「水のかたち」

2024年02月01日 | 本・よもやま話
これも宮本輝さんの深い、深い、小説です。

読後感を書き表せないので、備忘録として、
裏表紙のあらすじを書き写しておきます。



(上巻)
東京下町に暮らす主婦・志乃子、50歳。
もうすぐ閉店する「かささぎ堂」という近所の喫茶店で、
文机と朝鮮の手文庫、そして薄茶茶碗という骨董品を、
女主人からもらい受ける。
その茶碗は、何と三千万円は下らない貴重な鼠志野だった。
予想もしなかった出会いから、人生の扉が大きく開き始めるーーー。

(下巻)
志乃子は鼠志野の茶碗をきっかけに、骨董の世界へ足を踏み出していく。
茶碗と同時にもらい受けた手文庫には、
敗戦後に命懸けで北朝鮮から三十八度線を越えて帰国した、
ある家族の手記が入っていた。
(これは、事実を忠実に再現したと、著者が後述しています。)

ひたむきに生きる人々の幸福と幸運の連鎖から生まれた、喜びと希望の物語。

* *

(あとがき)
私たちの人生には、予期せぬ災厄や突然の不幸はつきものですし、
思い通りに行かないことのほうが多いのです。
そういう世の習いの渦中にあっても、善き人たちが繋がりあっていくことで、
求めずして、幸福や幸運が思わぬところから舞い降りて来るという体験を、
実際に私は目の当たりにしました。

そのような人たちのつながりによって、
自然発生的に生まれて行く幸福への流れを書こうと思い立ち、
この『水のかたち』を書き始めました。


最後に、作中で何度も引用されるロダンの言葉(高村光太郎訳)を
載せておきます。

『石に一滴一滴と喰い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません。』
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