今回の旅行で、モロッコの発展ぶりには本当に驚いた。
町の道路が全部舗装されている。
信号があり、外灯が並び、2階建て以上の建物
が普通にあって、
先進国と変わらない交通マナーで車が走っている。
どこに行っても銀行のATM
がありお金の引き出しには困らない。
まるでヨーロッパだ。
観光国とはいえ協力隊が派遣されている国だから、と思っていたけど、
協力隊員の派遣は必要なのかと思ってしまうくらい発展してた。
モロッコの中で一番開発が遅れているという「エル・ラシディア県」で活動している隊員に会いに行った。
町はとてもきれいに整備されてて、とても開発が遅れているとは思えない。
なんと、パック詰めされた生肉が買えるらしい
町には本屋さんまであった
さらに驚くことに、モロッコ隊員のほとんどが、家で洗濯機を使っているそうで
、
つまりそれだけ一般に洗濯機が浸透しているということだ。
ベナンでは手洗いが普通で、洗濯機なんてまず任地で売ってない。
ベナン隊員の目から見て、正直、モロッコ隊員の生活はすごくうらやましい。
停電もない、断水もない、手洗いでの洗濯もない、ホットシャワーが使える。
格段に快適なはずだ。
世界中に派遣されている青年海外協力隊員とシニアボランティアのなかで、
アフリカ派遣は最も過酷といわれている。
モロッコも一応、ベナンと同じアフリカ大陸だけど、
私のいる「西アフリカ」ではなく「北アフリカ」または「中近東」で、
私が知っている「アフリカ」とはぜんぜん違った。
実際、想像以上に発展していたのだ。
モロッコ旅行を終えて、たった4時間半のフライト距離のベナンに戻ってきたあと、
私は一種のカルチャーショックを受けた。
今までは、途上国だからこういうものだろう、これがこの国の文化なんだろう、
と数々のことを受け入れてきた。
それが、急に壁にぶつかったみたいに受け入れられなくなり、
「同じように協力隊員が派遣されているモロッコではみんなが普通にできていることを、
どうしてベナン人はできないの?!」って思ってしまう自分がいた。
日本から初めてベナンに来たときには、むしろ「想像よりコトヌー発展してるじゃない」って思っていたのに。
モロッコ旅行のあとの、ベナンでのイライラは募るばかり。
たとえば、タクシー。
ベナン人は車の整備をしない。タクシーが故障したら応急処置で終わらせてとりあえずエンジンがかかればそれで終わり。「修理」をしようとない。当然、また動かなくなる。そのたび、ドライバーもお客さんもみんなが時間を無駄にする。
なんでその場しのぎしかしないの?
たとえば軽食スナックで。
店員は、こちらが注文したたった二つの食べ物を一回で覚えられない。覚えられないのにメモを取ろうともしない。忘れた注文をお客に聞き返すこともせず、ただ困って茫然と立っている。
たとえば郵便局に行って。
