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労務問題(残業代請求、不当解雇など)を多く扱う顧問弁護士

残業代請求、サービス残業、不当解雇などの労務問題のほか、顧問弁護士(法律顧問)として日々接する問題をまとめていきます。

残業代問題の基礎知識(賃金支払いの原則)

2009-12-25 02:15:33 | 2
顧問弁護士としてよく聞かれるポイントなので、一般論として、賃金の支払いに関する諸原則をまとめておきます。なお、最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から不払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。

賃金の支払いには、通貨払いの原則、直接払いの原則、全額払いの原則、毎月1回以上支払いの原則、一定期日払いの原則の5原則があります。

通貨払いの原則:賃金は通貨で支払わなければなりません。小切手や現物給与は禁じられています。例外として、法令または労働協約に別段の定めがある場合は通貨以外のもので支払うことができます。また、使用者は労働者本人の同意を得た場合には、労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する労働者本人の名義の預金または貯金の口座による振込みおよび証券総合口座への振り込みまたは払い込みの方法によって支払うことが認められています。

直接払いの原則:賃金は、直接労働者本人に支払わなければなりません。労働者の親権者その他の法定代理人に支払うこと、労働者の委任を受けた委任代理人に支払うことはできません。もっとも、本人の使者(例:本人が病気で休んだ場合に妻が賃金を受け取りに来ること)に支払うこと、労働者派遣事業の事業主が、派遣労働者に派遣先の使用者を通じて賃金を支払うことはこの原則には反しません。

全額払いの原則:賃金は、その全額を労働者に支払わなければなりません。ただし①法令に別段の定めがある場合(給与所得の源泉徴収、社会保険料の被保険者負担分の控除など)、②労使協定が締結されている場合(社宅・寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金、組合費など。この場合は、労働者代表との間に協定を結ぶ必要があります)。次の場合は賃金を控除して支払うことができます。

毎月1回以上の原則:賃金は毎月1回以上支払わなくてはなりません。臨時に支払われる賃金、賞与、1ヶ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当、1ヶ月を超える一定期間の継続勤務に対して支給される勤続手当、1ヶ月を超える期間にわたる事由によって算出される奨励加給又は能率手当についてはこの原則は適用されません。

一定期日払いの原則:賃金は毎月一定期日に支払わなければなりません。なお、所定支払日が休日にあたる場合は、支払日を繰り上げるだけでなく繰り下げて支払うことも認められています。また、ここに一定期日というのは、必ずしも暦日を指定しなくてもよく、月給の場合に月の末日、週休の場合に週の末日とすることは問題ありません。ただし、「毎月20日から月末の間」に賃金を支払うといった日を特定しないで定めることは認められません。

以上、不明な点は、顧問弁護士にご相談ください。労働者の方でお悩みの方も、弁護士にご相談ください。
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