まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

タイル旅金門島 民居探訪(11) 金門城明遺街

2020-07-31 23:19:37 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。

金門城という地名の場所へやってきた。ここはその名の通り、もともとお城だったところ。
と言っても天守閣などがあったわけでもなく、台北や台南や他の都市と同様、城壁に囲まれた城であった。
元~明朝の初め頃、倭寇によって度々民家が放火され略奪にあっていたため、江夏侯の周徳興が民家の周囲に城壁を築いた。
当初「守衛金門千戸所」と呼ばれた城は「金門千戸所城」「金門城」と簡略化した名となり、そこから
「浯洲嶼」とそれまで呼ばれていた島の名前が「金門島」に改められたとか。ここが金門島の名前の発祥の地なのだ!


金門城は、幅約3.2m、高さ約8mの城壁が巡らされ、周長約2km、東西南北4ヶ所の門があった。これは北門である。
この門の外側、つまり城壁外に「明遺街」という一角がある。文字通りなら明の時代のまちなみがそのまま残っている
ということなのだろうが、明の時代は3百数十年前。本当にそのままなのかどうか??明時代の様式を引き継いでいる
ということなのかもしれない。


明遺街は緩やかに湾曲した1本の通りだった。門にいちばん近い場所に建つ建物の一部が、古街故事館として公開されている。
石と磚、レンガを組み合わせた金門島独特の美しい壁。
ここは日本で言う伝建地区になっているようで、今後順次ファサードの修景を行い、整備活用する計画があるようだ。


ここは民宿もやっているので、公開しているのは表側の部屋のみである。
明遺街の建物の最小単位は、表に1室、「天井」と呼ばれる中庭を挟んで奥に1室、という構成である。
規模が大きくなると、奥行は伸びずに間口方向に袖壁を挟んで2部屋、3部屋と増えていく。
ここは通りに面して3部屋あるのでかなり大きい建物と言える。いちばん左端が主屋だからか屋根が一段高くなっている。


この壁のモザイク・・・ため息がでるほど美しいなぁ!


こちら側の條石積みの壁もまた素晴らしい。


3部屋の展示室に、金門城の歴史や建物のこと、地区計画についてなど、図や写真などの分かりやすい資料が展示されている。
明遺街は、この図で上の方にある北門の外側にある。左手は海。


海防の拠点であった金門城は航海の要衝でもあり、人口が増えると共に商業が盛んになり栄えたが、
総兵署が後浦(金城)に移されてから衰退したという。


さて、歩いて行ってみよう。


あっ、ここの家にはタイルがあった!
このお宅は他の集落で見ていたのと同じ3.5合院タイプであり、まわりとはちょっと異質。
これは先のタイプに比べて新しく、清以降だろう。日本製のタイルはもちろん1910年頃以降に持ち込まれたものだ。


残念ながらここは空き家のようだった。そして普通は両側にあるはずだが右側にしかタイルが残っていなかった。


そして、中庭に面した壁にもタイルが貼られているのが、入口の木戸の上からチラッと見えた!
明時代の建物じゃないかもしれないけど伝統建築なのでうまく活用してほしいなぁ~


古いスタイルの建物が軒を連ねていて、確かに他の集落とは違ったまちなみである。


しかし空き家も多く、中を覗くとこんなふうに屋根が抜けていたり、、、(涙)


今も住まわれているところも半分ぐらいある。
さっきの古街故事館の展示でまちなみ整備のビジョンが示されていたが、セメント瓦を全て赤瓦に変え、ビルに建て替わったところは
ファサードを整え赤瓦を載せるような絵になっていた。このようなまちなみ整備にあたっては、復元は最低限にする方がいい。
建物が改変されているのは、ずっと昔から現在までここに住み続けておられることの証で、それ自体が尊いのだから。
全戸テナント化してしまうなんてことは絶対してほしくない。単なる商店街になれば価値が激減してしまう。


どこを撮っても絵になる、長い時を経てかもし出されるこの自然な美しさを保ってほしい。








反対側の突き当たりには廻向殿という祠があった。きれいに手入れされ、賑やかな飾りがぶら下げられているのを見ると
ここに暮らす人々の信心深く誠実な姿が思い起こされる。


さて、場内を見ていこう。


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(10)

2020-07-30 23:39:13 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



道が突き当たったT字路の両脇に割と大きな集落が広がっている。ここは昨日の夕方水頭へ行く途中にもちょろっと
立ち寄ったのだったが、今日端から順に見ていってもやっぱりタイルはないなぁ。でも素敵な民居はたくさんある。


建物の隙間を縫っていくと、きれいなレリーフのある民居の前に犬がいた。あっ、あんた昨日も会ったね!
覚えているのかどうなのか、私を見て嬉しそうに笑っている。
そっと近寄り手を差し出すと、、、お手をくれた。あら、いい子ちゃんね!


ここのレリーフは左右とも完璧に美しかった。これは磚を彫ったものか、泥塑と呼ばれるものか、交趾焼なのか、、、
よく分からなかったが、、、淡い色合いが優美。


金門島によく見られる模様で、龍や雲が見えるほか、中央は鼎をかたどっているのだろうか。
額縁の四隅には蝙蝠が配されている。いろんな意味が込められていそうだ。


他にも、タイルではないが美しい装飾のある民居がたくさんあった。壁に直接描かれているものが多いが
剥がれたり欠けたりせず美しく保っているのは住んでいる人のお手入れの賜物。


マジョリカタイルが入ってくる以前はこういうのが伝統的な装飾だったので、ここの集落に住む人々はある意味
保守的だったのだろう。新しい流行にとらわれず先祖伝来のやり方を貫いてきたわけだ。

広い集落の端から端までうろつき回ったが、結局タイルは見つからなかった。

ちょっと農道みたいなのどかな道を走っていくと丘の中腹にひっそりとした集落があった。現代の家が目立つが
奥に少し伝統民居も残っているようだ。ゆるゆると入って行き、一番奥の外れまで行くと、一軒の家があった。
前庭をそっけない鉄板で覆ってガレージ兼物置のようにしてあるが一応伝統民居だ。


近寄って行き陰になったファサードを見ると、、、うわっ、やっぱりあったよ!


