を意識しながらも友幸選手は耐え続け、2ラップが終わった段階で減点は25点。

黒山選手は4点遅れる29点で、2人の優勝争いはスペシャルセクションにもつれ込みます。


SSのトライは、ここまで2位の黒山選手が友幸選手より先になります。
4点を逆転するために黒山選手はクリーンを狙わざるを得ず、当然走りには無理が出てきます。


結果黒山選手はSSの第1を2点で通過?でも判定は3点。理由を聞いているうちに減点は5点に変わります。

理由はタイムオーバーで、黒山選手の「前輪は出ていた」の主張は通りません。
※アウトポイントでは審判のホイッスルが聞こえにくかったのですが、ビデオ映像で確認したところ、確かにアウト前に90秒を超えておりました。


それを見た友幸選手は足を着きながら3点で抜けます。

この結果最後のSS2を前に差は6点に広がり、ついに2人の勝負が着きました。


勝負から解き放たれた黒山選手は、野崎選手の3点以外全員5点のSS第2で思いっ切りのトライ。
フルパワーで攻めテープをぶち切ってしまい、これで順位もすっきり納得の2位に。


友幸選手は最後まで粘り強い走りでラストを1点で抜け、優勝に花を添えました。


ほぼ1年ぶりに表彰台のテッペンに登った友幸選手。「嬉しい」というより「ホッとした」という表情が印象的でした。




全日本トライアルでは6位までが表彰台に上がりますが、ゼッケン6番の田中善弘選手が不在の今年は、この6位争いが大変な激戦となっています。
今回も試合前日のインタビューでは、斎藤晶夫選手と野本佳章選手が6位獲得を宣言。


1ラップ目の順位は斉藤選手が6位。

野本選手は2点差で7位につけ、2ラップ目の逆転を狙います。


ところがそこに、思わぬダークホース(と言っては失礼ですが)が現れたのです。

1ラップ目の12位からあれよあれよのごぼう抜き。成田亮選手が自己最高位、6位の表彰台を獲得しました。




優勝 小川友幸 減点29c12
2位 黒山健一 39c8
3位 野崎史高 47c7
4位 小川毅士 56c4
5位 柴田 暁 73c4
6位 成田 亮 84c2
7位 斎藤晶夫 87c1
8位 久岡孝二 90c0
久岡選手は3大会連続のSS出場。今回は野本選手も超え、楽しみな選手に成長してきました。

9位 野本佳章 91c1
10位 砂田真彦 95c0
砂田選手は、初のSS出走です。

<以下SS不出走>
11位 吉良祐哉 86c1
12位 岡村将敏 87c0
13位 藤原慎也 87c0
14位 磯谷 玲 92c0

レディースの優勝は、昨年の再デビューから負けなしの西村亜弥選手。

でも帰りの飛行機の都合で表彰式をパスせざるを得ず、壇上には代りにチーム監督が。


門永監督は自分の現役時代を含め、2度目の表彰台だそうです(^^)
あら、女子仲間としては表彰台がないくらいの高さがちょうどいいわよねえ。



つばさの想い

2017-05-08 23:35:18 | 日々の事
トライアル世界選手権日本大会に合わせて、新作DVDが発売となります。

トニー・ボウ、藤波貴久、ハイメ・ブストに小川友幸。さらに小林直樹。
彼らが昨年末にもてぎで見せたスーパーデモンストレーションを中心に、RTLの歴史にまで触れた内容です。
最新のワークスマシンには、IAS砂田真彦が試乗。詳細なインプレッションをしてくれています。

カップリングには、世界最高クラスの質と量でトライアルマシンの収集をしている、フランス旧車クラブの山岳ツーリング。
トライアルに関してはもてぎの博物館もびっくりのマシンに火が入り、アンドラ近くのピレネー山脈を走ります。
以前「ルジャーンスクールNow」に収録したミーティングと同じテーマですが、走る場所はもちろん、内容も全く違っています。

というわけで、新旧合わせて豪華2本立て、という内容になりました。

今回歴史を実証するため、自分の取材テープから色々過去の映像を探索。
そしたら、まあ出てくる出てくる、こんな場所であんな撮影、おやまあそんなことまで撮っていたなあ。
いやあ、自分で言うのもナンですが、オレってかなり丁寧ないい仕事しているわぁ。

