PRESSMAN GOGO

オートバイスポーツ、トライアルを中心にディレクター生野涼介が日々の気がついた事、取材した時の思いなど、日常のブログです。

2017年全日本トライアル 第3戦九州大会

2017-05-17 11:08:04 | 日々の事
2017年の全日本トライアル九州大会が開催されたのは、大分県に昨年の終わりに出来たばかりだという「玖珠トライアルヒルズ」。


近くにはこんな景色が広がり、黒毛和牛にも出会えるすげえ気持ちのいい所です。






しかしなんで「ランド」や「パーク」という名前ではないのかと思ったら、いやあ、こりゃ確かにヒルズだわ。


本部となった鉄筋コンクリートの立派な建物は、もともと身障者用の施設だったらしいです。

その周りに平坦な駐車場があり、選手パドックやスタート台もここに設置。
この本部周辺はさすがに全日本クラスのイベントでは多少狭いものの、こりゃ快適な環境だわい。


ところがここからセクションまでが、非常に遠い遠い。
細い山道を延々降りて行くんだけど、えっとぉ、降りたって事はあとで登んなきゃならないんだよねえ。


一応後半のセクションは登り坂途中に点在させたり、1ラップ終了後に本部まで戻らなくてすむ設定で工夫をしておりました。
しかし最終セクションから本部までは、急なオフロード登り坂を10分以上の強行軍。

コース途中で休んでタバコを吸っている人がいて、こちらが息を荒げてゼイゼイ登っている時に受動喫煙を食らって思わず殴りたくなったけど、フラフラでそんな元気も出せない状態です。

ようやく最後まで登り切ったところにいたのは、レッドブルのサンプルプレゼントのお姉ちゃん。

長い登り坂でもはや息も絶え絶えとなっている観客は、まるでネフド砂漠で湧き水を見つけたアラビアのロレンス軍のように、ほとんどひざまづかんほどの態勢ですがりつきます。
天使に見えたお姉ちゃん、入れ食い状態でさぞや充実したお仕事が出来たことでしょう。


というわけで移動コースは悲惨でしたが、トライアル場としては非常に恵まれた環境。
泥のターンやヒルクライムが主体で、ステアもあるものの危険度は低く設定されています。


会場は金曜日に豪雨が降ったとのこと、その水が粘土質の地面から湧き出てる状態です。

これは総合的な走破力、耐久力が試される試合になりそうです。

ここに全国から集った選手たちは、104人。
さすがに遠いのかIAやIBはやや少なめでしたが、スーパークラスは14人が揃いました。


今回の見所は、昨年ニューマシンに乗り換えてから負け知らずの黒山健一選手vs4連敗中の小川友幸選手。
黒山選手は「いやあ連勝なんて絶対止まるものですから」と言いながらも、その裏には「止めてなるものか」との気持ちが滲みます。

一方の友幸選手は「ここで勝って中国大会でイーブンに持ち込み、得意の北海道大会で勝ち越し、という計画です」と言いながらも、実は40歳を越えて年齢的にももう勝てないのではないか、とのすさまじい焦りやプレッシャーと闘う日々だったようです。


試合は序盤、いつものごとく黒山健一、小川友幸、野崎史高、小川毅士の4人が僅差で並ぶ展開。
毅士選手は1ラップ目前半トップに立つものの、怪我をした左指が腫れ上がっていたそうで次第に順位を落としてしまいます。