しかも、これは珍しい!興奮を抑えつつ、前にいたおばちゃんにちょっと写真を撮らせてほしいと頼むと、
不思議そうな顔をしながら、写真?はいはいどうぞ、と。ありがとう〜


おぉ、これは、金城で見た民居にあったものと同じ、ハイジ風のタイル。まわりのタイルも見たことがないかも。
独特の雰囲気をもつこれらのタイルは、アールヌーボーというか、、ユーゲントシュティールなのか??
これは日本製なのだろうか。。







トタンの前室を抜けて反対側から見ると、立派な閩南式の民居であることがよく分かる。


窓上のまつげと眉毛のタイル(笑)

いやー、外から見るとほとんど見えない、ガレージの中の玄関にこんなすばらしいタイルがあったとは・・・
あぁ我ながらよく見つけたものだ。。

観光地へも立ち寄る。こちらは燕南書院。金門島で最初に設立された書院=私立学校であった。


各界で活躍した多くの「先賢」を輩出した、らしいことが書かれたパネルが展示してある。


あぁ、いい眺め。


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(9)

2020-07-28 23:28:19 | ディテール
2019年9月の台湾金門島の続き。



今日は夕方台北へ戻るのであまり遠出をせずに近くのエリアを回ることにしよう。


こちらの集落は規模が小さく全部で15軒ぐらいだろうか、きれいな配列で並んだ民居は、石の壁の陰影が美しい。
ここも同姓集落で家廟もある。石積みとれんが積みを組み合わせた3.5合院民居は惚れ惚れする美しさ。
ちなみに「3.5合院民居」とは私が勝手に呼んでいるだけで正式名称ではないので、あしからず(笑)。
正式名は一落二欅頭(正しくは「欅」ではなく違う字)というようだ。


石積みと言ってもいろんな積み方が見られる。規則性のない乱積みも角部分だけは算木積みっぽく積んであるな。
オレンジ色っぽい花崗岩がよく使われている。


そしてこちらのお宅は・・・タイル発見!柱頭の部分に四枚のタイル。果物盛りカゴ柄だな~


とても控えめ・・・棟の部分は無地とプリントタイル、それにモザイクタイルがあしらわれている。


そして、、、もっと本格的なタイル民居があるはずと思っていたが、、、、やっぱりあった!


入口脇の壁にグリーン基調でまとめたタイルコンポジションが!


中央のタイルは1種類だが、上・下・左右のボーダータイルに変化をつけて。




そして窓の上の、まつげと眉毛部分のタイル。中央の青と紫の蘭の花のタイルが目を惹くね!


そしてさらにこのお宅ではレンガの装飾もタイルと併用されている。レンガを彫り込んだり並べて模様を作る
レンガ装飾は閩南式民居によく見られる手法。彫った部分にモルタルを埋めて現れた文字は・・・何と読むのかな?(汗)


卍や双喜文を組み込んだおめでたい模様。まわりの磚も凝っている。まるで寄せ木のようだな!


おや、こちらは微妙に色の違うレンガを嵌めこんであるようだが、コントラストが小さく文字や模様が
よく分からない。


朝イチでこんな素晴らしいタイル物件に出会えるとはラッキーだな!


さて次は・・・こちらも通り過ぎてしまいそうな小さな集落だったが、、、、おぉ~~っ!これは!


これはまた美麗物件じゃないの!!緑色の風車のようなタイルと、台湾花磚博物館のロゴマークにもなっている
淡い色あいの七宝つなぎ文の組み合せ。四隅の黄色が効いてるね!!




垂直面の壁のタイルは、風車ばかりと思っていたら、違う模様も混じっているな!色が同じなのでぱっと見
わからなかった~~


まつげのタイル。これも並べて貼るとイメージが大きく変わるタイルだ。


あぁ素晴らしい。こんなタイル民居を朝っぱらに散策途中で見つけたら本当にテンション上がるよね!!


続く
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タイル旅金門島 金城のお宅訪問

2020-07-21 23:39:58 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



さて金門島での3日目、今日が最終日だが、台北へ戻るのは夕方の便なので丸一日ある。
今日も朝ごはんを探しに行こうと市場の方へ向かって歩き出す。日本ではいつも朝は余裕がないけど、
買い物に来てるおばちゃんたちにまぎれてふらふら歩くと気持ちが柔らかくなるなぁ。

あっ、天生堂薬局の2階にタイル発見!昨日は見過ごしていたなぁ。朝っぱらから幸先がいい(笑)。


面格子もカワイイ。


市がたつ莒光路の裏手には平屋建ての閩南式民居がひしめいている。迷路のような路地。
針の穴から水が漏れ出るように、地元の人は抜け道を通り抜けてまちの中へと消えて行く。


ちょっとおなかが痛くなってきて、トイレを借りられそうなところがないかとうろうろ探していたら(苦笑)、
うわっ、またタイル民居を発見!


この道は通ってなかったなぁ。ちょっと筋が違えばもう全く風景が違うのだから油断できない。


美しい小品。タイルも状態がいいな!


入口の踏み込みが浅く玄関まわりは簡素な造りは町家仕様なのだろう。


入口脇のタイルはプリントタイルだけど、色柄共に斬新でレンガ色とマッチしているな!!
周囲を赤でパキッと引き締めているのもいい。


バスターミナルのトイレに行った後、続けてそのあたりをうろうろ。細い路地を歩く。


入口脇に絵タイルの貼られた家。


そして・・・フェイスブックで見ていたタイルスポットを見に行く。
門扉の格子の間から覗いたら、、、おお~~っ、すごいぞ!!道路から見るとこの建物の正面は横を向いているので
ぱっと見てもよく分からないのだ。


これは近くで見たい、見たい!物欲しげな顔で(笑)鉄柵ごしに眺めていたら、入れてもらえた!うゎ~~い!


入口脇に貼られている大柄のタイルは、深坑の永安居に色違いが大量に貼られているのだが、広い面積でこそ映える柄だ。
円形に見えるが近くで見るとギザギザであり、私はこれを織物モチーフだと思っている。


そして、柱頭部分に貼られているこのタイル、何これ、日本では見たことがないなぁ~~!?
台湾でも、金門島でもあまり見かけない。(シンガポールでは見たっけ???)


ヨーロッパの童話を描いたような珍しいタッチだが・・・日本製のタイルなのか??


