散歩の途中、Cocoさんの目に
謎の文字が飛びこんできました。
「タス・・・」と書いてあります。
誰かが助けを求めているのかもしれません。
Cocoさんはさっそく、調査を開始しました。
植え込みの陰に、誰かいますね。
怪しい物音や人影に、気づかなかったかどうか、
聞いてみましょう。
そこにいたのは
ヒペリカム=ヒデコートさんでした。
最近この町にやってきたばかりの
外国の人です。
「オー、アヤシイ オトモ ヒトモ
キガツキマセン デシター」
と、ヒデコートさんは
片言の日本語で、首を振りました。
おや。この草木の向こうにも
誰かの姿があります。
この人にも話を聞いてみましょう。
親日家の
アベリア=エドワード=ゴーチャさんです。
「やあ、エドワード。なにかあやしい気配に
気がつかなかったかい」と
Cocoさんが聞くと
「ソウイエバ、ハシリ サッテイク
ヒトカゲヲ ミマシタヨ。
アレハ タシカ 武士デスヨ」
と、エドワートは答えました。
武士を知っているとは
さすが親日家だけのことはあります。
これは貴重な証言です。
「あっ。みつけた。ブシだ」
エトワードの言葉通り
道の先には確かに
シデコ『ブシ』がいました。
「誤解でござる。拙者が走っていたのは
向こうの公園で誰かが
からまれている、という噂を聞いたからでござる」
ブシは、慌ててそう答えました。
公園へ行ってみると
「のむらかえで」ちゃんという、可愛らしい女の子が
遊んでいました。
よく見ると、かえでちゃんの後ろから
真っ赤なツバキちゃんが
のしかかっているように見えます。
かえでちゃんは、ツバキちゃんに
からまれているのでしょうか。
「あら失礼ね。私たちは仲良く遊んでいるだけよ。
ねー」
「ねー」
かえでちゃんとツバキちゃんは
顔を見合わせて、くすくす笑いました。
「からまれているのは
その人のことじゃないの」
指さす方向を見ると
古い木がまさしく、細い他の枝にからまれていますが
「特に困ってはいません」と言うので
これは事件ではないようです。
困ったなあ。
あの「タスケテ」を書いたのは、
一体誰なんだろう。
その時、Cocoさんに声をかけてくるものがありました。
逆さまになった「まるばしゃりんば医」という、
偉いお医者さんです。
もうずっと前から、
世の中を逆さまに見ている皮肉屋ですが
困った時には、知恵を貸してくれます。
「行き詰まった時は、原点に戻って
見方を変えたり、視野を広げたりしてみるといいぞ」
と、良いアドバイスをくれました。
そこで、Cocoさんが最初の場所に戻ってみると・・・。
なあんだ。
「タスケテ」の「タス」ではなくて
「タバコステルナ」と、書いてあったんだね。
確かに街にはあちこちに
タバコの吸い殻が落ちています。
汚いし危ないので
困ります。
タバコのポイ捨てからは
ほんとうに助けてもらいたいものだと、
Cocoさんも思うのでした。
おしまい♪
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