
F log
第 1 幕よりつづく
幕間にユフィちゃんの父上に誘われ、関係者のみが入ることのできる休憩スペースでコーヒーをいただく。
一ファンであるにも関わらず、御厚意に感謝いたします。
さて第 2 幕。
前 log にてオデットの似合うユフィちゃん、について書いた。
ところが第 2 幕で驚愕することになる。
結論から言うと、ユフィちゃんのオディールはオデット以上に良かったのだ。
グリゴローヴィチ版の花嫁候補は各国のお姫様たちである。
やはり刷り込みというのは恐ろしいもので、国代表でない花嫁候補になれるまで時間がかかった。
久しぶりの民族舞踏に期待が高まる。
各国のお姫様の中ではスペインが図抜けていた。
というか他はあまりピンと来なかった。
スペインの胸にグルグルのあの衣装はどうかと思うが、彼女の踊りはメリハリの効いた素晴らしいものだった。
音楽が大好きなポーランドも悪くなかったが、この踊りはある程度上背のあるダンサーに踊ってもらいたいのだ。
個人的な好みだけどね。
花嫁候補を前に躊躇するジークフリード。
王妃は取り付く島もない。
そこにファンファーレが高々と鳴り響いた。
蛇足だがハングルで書かれて判読困難な当日配役表には、主要な役に加えて謎の役柄が記されていた。
ええと、王妃でもない家庭教師でもない式典長でもない…
翻訳サイトなど駆使してやっとわかったのは 「 トランペット奏者隊長 」 なる役。
各幕の配役にもトランペット奏者として複数の名前が記載されており、こちらでは特別な役なのかな。
ファンファーレとともにトランペット奏者隊が左右に割れ、中からロットバルトとオディールが飛び出してくる。
黒いユフィちゃん…ハッキリ言ってものすごく魅力的。
グリゴローヴィチ版では登場のテーマ直後に妖しくゆったりした曲が使われ、オデットがじっとりねっとり
ジークフリードを見つめるシーンがある。
そこがね、もうハッとするほど幻惑されるの。
妖艶…という表現ではないな。
あくまでオデットの初々しさを残しつつ、背徳の香りを漂わせるというか…
すぐ近くにいる坊やのジークフリードがその視線に抗えるわけもなくすでに心を奪われている。
音楽は劇的に盛り上がってゆく。
ふと気づくと…
10 m 以上離れた某オジさんも完全に心を奪われていた。
ジークフリードになり代わって、いますぐ人差し指と中指を高々と掲げたい誘惑に駆られる。
第 1 幕でユフィちゃんのオデットが最初に羽ばたいたとき、韓国まで来たかいがあったと思った。
オディールがを観た瞬間、いまこの場にいなかったら一生後悔しただろうと確信した。
「 静 」 または 「 聖 」 のイメージで捉えていた彼女の別の魅力が炸裂してゆく瞬間を目の当たりにし、
そのオーラを浴びる幸せに酔いしれた。
ひとりのダンサーについて、これほど切迫感のある気持ちになったのは初めてだ。
お手洗いに行きたくなったわけではない(笑
たった 2,000 人強で独占するのはもったいないと思った。
この魅力あふれる表現者のパフォーマンスをダンスを愛するすべての人々に知ってほしい…そう思ったのだ。
ジークフリードが膝をつくその上で、オデットとロットバルトが手をつなぐ印象的なポーズを経て曲は終わった。
続いてはロットバルトの印象的なソロだ。
ここも大好き。 こうしてみるとグリゴローヴィチ版、けっこう好きなんじゃない、オレ。
音楽がリズミカルで勇壮なだけに、踊り手は完璧にシンクロさせる必要がある。
やはりヴェトロフの見事な回転と圧倒的に高い跳躍が目に焼きついているのでロットパルト役の彼には申し訳ないが
もうひと踏ん張りだと感じた。 せめて回転中に手を上下させるところだけは音楽に合わせてほしいなぁ。
それが終わるといよいよ大大大好きな 黒鳥の PDD だ。
冒頭、オディールのアチチュード 3 連発。
オディールを評価する F の私的ポイントである。
グリゴローヴィチ版ではジークフリードの支えはなく、オディールひとりでアチチュードを 3 回繰り返す。
ユフィちゃんのアチチュードはとっても嬉しいことに F 好みであった。
この部分、アチチュード・エファッセにはうるさい。 もちろん専門色はいっさいない素人のより好みだが。
グリゴローヴィチ版のデフォであるミハリチェンコは素晴らしいダンサーだが、このアチチュード・エファッセだけは気に入らない。
その点ユフィちゃんのそれは柔らかな腕を生かしたたいへん美しいもの。
そして何より F が感動したのは、3 連発の最後の 1 回を 0.5 秒 ( 体感値 ) ほど長く保ったのだ。
最後のアチチュードを崩したり、おざなりにするダンサーもいる中、逆に丁寧に音楽をたっぷり使ってポーズを決めた。
ユフィちゃんこれはブラボーだわ!!
ヴァイオリンの美しい旋律に載せてジークフリードとのアダージョは続く。
王子、回転のサポートもっとしっかり!!!!
離れてジュッテ・アントルラッセから左膝をついて右脚を伸ばし、ジークフリードを誘惑するシーン。
ここも大好きな部分なのだ。
ジークフリードがフラフラと近づくと、クルッと体躯を入れ替え拒否のポーズ。