開いた戸口から中をちらりと覗いたら、うわーっ、テレビの後ろの壁に、、、タイルが~~っ。
四合院の門庁は長屋門みたいな建物で、中央が玄関の間であり気軽なくつろぎ部屋として使われる。
ここの住人にとってこのタイル壁は、ずーっと昔から家族団らんの場の背景としてなじんでいる。
かわいいおばあちゃん、中国語でいろいろ話してくれるけどほとんどわからない(汗)。
それでもうなづきながらにこにこ聞いていると、なんだか分かったような気になって、気持ちが通じた気になる。


門庁の裏には天井と呼ばれる中庭があり、その奥に正庁があるのだが、ちらりと覗くと、イタリアンタイルのような
青いプリントタイルが壁一面に貼られていた。それはそれで壮観!

ここには同じ形の建物が2つ並んでいて、隣のお宅もすごかった!!


王金城洋楼と同じく、4枚組み絵タイルを6セットも並べて貼ってある。梅とウグイス、周囲には松葉のタイル。
ここは親戚なのだとか。


柱頭の部分には牡丹と蝶のタイルがあしらわれている。


同じ牡丹のタイルが8セットも!そしてその隣には、松葉のタイルばかりがずらりといちめんに貼られている。面白いな!


あぁ、素晴らしい。ひと目につかないところでもタイルは大切にされているのだ。。。
非公開の個人宅のタイルを垣間見ることができて本当にラッキーだったなぁ!謝謝!
あまり長居せずおいとましよう。おばあちゃん、にこにこしながら見送ってくれた。あー朝からほっこりした気分。

ふと、朝ごはんを食べてないことに気づく(苦笑)。もうタイルでおなかいっぱい。適当でいいや!
ドーナツみたいな揚げ物を買って帰って宿で食べた。
帰りに見かけたプリントタイル。この手のプリントタイルもまたカワイイんだなぁ~~




今日の朝散歩はゆっくりしたのでちょっと遅めの出発。宿をチェックアウトして、荷物をレンタルバイク屋へ預けに行く。
夕方バイクを返したらそのまま空港まで送ってくれる手はずだ。助かる~~!
身軽な体でまた電動バイク旅に繰り出そう。

続く
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タイル旅金門島 水頭再訪2日目(2)

2020-07-20 21:57:19 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



もう頭に入っている水頭集落内のタイルスポット。順番に見てきてようやくこの水頭の奥座敷、黄天露宅にやって来た。
やっぱりここは タイルの枚数も見映えも水頭でいちばんの物件だな!


かなり大きな規模の邸宅で、門庁のある四合院の左側に細長い中庭を挟んで護龍がプラスされた丁字楼という形。
護龍の妻が前面に現れ、奥に洋風の小楼がついているのが特徴的だ。妻の形は数種類あり、これは「水形」と呼ばれる。
この妻の中心と窓の中心がずれているのが気になるが(苦笑)・・・全体で見たバランスなのだろうか。


間口が広い分タイルを貼れる壁が多く、入口脇、窓の両側、軒まわり・・・開口部と柱以外の場所はすべて
タイルで貼りつくされているという感じ。ほんとにすごい!!何度見ても惚れ惚れする~~~


こんなすごい建物で民宿をやっているのだから、ここに泊まらない手はない。
実は私も前回ここに泊まろうと思って早々に問合せたのだが、早すぎてまだ予約を受け付けていないと言われ、
1ヶ月ぐらい前になって再度予約しようとしたらもう満室だったのだ(汗)。
尚、そのあとに予約した鳳毛麟趾も素晴らしい宿だった。今回はフットワーク優先で金城に泊まっている。




しかし、よく見るとこのタイルの中にはレプリカも混じっている。こちらがレプリカ。


こちらが当時のオリジナル。並べて見るとよく分かるね!


この前にある駐車場はいつもいっぱいでやはり人気が高いようだ。
ご主人が外に出ておられたので挨拶すると、中が見えるように入口のドアを開けてくれた。
ここに泊まりたかったのだけど・・・と話をしていたら、内部も見ていいよと招き入れてくれた!


遠慮がちに門庁の中に踏み込むと・・・おぉ~~~っ!!
左右の壁は腰までレンガ積みなのだが、その中央部に鮮やかな彩絵に縁取られたタイルがあった!


縦に3段、横9列。左右のパターンは同じだった。


さらに中庭へ進むと正身の入口があった。


そしてここにも・・・家の子供たちが宿題をしているところにちょっとおじゃまします・・・(笑)
うひゃぁ~~~!


こちらは門庁の壁のタイルよりもさらに面積が大きく、縦に4段、横に19列のコンポジション。
使われているタイルは左右で若干違うな。ここのは全てオリジナルと見える。
泊まっている旅人はこの部屋でもくつろぐことができるのだ。あぁなんて贅沢な空間!!


また次に来る機会があったら、一度は泊まってみたいなぁ!


こちらは黄乃甫番仔厝。ここも民宿のプレートが掲げられているが、いつ見てもドアは閉ざされ、お客が
泊まっているような気配はないんだけど、、、たまたまかな。


こちらも入口まわりに組絵タイルや四枚一組の大柄タイルなどかなりゴージャスなタイル装飾があるが、
ここのはほぼ全部レプリカと分かっている。
それは前回、民宿ならばと玄関先まで行ってドアを叩き呼んでみたときに、間近で見たからである。
ちなみにその時も人は出てこなかった。


今まで見てきた手描きのレプリカよりもつくりが粗く、
前回行った山后というところで民宿のファサードに貼られていたタイルと同じものと見える。
近くで見ると正直あらが目立ち気になってしまうので・・・このくらいの遠目で見るのがいいかもね(苦笑)




そしてこのあと、前回ゴハン難民になっていた私に自宅でラーメンをごちそうしてくれたおっちゃん宅の前を通ってみた。
すると、あのおっちゃんは同じように家の前にいたので声をかけ、覚えているかと聞いたら、最初は分からない
ようだったが、ラーメンをごちそうになった、と言ったら思い出したようだ(笑)。お礼を言ってから立ち話。
「こっちに住んでいるのか?」「いえ、また旅行に来たんです」「どこに泊まっているんだ?」「今回は金城に」
「今日はもうご飯を食べたのか?」「いえ、まだ」「よし、じゃあまたラーメンを食べていけ!」
・・・ということでまたごちそうに(笑)。あぁ、親切な人だなぁ~~ありがとう~~~


電動バイクで金城へ戻る時にはもうすっかり真っ暗になっていた。

2018年7月に行ったときの記事

続く
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タイル旅金門島 水頭再訪2日目(1)

2020-07-19 23:34:21 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。

浦邊集落まで足を伸ばしたが、これ以上奥へ行くとまたハマって帰れなくなってしまうので(笑)今回はここで引き返す。
早めに戻って、昨日の夕方再訪した水頭集落の残り半分も見て回ろう。


