2019年夏の台南の続き。
台南は何度か来ており市街地の主要な建物はだいたい見て回っていたが、今回やってきた目的は主に2つ。
1つはすでに書いた旧台南庁長官邸の本業タイル。もう一つは、こちらも本業タイルが貼られているという台南郊外の
マイナーなまちの民家を見に行くこと。
交流のある台湾人のタイル研究家、康鍩錫さんから住所も教えてもらっていたが、Googleマップで検索しても出てこない。
台湾のまちなかに貼られたプレートの住居表示は古いのか、番地まで書いてあっても出てこないことが多い。
しかも康さんの写真は2013年に撮ったもので、今もあるかどうかは分からないと言う。7年も前か・・・う~ん。
それでも行って確かめてみたい!!
台南から20kmぐらい離れたその集落へ、どうやって行くか・・・と思案していたのだが、電動バイクなら行けるな!
8月、真夏の台南。帽子をかぶった上からヘルメットという、旅の恥はかき捨て的な格好で(苦笑)、北へ走る。
しかし・・・遠い。暑い。だだっ広い道を時速30kmで延々、約1時間走って田舎の集落にやって来た。
目的の場所の隣町だがついでにうろついてみよう、この辺なんかありそう・・・と路地を入ると、いきなりビンゴ!!
冴えてる~~~マジョリカタイルが屋根の上にずらりと並んだ小さな赤瓦の民居だ。
それほど立派な家ではなく、ごく普通の庶民の家に見える。正面に塀もない開放的な三合院民居だ。
正身と呼ばれる中央の平入りの棟は、大きな屋根の両側に一段下がった屋根が続く。そして手前方向に護龍と呼ばれる棟が伸びる。
そのいずれの屋根の上にも、鮮やかなマジョリカタイルがあしらわれているのだ!あぁ、なんと、美しい・・・
これまでに何度も書いているが、マジョリカタイルは日本統治時代に日本本土から持ち込まれたもので、
財力を示したり家族の幸福、繁栄を願うなど吉祥の意味合いで家の屋根や壁に貼ることが台湾全土で大流行したのだ。
外国人など誰も来ない、名の読み方もわからない地方の小集落の家にまで、こんなタイルが貼られているのを見れば
一時的な流行にとどまらず、台湾人の感覚にフィットし住環境の一部として深く入り込んだことが実感される。
こんな美しいタイルが100年近く経った今も屋根の上から静かに家族を見守っているのだ。。。
離れがたい思いをぐっと抑えて、次へ行こう。
近くにもう1軒あった。ここは畑越しで近寄れないが、棟のゆがみが大きくちょっと危険。崩れないかな・・・(汗)
また近くで面白い建物を見つけた。どう見ても戦後っぽい小さな小さな建物だが、軒まわりにマジョリカタイルが
ずらりと貼られているのだ。小口タイルやモザイクタイルが併用されているし、戦後でもかなり後、せいぜい3~40年前
ぐらいのように見える。
その後フェイスブックである人が教えてくれたところによると、やはり民國60年代、つまり1970年代ごろの建物で、
元あった古い家を壊してタイルを再利用したものという話であった。
勾配屋根を隠すように立ち上げられたパラペット状の部分にはフルサイズのタイル、軒下の陰になっている部分には
半分サイズのボーダー用タイルが使われている。
壁の腰張りタイルは小口タイルだが渋めの組み合わせ。
さて目的の集落に入る。片っ端から見て行くか・・・本業タイルが道路から見える場所にあるのかどうかまでは
聞いていないので、道路から見える家々の顔を写真と照らし合わせて目的の家を特定するしかない。
古い民居が残っている通りに目星をつけて見始めると、タイルの貼られた美形の三合院がいくつか並んでいた。
柄違いのタイルが左右対称に貼られている。
こちらはまた別のお宅。規模が同じなら構成はだいたい同じで、よく似た顔をしているので写真をぱっと見て
区別するのも結構難しい(汗)。台北などではもう全くと言うほど見かけないが、地方ではまだまだこのような
三合院民居は台湾人の一般的な住宅のスタイルなのだ。
透かしブロックを一部に組み込んだファサードは独自のアレンジ。
しかしやはり人が住んでいるからだろう、とてもきれいな状態でタイルが残っているな!
そして・・・目的の家は意外にもすぐに見つかった。ここか!!2013年の写真とほとんど変わっていない。
入口の床にタイルが敷かれているようだ。あぁ、あれだな!
玄関先まで入ってみると、うわぁ!!本当に、銅板転写の本業タイルが貼られている!!
見たことのある模様ばかり。うさぎ柄もあるな!大きさは8寸と5寸。
しかし・・・入口のアプローチの踏み石代わりに貼られているため、毎日踏まれているのだろう、かなり傷んでいる。
表面の釉薬が剥げて、さらに模様の部分も剥げて、下地の土があらわになっているものも。。。ちょっと痛々しい。
この家の人がいないかと戸を叩いて「ニイハオ」と何度か呼んでみたが、誰も出てこない。
康さんの写真によると家の中にも同じタイルが貼られているらしい。
あぁしかし、大流行したマジョリカタイルに紛れて、瀬戸の本業タイルもはるばるこんな地方の小さな集落にまで
たどり着いていたのだ!そして日本人の誰にも知られることなくひっそりと、100年の時を台湾人と共に過ごしてきた。
本業タイル好きの私はもう感激しかない。あぁ興奮しまくり~~~!!
この本業タイルを誰が持ってきたのか?どういう風に注文したのか?気に入っているか?
家の人にいろいろ尋ねてみたかったなぁ!・・・ま、そんな語学力ないんだけど(爆)
あぁ、真夏の日差しの下電動バイクで1時間走ってきた甲斐があった。康さん、ありがとう!
