goo blog サービス終了のお知らせ 

さいこの部屋

音楽とNYが大好きな私の部屋です。あまり無理せず、日々の出来事や感じたことを。

横溝正史 『犬神家の一族』

2013-03-15 23:34:49 | 映画&読書日記(マンガ含む)

良質な、がつんと読みごたえのある本を読みたい、だが仕事で疲れてるのでエンタテイメント性も十分欲しい、というリクエストに答える小説を探していて、選んだのがこれ。



ええーなんでこれ?と思われるに違いない一作
ホラー苦手なので、横溝作品は全てスルーしてきたのですが、長く読み継がれる作品にはそれなりの理由がある、食わず嫌いはせずにとりあえず一作読んでみて決めよう、と思って横溝作品の中でもピカイチの知名度を誇るこの作品を選んでみました。
昔々、私がまだ子供だった頃、テレビで(再放送なのか映画なのかはもう記憶が定かではないですが)やっていたのをたまたま見始めてしまい、
「佐清、そのマスクをとっておやり」
のシーンで、おずおずとマスクを取り始めたところで思わず目を覆って見なかった、という記憶があります…そしてその後はもう怖くて見なかったという
スケキヨといえば、横溝読んだことがない人でも「白マスク&逆立ち」で知っている人も多いキャラクターです。

本屋で買うのにちょっと勇気がいりました。
怖えー。表紙からして怖い
現在発刊されているのは、違う表紙のもの(モノクロで文字だけのもの)なのですが、私が行った本屋にあったのはこの昨年のタイプ(往年の名カバーの限定復刻版)だったんですよね。
呪われそう(苦笑)。

結果。
いや、参りました。
やはり長く読み継がれる作品にはそれなりの理由がある、と思った自分に間違いはありませんでした。
もしかしたら他の作品よりホラー度は低いのかもしれませんが、なんと言うか生ぬるい空気の気持ち悪さみたいなものは十分伝わってきます。
が、面白い。読ませます。がっつり読ませます。
ページをめくる手を止められませんでした。
職場の昼休みでも、「あと10分…あと5分…あと、あああ、もう1ページだけ!」という感じでした。
思ったよりもグロい描写は少ないのですが(多分映像の方がリアルに見せる分だけグロくなるのでしょう)、古い日本の田舎の旧家や因習がかもし出す、おどろおどろしい感じが何とも言えずよろしいです。
結構そういうの好きなんだよなあ、という意外な自分の一面も発見したり
また、推理小説としても非常に質がよく、筋の通った推理(と事実)であり、偶然がかなり重なるのが若干不自然と言えば不自然なのですが、それはご愛嬌と言えるほどよくできていました。
文章・文体も非常に整然としており、「読ませる」文章にそれが貢献しています。
恥ずかしながら国語の能力自体はかなり高い方と自負しているのですが、この作品では所々に知らない単語が出てきて、辞書で引いて意味を知っていくのも楽しい作業でした。
(いやさすがに「衆道」は知ってましたけどね・笑)

しかし、金田一さん、これだけ死人が出てから推理してたんじゃ遅いでしょ(笑)。
読後も気になっているのは、ラストで宮川香琴が三姉妹の前で隠してきた正体がばれるのもかまわず金田一さんの推理に合いの手を入れていますが、それに対して何も三姉妹が言及しなかったこと。
香琴が〇〇だったということを知っていたはずはなく(知っていたらもちろん家には入れなかっただろうし、もっと酷い目にあわせていたと思われる)、そこで初めて正体を知ったというくだりだと思うのですが。
…推理を聞くのにそれどころではなかった、ということなんでしょうか。
原作では、スケキヨさん、黒の頭巾と顔型(お面のような)マスクで白マスクじゃないんですね~。意外。
ラストも良かった。幕引きの鮮やかさが素晴らしい
余韻を残しつつも、引きずらずにすっと終わる。
ニューヨークのブロードウェイミュージカルのカーテンコールみたいな潔さです。