水頭は前回来たときに端から端まで見たのだが、カメラのホワイトバランスの設定を失敗して、後から見ると
すべての写真がすごく変な色になっていて、、、ブログ用の写真は少し色の修正をしたけど、撮り直したかったのだ。


昨日の夜のインスタ映えスポットも昼に見ると普通の広場だ(笑)。黄輝煌洋楼のちょっと奇怪な望楼「得月楼」も健在。


このあたりは洋楼がたくさん集まっていて面白いまちなみだ。公開されているところもあり、この風獅爺風物坊も
前回は入って2階にも上がったが、今はもう時間が遅く閉まっている。
この黄永遷、黄永鑿兄弟洋楼は水頭で最大の洋楼群。1934年築。




こちらは1936年築の僑郷文化館。2階の壁全体に格子状のレリーフがある。まるで網をかけられたようだ。


伝統的な民居も美しい姿で残っている。


そして現在民宿になっているこちらの建物。ちょっと段差のあるロケーションがまた絵になるね。


ここは平屋建てでまちなかなので庭に面したテラスなどはなく、普通の閩南式伝統民居と変わらないが
上を見上げるとやはり洋楼である。


ハチマキのマジョリカタイルはとても種類が多くて、みなバラバラ(笑)。


入口脇のタイルも多種のタイルがふんだんに使われていて楽しいね!




一枚一枚、それぞれが個性を主張する柄なのだが、こうやって並べて貼ってもなぜか仲良く共存する。


ところで前回も書いたが、こちらはほとんどがレプリカタイルである。よく見ると柄が手描きで、全部違っている。


こちらはオリジナル。


もともと貼ってあったタイルは傷んだのか、どうしたのか、、、分からないが、新旧賑やかに取り混ぜて
金門の洋楼スタイルを保っているのだ。オーナーさんには敬意を払おう。


太陽の光を受けて、タイルたちは何と誇らしげなことか。


こちらは伝統民居に貼られたタイル。




紫色のタイルがこの家の個性を印象付ける。


これらの和製マジョリカタイルは貼られてこのかた、約100年の月日が流れているはずだが
ここのタイルはとても状態がよくて、割れ欠け、汚れもまったくなくつやつやしている。
住人の方が毎朝手入れをしているのだろう。建物の佇まいも含めて完璧じゃないか!?


金門島は日本統治時代も日本の統治を受けていなかったらしく、台湾本島各地に見られる日式建築や日本文化の
片鱗はここでは全く見られない。それでもタイルだけは入って来たというのは面白いことだ。




伝統民居は規模の違いはあるがどの家も決まった形で作られており、良く言えば素晴らしい様式美を見せる。
悪く言えば変わり映えしない(苦笑)。だからこそファサードの装飾は各家で趣向を凝らしてきたのだろう。
装飾を施す場所も決まっているが、家ごとに本当に多様なタイル使いをしている。その家を象徴するような
個性的なタイルセレクトをして、ファミリーヒストリーを盛り込んだり意味づけをしたりしてきたことが感じられる。


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(8) 碧月軒

2020-07-18 23:42:54 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



前回も訪れた浦邊にやってきた。ここには有名な物件、碧月軒がある。
ほとんどの金門島の洋楼は、日本の「ベランダコロニアル」建築のように正面側にテラスとベランダがあるのだが、
これは珍しくベランダのないタイプの洋楼である。


風水において家は南面することを基本としているから、正面側にベランダが作られるのは理にかなっている。
ベランダがないとちょっとのっぺりして何だか閉鎖的印象を受ける。


そんな平らなファサードの2階の上方に横一列にタイルが貼られている。
平らとは言っても、両端と中央に4本の柱形が出っ張り、装飾壁と欄干も凝っている。


タイルの色柄を効果的に見せるためか同じものを数枚ずつ並べていることが多いが、ここでは違う柄のタイルを
1枚ずつ並べている。カラフルで賑やか。まるでチロリアンテープを縫い付けたみたいだ。




近くにはこんな洋楼も。人は住んでいないようで木製の建具などはすべて取り払われているため、外からでも
2階の雰囲気などがよく分かるな。


私が今まで見てきたところでは、こういった洋楼は石かレンガ積み(ちょっと新しいものはRCか)構造が多く、
壁は漆喰やモルタル塗りか磚貼り。床は磚敷き。木部は梁や屋根の下地、建具などわずかで、日本の家の
ように畳や床の間のような造作もないので、一度風雨に朽ちても、手を入れやすいだろう。
形をとどめていさえすれば、とりあえず放置でも、今後活用できるポテンシャルは高いのだ!


「黄色いレンガ」ならぬ「黄色い磚」が目を惹く、浦邊周宅。


平たい磚の間の目地として、窯で焼く時に積み重ねたことによる斜め縞のついたレンガや磚が使われることが多いが
ここで使われている模様入りの磚は、拡大して見るとどうも手描きのようだ。


こちらは周氏家廟。


ここにもタイルが貼られているが、これはレプリカタイル。




物語が詰まった、あるお宅の妻の装飾。


金門島の「風獅爺」。強風を静めたり邪気を払うという願いをこめて集落の入口に立てられている。


前にも見たお宅をもう一度見に行く。
・・・思い出すだけでも悲しいのだが、前回、ここを写した写真が丸ごとそっくりデータが消失してしまった。
当時買い替えたばかりのカメラが、ちょくちょくエラーを起こし、電源スイッチすら効かなくなるので電池を
抜いて強制終了させては再度電源を入れる・・・ということを繰り返していたのだが、旅の間も何度か同じ症状が出、
ここを見たあとにも強制終了させた覚えがあった。
もしかすると、気づいていないが他にも消えてしまったデータがあるかもしれない。・・・いや、その可能性大だ。


旅に出る前も帰ってからも、販売店やメーカーのサービスセンターに何度も相談し、修理もしてもらったが
一向になおらず、こんなカメラを使い続けるのは怖すぎるので、販売店に交渉して返品し、別のメーカーの
カメラを買ったのだった。


・・・で、リベンジ。ベビーピンクとグリーンで統一されたタイルが優しい雰囲気。


しかし前回と同様日差しが強すぎてコントラストが強すぎて、、、あまりうまく撮れなかったなぁ。。。(汗)


前回訪問時の記事

続く
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タイル旅金門島 民居探訪(7) 王金城洋楼

2020-07-17 00:35:52 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



后宅集落の中に、マップにも載っている有名な洋楼がある。実は前回、ここのすぐ近くまで来たのに
チェックしておらず通り過ごしてしまったのだった。.