自分あての荷物を日本の実家に送ろうとすると、受取人の名前を教えてくださいと言われる。受取人(=私の名前)は箱にマジックでデカデカ書いてある。それが受取人です、というと、これが受取人ですね、ではあなたの名前を教えてくださいというので、その箱に書いてあるのが私の名前です、というと、そうじゃなくて送り人の名前を教えてくださいという。だから私なんです、いや送り主は誰ですか、だからそれも私です、という会話を3回も繰り返して私がキれ、「だから私なんだってば!」と声を荒げたころに、ようやく彼らは理解する。
なんでこんなことができないんだろう?!
なんでこんなことがわからないんだろう?!
なんで?!なんで?!
モロッコ旅行のあと、本当に今さらの、完全なカルチャーショックである。
旅でたまった疲れと、久々に戻った暑さの中でイライラし、
「こんなんだからこの国は発展しないんだ!努力が足りないからだ!」
って叫びたくなった。
こんなことは今までなかったのに。
効率の悪さが理由で、何かと長い時間をじっと耐えなくちゃいけないのも、
1年半前はなんとも思っていなかったのに、
ここにきてうんざりしてきた。
そう、うんざり、っていう言葉が一番正しい。
以前読んだ、某国の協力隊員の数年前のブログに、
「この国には自助努力が足りない。途上国は、なるべくして途上国なのだ」
と書いてあった。
彼の言うことは間違ってないと、正直思う。
自助努力が足りない国には、他国から援助を受ける前にやるべきことがあるんじゃないか?
私が青年海外協力隊として活動しているこの国は、世界の最貧国の一つ。
「そういう国だからこそ、自分たち協力隊員がいるんだ」って、人に言われた。
分かっている。
まだ発展が必要な国だからこそ自分がベナンに派遣されているのだ。
先進国が絶対的に正しいとは思わない。開発、効率の良さが全てではない。
でも効率をもう少し上げる事で、人々の生活は格段に快適になるはずだ。
効率の悪さにイライラしてるベナン人だって、たくさん見てきた。
効率が改善されれば、イライラから始まる彼らの口げんかも減るだろう。
1年半も生活してるこの国で、残り任期半年になって、
今さらカルチャーショックを受けるとは思わなかった。
「カルチャーショックとは、珍しい文化に驚くことではない。
行為の自動化が失われた状態(=自意識過剰状態)である」
- JICA「異文化理解講座」のレジュメより-
私はモロッコでのたった3週間弱で「途上国モード」から
「先進国モード」に切り替わってしまって、
今までベナンでやっていた「行為の自動化」を失った自分自身に気付かないまま、
ベナン文化に戻って衝突を起こしてしまったのだ。
正直、これはつらい時期だった。
こうなると、残り半年がすごく長く思えてくる。
だけど、原因が自分自身にあることは明白だ。
なんとか「途上国モード」に切り替えようともがく日々が続いた。
私がそのイライラから解放されたのは、ベナンに帰国してから3週間後。
もう、大丈夫。
残りの任期も、ちゃんとベナンと向き合っていこう。
この経験も、これからの糧にしていきたい。
町の道路が全部舗装されている。
信号があり、外灯が並び、2階建て以上の建物