というわけで、横溝作品、しばらく続けて読んでみようかと思います。
ううう、怖いけど


西澤保彦 『人格転移の殺人』

2013-02-24 23:29:44 | 映画&読書日記(マンガ含む)




前回に続き、面白い推理ものが読みたいと思って選んだ作品。
以前に読んだ「七回死んだ男」が面白かったので、同じ作者の作品の中でもよく聞く作品を選んでみました。

この作者の得意とする「ありえない(超常現象的な)ある現象が起こるという制限を加えた中で起こる殺人事件」です。
アメリカの某都市郊外にある、CIAも絡む国家機密でありながら、諸事情で閉鎖されているとある施設。
「中に複数人で入ると、その人物の人格が交換(転移)してしまう」というその施設に、大地震からの避難のため入ってしまった「僕」を含む6人。
CIAに連れられて、保護施設に連れて行かれた6人は次から次へと人格が転移していく。
そんな中で殺人事件が…というお話。

2人ならばお互いが入れ替わるだけなのですが、複数人だと順番にぐるぐる人格が入れ替わっていくので、えーと今この人(体)の中には誰が入ってるんだっけ?と付いていくのが大変で頭の中がこんがらがりました
「私は○○です」というのは自己申告でしかないので、常に全員を疑っていないといけないという絶妙な設定です。
何となくこうかな?というのは微妙に検討はついたのですが、真相がわかってみると「ああ、そうか~やられた」と
動機としてはちょっと弱いというか、「そんな理由で?」という理由でした。
シンプルに、「転移を止めるため」でもよかったかも?でもそうはできなかったという話の流れなんですよね…。

よくできた話だと思います。しっかりちゃんと「推理小説」でしたし。
ジャクリーンのキャラがよかった。最初出てきたときは何ていやな女なんだと思いましたが、なんかかわいい
シャロン・ストーンみたいなイメージです。正統派の美形で、でもどこか憎めないというか。

この話、ラストがとても爽やかで、「うんうん、よかったホントに」という感じでした。
やっぱりハッピーエンドはいいですよね

なかなか深い最後だったように思います。
このヘンテコな施設が、元々「配偶者がお互いを理解するために作られたのではないか」という仮説。
なるほどなあ…と。

そうそう、この話の冒頭から出てくる、そして話の中で割と重要な役目をする、研究者がいるのですが。
なんと名前が「アクロイド」。
2ページ目から出てくるのですが、仰天しました。
うーん、意味深

軽い書き口だったので、さらっと読めました。
この土日は合唱団の合宿だったのですが、ラストは布団の中で読みました(笑)。
もうちょっと続けて読んでみようかな。


アガサ・クリスティ 『アクロイド殺人事件』

2013-02-15 23:24:06 | 映画&読書日記(マンガ含む)

最近ちょっと読書に飢えていたので再開。
選んだ作品がこちら。


推理小説が読みたかったので、確実に面白そうなものを。
古今の名作といわれる、言わずと知れたアガサ・クリスティの代表作です。
「アクロイド殺し」という訳の方が多いでしょうか。
なぜか今まで読んでなかったんですよねえ、ポアロは。
後日、Amazonの書評等読みましたが、このトリック(というか作品自体)が「フェアかアンフェアか」と議論し続けられている作品でもあります。

しかし。
なんか…結構最初の方で想像ついちゃったんですよねえ…
確かにこのトリックは、当時としてはセンセーショナルで議論が巻き起こるのもとても良くわかるのですが、推理小説がそこそこ好きで、十数冊くらいは読んでます、という人なら分かっちゃうんじゃないかと思います。
これと同じトリックを使った作品がその後いくつも世に出てますからねえ…。
いや、面白かったですよ。作品としてはとても面白かったです。
何となくトリックが分かったうえで読んでいても、十分楽しめる作品でした