今回はホンダと4stRTLがテーマなので、せっかく掘り起こしても使えなかった映像も沢山。
もったいないので、ちょこっとここでご紹介です。

これはちょうど20年前、1997年のJTR関東真壁大会を走る、黒山健一選手。
最初の全日本チャンピオンを獲る年ですね。


こちらは1998年の世界選手権スペイン大会。

この大会からは、マルコ・コロメやドギー・ランプキン、まだゼッケン4番のフジガスの映像を使いました。

時代は少し新しくなって、これは4stRTLがデビューした2005年のJTR。
今年はもうお会いできなくなってしまった選手ですが、おお、若い!


こちらは現在もバリバリの現役選手ですが、12年前だと「えっとぉ、君誰だっけ?」てな感じでしょうか(笑)


せっかくなので、動画も紹介。
1997年、当時絶頂期!という三谷英明選手。2stRTLの走りです。
https://youtu.be/mqNuoCA--N4

トライアル世界選手権は今、FIMがビデオでの取材を一切拒否しております。
こういう映像が残してあればこうしていろんな形で活かせるのに、FIMのスカポンタンめ。
自分で自分の首を締めているんだぜ。
今回のDVDは本田技研さんとHRCさんのご厚意によって実現できましたが、やっぱり皆様からトライアルを預かっているメーカーやフェデレーションはこうでなくっちゃねえ。

というわけで、以下新作DVDのご案内。

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タイトル「つばさの想い」
   Honda Racing THANKS DAY:73分
   ヒストリカルTLミーティング:63分
   3,000円+税
CM動画はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=TzA-MjPoF0Q


●Honda Racing THANKS DAY
史上最強WCTチャンピオン トニー・ボウが飛びまくり、若手のホープ ハイメ・ブストがバネのように弾ける。
さらに藤波貴久が大胆な、小川友幸が精緻極まる技を惜しげも無く披露し、小林直樹が容赦なく煽る。
ツインリンクもてぎで開催された「Honda Racing THANKS DAY 2016」を中心に、レースからは伝わらないトライアルを描く。
過去の貴重な映像から見えてくる、頂点を極めてなお前に進み続ける選手たちの姿。
ホンダがたゆみなく続ける技術開発の歴史と、そこから生まれた最新鋭ワークスマシンにIAS砂田真彦がテストトライ。
長い歴史と人々の想いがひとつに重なり開催された世界最高のデモンストレーションでは、熱狂する観客の目の前で奇跡のようライディングが繰り広げられた。

●ヒストリカルTLミーティング
トライアルの本場ヨーロッパから、数年に一度開催される超豪華な旧車ミーティングをレポートする。
あのエディ・ルジャーンのチャンピオンマシンを含む歴史的名車がレストアされ、ピレネー山脈を縦横無尽に駆け回ったのだ。
カメラはパリにある、彼らの自宅や工場も訪問。
その生活からは、トライアルを通して人生をより豊かに幸せにする生き方が見えて来た。

2つの物語から、文化としてのトライアルの、その深淵を堪能する。

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この新作、5月27日(土) 2017年トライアル世界選手権日本大会開催の日に、もてぎで発売開始となります。
でも世界戦に行けない方には、27日までにご自宅で見られるようにお送りすることも可能かと。

皆様よろしくお願いいたします。

2017年全日本トライアル第2戦 近畿大会

2017-04-20 08:48:24 | 日々の事
開幕戦に続き暖かな、ちょっと動けば暑いくらいの太陽に恵まれた第2戦、近畿大会。
スーパークラスの注目はやはり、関東大会で圧勝した黒山健一選手が第2戦をどう走るか、実は昨年終盤から3連敗中の小川友幸選手は、どこからどうやって巻き返すのか、ですね。


外見からはわからないものの、新型マシンをさらに熟成させたという、黒山選手。


プラクティスエリアではあまり長いライディングを見せなかった、小川友幸選手。
静かに燃えている感じです。


さらに前回惜しくも2位を獲り損ねた小川毅士選手は、今度こそ?


まさかの4位スタートとなった野崎選手、今回は?