先進国と変わらない交通マナーで車が走っている。
どこに行っても銀行のATM

まるでヨーロッパだ。
観光国とはいえ協力隊が派遣されている国だから、と思っていたけど、
協力隊員の派遣は必要なのかと思ってしまうくらい発展してた。
モロッコの中で一番開発が遅れているという「エル・ラシディア県」で活動している隊員に会いに行った。
町はとてもきれいに整備されてて、とても開発が遅れているとは思えない。
なんと、パック詰めされた生肉が買えるらしい

町には本屋さんまであった

さらに驚くことに、モロッコ隊員のほとんどが、家で洗濯機を使っているそうで

つまりそれだけ一般に洗濯機が浸透しているということだ。
ベナンでは手洗いが普通で、洗濯機なんてまず任地で売ってない。
ベナン隊員の目から見て、正直、モロッコ隊員の生活はすごくうらやましい。
停電もない、断水もない、手洗いでの洗濯もない、ホットシャワーが使える。
格段に快適なはずだ。
世界中に派遣されている青年海外協力隊員とシニアボランティアのなかで、
アフリカ派遣は最も過酷といわれている。
モロッコも一応、ベナンと同じアフリカ大陸だけど、
私のいる「西アフリカ」ではなく「北アフリカ」または「中近東」で、
私が知っている「アフリカ」とはぜんぜん違った。
実際、想像以上に発展していたのだ。
モロッコ旅行を終えて、たった4時間半のフライト距離のベナンに戻ってきたあと、
私は一種のカルチャーショックを受けた。
今までは、途上国だからこういうものだろう、これがこの国の文化なんだろう、
と数々のことを受け入れてきた。
それが、急に壁にぶつかったみたいに受け入れられなくなり、
「同じように協力隊員が派遣されているモロッコではみんなが普通にできていることを、
どうしてベナン人はできないの?!」って思ってしまう自分がいた。
日本から初めてベナンに来たときには、むしろ「想像よりコトヌー発展してるじゃない」って思っていたのに。
モロッコ旅行のあとの、ベナンでのイライラは募るばかり。
たとえば、タクシー。
ベナン人は車の整備をしない。タクシーが故障したら応急処置で終わらせてとりあえずエンジンがかかればそれで終わり。「修理」をしようとない。当然、また動かなくなる。そのたび、ドライバーもお客さんもみんなが時間を無駄にする。
なんでその場しのぎしかしないの?
たとえば軽食スナックで。
店員は、こちらが注文したたった二つの食べ物を一回で覚えられない。覚えられないのにメモを取ろうともしない。忘れた注文をお客に聞き返すこともせず、ただ困って茫然と立っている。
たとえば郵便局に行って。
自分あての荷物を日本の実家に送ろうとすると、受取人の名前を教えてくださいと言われる。受取人(=私の名前)は箱にマジックでデカデカ書いてある。それが受取人です、というと、これが受取人ですね、ではあなたの名前を教えてくださいというので、その箱に書いてあるのが私の名前です、というと、そうじゃなくて送り人の名前を教えてくださいという。だから私なんです、いや送り主は誰ですか、だからそれも私です、という会話を3回も繰り返して私がキれ、「だから私なんだってば!」と声を荒げたころに、ようやく彼らは理解する。
なんでこんなことができないんだろう?!
なんでこんなことがわからないんだろう?!
なんで?!なんで?!
モロッコ旅行のあと、本当に今さらの、完全なカルチャーショックである。
旅でたまった疲れと、久々に戻った暑さの中でイライラし、
「こんなんだからこの国は発展しないんだ!努力が足りないからだ!」
って叫びたくなった。
こんなことは今までなかったのに。
効率の悪さが理由で、何かと長い時間をじっと耐えなくちゃいけないのも、
1年半前はなんとも思っていなかったのに、
ここにきてうんざりしてきた。
そう、うんざり、っていう言葉が一番正しい。
以前読んだ、某国の協力隊員の数年前のブログに、
「この国には自助努力が足りない。途上国は、なるべくして途上国なのだ」
と書いてあった。
彼の言うことは間違ってないと、正直思う。
自助努力が足りない国には、他国から援助を受ける前にやるべきことがあるんじゃないか?
私が青年海外協力隊として活動しているこの国は、世界の最貧国の一つ。
「そういう国だからこそ、自分たち協力隊員がいるんだ」って、人に言われた。
分かっている。
まだ発展が必要な国だからこそ自分がベナンに派遣されているのだ。
先進国が絶対的に正しいとは思わない。開発、効率の良さが全てではない。
でも効率をもう少し上げる事で、人々の生活は格段に快適になるはずだ。
効率の悪さにイライラしてるベナン人だって、たくさん見てきた。
効率が改善されれば、イライラから始まる彼らの口げんかも減るだろう。
1年半も生活してるこの国で、残り任期半年になって、
今さらカルチャーショックを受けるとは思わなかった。
「カルチャーショックとは、珍しい文化に驚くことではない。
行為の自動化が失われた状態(=自意識過剰状態)である」
- JICA「異文化理解講座」のレジュメより-
私はモロッコでのたった3週間弱で「途上国モード」から
「先進国モード」に切り替わってしまって、
今までベナンでやっていた「行為の自動化」を失った自分自身に気付かないまま、
ベナン文化に戻って衝突を起こしてしまったのだ。
正直、これはつらい時期だった。

こうなると、残り半年がすごく長く思えてくる。
だけど、原因が自分自身にあることは明白だ。
なんとか「途上国モード」に切り替えようともがく日々が続いた。
私がそのイライラから解放されたのは、ベナンに帰国してから3週間後。
もう、大丈夫。

残りの任期も、ちゃんとベナンと向き合っていこう。
この経験も、これからの糧にしていきたい。