個人的には。
十分「フェア」だと思います。
その理由はネタバレになってしまうのでくどくど書きませんが。

読み終わった後思ったのですが。
これ、英語で読みたかった。原語で読むべきだった。
そうすれば多分、もうちょっと違う感動があったかも、と思いました。
惜しいことをした…


東野圭吾 「聖女の救済」

2013-01-23 23:02:36 | 映画&読書日記(マンガ含む)



さて、「ガリレオの苦悩」を読み終わって、続けて読んだ、単行本発行時同時刊行されたもう一冊。
文庫はこちらの方が若干遅れて出ていました。

「ガリレオの苦悩」がどちらかと言えば1・2作目に近い(ガリレオシリーズの原点側)だとすると、これは3作目の「容疑者Xの献身」に近い作品です。
いわゆる倒叙ミステリですが、さすが東野圭吾と言わせる書き出しです。
会社社長が殺害され、容疑者は妻。
最初の数ページで犯人が誰かわかってしまいますが、その容疑者には鉄壁のアリバイがある。それをどう崩すか。
また、殺害方法は毒殺ですが、その毒をどうやって入れたか(しかも鉄壁のアリバイがある容疑者には絶対不可能)。
読ませますねえ。
淡々と話が進むのに、気がつけば夢中になって読んでいました。あっという間に読み終わりました。

トリックは、正直「そりゃ不可能だろう…」と思わざるを得ないものでしたが、しかし絶対不可能とは言い切れないのが恐ろしいところ。
これは本文の中でも言われていたことです。
湯川先生を以てして「このトリックは虚数解だ。もし虚数解でなければおそらく君たちは負ける。僕も勝てないだろう。これは完全犯罪だ。」と言わしめています。

ただ何というか、盛り上がりきれずに終わった感が。
元々かなり淡々と進むうえに、容疑者も地味な感じがあるので、作品自体が全体的に地味。
なぜ映画化はこの作品を飛ばして「真夏の方程式」になっているのが何となくわかる気がします。
2時間ドラマで十分。

若干ネタバレになりますが。
浄水器というものにほぼ縁のない生活をしているので(作中の女性陣と同じく、日本の水道水はちゃんと飲める水だというスタンスなので)、
読んでいて、この浄水器というものがどういう状況なのかがよくわからないところがあったりして、ビルドイン浄水器をネットで調べる始末
いろんな浄水器があるのですねえ…。

でもこの容疑者の執念というか情念というか、わからんでもない。同じ女だからですかね。
まあ私には、ここまでの「臥薪嘗胆」的な根気はないので無理ですが。
この被害者である夫、まったく同情できません。
最初の数ページでの態度で、自分の中ではすでに死亡フラグが立っていました(笑)。
女性は「産む機械」的発言の連発。
そんなに子供子供言うんやったら、自分も理想としていた「できちゃった結婚」したらよかったのに

Amazon等の書評では、「このトリックだったら夫以外の人間も死んでしまう可能性があるためトリックとしてはまずいのでは」という意見を言う人もいます。
しかし、多分妻の綾音は、「結果上等」だったのではないかと思います。
このトリックで夫以外に死ぬ可能性があるのは、夫の愛人である宏美(とそのお腹の子供)。
作中では、宏美が綾音の腹心の弟子であるからか、宏美に対しての綾音の愛情深い態度が目立ちますし、それも綾音の本心だったのだろうと思いますが、もう一方ではやはり「死んでもかまわない」という意識があったんだと思います。

タイトルが秀逸ですね。
最後に「救済」の意味が分かったとき、タイトルとの関連がすんなり入ってきました。

しかしまあ相変わらず(?)、内海がうざい
綾音を疑い始める理由が稚拙だし、しかも疑いだしたらかなり偏執的。
視点が偏りすぎていて、そりゃ草薙でなくても嫌になるよ、と言いたくなります。