なかなか5位の壁を突破できない柴田暁選手。


関東大会では田中善弘選手不在の穴を埋め6位に入った、斎藤晶夫選手。


逆に真壁では悲願の6位に届かなかった、野本佳章選手。


ほかにも昨年末からのウエイトトレーニングなどの成果がそろそろ出てくる?藤原慎也選手。
嬉しそうにユンケルを誇示するので新しいスポンサーをGet!かと思ったら、「営業に行けたらええなあ」でした。


スーパー2戦目ではどんなトライを?の久岡孝二選手。


同じくスーパー1年生の磯谷玲選手。
ニューフェイスらしい笑顔の磯谷選手ですが、開幕戦では転倒してもこの笑顔を絶やさなかったとこのと。
今回はアシスタントのお父さんから「真剣味が足りん!今度は転んだら笑うなよ」と注意をされていました。


これら選手たちの様々な「想い」を、試合はライディングとして形にしていきます。

試合開始直後の第1セクション。
黒山選手は入ってすぐのステアからテープを飛び出し、前輪で切ってしまいます。


今回の黒山選手、他にも超難度のポイントをクリアしてあと少しで出口、というところまで行っての失敗がいくつもあり、「うおー!クッソー!! 」との吠え声が響きます。






黒山選手が前回のような鬼乗れを維持できていないこともあり、1ラップ目のトップ争いは団子状態。その中で1位での折り返しに成功したのは、確実にマシンを進める小川友幸選手でした。


ところが前戦での怪我が完治していないせいでしょうか、友幸選手のトライはどこか確実性に欠け、2ラップ目に調子を上げてきたライバルに追い抜かれ、SS前にまさかの3位にまで落ちてしまったのです。






友幸選手を追い落としたのは、野崎選手。


1ラップ目が終わった時点は4位で、2ラップ目に向かう前パドックでカメラを向けても「今日は撮ってもらうほどの走りができていませんよ」と苦笑いしていたのですが、2ラップが終わった時点で2位に浮上。開幕戦4位の雪辱をすっぱり果たせる期待を持たせます。


第1戦では惜しくも2位を逃した小川毅士選手ですが、この日はウオーミングアップで足の爪を剥がしてしまっていたとのこと。
このため一時は柴田選手にも抜かれ5位。



1ラップ目の終わりには3位に戻すものの、その後は5点差で柴田選手をかわした4位でSSを迎えます。


というわけで毅士選手に勝つチャンスを得た柴田選手。


毅士選手とは5点差、5位で迎えた柴田選手のSSの第1。見事にクリーンで走ります。


次に入ったここまで4位の毅士選手ですが、なんと失敗。


この結果毅士選手と同点に追いついた柴田選手。
残るSSの第2を3点でも抜ければ、ついに4位獲得の可能性が大きく広がります。
ところが柴田選手はそのSS第2を攻めきれず、痛恨の失敗。

ここは毅士選手も失敗して2人は同点同クリーンという結果になったのですが、1点の数の差で柴田選手はまたしても5位に終わってしまいました。


2ラップが終わり、トップは黒山選手。タイムペナルティーを含み減点47です。


2位は野崎選手で、減点51。2位獲得はもちろん、トップと4点差はまだまだ逆転優勝のチャンスもあります。


3位の友幸選手は野崎選手に1点遅れる減点52。
開幕戦はあやうく3位を免れた友幸選手ですが、今度も最低2位に挽回出来なければタイトル防衛が早くも危うくなって来ます。


SS第1。野崎選手と友幸選手はお互いクリーンして、2人の勝負はSSの第2へ。


ところが野崎選手はここで3点を着いてしまいます。


次に走った友幸選手は、さすがチャンピオンという精神的強さを見せてクリーン。

土壇場で最低限の2位に上がってタイトル防衛に望みをつなぎました。

ここまでの走りで「獲るべきところをいくつか落としてしまって」と唇を噛んでいた黒山選手ですが、SS第1を1点、第2を2点。ここまで4点のリードを最大限に活かした、あえての足着きです。

