📖本『殺人区画:大量虐殺の精神性』
(叢書・ウニベルシタス)
アブラムデ・スワーン著, 大平章 訳
内容紹介
二十世紀、非戦闘員に向けられた集団的暴力は戦争の三倍以上の人命を奪ったと言われる。ホロコーストをひとつの頂点として、ホロドモールやポル・ポト派による虐殺、ユーゴスラヴィア、ルワンダの虐殺にいたる無数の悲劇はいかなる人びとにより、いかにして実行されたのか。権力者の命令で、あるいは自ら進んで大量殺戮に従事した人びとの置かれた状況と、彼らを殺戮へと駆り立てる方法を社会学的に分析する。
目次
序 文
第1章 序論
第2章 普通の加害者と近代性──状況に条件づけられた合意
エルサレムのアイヒマン──悪の陳腐化
ミルグラムによる、苦痛を与える実験とそのあいまいな結果
普通の人間もしくは普通のドイツ人
大量虐殺と近代性
第3章 同一化と非同一化の広がる輪
同一化、非同一化、および集団形成
原始的同一化──類似性と近接性
出現する国民国家と拡大する一体化の輪
無知と無関心、一体化と非一体化
第4章 人間の歴史における暴力の変容
暴力の前史
歴史における大量虐殺
第5章 ルワンダ──自己破壊的な破滅
植民地主義によって構築されるフツ族とツチ族の分割
他者認識に関するエピソード
フツ族とツチ族──個人的な一体化から一般的な非一体化へ
幻想の結集
ルワンダにおける集団虐殺
第6章 集団虐殺の体制と社会の区分化
国家形成と集団虐殺体制
区分化
大量虐殺の四つの方法
第7章 大量虐殺の四つの方法──事例の歴史
征服者の逆上
帝国主義の大量虐殺
入植者が行った殺戮
メキシコ革命における殺戮
東部戦線の陰で行われたナチスによる大量絶滅
恐怖による支配
ソビエト連邦
中
北朝鮮
一九六五年のインドネシアの大量殺人
グアテマラにおける原住民の大量殺人
敗北者の勝利──受動性から能動性へ
トルコによるアルメニア人の絶滅
ナチス・ドイツふたたび──最終解決
バングラデシュにおけるパキスタンの大量殺人
クメール・ルージュとカンボディアにおける大量絶滅
ユーゴスラヴィアの崩壊
メガポグロム
ドイツの敗北以後、中欧で起きた大量追放と大量殺人
独立と分離以後のインドとパキスタンにおける共同体の殺戮
第8章 集団虐殺の犯人と人格の区分化
共有される記憶、集団的精神性、および非文明化
社会的脈絡における集団虐殺の状況
犯人と他の普通の人々──その違い
気の進まない犯人、冷淡な犯人、熱心な犯人
犯人と他の普通の人々──良心・発動力・共感
精神化と精神化不全──共感とその欠如
「殺人区画」における「精神化不全」
集団虐殺のあとの集団虐殺者
結 語
第9章 結論
訳 註
訳者あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
(👴👨結論を読みたい!
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👩大丈夫。
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👧違うわ、わたしのB.F.は
わたしの座右の友よ。
👩話、変わるけど、今日4/24は、
アニメイト横浜ビブレ店はアニメの
小物の限定販売か何かで大混雑していた。
👧おかあさん、それでどうしたの?
👩いゃあ、なんでもない。
著者等紹介
デ・スワーン,アブラム[デスワーン,アブラム] [de Swaan,Abram]
1942年、オランダに生まれる。アムステルダム大学名誉教授、社会学者。アムステルダム社会科学研究所の共同設立者であり、1987年より同所所長、会長を歴任。コーネル大学、コロンビア大学でも客員教授として教鞭を執り、著書は十数か国で翻訳されている
大平章[オオヒラアキラ]
1949年、広島に生まれる。1972年、早稲田大学第一文学部英文科卒業。1980年、同大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程満期修了。早稲田大学教授。1990年、2001年、2011年、ケンブリッジ大学ダーウィン・カレッジ客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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📖『殺人区画』
感想・レビュー
①社会学者がホロコーストやクメールルージュ、ルワンダ等を手掛かりに虐殺を論じた一冊。先行研究としてはアイヒマン実験、ミルグラム実験等があるが、本書ではそれら権力への盲従等は批判的に論じられている。表題になっている区画とは虐殺を社会一般から隔離する区画にして、殺人実行者を心理的に区別する区画として捉えているのは興味深し。また虐殺の状況を「征服者の逆上」「恐怖による支配」「敗北者の勝利」「メガポグロム」に分類して論じているのも興味深かった。先行研究に異を唱える部分もあるが、この分野に興味あれば一度は読むべき。
2020/09/22
②著者は、「陳腐な悪」という概念、ミルグラム実験、ブラウニングの予備警察101大隊に関する研究などを検証し、大量虐殺の担い手が「普通の人々」だったという説や状況主義的見解を批判する。また、バウマンらに代表される虐殺を近代化や民主政に還元する見方にも反駁している。虐殺には標的集団を画定して隔離する「区分化」を伴うとされ、集団虐殺を「征服者の逆上」「恐怖による支配」「敗北者の勝利」「メガポグロム」に分類している。著者は、
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虐殺者は道徳規範を失っておらず、「2つの役割」を演じた紛れもない「人間」だったと結論づける。
2020/07/04
③社会学者が大量虐殺について考察した本。何といっても、序論のまとまりっぷりが素晴らしい。「大量虐殺に手を染めるのはどういう人なのか」論には、私はさして興味がないが(作者は、アイヒマンが積極的にユダヤ人虐殺に手を染めたのは明らかとして、アーレントには否定的)、大量虐殺を「征服者の逆上」「恐怖による支配」「敗北者の勝利」「メガポグロム」の4つに分類しているのは、非常に興味深かった。
2020/06/28
④メガポグロムの定義は今いちよく分からないし、カンボジア虐殺は敗北者の勝利なのか?(前半は恐怖による支配では?)など色々疑問に思う点もあるが、なぜジェノサイドが起こるのかを考える上で、分かりやすい土台になると思う。題名となっている「killing compartment」については、さして深く語られていないのが少し残念。いずれにせよ、超おすすめ。