内海も含めて、東野さんは「女性」を描くのがちょっと下手なのかもと思う今日この頃です。
多分、この綾音ももっともっと魅力的で、こんな女を捨てようとするなんてほんと馬鹿だよね、と思わせるようなキャラに描きたかったような気がします。
前作の「容疑者X」で石神が惚れ込む花岡靖子も同様。
でも結果的に、2人とも何となく冴えない大人しい主婦のように見えちゃうんだなあ…。

なんにせよ、前作「容疑者Xの献身」が傑作だっただけに厳しい目で見てしまうのかもしれません。
いや実際、「容疑者X」は、読んだのは文庫化されてすぐの真夏の夜だったかと思いますが、トリックがわかった瞬間総毛だったのを覚えています。
何となく違和感のある、全体がぼやけた絵を見ているような感覚が、トリックがわかった瞬間全く違う絵が鮮明に見えたような感覚に変わったというか。
おかげで半徹夜でした(笑)。
ああいう作品が読みたいなあ

いやこれも十分面白かったですが、もう一歩踏み込んでほしかったです。

次は何を読もう…。


東野圭吾 「ガリレオの苦悩」

2013-01-19 23:28:09 | 映画&読書日記(マンガ含む)




「積読」になっていた一冊。
ガリレオシリーズは、ドラマ化されるずっと前から読んでいたので、必ず読む気ではいたのですが、他にやらないといけないことがたくさんあって読書できなかったというのが正直なところ。
買うだけ買って、見つけた両親に読みたいと言われて貸したりしているうちに、すっかり積読に。
というわけで、年明けの通勤電車の中でちまちま読みました。

ん~…正直微妙。
ガリレオシリーズの醍醐味は、「超常現象としか思えないことを科学でどう説明するか」にあり、前作の「容疑者Xの献身」はむしろこのシリーズでは異色の内容なのですが、これは正直なところ「どっちつかず」になってしまっているかなあと。
短編集ですが、ちょっと不可思議な殺人事件が起きているのだけれどもトリックがわからない、というフツーの作品がほとんどかと。
「操縦る」や「攪乱す」は、トリックとしてはかなり理系マニアックなものですが、ガリレオシリーズの大前提の「超常現象」はないので。
作品として全体的には楽しめましたが、ちょっと消化不良かな…。

テレビドラマに出てくる内海薫刑事は本作で初登場ですが、正直、テレビ版柴崎コウ演ずる内海よりもさらに個人的には好きになれないタイプのキャラクターです。
何だろう…妙に小賢しいというか(笑)。
正直「ウザい」です。この言葉嫌いなんですが、これが一番ぴったり当てはまる…
1作目「落下る」での初対面の湯川とのやりとりは、本当に後ろからグーでパンチしたいくらい。湯川先生あっぱれ。
何かというと「女だからですか」って一体何だ。
世の中には理系の女がどれだけいると思ってるんだ

今までのシリーズで湯川の相棒的役割だった草薙刑事も何だかちょっと態度が乱暴になっているというか。
テレビを意識しているのかな~と思わざるを得ません。

そして湯川先生。相変わらず愛すべき(というのも変ですが)偏屈キャラですが。
自分の中では、福山雅治みたいなシュッとしたイケメンではなく、どっちかというとぼさぼさ頭系のキャラ(1作目などはまさにそういうキャラだった)なので、だんだん何となくスタイリッシュになっていく湯川先生に若干違和感(笑)。

この勢いで、単行本発行時同時刊行されていた作品も読もうかと思います。


『夢の雫、黄金の鳥籠』 1

2011-10-30 21:30:32 | 映画&読書日記(マンガ含む)

京都へ戻ってくる途中で寄った本屋で見つけました。
おお、篠原千絵さん、新連載始めたんだ~
しかもポップを見ると、オスマントルコ時代の話とのこと。
これは読まねば、と思い、買ってきました。

