おっさんのライフサイズ(classic)

- 過ぎていったこと 選ばなかった道 何もかも、覚めてしまった夢と同じ -  『この世界の片隅に』より

開業初日、九州新幹線に乗ってきた

2011-04-02 19:07:52 | 鉄ちゃん
今回の記事に関して、「こんな時に何をやってたんだ…」と思われる方もきっといらっしゃるかと思います。甘んじてお受けします。書かずに自分の中にしまっておこうとも思いました。でもこれも震災と同じくして、日本の歴史として刻まれ、含まれるべき一部だと思ったので…書きます。非難は覚悟の上です。





東日本太平洋沖地震が起こった翌日、3月12日の朝…自分は九州・宮崎にいました。目的は当日全線開通した、九州新幹線に乗るために。会社の旅好きな女の子の「そういや九州新幹線、開通するねぇ」の一言で気持ちが高ぶり、出張(?)も手伝ってその日は大阪にいるということで、1週間前から綿密な下調べを行って、いつもはすることのない切符の予約も事前に行って。関西-鹿児島間のバスもあるんだけど、あいにく満席。でも宮崎に早朝に着いたら、特急『きりしま』に乗ると2時間で鹿児島へ入れる。これならいける…と、最初はどちらかと言えば楽観的に思っていました。

でも翌朝、南宮崎駅近くのバスセンターに着いた時、自分は真っ先に徳島へ帰ろうと思っていました。神戸・三宮駅をバスが出た時は「きっとどうにかなる」と思っていたけど、車中どんどん後悔の念が出てきて…寝られなかった(自分が通常どこか行く時”叩き台”は作るけど、どちらかと言えば出たとこ勝負で、切符の予約なんかまずしません。でも今回はバスはもちろん、帰りの新幹線まで予約してるし…キャンセルすることで、数万の切符代がパーになると思ったから…結局自分は「目先の守銭奴」なんです)。とにかく宮崎から徳島へ戻る一番早い方法を色々調べたら、結局は鹿児島へ出て、新幹線に乗って神戸へ戻るという事だった…何とも言えない思いで、とりあえず鹿児島へ移動しようと決めた。

しかし宮崎~鹿児島沿岸は、地震の影響で津波警報が出ていたから、海岸線を中心に走るJRは運休…仕方ない。こんなところまで地震の影響があるなんて、信じられなかった。幸い、時間の合う鹿児島行の高速バスが出ていたから、とりあえず飛び乗る。この高速バスは内陸部の高速道路を通るんだけど、しばらくして見えてきたのが…新燃岳。小さいながらも噴煙(らしきもの?)をあげている。

約3時間で鹿児島中央駅に到着。思っていた以上にずっと大きい駅…観覧車までは必要ないと思うけど。とりあえず徳島の無事を確認して、ほんの少しだけ駅前を散策する。仮設ステージやテントもあったけど、さすがに震災の翌日もあってたくさんのイベントが中止されていた。ステージでは新幹線が青森まで1本のレールで繋がるということで、津軽三味線の披露や”ねぷたの引き廻し”も予定されていたみたいだけど…これも仕方ない。何もなく3月11日が過ぎて行っていたなら、こんなことになるはずなかったのに…そんな事を思いながら、時間の限り、周辺を宛もなく歩いた。本当なら夕方まで色々とミーハーなことも含めて動きたかったんだけど…。



でも、新幹線に乗ることだけは十分に楽しもう。それだけは自分の中で勝手に誓った。戻るにしても、この手段が一番早いわけだし。

鹿児島中央駅の新幹線ホームは、駅の構えの割には結構狭かった。8両編成の”N700系8000番台”がやっと収まるくらいの長さ。新幹線を撮ろうものなら、全体はなかなか上手く撮れない。でもそんな事を差引いても、ホームの最後端から見える桜島には圧倒されるし、九州の方々がどれだけこの日を待ちわびていたのかは、すぐに理解できた。結局、鹿児島での滞在時間は1時間30分。「早く帰りたい。でもせっかく鹿児島まで来たんだし…もう少しいたい」。3時間予約を早めたさくら568号は新大阪へ向けて、自分のそんな思いとともにホームを滑り出した。



自由席はお馴染みの3列-2列。しかし指定席になると2列-2列。座席が大きくてゆとりがあり、少し余分に支払うだけで、すごく優雅な気分になれる。これ、いいですよ。そんなことを考えていたら…1時間近くうたた寝。ふと気付けば熊本を出たところ…疲れが出てしまって。あともう少しで博多。


-あのCMの存在をもう少し早く知っていたら、もっと九州新幹線を楽しめたのに。


いつもなら小さな子供のように心躍っていたんだろうけど、地震のこともあって、さすがにそんな気持ちは沸き出てこなかった。この間、どのように過ごしていたのか…あまり覚えていない。地震のことをチェックしながら…関門トンネルを過ぎて本州に入り、広島を過ぎた直後にマツダスタジアムが見えて、岡山に着く間際に先輩の家のあたりを確認し、改修中の見る姿もない姫路城を横目に…あっという間に新神戸。ここまで4時間かかっていない。びっくりするくらいに早い。そこから三宮に移動して、高速バスですぐに徳島へ戻った。大鳴門橋を渡って徳島に入ったとき、今までに味わったことのない安堵感があった。

とにかくいろんな思いが交錯していた今回の旅でした。いろんな意味も込めて、また絶対リベンジします。


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3 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Boaz)
2011-04-03 02:16:02
いいなぁ(^^)
いろんな意味で、忘れられない出来事になったね。
西はとにかく、元気にやってくださいな。


やってくる毎日を、とにかく感謝の思いで生き抜こう。
今日も、ありがとう。。。
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いいですね (照葉子)
2011-04-04 21:00:42
記事を読んで乗ってみたい気持ちがわいてきました。

こんな折でも生まれる赤ちゃんがいたり、満開になる桜があったりするわけですから、それらのすべてを封じ込めてしまうことにも違和感を感じてしまう今日このごろです。(非難は覚悟の上です。すみません。)


関東方面への予定を変更して京都に来られた、海外からの旅行者の方に何人かお会いしましたが、日本の旅を楽しんでいただきたいとしみじみ思いました。
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Unknown (おっさん)
2011-04-09 01:06:49
Boaz兄さん

ここまで複雑な旅になるとは思ってもいませんでした…。
ありふれた毎日を、大切にしないと…ね。

照葉子さん

ご無沙汰しております。
自粛ムード…自分もその部分に懐疑的な部分も、少なからずあるので…。
こっちで出来ることも含め、お互い頑張りましょう。
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