最終セクションを抜け優勝を決めた直後は、この表情。

黒山選手は今季2勝目を手に入れました。


他、野本選手はついに悲願の6位を獲得。


開幕戦で出られなかったSS出場を果たした、藤原選手。


スーパー1年生にして2連続SS出場となった、久岡選手。


残念ながら目標に達しなかった選手も含め、それぞれ全力を尽くした試合となりました。




優勝 黒山健一 減点50c8
2位 小川友幸 52c7
3位 野崎史高 54c7
4位 小川毅士 78c4 1点2
5位 柴田 暁 78c4 1点1
6位 野本佳章 93c2
7位 斎藤晶夫 97c1
8位 藤原慎也 106c0
9位 成田 亮 108c0
10位 久岡孝二 108 c0
<以下SS不出走>
11位 磯谷 玲 98c0
12位 砂田真彦 100c0
13位 岡村将敏 100c0

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以下は試合展開以外についての批評です。
不愉快な内容もありますので、お読みいただける方はそれなりのお気持ちでお付き合い下さいませ。


全日本トライアルは初めての開催となる、和歌山県にある湯浅トライアルパーク。
2年前、2015年に出来たところのようです。
行ってみると、入ってすぐ広大で平坦な駐車場があります。トライアル場の駐車場はジープでしか入れないような所も多いので、これは助かります。


パークは広くて、ダイナミックなセクションがいくつも。
おやここはSSDT並みの沢登り。こちらはアンドラのような風化したガラガラ斜面とステアの連続。

ところがそのセクション内には細かくゲートマーカーが設置され、せっかくのワイルドさがスポイルされています。
選手からは「アシスタントは秒読みや後輪の位置よりもセクション内の道案内をしなければ、ライダーが迷っちゃう?」という笑い話や、「あれもやらせたい、これもやらせたい、という設計者の気持ちはわかりますけど、ちょっとねえ」との感想を聞きました。
結果を見てもスーパークラスをもってして8位以下はほとんど全部5点。12位、13位はオール5点でタイム差で最下位が決まるという、これならオレが出てもスーパー13位になれるじゃん、という設定です。
これでは選手も観客もつまらない・・・

さらに問題を感じたのは、エンクロージャーエリア。黄色いテープで観客の立ち入りを制限する部分ですが、ここは別にプレスの立ち位置という訳ではなく、観客の安全を確保するためのスペースです。
このエリア設定には多くの大会で不十分さを感じますが、特に近畿大会は以前から甘いところがありました。
そして今回はさらにひどい事に。

たとえば沢のセクションでは、お客さんの観戦スペースが非常に狭い。
セクション横の狭い林道に入り込んで行くのですが、この通路は次につながっていません。
このため登ってくる観客、下って行く観客、さらにトライが終わって降りてくるバイクまで混在してぐちゃぐちゃになっています。
さらにセクションテープと一緒に黄色テープが張られているので、プレスはもちろん、アシスタントにすら立ち位置がない状態になるのです。
この黄色テープ、張ったというアリバイだけで何の意味もありません。


通路とセクションが隣接しているために、実際に事故も起きています。
トライが終わったライダーがセクション横を戻る時に転倒。ふっ飛んだバイクがトライ中の選手に激突したのです。







バイクの下敷きになった選手はしばらく動けなくなりますが、大事には至らず試合に復帰出来たのは本当にラッキーな事でした。

被害を受けた選手には申し訳ない言い方ですが、彼はまだヘルメットやブーツなどの防護があったから良かったと思います。
もしこれがまったく無防備な観客だったら、当然救急車もの。 ニュースにも載って、湯浅という素晴らしい会場が以後使用禁止に追い込まれる事態も考えられます。

前日のミーティングで主催者は「次のために待っているアシスタントはしゃがんで下さい。お客さんから「見えない」とクレームが来ますので」と言っていましたが、いやいや、主人公である選手側に大会側の都合を押し付けるのは違うでしょう。
選手側には余計なことを考えさせず勝負に専念できる環境を作らなくては。
そしてもうひとつの主人公であるお客さんには、選手の全力のトライを安全に見やすく設定するのが、大会側の仕事だと思います。

他にも黄色テープが部分的にしか張られていなくて、お客さんが危険なところに入り込む例が多数見られました。

ここではセクションを横断しないと行けない場所に子供が入り込んで、バイクが吹っ飛んで来るかもしれないのに写真を撮っています。

足場の悪いところから滑落したのでしょう、Tシャツが裂け、背中が血だらけになっているお客さんもいました。
役員に「危険だからお客さんをテープの外に誘導したほうがいいんじゃないですか」と忠告もしたのですが、「そうですねえ。危ないですねえ」と言うだけ。
進行さんは観客となってトライを楽しんで見ています。