実在の人物、ヒュッレム(フッレム)ことロクセラーナが主人公です。
奴隷の身から、オスマントルコ帝国最盛期の皇帝スレイマン1世の正妃、次代セリム2世の母后となった女性です。

うーん、さすが篠原千絵。
目の付けどころが非常に面白い
この女性の人生は、確かに見ごたえがあり、テーマとして不足がありません。

ポーランドの田舎から略奪され奴隷となり、スレイマン1世の側近イブラヒム・パシャに買われ、教育を受けた後、皇帝のハレムに献上され、スレイマン1世の寵妃となり、第一皇子をすでに産んでいる第一側室を追放した後、オスマントルコ帝国では長らく廃止されていた「皇帝の正式な結婚」をして正妃となり、頂点に上り詰めていきます。
その過程で、恩人たるイブラヒム・パシャとも敵対し、処刑をするに至ります。
オスマントルコでは通常1人の女性からは1人しか産むことを許されなかった男子を3人(あるいは4人)産み、うち1人が次帝セリム2世。
オスマントルコ帝国における垂簾政治の始まりを作った女性でもあります。
歴史上では、「ロシアの魔女」と呼ばれ、悪女とされる彼女を、どのように扱っていくのか非常に興味があります。

この1巻では、スレイマン1世に献上され側室となったところまでが描かれています。
第一側室マヒデヴランがすでにかなりの悪女に描かれていますし、ヒュッレムとイブラヒムの間にそこはかとなくロマンスがあるかのようにも描かれています。
面白い設定です。
篠原氏の古代ロマン作品の前作、「天は赤い河のほとり」は非常に面白く、史実とフィクションをからめながら大変に魅力的な作品になっていました。
似たような設定で延々と続き、もう終わらないんじゃないかと思っている古代エジプトマンガ(笑)とは違い、ラストまで非常にうまくまとまっていました。
見方によっては、「天は赤い河のほとり」での一番の悪役、ナキア皇太后と通じるものがあります。
自分の意思に反して皇帝の妃となったが、その後は自分の意思で頂点を目指していく。
「そのようにしてしか生きられなかった。私は自分の力でここまで登りつめたのだ」と言ったナキア皇太后。
この作品は「天は赤い河のほとり」をナキア皇太后側から見た物語なのかもしれません。
現時点では、ヒュッレムは非常に善良で賢い女性ですが、どこかで変貌するのかも?
トルコ版「大奥」。
どんなふうになっていくのか、とても楽しみです


『ハリー・ポッターと死の秘宝』 Part2

2011-09-03 22:33:15 | 映画&読書日記(マンガ含む)

ようやく見てきました。ハリー・ポッター最終作。
前日にPart1をレンタルで見直し、復習してから見に行きました。
以下、ネタばれ含みますので、白字で書きます。読まれる場合はドラッグあるいは反転して下さい。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
いや~泣けました
原作読んだ時にも号泣しましたが、話の筋がわかっているだけにもうセブルス出てきた時点でうるうるする始末。
セブルスが死ぬシーンとその記憶の部分で号泣です。
3Dなので、3Dメガネかけて見てたのですが、どうやって拭けというんじゃ…と思いながら泣いてました
原作にはなかった、リリーの遺体を抱きながら泣くセブルスを見てさらに号泣…。
しかしまあ相変わらず「読んでいること前提」の作りです。
そうじゃなきゃこの尺に収められないんでしょうが。
ダンブルドアの親子・兄弟の話って、この「死の秘宝」の後半のかなりのキーになっているのですが、説明全くなし。
(映画観終わってから、一緒に見に行った友人(原作を読んでいない)にかなり説明が必要でした
上記の「セブルスの記憶」も割と端折っていて、そこはちょっと不満でした。
しかもそこもあまり説明がなかったので、一番大事なところが本当にちゃんとお客さんに伝わっているのかが心配になってしまいました。
「分霊箱」となった各宝物についての説明もなかったため、「なぜその品物が分霊箱となったのか」が読んでいない人には分からなかったと思うんですよね。
必ずしも原作通りに作れ、という訳ではないですが、必要最低限の部分はきちんと描かれているにしろ、もうちょっと何とかなったかも?と思うシーンがいろいろありました。