かと思うと一転媚びるような動きも加えてジークフリードを翻弄しまくる。
ああ~んオジさんも翻弄されたい(爆
ジークフリードのヴァリエーションの後、いよいよオディールのヴァリエーションだ。
ハープの調べに導かれ、ユフィちゃんが舞台中央で妖しく舞う。
オーボエが怪しげなテーマを奏でると、そこはもうオディール…ユフィちゃんのオディールの世界だ。
2 度目のテーマ、細かなポワントワークのアチチュードに加え、手を前でクロス、横に羽ばたき、手を上げてピルエットと
リズミカルに、しかしそれぞれのポーズは美しく決まる。
最後は劇的な音楽とともにピルエットとジュッテでステージを一周。
美しすぎるシェネで最後のポーズもピタリと決めた。
チャイコ先生の音楽は、ジャン!!!と終わった後に 「 ブラヴォ~!! 」 と叫ぶために作られたよう。
ジークフリードを露払いにオディールの 32 回グランフェッテが始まった。
ユフィちゃんは当初ダブルを交え、後半シングルでキッチリ回りきった。
コーダはもう圧巻。
特に上手奥から下手前へと斜めに進みながら、第 2 アラベスクから細かなポワントでのステップを繰り出すところでは
たいへん興奮させられた。
「 動 」 のユフィちゃんは 「 堂 」 に入っていて、とても魅力的でエネルギッシュ。
うれしい誤算だった。
舞台を離れたユフィちゃんの素顔を知る方々からは、彼女は意外におちゃめでアクティブガールだと聞いた。
我々夫婦の前ではいつもおしとやかなユフィちゃんだが、仕事以外ではやはり 20 代の女の子。
そういえばインタビューで 「 好きなバンドは The Killers 」 と言っていたなぁ。
その資質からガラ等で求められていた踊り・・・・・ 「 二羽の鳩 」 だったり 「 タイスの瞑想曲 」 だったり・・・・・
それを打破するに充分なオディールを魅せてもらった。
何よりもユフィちゃん自身が楽しんで演じ、踊っていたのが観ている側にも伝わってきた。
F 嫁もユフィちゃんのオディールを絶賛。
映像、生の舞台を問わず、過去に観たどのオディールよりも良かったとまで言い、その踊り、存在を 「 希少な黒真珠 」 と評した。
F は気まぐれでツンデレ ( 笑 ) な黒猫を想起した。
どちらにしてもユフィちゃんの新たな魅力を発見して感激の F & F 嫁なのであった。
まんまと間違った愛の誓いを立てたジークフリードを嘲笑い、ロットパルトとオディールをが消え去ると、王家の紋章を表した
幕が昇っていき、かわりに白鳥をモチーフにした紗幕が降りてくる。
その間に舞踏会にいた群衆は消え去り、舞台はいつのまにか湖畔へと変わる。
舞台転換はたいへんスムーズだ。
再びロットパルトはジークフリードを背後から操る。
ここの白鳥のモチーフはトランペットだ。
やはりアチチュードターンするところの弦が好き。
ジークフリードが倒れこんだところを飛び越え、舞台前でクルリと向きを変えたロットバルトが止めを刺そうとした瞬間、
白鳥たちが雪崩れ込んできて、オデットがジークフリードに駆け寄る。
ふたりがひとつになった瞬間、トランペットのモチーフは転調して愛の力でロットバルトを 2 度にわたり退ける。
この後は韓国国立バレエ 「 グリゴローヴィチ版白鳥の湖 」 演出上の最大の不満。
2 度トランペットが長調でテーマを奏でた後、いきなりハープの演奏に入ってしまうのだ。
ここはやはり弦が流麗に旋律を紡ぎ、ジークフリードがオデットを大きくリフトし、オデットは空中で美しいアラベスクを…
ってまたボリショイ版の刷り込みか!! とツッコミが入るかもしれないがここは必要でしょう。
だってふたりして悪魔の力を跳ね返したのだよ。
勝利の舞いがあってもいいじゃないか。 ハッピーエンドなんだから。
個人的には白鳥の湖に関してハッピーエンドは好きではない。
でももしユフィちゃんが湖へとダイブしたなら平静ではいられなかったもしれんな。
脱線してばかりだが、バレエダンサー 崔 由姫 が初めて全幕を踊った 「 白鳥の湖 」 は美しく、そして素晴らしかった。
韓国国立バレエについてはいろいろ書いてしまったが、個々の素養は並々ならぬものがあるように思う。
日本の国立バレエも安穏としてはいられないだろう。
今回は時間が無かったが、本家のプリンシパル同士で踊られる日も観てみたかったな。
そしてゲストとして主役を踊ったユフィちゃんは、すでにオデット/オディールを自分のものにしている。
モニカ様、もういつでも OK ですよ~!!
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さて、魂ごと持っていかれた終演後に嬉しい ( などという安直な言葉では表現しきれない ) ハプニングがあった。
なんとユフィちゃんのご両親が、緞帳が降りた後の舞台上に招待してくれることになったのだ。
行ったことはないが極寒の楽屋口で出待ちをする覚悟を決めていた F & F 嫁は、無遠慮にもありがたくお受けすることに…
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5