それがこちらの「王金城洋楼」。本当にお城のようじゃないか!


華麗な装飾がたくさん。装飾壁はレンガを積んでモルタル塗りということが分かる。
「中華民國廿一年」と読めるから、1932(昭和7)年築だな。


そしてここには素晴らしいタイルがあるのだ。1階の窓のまわり、右、左、上の壁にマジョリカタイルがびっしりと!!


窓の右側には、雷文タイルに囲まれて鶴の4枚組み絵タイルが8セット!!


窓の左側には、花綱タイルに囲まれて牡丹の4枚組み絵タイルが8セット!!
その上に眉毛のように横1列にタイルが貼られ、さらに天井近くにもずらりと1列並べられている。


この組絵タイルは4枚で完結する。「春山」という銘と落款のようなものもデザインに組み込まれており、
絵画を飾るように4枚セットで貼ることを想定して作られたはずである。にもかかわらず、ここではそれを
8セットもずらりと並べて空間を埋めている。こういう使い方は日本では全く見ないが台湾ではときどき目にする。
また瓊林で見たように、ABCDのパーツからなる4枚セットの組み絵タイルをバラして、Aばかりを並べて貼る、
AとBを繰り返し並べる、などの使い方も。日本のメーカーは全く想定していなかった使い方に違いない。
あぁ何と独創的。
台湾には手描きの絵を焼き付けた彩絵タイルがある。台湾人にとって、モールド(型)で作られている日本の
マジョリカタイルは絵画でなく、あくまで模様だと認識されていたのかもしれない。面白いなぁ!


さらに注目すべきは、このレンガ色の壁の地模様。
レンガと同じ材質の平板である「磚」を加工して寄せ木のように組み合わせ、いろんな模様を作り出す。
亀甲模様や格子などはよくあるが、ここまで複雑なものはなかなかないだろう。焼き具合によるわずかな
色の違いを生かして、織物の陰影のような控えめで上品な地模様にしているのである。




同じものが入口の右側にもあるのだが、モノが置かれていたりして近づけない。


入口から部屋の中を覗いてみたら、室内の壁にもタイルが貼られていた!!果物柄と、また鶴の組み絵タイル。
反対側は牡丹だろうか。外されたドアなどが立てかけられていてよく見えなかったが、危ないので中まで
入るのは止めておく。


蓬莱山を模した水場(?)






ここは空き家だが一応管理している人がいるのか、荒れ果ててはおらず、前庭もちゃんと草が刈られていた。
維持費は政府から出ているのだろうか。最低限、毀損されたりしないように管理してほしいから
多少入場料を取ってもいいんじゃないかな。。


私がここに行ったとき日本人の夫婦もタクシーに乗って見に来ていた。その人たちもあちこちの洋楼を見て
回っているという。GOOD LUCK!!


后宅集落にはこんなラブリーな平屋建ての洋楼もあった。柱間をつなぐアーチをモザイクタイル貼りの雷文で
飾ってあったり、テラス部分の欄干がひし形のデザインだったり、とてもおしゃれ!


これを見ると閩南式の民居の正面側をアレンジしてあることがよく分かる。
どこまでも基本形に忠実な閩南式の民居だが、洋風のエッセンスを取り入れつつ完璧におさまっており、
閩洋折衷スタイルのひとつの完成形だと思える。


集落を出るとき王金城洋楼を振り返って見ると、、、入母屋屋根!?


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(6)

2020-07-16 00:14:11 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



「宗祠」は先祖を祀る建物であるが、こちらの宗祠は屋根のバランスが本当に美しくカッコイイ!そしてちょっと変わっている。


赤い平瓦を積み重ねた普通の屋根に、端の方だけ日本の本瓦のような半円筒型の丸瓦が載っている。
そしてそれが緑色の釉薬がかかった瓦なのだ。オレンジ色に緑色でとっても目立っているな。


釉薬のかかった丸瓦なら雨に強いだろうから、より高級仕様なのだろう。
しかし、閩南式の建物で施釉瓦は見ない気がするし、ましてや緑釉の瓦なんて。この瓦はいったいどこから来たのだろう。
寺廟建築はあまり意識して見ていなかったが、施釉瓦が使われるのも一般的だったのかな。。。




ここも美しい石積みの民居が多いが、空き家で屋根が落ちているところもあり、心配。。。




あっ、見つけた!美しい3.5合院(笑)の民居の入口の両側の妻壁に、水平に一列、タイルが貼られている。


妻壁のレリーフが大きく見映えがする。


果物が山と盛られた盛りカゴ柄。中央には牡丹のスペシャルエンボスタイルも。
正堂の棟の部分にもタイルが貼られているのが見える。数は多くないが華やかで幸せに満ちているな!




そして、馬の背のように丸く湾曲した妻壁のフォルムに沿って、瓦が壁から垂直に突き出すように取り付けられている。
このひさし状の瓦は三重の平行線となって妻から入口上まで続き、さらに反対側の妻までずっと連続している。
何とモダンなんだろう!!
これはやはり雨水を壁に垂らさないためのひさしであり、重なる数が多い方が水切り効果が高いだろうから、
3重にしてあるというのはかなりの高仕様。タイルもあるし、このお宅は特別な人の住まいだったのだろうな。


さて、后宅集落の入口まで来ると、集落の外の道路に面して宗祠が建てられていたので、すぐタイルが目に入った。


入口のすぐ脇の壁に、ポップな色使いと模様のマジョリカタイルが、左右に各12枚ずつ。




ここにもタイルがあったが、どうもこれは日本製ではないような雰囲気。中国やアジア製のタイルのように思う。




さて、この后宅集落には有名物件があるのだ。それを探しながら集落内を進んで行くと、平屋建てのかわいい洋楼を見つけた。


小さいが凝った意匠が満載。
中央に立ち上がった装飾壁から続く欄干は途中でくねり、中国風の書巻装飾のような形になっていたり、
左右の窓の上のひさし状のモールディングもとても変わった形。かなり独創的に遊んでいるな!