続く。
台南は何度か来ており市街地の主要な建物はだいたい見て回っていたが、今回やってきた目的は主に2つ。
1つはすでに書いた旧台南庁長官邸の本業タイル。もう一つは、こちらも本業タイルが貼られているという台南郊外の
マイナーなまちの民家を見に行くこと。
交流のある台湾人のタイル研究家、康鍩錫さんから住所も教えてもらっていたが、Googleマップで検索しても出てこない。
台湾のまちなかに貼られたプレートの住居表示は古いのか、番地まで書いてあっても出てこないことが多い。
しかも康さんの写真は2013年に撮ったもので、今もあるかどうかは分からないと言う。7年も前か・・・う~ん。
それでも行って確かめてみたい!!
台南から20kmぐらい離れたその集落へ、どうやって行くか・・・と思案していたのだが、電動バイクなら行けるな!
8月、真夏の台南。帽子をかぶった上からヘルメットという、旅の恥はかき捨て的な格好で(苦笑)、北へ走る。
しかし・・・遠い。暑い。だだっ広い道を時速30kmで延々、約1時間走って田舎の集落にやって来た。
目的の場所の隣町だがついでにうろついてみよう、この辺なんかありそう・・・と路地を入ると、いきなりビンゴ!!
冴えてる~~~マジョリカタイルが屋根の上にずらりと並んだ小さな赤瓦の民居だ。
それほど立派な家ではなく、ごく普通の庶民の家に見える。正面に塀もない開放的な三合院民居だ。
正身と呼ばれる中央の平入りの棟は、大きな屋根の両側に一段下がった屋根が続く。そして手前方向に護龍と呼ばれる棟が伸びる。
そのいずれの屋根の上にも、鮮やかなマジョリカタイルがあしらわれているのだ!あぁ、なんと、美しい・・・
これまでに何度も書いているが、マジョリカタイルは日本統治時代に日本本土から持ち込まれたもので、
財力を示したり家族の幸福、繁栄を願うなど吉祥の意味合いで家の屋根や壁に貼ることが台湾全土で大流行したのだ。
外国人など誰も来ない、名の読み方もわからない地方の小集落の家にまで、こんなタイルが貼られているのを見れば
一時的な流行にとどまらず、台湾人の感覚にフィットし住環境の一部として深く入り込んだことが実感される。
こんな美しいタイルが100年近く経った今も屋根の上から静かに家族を見守っているのだ。。。
離れがたい思いをぐっと抑えて、次へ行こう。
近くにもう1軒あった。ここは畑越しで近寄れないが、棟のゆがみが大きくちょっと危険。崩れないかな・・・(汗)
また近くで面白い建物を見つけた。どう見ても戦後っぽい小さな小さな建物だが、軒まわりにマジョリカタイルが
ずらりと貼られているのだ。小口タイルやモザイクタイルが併用されているし、戦後でもかなり後、せいぜい3~40年前
ぐらいのように見える。
その後フェイスブックである人が教えてくれたところによると、やはり民國60年代、つまり1970年代ごろの建物で、
元あった古い家を壊してタイルを再利用したものという話であった。
勾配屋根を隠すように立ち上げられたパラペット状の部分にはフルサイズのタイル、軒下の陰になっている部分には
半分サイズのボーダー用タイルが使われている。
壁の腰張りタイルは小口タイルだが渋めの組み合わせ。
さて目的の集落に入る。片っ端から見て行くか・・・本業タイルが道路から見える場所にあるのかどうかまでは
聞いていないので、道路から見える家々の顔を写真と照らし合わせて目的の家を特定するしかない。
古い民居が残っている通りに目星をつけて見始めると、タイルの貼られた美形の三合院がいくつか並んでいた。
柄違いのタイルが左右対称に貼られている。
こちらはまた別のお宅。規模が同じなら構成はだいたい同じで、よく似た顔をしているので写真をぱっと見て
区別するのも結構難しい(汗)。台北などではもう全くと言うほど見かけないが、地方ではまだまだこのような
三合院民居は台湾人の一般的な住宅のスタイルなのだ。
透かしブロックを一部に組み込んだファサードは独自のアレンジ。
しかしやはり人が住んでいるからだろう、とてもきれいな状態でタイルが残っているな!
そして・・・目的の家は意外にもすぐに見つかった。ここか!!2013年の写真とほとんど変わっていない。
入口の床にタイルが敷かれているようだ。あぁ、あれだな!
玄関先まで入ってみると、うわぁ!!本当に、銅板転写の本業タイルが貼られている!!
見たことのある模様ばかり。うさぎ柄もあるな!大きさは8寸と5寸。
しかし・・・入口のアプローチの踏み石代わりに貼られているため、毎日踏まれているのだろう、かなり傷んでいる。
表面の釉薬が剥げて、さらに模様の部分も剥げて、下地の土があらわになっているものも。。。ちょっと痛々しい。
この家の人がいないかと戸を叩いて「ニイハオ」と何度か呼んでみたが、誰も出てこない。
康さんの写真によると家の中にも同じタイルが貼られているらしい。
あぁしかし、大流行したマジョリカタイルに紛れて、瀬戸の本業タイルもはるばるこんな地方の小さな集落にまで
たどり着いていたのだ!そして日本人の誰にも知られることなくひっそりと、100年の時を台湾人と共に過ごしてきた。
本業タイル好きの私はもう感激しかない。あぁ興奮しまくり~~~!!
この本業タイルを誰が持ってきたのか?どういう風に注文したのか?気に入っているか?
家の人にいろいろ尋ねてみたかったなぁ!・・・ま、そんな語学力ないんだけど(爆)
あぁ、真夏の日差しの下電動バイクで1時間走ってきた甲斐があった。康さん、ありがとう!
続く。
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