もちろん初めて入る舞台下手側。 右側が客席、左側が舞台背景だ。
時折拍手が聞こえ、舞台の総括が行われている模様。
中央でもっと近くにいらっしゃいと手招きする白いパンツの女性がユフィちゃんの母上である。 ちなみに超がつく美人。
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5

それではとさらに無遠慮に近づく。
主要 4 役。 右からジークフリード、オデット、道化、そしてロットバルトである。
どうやらスポンサー筋 ( 某化粧品メーカー ) のお偉いさんが挨拶しているらしい。
この夜が最後のユフィちゃんの脚元には花が置かれていた。
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5

全員並んで公式な記念撮影。
ゲストとして中央で花束を受けるユフィちゃん。 とてもいい顔をしている。
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5

そしてお約束の…
背景は誰も居なくなった客席。
ただでさえ醜い F の面相は、デレデレの極みで見るに耐えない。
ユフィちゃんの右ホッペにあるキスマーク状の赤は、感激のあまり F がブチュ~~~っとしたのではなく、
道化役の方とハグしたときに、彼のハートマークのメイクが写ったものだ。
ほんの偶然から繋がった細い糸。
ユフィちゃんの母上の親友のお嬢さんと出会ってから、こんな素敵な状況が生まれるに至った。
御両親様、ranranさん、そして C ちゃん、本当にありがとうございました。
心から御礼申し上げます。
そしてこのニヤけた大男がひとりでソウルまで追いかけていったなら決してこんな幸運には恵まれなかったろう。
自分自身もバレエが、そしてユフィちゃんが大好きとはいえ、いつもつき合ってくれている F 嫁にも感謝。
ふたりセットだからこそ、本人も御家族も受け容れていただいていると思う。
今後もよろしくお願いします。
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5

写真をお願いする前に 「 初役、おめでとうございます 」 とお祝いを述べたらユフィちゃんは、
「 ありがとうございます。楽しかったです ! 」
と答えてくれた。
この言葉がゲストとして踊った 「 白鳥の湖 」 2 日間すべてを物語っていると思う。
素晴らしい舞台だったようで自分のことのように嬉しいです。
ツーショット写真もいいですね~。(^^ゞ(羨)
ユフィちゃんがオデット(オディール)を踊るチャンスが増え、
日本でも観れる日が来ることを切望します。
楽しみがどんどん増えていきます。(^^
旅のお疲れが出ませんように、ご多忙を乗切って下さい。
ツーショットはおまけですが、舞台はほんとうに素晴らしかったです。
KBSテレビが収録していたらしいので、韓国では放映されるかもしれません。
国内のバレエ団もぜひゲストで呼んで欲しいですね。
近い将来、そうなったらぜひトミーさんにもご覧頂きたく思います。
その時が楽しみです。
0時過ぎに食べ物レポをひとつアップします。