そして果物柄のタイルも見逃さない!・・・我ながらよく見つけた。私の目はタイル仕様になっているのだ(爆)


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(5) 瓊林

2020-07-15 01:50:18 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



この瓊林集落は前にも来たが、前回カメラ設定がおかしかったので撮り直すために再訪。


ここも水頭と同じく、普通に住民が住んでいるが「文化聚落」として登録され、美しいまちなみを観光の売りにしている。
もちろん家の中や敷地内に入るのはNGで、路地を散策するのみ。
前回見た物件ももう一度見てまわる。


こちらは4枚1組の風景デザインのタイルをあえてバラして使ってある、面白い物件。そう来るか!!と新鮮な驚きがある。




そしてこちらの物件も、グリーン系のタイルがとても美しい。


入口の両脇と鉢巻き状に一列に、タイルが貼られている。


すべてのタイルに緑色が入っていて、全体としてとても調和している。センスいいなぁ!!




もう完璧!非のうちどころがない。
・・・しかし1枚だけ、タイルが欠けているところがあるのだが、わかるかな?中央の八芒星のタイル。
なくなったところに、手描きでタイルの模様が描いてあるのだ!




あぁ素晴らしいタイル民居、永遠なれ!


そしてこちらも前回見つけた物件だが、相変わらず開いていないな。。。


高い塀越しに、軒下のタイルだけがわずかに見える。
メンテナンスを念入りに行っているのだろう、塀も壁も屋根も、とても美しく惚れ惚れするお宅だ。


さっきのお宅とタイルのラインナップが似ているな。同じ一族だろうから、入手経路も同じなのだろう。




前回、集落内をつぶさに歩いてこれら3軒のタイル民居を発見したのだが、今回、新たにもう1軒発見したのだ!!


何と、上の写真のお宅のすぐ近くだった。うわぁ~~私の目は節穴だったなぁ!


それがこちら。紫色のドアがめちゃくちゃ目立っている~~


近寄ってみると、タイルのまわりの額縁も紫色!そしてど派手な花柄のペイント!
しかしその中のタイルも負けていない。ターコイズブルーの地色に濃いピンクの花柄のタイルで対抗。タイルは1種類のみなので
派手な色同士だが意外とすっきりしている。すごいセンスだな!!


横の垂直面のタイルは、ターコイズブルーとグリーンを取り入れつつ白地の入ったおとなしめのタイルでバランスを取っている。


軒下のタイルも、グリーン基調でコーディネイト。入口まわりが派手なだけに種類数を抑えてすっきりと。




あぁ素晴らしい!この瓊林集落は文化聚落に登録されているから補助金が出るのだろうか。
どこの家も手入れが行き届いていて、しかもわざとらしい修景ではなく、自然で伝統的な景観が保たれている。


こんな畑の中にも石積みのシェルターが・・・


前回の瓊林 Qionglin の記事

続く
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タイル旅金門島 民居探訪(4)

2020-07-14 01:03:13 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



次に見つけたこちらのタイル民居もまた極上物件だ!


入口脇のタイルは珍しく左右で全く違う色柄が使われている。左側は鮮やかな緑色と若々しい水色のタイル。
一方右側は茶色とグレーでコントラストが弱く、ちょっとボヤッとした感じ。。。しかしどちらも4枚1組で
大きな円形が現れるデザインが共通している。


道路から垂直面の壁はプリントタイルが使われているな。


この緑色の4枚1組のタイルは京都の船岡温泉の天井近くにずらりと並べて貼られているタイルと同じだ。
このタイルもあまり多く見かけないもので、特別感が感じられる。


これはレリーフタイルなのでグラデーションが美しく、単純に色分けするチューブライニングタイルよりも表現が豊かだ。
華やかな大柄、気品のあるダークグリーン。
それに濃色のベタ部分が大きいので色むらなく仕上げるのは技術が要り、レプリカを作るのもそう簡単ではないだろう。
このタイルは他のタイルよりも付加価値がついて値段も高かったのではないかと想像する。


その上のタイルもレリーフタイル。


屋根の棟や軒下など遠目の場所はプリントタイルが使われている。メリハリをつけたタイル使いだな!


こちらはマジョリカタイルはないのだが、壁の磚のパターンがとても美しくて目を惹かれる。


レンガ色ばかりの壁でも目地の模様で変化をつけてあり単調にならない。


入口の両脇のレリーフは石彫と思うが、まわりの薄いオレンジ色の部分は、テラコッタかな??




このお宅はひときわ古そう。腰から下が石積みでその上は素朴な土壁。そして壁から梁が突き出し桁が外に出ている。これが正面側。


この石積みの小屋はシェルターだろうか。


パッケージ化されたような民居。1軒で完璧な美しさをもつ。


三合院の正面に塀を作ったような造りで、門庁のある四合院とも違う。いわば3.5合院だな(笑)


このような小さな家が並ぶさまは塔頭寺院を思わせる。


集落内には祖先を祀る廟が必ずある。


洋楼も金門島特有の民居のスタイルである。


どうしても迷い込みたくなる魅惑の路地。


本当に美しくて魅惑的な集落だが、このような地下通路への入口ドアがまちかどのそこここで見られる。。


中国との戦闘は一応終わり地下通路も役目を終えたのかもしれないが、いつ何時また使わなければならなくなるかもしれない・・・
そんな緊張感を、観光客に開かれて25年経っても全く荒れ果てていないこのドアを見るとき感じるのである。


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(3)

2020-07-13 01:18:38 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



また別の集落にやってきた。こちらの民居の入口脇の装飾パネルは、交趾焼とみられるカラフルに着色された焼き物を並べて
レリーフのように平たい模様が作られている。


額縁の部分にも同じ焼き物の小さなモチーフが散りばめられている。
こういった装飾は、日本からタイルが入ってくる以前に伝統民居を飾っていたものだが、淡陶の形象タイルと似ている・・・
淡陶は交趾焼を参考にしたのだろうか。色合いも淡陶の前身である珉平焼と似てるもんね。


軒下には物語を表した立体的な装飾が。これらの手の込んだ美しい装飾技法は、タイルが使われ始めたことにより
出番が激減したと考えられる。
以降、台湾ではタイル文化が花開いたとは言え、中国伝来の装飾を衰退させてしまったタイルは罪深い面も。。。


道端に干してあった素麺のような麺。これに見とれていたら、カメラの蓋を落として失くしてしまったのだった(涙)


洋楼もあったがタイルはなし。窓のひさしの形がいろいろで面白い。


車の通れない細い道に面したこちらのお宅は、入口の上が洋風の欄干がついていた。洋風アレンジのバリエーションが面白い。
ここの入口にわずかだがタイルが貼られているのを見落とさない(笑)


