さいこの部屋

音楽とNYが大好きな私の部屋です。あまり無理せず、日々の出来事や感じたことを。

五月花形歌舞伎

2013-05-27 23:38:06 | 演奏会・観劇覚書

南座の五月花形歌舞伎は、もうあきらめてました。忙しいし無~理~と
しかしひょんなことから休暇が取れた!
しかし千秋楽…チケットあるのか?と思いつつ南座へ。
一等席が2席だけありました。しかし花道は見えない…。
贅沢は言えませんね



【五月花形歌舞伎】
2013年5月27日(月) 16:00~<夜の部>@京都四條 南座
『慙紅葉汗顔見世』
三代猿之助四十八撰の内 伊達の十役~市川海老蔵十役早替り宙乗り相勤め申し候~
<配役>
仁木弾正直則:市川海老蔵
赤松満祐の霊:同上
絹川与右衛門:同上
足利頼兼   :同上
土手の道哲  :同上
累        :同上
高尾太夫   :同上
政岡      :同上
荒獅子男之助:同上
細川勝元   :同上
山中鹿之助  :尾上松也
大江鬼貫   :市川猿弥
渡辺民部之助:坂東亀三郎
京潟姫     :市川笑也
沖の井の局  :市川門之助
松島      :坂東新吾
八汐      :市川右近
栄御前     :市川家橘
山名持豊   :市川寿猿
渡辺外記左衛門:片岡市蔵
三浦屋女房松代:市川右之助

すさまじいです。一人二役とか三役とかぐらいまではありますが、一人十役です
お芝居が始まる前に、ご丁寧にパネルを用いて海老蔵さんが人物関係を説明してくれた「口上」も合わせると十一役になります。
これ一番だけなのですが、これ一番だけで約4時間半。見ごたえありました(しかし耐久レース)。
お話自体は「伽羅先代萩」、つまり伊達騒動をモチーフにしているので何となく分かるのですが、イヤホンガイドにお世話になりました…。
「いいやつ」と「わるいやつ」がはっきりしているので、混乱はしませんでしたが。
(渡辺民部と山中鹿之助が最初どっちがどっちかちょっとわからなかったですが・笑)
江戸時代に七代目團十郎が演じて以降、誰も演じず絶えていたものを、三代目猿之助(現・猿翁)が資料を探して復活(幾分オリジナル)させたらしく。
3年ほど前に海老蔵がレパートリーに加えて、晴れて「成田屋」へ里帰りを果たした、ということになるそうです。

しかし海老蔵、すごい
十役を見事に演じ分けて、全然違和感がない。普通に十人いるような錯覚に陥りました。
しかも早変わりがとてつもない。どこで入れ替わったのか全然わからないときもありましたし、ほんの数秒で入れ替わったときも
歌舞伎をご覧にならない方にとっては、海老蔵って芸能ニュース的なイメージがあるかもしれませんが、すごい俳優さんです。
宙乗りもすごかった。すーーーっと空中を歩いていくかのような自然な動き。
海老蔵の女形ってなかなか想像できなかったのですが、傾城高尾太夫や累は綺麗でした。
政岡もちゃんと乳母に見えたし。

個人的に笑也は女形さんのなかでもお気に入りです。
いつもとってもお綺麗ですごーく女性らしい

しかし、やっぱり歌舞伎は女性の扱いが結構ひどい(笑)。
お家のためなら妻も妻の姉も手にかけちゃうのね…
そして妻の姉は亡霊となる、と。
(ちなみに妻の累は、元はあの「」ですからね…。)

足利家の坊ちゃん二人(足利頼兼の嫡子・鶴千代と政岡の子供(つまり乳母子)の千松)がかわいい
二人とも一生懸命演じていて、ものすごくほほえましかったです。
その分、千松が母からの言いつけを守って、鶴千代の代わりに毒の入ったお菓子を食べて死んでしまったシーンはかわいそうでした…
また八汐がドSだから、虫の息の千松に懐剣でぐりぐりと

このお話の中では「細川勝元はいいやつ、山名持豊(宗全)はわるいやつ」ということになっているのですね。
応仁の乱の両将ですが。

結局2席並びの空席のうちの片方(私の席でない方)にはお客さんがいらっしゃらなかったので、結構自由に見させていただきました。
最後列であることをいいことに、花道のときは中膝ぐらいになって見たりもしてしまいました。すみません。
私が立ち上がることで見えなくなる方がいない席だったのでご迷惑はかかってないと思います。
(むしろなぜこの席が一等席なんだ、説明してくれ、と南座あるいは松竹さんに言いたくなる席です・笑)

大変面白かったです。あっという間の4時間半でした。

次はいつ歌舞伎が見られるかしら…。
東京・歌舞伎座では4~6月は杮落し公演が行われていますが、行く時間が…。「助六」見たかったな~