労務問題(残業代請求、不当解雇など)を多く扱う顧問弁護士

残業代請求、サービス残業、不当解雇などの労務問題のほか、顧問弁護士(法律顧問)として日々接する問題をまとめていきます。

残業代請求の関連知識(サービス残業について)

2010-03-15 13:13:09 | 7
顧問弁護士(法律顧問)に多い問い合わせテーマをまとめていきます。なお、最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。



今回のテーマはサービス残業についてです

原則的なルールとしては、労働基準法によれば、「1日8時間、1週40時間」を超えた時間外労働については、2割5分以上5割以下の割増賃金を支払うことを原則としています。もっとも、以下の例外があります。
(1) 事業場外労働のみなし労働時間制
(2) 専門業務型裁量労働制
(3) 企画業務型裁量労働制
(4) 管理監督者等

管理監督者について

「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」といいます)については、「労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない」となっています。週40時間、1日8時間といった制限や、週1日は休日を与える義務があるといった労働基準法の規定が適用されず、管理監督者には、時間外労働手当や休日労働手当を支払わなくても良いということです(なお、管理監督者であっても年次有給休暇や深夜勤務に関する規定についての適用は除外されていませんので、年次有給休暇の申請があったときは与えないといけませんし、深夜勤務(午後10時~午前5時)を行ったときは25%増しの深夜勤務手当を支払わないといけません。)。管理監督者は経営者と一体的な立場にあって、自分自身が労働時間についての裁量権を持っているので、労働基準法による保護になじまないというのが理由です。この「管理監督者」というのは、その職務や勤務態様の実態により、労務管理につき経営者と一体的な立場にある者をいいます。単に課長、部長、店長など形式的にその肩書きにより決すべきものではありません。。

年俸制について

年俸制を採用する企業は、その理由を「残業代を支払わなくて済むから」としている企業が多いです。しかし、これは労働基準法違反です。年俸制だからといって残業代を払わないことは、間違いなのです。会社は年俸制にしても、割増賃金(残業代)を支払う義務があるのです。 残業代を支払わなてもよいとされるのは、上記の管理監督者に対してのみです。もっとも、年を単位とした年俸制の総額に、残業代を含めて計算し支給する場合は違法ではありません。裁判例は、次のように判示していますのでご参照ください。
「年俸制を採用することによって、直ちに時間外割増賃金等を当然支払わなくともよいということにはならないし、そもそも使用者と労働者の間に、基本給に時間外割増賃金等を含むとの合意があり、使用者が本来の基本給部分と時間外割増賃金等とを特に区別することなくこれらを一体として支払っていても、…基本給に含まれる割増賃金部分が結果において法定の額を下回らない場合においては、これを同法に違反するとまでいうことはできないが、割増賃金部分が法定の額を下回っているか否かが具体的に後から計算によって確認できないような方法による賃金の支払方法は、同法同条に違反するものとして、無効と解するのが相当である。」

ご不明な点がありましたら、顧問弁護士(法律顧問)にお問い合わせください。そのほか、法律問題でお困りの方は、弁護士にご相談ください。

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