これはまたレプリカタイルだ。ちょっとキツイ朱色のような赤は日本製のオリジナルには見られない色。
さっきも見かけたこの手のレプリカタイルは模様をイッチンで描いていて、ひとつひとつ微妙に違っている。
人件費の安いところで家庭内工業で作っているのに違いない。


日本製のマジョリカタイルはすべてモールディングで作られているので、手描きのものは日本製ではない。
ヨーロッパ製のビクトリアンタイルには手描きのものもあり、シンガポールではわずかに見かけたが、
台湾の手描き模様のタイルはほぼ近年のレプリカと見てよいだろう。


こちらの洋楼も民宿になっている。
外側の柱や壁にたくさんのレリーフがついていて洋風に見えるが、部屋の壁のレリーフや文字はバリバリ中国風である。


何か文字が書いてあるな、「BENIBIN LUCKNESS」と読める。もともとこの建物を使っていた会社の名だろうか。


この集落にも小さなかわいい家が多く見られる。


うわ~、こちらはまたきれいなタイルが貼られているな!


あっ、やられた。またレプリカタイルか。。。
手作りのレプリカタイルと、大量生産の工業製品のオリジナルタイル、どちらに価値があるか・・・?
う~ん、レプリカに価値がないとは言わないが、やっぱりオリジナルタイルには思いが詰まっている。
そして日本から来た和製マジョリカタイルに出会いたい。。。




この「金門」の文字入りタイルはレプリカタイルと一緒に用いられているのをときどき目にする。
金門オリジナルデザイン。


あぁここのところ連続でレプリカ物件だな。。。オリジナル物件はここにはないのか・・・と半ば諦めつつ
集落の一番端まで来たところ・・・おっ、あれは!!


やった~見つけた!!タイルは確かに古いものだ。


そして、青地の果物柄タイルもある!うぉ~~、この青が高貴な雰囲気だなぁ!


果物の盛りカゴタイルも。なかなか素敵なラインナップ。


建物自体は、前にトタンやブロックで物置のようなものが増築され生活感がモロ見えな感じだが・・・(苦笑)
タイルと共に末永く暮らしてもらいたいなぁ。


こちらは外壁の全面にプリントタイルを貼ったお宅。プリントタイルは戦後のものと思われる。
イタリアタイルのようなパターン模様のタイルは昭和レトロな雰囲気で、これはこれでまた素敵なのだが、
ここまで圧巻なのは初めて見たな!


こちらの洋楼にタイルが見えたが、近づくと現代のタイルだった。。。



こちらは、「北山古洋楼」と呼ばれる有名な戦跡で、建物の壁に無数の弾痕がついている。
中国大陸と海峡を挟んで目と鼻の先にある金門島ではかつて、中国共産党軍と激しい銃撃戦が繰り広げられた。
1987(昭和62)年に台湾本島の戒厳令が解除されたあとも、金門島は一般人は立ち入れない場所だった。
外国人が旅行で来れるようになったのは1994(平成6)年。たった26年前なのだ。生まれてこのかた
安穏と生きていた私は、初めてそれを知った時すごいショックを受けたのだった。。。


この建物にも元々は美しいタイルが貼られていたのだ。。。タイルは何を見てきたか。


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(2)

2020-07-12 00:46:09 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



さて、次に見つけたのはこちらのお宅。入口付近にタイルが貼られているな!


鮮やかな色!カラフルで豪華!果物柄もある。


しかし、これはレプリカタイルなのだ。この手のレプリカタイルがどこで作られているのかは分からないが、
青い花柄、ユリ柄、4枚1組の果物柄はよく見かける定番の柄。


レプリカであっても、伝統的なマジョリカタイルを使って入口まわりを飾るのは、金門島らしい景観づくりにプラス。
しかし・・・私がちょっと心配なのは、このレプリカタイルが貼られる前はどうだったのかな・・・ということ。


この手のレプリカタイルは、一部補修でなく全面に使われている。もともと貼られていた古いタイルを剥がして
全部レプリカタイルに取り替えているのかもしれない。じゃあ古いタイルはどうなったのか??業者が持ち帰っているのか?
まさかとは思うが、古いタイルがほしいために貼り替えを持ちかけているんじゃないだろうな!?
・・・疑り深すぎかな・・・(苦笑)

ちょっと複雑な思いで眺める、レプリカタイル。

ため息が出るほど美しい、石積みの壁。オレンジ色っぽい花崗岩は金門島で採れる石だろうか。レンガとの相性は抜群である。




こちらも大好きな、磚とレンガ色の極薄板を交互に積み上げた壁。薄板は1cmぐらいの厚みで、平らな板である。


これはもともとは古い屋根瓦を再利用していたものではないか?


三合院と四合院の間のような民居。三合院の左右護龍をつなぐ塀を設けたような形でコンパクト。
これは数軒並んでいるのをよく見かける。


そして、こちらは私が今回の金門島で見つけた中でいちばんお気に入りのお宅。


この美しさ・・・・素朴な佇まい。ドアの古び具合、レンガのやわらかな色合い、グリーン基調の上品なタイル。
あぁ建物はきっと、そこにすむ人間を表している。目立たずとも信念を持ち誠実に堅実に生きている人なのではないか・・・


垂直面の壁は白が爽やかなタイル1種類のみ。


軒下のタイルも1種類。シンプルで潔い!







隣のお宅。こちらは絵付タイル。




丁字楼と呼ばれる洋風の楼閣つきの民居。日本の洋館付住宅みたいで面白い。


鉢植えで飾られた美しい民居。


こちらの山形の馬背の妻部分には、コウモリや獅子と唐草が陶片モザイクで描かれていた。これも剪黏と言うのかな。
国立東京博物館の休憩室の泰山タイルを思わせる。


続く
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タイル旅金門島 民居探訪(1)

2020-07-11 10:59:08 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



2日目の朝、朝食を食べようと市場あたりをぶらぶら歩く。新鮮な海産物や野菜を道端で売っているのを見ると、
買い物をしたいと思うが、旅人にはなかなか。。。コンドミニアムのようなところに長期滞在していればいいんだけど。。。


小さな食堂で麺を食べて、タイルめぐりに出かけるとするか!