しかし、「ホグワーツの戦い」は映像化されるとホントにすごかったですね
マクゴナガル先生を始めとして、ホグワーツで教鞭をとっておられる先生方はやはり相当の手練れです。
ゴーレムを動かすマクゴナガル先生、超カッコ良かったです
しかしその守りが破れて行く様子がホントにすごかった。
ベラトリックスをモリーおばさんが倒すシーンは、もうちょっとモリーおばさんをカッコ良く撮ってほしかったなあ。
大広間に並んだ、数々の遺体、特にルーピン夫妻は本当に切なかったです。
ヴォルデモートは割とあっけなかった(笑)。

そして19年後。
みんな年をとっちゃって…しかしロンは割と似合っていたというか、元々すでにちょっと太ってお腹がでているので、年をとっても違和感がないというか。
しかしやっぱり、「ハーマイオニー、ほんまにロンでよかったんか?」と言いたくなってしまいました(笑)。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

主役の3人もこのシリーズ通して演じていましたが、ちっちゃかった3人がぐっと大人になりました。
時間の流れを感じますね。
これでハリー・ポッターシリーズも本当に終了。
ちょっと寂しいですね。
でもどんなシリーズものもそうですが、第1巻に戻れば、11歳のハリーたちが出迎えてくれます。


『ボクを包む月の光』 10

2011-07-30 19:10:52 | 映画&読書日記(マンガ含む)

こちらもようやく10巻。
語ります(笑)。

「ぼくの地球を守って(通称「ぼく地球」)」が終了してもう何年経つでしょうか…。
リアルタイムで読んでいた私は、最終巻のときには高校生でした(また年がばれる・笑)。
この作品(通称「ボク月」)はその続編にあたり、賛否両論あるようですが、私は割とすんなり受け入れています。
確かに絵も大幅に変わっているのですが、「ぼく地球」と見比べながら読むわけではなく、ストーリー自体はしっかりしているのであまり気にならないというか。
この世には、「当時作者にはきっと神が降りていたに違いない」と思うような作品がいくつかありますが、「ぼく地球」もその1つだと私は思っています。
(そう思っている人が多いからこそ、続編に賛否両論あるのだと思いますが)
作者もこの作品の中のコラムで書いていますが、確かに「ぼく地球」は最後まで綺麗にまとめられた話なのですが、輪の心情というか、紫苑との感情の交錯をどのように咀嚼していくかということが残ったままになっていたように思います。
それが今、時を経たからこそ描ける作品でもあるように思います。
この巻で進んでいる話の前に、8歳の輪と、当時その周りにいた懐かしい面々の話がありますが、これが「咀嚼」だったと思います。

と、ちょっと固いことを書いていますが(笑)。
輪と亜梨子が幸せであること、そして紫苑と木蓮も幸せであることだけでも見る甲斐があります。

この巻は未来路とその娘カチコを中心に話が進んでいますが、奇しくも「ガラスの仮面」と同様、「長年お互い片思いだと思っていた相手と気持ちが通じ合う」シーンが描かれています。
未来路の言い分も分かるし、パメラの言い分も分かるんだよなあ…。
そしてカチコの「守護天使」ソルの気持ちも分かる。
(つーかソル、ホンマええ奴や…
3人ともが幸せになる方法ってないもんかなあ…。