特にとんでもなかったのが、第9セクション。
ここは小山の上にセクションがあり、観客からは全く見えません。
黄色テープは小山の下に張ってあるのですが、お客さんは当然のようにテープを越えて侵入。
役員は問題意識を持っていないのでしょう、何も言いません。


湯浅は比較的新しい会場であるため岩がまだ安定していません。
このため失敗して吹っ飛んだバイクはもちろん、成功しても選手が崩した人の頭よりも大きな岩が、ゴロゴロどっかんどっかんと落下するのです。

岩は、下見だけでも落下することもある状態なのです。

たくさんのお客さんが集中するSSの第1も黄色テープが不十分で、セクションぎりぎり。
吹っ飛んだバイクや落石落下ポイントにまでお客さんが迫っている設定でした。


また上の移動コースを時間に追われて飛ばす選手が跳ね飛ばした石も、文字通りぶっ飛んできます。セクション間際でひしめき合っている客は身動きもできない状態で、もはや何人か死人が出ても当然という状態でした。
普段いろいろな分野で「安全」を人質に、あえて悪い表現を使えば「言いがかり」とも言える制限を強いているようなMFJですが、もっと明白で基本的な部分でのこの安全無視はあり得ません。

遠くに離れているため移動にとんでもない時間と体力を使うセクション配置も含め、ほとんどどこも観客の見やすさと安全を全く考えていない設定です。

今回は大阪モーターサイクルショーでのトライアルデモを見て「初めて大会に来ました」というお客さんも多かったとのこと。
せっかく選手が頑張って広げた裾野、これからファンになってくれるかもしれない人が、もう二度と来なくなってしまうでしょう。
以前からの観客も含め、これで入場料をとろう、トライアルを盛んに、なんてのは勘違いも甚だしいと思います。
近畿大会は大会終了後にリザルトも配りません。
役員の皆様は、わざわざ山奥まで足を運び、お金を払い、トライアルを支えてくれている観客を何だと思っているのでしょう。

最近サーキットの片隅を借りての箱庭的トライアルが多くなっているJTR。
そんな中で久しぶりにトライアルの魅力を発揮できそうな新しい会場であった分、大変に残念な運営の大会でした。


テッペンTrial 2016

2017-04-04 12:38:00 | 日々の事
2016年、全日本トライアルの総集編が完成/発売です。



過ぎてみれば1年はあっという間に思えますが、それぞれの大会を振り返ってみれば、1年は長い。
そうそう、あんなことがあったよねえ。あああれは2016年の事だったのか。ふーん、あの事ってこうだったんだ。
と、実に沢山の出来事が起こっておりました。

いつもは基本的にスーパークラス全選手の活躍を描いていますが、総集編では優勝争いだけに絞ってドキュメント。
ところが本当にどの試合も接戦だった2016年。レースによっては4人が、セクションごとに逆転を繰り返します。
このため1試合15分までの目標はあっけなく崩れ、どの試合もかなり綿密な内容に。
結果7戦で2時間を超えてしまいましたがまあ1試合20分弱にはまとめましたので、つまみ食いでごらんになることも可能かと。
もう時間一杯で無理かと思った特典映像も、動画では初めて公開になるMFJ Moto Awardsを無理矢理入れ込みました。
たっぷりいっぱいのトライアルの頂点を、たっぷりお楽しみ下さい。

CM動画はこちら
https://youtu.be/cW7-0LH-RPg

以下DVD紹介文です。

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テッペンTrial 2016(全日本トライアル総集編)
本編約:130分 特典映像:MFJ Moto Awards 2016
税込価格:3,500円

最終目標である「全日本チャンピオン」に向かって1年間を走り続ける、トップライダーたち。
彼ら頂点で闘う選手だけが知る世界がある。
爆発的パワーを持つマシンの前に立ちはだかる、泥やステア。そして強力なライバルや急変する天候、怪我、渋滞やミスジャッジなどもある試合の流れ・・・。
しかし彼らが本当に闘っているのは、自分自身の魂であった。
どの大会も逆転が続く大接戦となった2016年全日本トライアル。テッペン世界の全てのドキュメント。
IASクラス全ての選手の挑戦を描いた"Fighting spirit"も、全大会を収録。
特典映像には、年末に開催されたMFJ Moto Awoardsことランキング表彰式。
普段見られない正装のライダーと、トライアルというカテゴリーがが実に沢山の表彰を受けたセレモニーを収録。