金門島には魅惑的なまちなみの小さな集落がたくさんあるが、同姓の一族が集まって住んでいるようなところが多い。
一族の祖先を祀った廟や寺院などがあり閉鎖的な雰囲気もある。
観光マップに載っているなど観光客に対してウェルカムなところ以外はあえて場所を伏せることにする。


集落の中を歩くと次々とコンパクトだが美しい佇まいの伝統民居が現れ、何枚でも写真を撮ってしまう。


金門島には、前庭が開放された三合院民居はほぼ見かけない。外に対しては小さな窓しかなく、内側の中庭に向かって
開かれたこれらの伝統民居は、外敵からの防御のための要塞そのものである。


伝統民居は基本左右対称でほぼ四角形なのだが、集落の中で各家はあっちこっちバラバラな方を向いて建てられており
路地はまっすぐではなく幅も一定でなく、三角形のスペースができていたりと、変化に富んだ景観がとても面白い。


家々がバラバラな方向を向いて建っていることはとても不思議な気がするのだが、これはどうも風水の考え方によって
それぞれの家が思う理想の方向で家を建てるからそうなるようだ。


この連続アーチの連棟店舗は改修工事中。素敵なお店に生まれ変わればいいなぁ~


條石を長手方向ばかりで積み上げた、オール石積みの建物。


ここにはタイルがありそう・・・と思ったある集落の中に入ると、、、ビンゴ!!冴えてるな!!


全体的にグリーン基調のタイルでまとめられている。一見左右対称なのだが、よく見ると違っているな。
途中で足りなくなったのだろうか?(笑)


同系色のタイルが使われているのであまり気にもならない。




軒下には少し雰囲気の違ったタイルを。


魅惑の路地をさまよう。。。


形は洋楼みたいだけど中華全開のお宅。


しゃちほこのように燕尾の上に載っているのは・・・鹿の頭?面白いなぁ~~


鉄筋コンクリート造と見え、割と現代的な風貌のこちらのお宅。


柱や壁や、見えるところいちめんにカラフルなタイルが貼りまくられている!!(笑)


マジョリカタイルかな!?と思うが、よく見るとモザイクタイルの組み合せで小さなパターンを作ってある。
ベランダの手すりの見付部分にもモザイクタイルがびっしり。ここの家のオーナーさんはかなりのタイル好きと見た(爆)


あぁ、楽しいなぁ!!


続く
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タイル旅金門島 水頭再訪

2020-07-10 16:10:03 | 建物・まちなみ
2019年9月の台湾金門島の続き。



電動自行車を借りたら、日暮れまで水頭のタイル民居めぐりへGO!前回、カメラの設定を失敗したので・・・撮り直しに(苦笑)


・・・と言ってももう薄暮でちょっと暗い(汗)


水頭集落は普通に住民が住んでいるが、日本で言う伝建地区のような感じで、金門島観光のメインスポットのひとつで
洋楼やタイルのある民居はマップに載っていて、民宿になっているところも多い。
こちらは、黄廷参大厝。


とてもゴージャスで状態も素晴らしい。


こちらはマップに載っていないが、タイルが貼られた四合院民居。


美しく跳ね上がった燕尾と、窓上のタイル。いろんなデザインを取り混ぜて賑やかに。
縞模様の入ったレンガと磚(レンガ色の薄板)のパターンも美しい。


ピンク色を基調にまとまっているな!


入口まわりは絵付けタイルと彩絵などで飾られている。見るからにめでたい絵だな!左右に吊るされた提灯も定番。


絵付けタイルも古いものは、ベースの白無地タイルは日本製で、台湾で絵付けされている。



こちらの黄朝賓宅は以前から変わらず空き家のようだが、外からでもよく見える。




ここで特徴的なのはピンク~パープルのグラデーションがラブリーなこのタイル。他ではあまり見かけない。
これに濃いグリーンを合わせることでピンクが際立っているな!




台湾で使われているマジョリカタイルはほとんどが日本製である。
とても多くの色、柄があるが、多種のタイルを組み合わせても統一感が出てすんなりおさまるのが不思議。
いや、これは台湾人のコーディネイトのセンスによるのかも。日本人なら無地を挟みたくなるところだろう(笑)


適切に管理され、美しいまま保たれることを願う。


前に見せてもらった家にもう一度見に行く。こちらは一般のお宅なので非公開。
現在は家の内部だがもとは外に面していたはずで、入口のドアまわりにものすごく豪華にタイルを貼りめぐらせている。


果物柄は一枚貼られていても「おおっ♪」と目を惹く特別感がある。その果物柄が、惜しみなくびっしりと貼られている!!
その周囲には盛りカゴ柄のタイルも。何て太っ腹・・・
柄によるタイルの値段の違いがあったのかどうかは分からないが。。。


頭上の梁に横一列にタイルが貼られている。


ヨット柄のタイルはまたレアだな!他であまり見かけないということは、施主の要望があって探してきたものと想像する。
5枚だけだが中央に貼られていることから、こちらの家は海運など船に関わる仕事をされていたのかも・・・?
やはりオリジナリティを出したいという思いはあっただろう。


前回泊まった宿「鳳毛麟趾」をもう一度見に行こう。ここは蔡開盛宅という大きな邸宅を民宿にしたところで、
民宿の中でも高級な部類。


前回は2連泊してお世話になったが、今回はフットワーク重視で金城のまちなかに泊まっているので、
ここのオーナーのおっちゃんに会ったらちょっと申し訳ないな・・・と思っていたら、おっちゃんが出てきたので
「去年泊まったんだけどまたタイルを見に来た」と言うと、覚えていてくれたようだ。


中も見て行け、とドアを開けてくれ、素晴らしい建物やタイルをゆっくり見せてもらいながら、今の宿との違いに苦笑。。。
いや、もちろん料金によるわけで。今の宿はリーズナブルな割に便利な立地だし、十分快適ですよ(笑)


古い民居を民宿にすることは、政府が推進していると思われる。民宿として登録することで何らかの補助や減税などがあるのだろう。
空き家になると一気に建物は朽ちて行く。保全しながらこうやって使っていくのはとてもいいことだな。
しかしそれもお客さんがコンスタントに来てくれればの話である。。。


おっちゃんのgoogle翻訳でいろいろ会話、最近人気のインスタ映えスポットに連れて行ってくれるという(笑)


ライトアップされた得月楼へやってきた。前の広場にある石のテーブルの上にカメラを置いて撮ったら、
ほんとに幻想的な写真が撮れた!(笑)
龍眼の実がたわわについた枝を折ってもらって、ごきげんで宿へ戻る。


前回の金門島の旅の記事

続く
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