輪が人のために物凄く頑張っているのが見られる、そしてそれを理解して紫苑がバックアップしようとする、それが本当に嬉しいというか、なんか感慨深いものがあります。
9巻で「マザー」に入り込んで新たにプログラムを構築している輪(というか紫苑か)は本当にカッコよかった
「過去に俺のプログラムを壊すことができた奴は一人だけ。木蓮だけだ」
という紫苑のセリフには、思わずニヤリとしてしまいました。
そうだよねえ…文字通り「壊した」んだもんね(笑)。
とりあえず、EPIAにとっ捕まらないことだけを願うのみ。

この巻で、木蓮が、これまた懐かしい言葉を発しています。
「気持ちは歌に 歌は空気に 愛は光に」
実はこの言葉は、自分が歌を歌う時にも念頭に置いている言葉でもあります。
この気持ちを忘れずに歌いたい、といつも思っています。
(考えてみれば、いろいろ影響受けてるんだなあ…「ぼく地球」には。)

本来の主人公・蓮は、この巻は非常に影が薄いですが、輪と亜梨子、両方の血をきちんと受け継いでそうなので、これからどんなふうに活躍するのかが楽しみです。
どこへ収束しようとしているのかはまだ分かりませんが、見届けたいと思います。


『ガラスの仮面』 47

2011-07-29 22:21:24 | 映画&読書日記(マンガ含む)

出ました、47巻。
もう、嬉しすぎて(?)大いにネタバレさせてもらいます(笑)。語るよ~。

読み始めてすでに四半世紀…ここまで長かった
ようやく、ようやく、ホントにようやくマヤと真澄さんがお互いの気持ちを確認しあいました。
いやしかし、2人ともピュアですなあ…ほんとうに
お互いが抱きしめあったページの最後がお互い見つめあうコマになっていて、その捲った次のページがキスシーンだと思って「きたーー」と思った読者は私だけではきっとあるまい(笑)。

しかしそんなに簡単にガラカメでは、おいしい(?)シーンを出さないんだった。そうだった。
はい、悶絶しましたよ(笑)。思わずツッコミましたよ。
「しないんかーーい」って。
…まあ、三十路もとっくに越えてしまってますから、私も…。
どこかはにかみながら「マヤ…」と呼ぶ真澄さんに泣き笑いしてしまいました。

「ただ側にいるだけで満たされる」といって寄り添う2人。
そうだよねえ…恋愛ってそういうものだよねえ…となんとなくしみじみ思ったのでした。
そういうピュアな気持ちよりもキスシーンを期待した、いつの間にかすれてしまった(笑)自分にちょっと反省
(いやちゃんとそういうピュアな気持ちは忘れてないデスよ!)

しかし、真澄さんは有名人。あの船に乗っているクラスの人で、甲板で抱き合っているのを見て「え、紫織さんと婚約しているんじゃないの?」と誰も思わないのが不思議なところ(笑)。

船から降りたあと、倒れた紫織さんのところへ向かう真澄さんを追いかけて、抱きついて「待っていて」というマヤに、「もちろんだ…もちろんだとも…!きみこそ僕を信じて待っていてくれ」という真澄さんにきゅーーーーんとしてしまいました
年甲斐もなく…どこか乙女の部分もやはりちゃんと残っているようです(笑)。
(しかし、読後、「真澄さんの台詞は不倫しているオトコの常套句でもあるな」と思った自分にまた撃沈

「伊豆の約束」を果たすために、これから真澄さんは大変です。
頑張れ、速水真澄!「ヘタレ」の汚名返上だ!
しかし、披露宴&引き出物のセンスはイマイチだなあ…と思った私。
いかにバカラのグラスとはいえ、イニシャル入りは使えないっす。
しかもS(紫織)とM(真澄)…使えないっす
5mのウェディングケーキも今時…て感じです。
これからまた紫織さんはいろいろ妨害工作しそうですなあ…それもまた楽しみです
まあ私も、ええ年の大人になってしまい、紫織さんの気持ちもすごくわかるんだよねえ…。
相変わらず、水城さんと聖さんがナイスフォローをしてくれていて、思わず「グッジョブ」と思う私なのでした。