第44回 東京モーターサイクルショー

2017-03-27 18:08:14 | 日々の事
今年も取材してきました、東京モーターサイクルショー。


天気の良かった土曜日。
僕はこのイベントに初めてバイクで行ったのですが、ありゃまあ、駐輪場に入るだけで1時間以上の大渋滞。
へー?オートバイってこんなに人気があったのかあ??
しかしこんなにバイクがあって、1台として同じ車種が重ならないのもすごいなあ。


お目当ては、トライアルデモンストレーション。
去年までは野本佳章選手、成田亮選手ベータのライダーに成田匠さんがやっていたデモですが、今年は小川友幸選手+黒山健一選手が担当。場所も屋外広場から屋上に変わり、このためでしょうか、デモ用セクショントラックも無し。
あるのはただのコンクリート広場と、平均台(一本橋)がひとつだけです。

1週間前の大阪モーターサイクルショーも同じように平地でしたが、この平均台の他にもうひとつセクションがあったそうです。
小川選手は「きっついわあ。一本橋ひとつだけで30分持たすんですよ」と頭を抱えます。


それでも登場した2人は、この通りのみごとなシンクロ技でお客さんを沸かせます。




平均台では小川選手が正統派ウイリーで走れば

黒山選手はこんなのや

こんなので応戦。


ただひとつのセクションを何通りにも利用して、見せてくれます。




技ももちろん見事なのですが、特筆すべきは2人のクロストーク。
このままM1グランプリ決勝行けるんちゃう?と思わせるくらいの、絶妙なボケとツッコミ、間でお客さんを楽しませます。
あれで一切の打ち合わせやネタ合わせがないってんだから、すごい。
逆に段取りは覚えられないとは思いますが、会場の反応に生で合わせての盛り上げトークは、台本通りしか出来ない、スタッフからカンニングペーパーが出されないと進行できないタレントの数倍上ではないでしょうか。

ただ黒山選手、1回目はまだ体が暖まっていなかったのか、肝心のライディングでミス。
ジャックナイフターンから後輪での風船割りで、マジで3連続失敗してしまったのです。




30分持たすのが大変だったはずのデモですが、最後は小川選手が「もう時間がないんだから、早く割りなさいよ!」と黒山選手を叱咤。
追われた黒山選手は最後はズッコケて体で割り、とりあえず笑いだけはとっていました。



今回のモーターサイクルショー、展示会場はかなりの混雑。

日曜日が雨の予報からお客さんが土曜日に集中したのかもしれません。

会場にはもちろん世界中のバイクがいっぱいです。












ホンダのブースには、トニー・ボウ選手のマシンが。




バイクはそれでもそばで撮影が出来るのですが、キャンギャルが出ているブースはプレスパスをもってして近づくことすらできません。


でもまあ色々と頑張りました。






おお、去年も見かけたこのキャンギャルも、無事撮影に成功だぜ!


あれ?こんなところにもガッチと健ちゃん。


と思ったら、ここ、MFJが出したトライアル体験ブース。
外車が何台も並んでいて、スタンディング・スティルに挑戦が出来るのです。


トライアルに親しむという発想はいいと思うのですが、しかしご覧の通りパテーションにはろくな飾りや告知もなく、ポスターくらい貼ればいいのに。
せっかく世界の、おそらく皆さん見たことも聞いたこともないマシンがあるのにスペックの表示もなく、これはせっかくのチャンスがもったいないじゃないですか。
そして、お客さんがスタンディングを体験できるのはいいのですが、誰も指導してくれないので当然全く出来ません。

この人は最初からバランスバラバラの上に、ステップに両足で飛び乗るし


この人はハンドルをまっすぐにしたままという、いきなり超難度に挑戦してしまっています。


これではせっかく出会ったトライアルに対し「難しい」「出来ない」「別の世界」といった悪印象しか残らないのではないでしょうか。
それではお客さんが来れば来るほど逆効果です。
MFJさん、「やった」というアリバイ作りじゃなくて、何を目指しているのかもうちょっと考えようよ。

僕は思わず撮影をやめて、何人かに基本をコーチしてしまいました。
コツさえわかれば3秒くらいは止まれる人もいて、そうすれば「出来た」「面白い」になるじゃないですか。
MFJはなんで僕に、会場で流す「スタンディングのコツ」映像を発注してくれないかなあ(え、憤慨はそこか?)