野崎選手もカード接触などが続き、優勝争いに絡む走りにまでは至りません。


トップ争いは、やはり黒山選手と友幸選手。
1ラップ目は抜きつ抜かれつの大接戦ですが、ややリードは黒山選手。



友幸選手は2点を追って、1ラップ目最終の第10セクションにやって来ました。

先に入った黒山選手。土のステアを上がった先でこの状態になってしまいます。

判定は5点。
しかしアウト後黒山選手は審判に「テープは切れていないし前輪も出ていない」と主張し、判定は1点に変わります。

次に入った友幸選手はクリーンしましたが、ここまでの減点は友幸選手の12点に対し、黒山選手は11点。
黒山選手は1点差ながらトップで折り返した…はずでした。

というのは、2ラップ目の途中、先ほどの判定がまた変わったのです。
セクションの形状を大きく変更させ修正が必要となった、と5点の判定。
この結果、1ラップ目トップは12点の友幸選手。
3点を追う立場となった黒山選手ですが、晴天で少し土が固まった第2セクションの泥々登りをただ一人クリーンで抜け、同点に追いつきました。


ところが友幸選手がクリーンする第5で、カードに後輪が接触。5点をとってしまいます。


友幸選手は確かに足は着くものの、粘り強くマシンを前に進め続けます。


黒山選手は友幸選手が2点になる第6をクリーン。




じわじわと迫ってくる黒山選手を意識しながらも友幸選手は耐え続け、2ラップが終わった段階で減点は25点。

黒山選手は4点遅れる29点で、2人の優勝争いはスペシャルセクションにもつれ込みます。


SSのトライは、ここまで2位の黒山選手が友幸選手より先になります。
4点を逆転するために黒山選手はクリーンを狙わざるを得ず、当然走りには無理が出てきます。


結果黒山選手はSSの第1を2点で通過?でも判定は3点。理由を聞いているうちに減点は5点に変わります。

理由はタイムオーバーで、黒山選手の「前輪は出ていた」の主張は通りません。
※アウトポイントでは審判のホイッスルが聞こえにくかったのですが、ビデオ映像で確認したところ、確かにアウト前に90秒を超えておりました。


それを見た友幸選手は足を着きながら3点で抜けます。

この結果最後のSS2を前に差は6点に広がり、ついに2人の勝負が着きました。


勝負から解き放たれた黒山選手は、野崎選手の3点以外全員5点のSS第2で思いっ切りのトライ。
フルパワーで攻めテープをぶち切ってしまい、これで順位もすっきり納得の2位に。


友幸選手は最後まで粘り強い走りでラストを1点で抜け、優勝に花を添えました。


ほぼ1年ぶりに表彰台のテッペンに登った友幸選手。「嬉しい」というより「ホッとした」という表情が印象的でした。




全日本トライアルでは6位までが表彰台に上がりますが、ゼッケン6番の田中善弘選手が不在の今年は、この6位争いが大変な激戦となっています。
今回も試合前日のインタビューでは、斎藤晶夫選手と野本佳章選手が6位獲得を宣言。


1ラップ目の順位は斉藤選手が6位。

野本選手は2点差で7位につけ、2ラップ目の逆転を狙います。


ところがそこに、思わぬダークホース(と言っては失礼ですが)が現れたのです。

1ラップ目の12位からあれよあれよのごぼう抜き。成田亮選手が自己最高位、6位の表彰台を獲得しました。




優勝 小川友幸 減点29c12
2位 黒山健一 39c8
3位 野崎史高 47c7
4位 小川毅士 56c4
5位 柴田 暁 73c4
6位 成田 亮 84c2
7位 斎藤晶夫 87c1
8位 久岡孝二 90c0
久岡選手は3大会連続のSS出場。今回は野本選手も超え、楽しみな選手に成長してきました。

9位 野本佳章 91c1
10位 砂田真彦 95c0
砂田選手は、初のSS出走です。

<以下SS不出走>
11位 吉良祐哉 86c1
12位 岡村将敏 87c0
13位 藤原慎也 87c0
14位 磯谷 玲 92c0

レディースの優勝は、昨年の再デビューから負けなしの西村亜弥選手。

でも帰りの飛行機の都合で表彰式をパスせざるを得ず、壇上には代りにチーム監督が。


門永監督は自分の現役時代を含め、2度目の表彰台だそうです(^^)
あら、女子仲間としては表彰台がないくらいの高さがちょうどいいわよねえ。



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