空回りしちゃってた桜小路くん(良い人なんだが、私は元来真澄さん派なので、どうしても応援できない)も、ようやく舞台上の一真に目覚めたようで…(遅い)。
とりあえずケガ、早く直そう。
マヤが恋愛ボケしちゃってる間に、亜弓さんは着実に稽古を積んでいるみたいですね。
個人的には「紅天女」は「努力の人」亜弓さんに軍配を上げたいところ。

Amazonの書評、発売後たった3日ほどなのですがどんどん増えています。
みんなこの時を待っていたんだろうなあ。
この作品、実は私と同い年なんですよね(年がばれる)。だから連載開始から読んでいる人は私よりももっと長く待っていたわけで。
そして読んで、爆笑しました。
みんな考えることは同じだな~
うん、私も読んでいて突っ込みたいところはいっぱいあった。
そして真澄さんの携帯はついにスマフォンへ。
(第1巻は黒電話だったんだぞーーーー
私たちは着実に年を取っていますが、巻内では10年経ってないんですよね…(しかしスマフォン…笑)。
とりあえず、もう絶対最後まで読み続けますから、25年も待った(世の中にはもっと待っている人もいるはず)んですから、必ず完結してくださいよ、美内先生。
そして和田慎二先生に、合掌。
次巻が楽しみです。


『ちはやふる』13

2011-06-19 23:16:31 | 映画&読書日記(マンガ含む)

…仕事が忙しすぎて、本屋にも行けやしない。
というわけで、13巻が出てるのは知っていても、買えやしない。
(Ama○onとかに注文したとしても、配達してもらえる時間に帰れない…)

というわけで、やっと買いました。13巻。
変わらず面白いし、読んでて面白いんですが、ちょっとタイムスケールが長くなったような…。
なんとなくスラムダンクを思い出します(笑)。いや、あれほど1試合に何巻もかけてないんですが

前回のクイーン戦予選で決勝に残った逢坂恵夢が対戦相手として出てきますが、どうもこのコが好きになれない。
基本的にこの漫画に出てくる登場人物って割とみんな好きなんですが、このコだけどうもダメだ…なんでだろ。
本当に素で天然で、毒舌で、(マニアに)モテ女で、なんとなくやる気なくて、そのくせどこか傲慢というか腹黒で。
多分、「何考えてるかよく分からない(腹の中では虚無感と上から目線が混在)」のに、何となく人から愛される、というキャラが性に合わないのでしょう

机くんと肉まんくん、お互いの言いたいこと、非常によく分かります。
マネージャー的にバックアップしていく喜びみたいなものももちろんありますし(今自分自身がそういう立場もしているから)。
でも一方で、「気持ちが矢面に立たなくなった瞬間から力の現状維持すら難しくなる」、これは本当にそうだと思います。
自分自身、歌をずっと続けてきて、ようやくここまで来られた。
辛いことやしんどいこともあって、時々歌も含めて、音楽から完全に遠ざかろうかと思う時もあります。
でも、やめたらいつかきっと後悔する。「現状維持」することの難しさもこの漫画はよくとらえています。

いやしかし、原田先生は偉大ですな(笑)。
「生きてます」のちっちゃい文字を思わず各所で探してしまう私でした

この漫画、ところどころに名言がちりばめられているんですよね~。それがまたいい。
11巻だったかな?ドSの須藤さんが人知れず努力している姿を知っている持田先生の言葉。
「本当に高いプライドは、人を地道にさせる。目線をあげたまま」
この言葉、本当に名言です。
まあ私も大概プライド高い方ですけど(笑)、その分練習もよくしてるんですよ~ぽろっと歌えるわけじゃないんですよ~(誰に向かって言ってるんだ…)。

団体戦決勝までまだもうちょっとかかりそうですね…とすると個人戦がはじまって、新や詩暢ちゃんが本格的に出てくるのはいつのことやら。
次巻も楽しみです。