さて午後になり、デモは2回目。
ところが時間になっても黒山選手が現れません。
仕方なく1人でデモを始める小川選手。2人の掛け合いがあってこそ30分盛り上がったのに、大丈夫か??


ウイリーなどを数分披露したところで、黒山選手登場。
開始時間を30分間違えていたそうで、頭を下げます。


でもこれが黒山選手に火を着けて、2回目のデモはさらにパワーアップ。
小川選手の「どしてそんなに張り切ってん?」の問いに「いや、遅刻したから」と次々大技を繰り出します。


こちらは、ジャイアントウイリー。

リヤフェンダーをこするまでバイクを立てるのですが、TYSはフェンダーの長さや角度の都合で地面に届かないんですね。

今度はこれに刺激された小川選手が、こちらはみごとなジャイアントを披露です。




ジャックナイフターンからの後輪での風船割りでは、黒山選手は自ら風船を持って座り込みます。

小川選手を信じ、自分の股間を危険にさらして遅刻のお詫びです。





風船割りはみごと一発で成功!
でも小川選手はそのあとバックして、きっちり標的にヒットすことを忘れませんでした。




展示会場では、レディースチャンピオンを集めてのトークショーも開催。トライアルからは西村亜弥選手が参加です。


これに目をつけた小川選手と黒山選手。3回目のデモでは西村選手をステージに引っ張り出します。


お仕事は、黒山選手が平均台から飛んで割る風船を持っている役。
亜弥ちゃん、マジで怖がっています。




続いて会場のお客さんに加えての、人間跳びの生け贄。
黒山選手に一番危険な着地点側に置かれて、亜弥ちゃん、マジで怖がっています。




風船割りネタはもうひとつ。今度は小川選手の足の間に置かれた風船を、黒山選手がジャックナイフターンで割ります。
「ここでライバルが怪我をすれば、全日本第2戦の優勝はほぼほぼ僕のものになります!」と言い何回か失敗する黒山選手に、小川選手、マジでビビっています。






そして今度こそ成功!


でも黒山選手もしっかりバックして、ライバルの標的にヒットしておくことを忘れませんでした。


このあとも2人は息のあった技を披露。
極限まで近づいたウイリーターンなんか自分だけのテクニックでは成立せず、本当に相手がわかっていないと出来るもんじゃありません。


乗りに乗った黒山選手、最後は秘技「スーパーマン!」を披露。


「せっかくカッコよく終わりたかったんに」の小川選手の言葉をよそに、さらにおふざけネタ「バイク君待って!!」も。


何はともあれ、この日のトライアルデモンストレーションは大盛況のうちに終了となりました。


いえいえ、まだ終わりません。
今度は舞台を展示会場内のダンロップブースに移して、2人のトークショー。
昨年は「どーせ僕はゼッケン2番ですから」がネタだったこのステージ。
今年は「どうして小川選手は開幕戦で勝てなかったのか、そのへんを鋭く話してみたいと思います」と突っ込む黒山選手に小川選手が守りに徹し、相変わらずの阿吽の呼吸でお客さんの大笑いが続きました。


トークに続くクイズでは、昨年の全日本のセクションを写し、それがどの大会だったのか当てます。


そりゃなかなか難しいだろう、と思ったら、かなりの正解率が続き驚きです。
全7大会が終わっても正解者が多数残り、勝負が着かないほどです。
ほほー、こりゃ皆さん、よほどウチの「スーパートライアル」DVDを熱心に見て下さっているのねえ。
※各大会の映像と毎戦1ヵ月以上格闘している私ですが、恥ずかしながら油断して1問外してしまいましたよ(爆)

勝ち残った方には両選手がその場でサインしたキャップをプレゼントです。




このトークショーやデモの様子は、2017年の全日本日本トライアルDVD「スーパートライアル」に特典映像として収録の予定です。
東京モーターサイクルショーで初めてトライアルを知ったという皆様も、お楽しみに〜。