経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2022-02-21 08:01:02 | 株価
◇ ウクライナに翻弄された株式市場 = ダウ平均は先週659ドルの値下がり。2週間の続落で、終り値はかろうじて3万4000ドル台を維持した。ウクライナ国境沿いのロシア軍が一部撤収を始めたと伝えられた火曜日には400ドル以上も上げたが、アメリカがこの情報を否定した木曜日には600ドル以上も下げた。投資家としては、アメリカ側の情報を信頼するしかない。とにかくウクライナ情勢に、一喜一憂させられた1週間だった。

日経平均は先週574円の値下がり。こちらも終り値は2万7000円台を、なんとか維持した形。ニューヨークの大幅安が響いた。月曜日には日銀が久しぶりにETFを買いに出たが、大勢に変わりはなかった。さらに東京市場の場合は、オミクロンの急拡大が悪材料になっている。「まん延防止措置」の実施で、企業業績の先行きが暗くなってきたことが心配され始めた。

全く異例なことだが、バイデン大統領は「ロシアの侵攻はあると確信している」とまで言い切った。こういう情勢では、安値拾いの投資家も手を出しにくい。今週も市場の空気は重苦しく、ウクライナに振り回される可能性が大きい。東京市場にも、ウクライナとオミクロンの重圧がのしかかる。春はまだ遠いかもしれない。

今週は22日に、1月の企業向けサービス価格。25日に、2月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは22日に、12月のFHFA住宅価格指数、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。24日に、10-12月期のGDP改定値、1月の新築住宅販売。25日に、1月の中古住宅販売が発表される。

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (100)

2022-02-19 07:47:25 | なし
◇ 日本はピークを過ぎたのだろうか = 世界の感染者は累計4億1775万人、この1週間で145万人増加した。死亡者は585万0703人で、1週間の増加数は7万3473人だった。感染者の増加数は3週連続で縮小、また死亡者の増加数は6週間ぶりに縮小した。こうした数字を背景に、WHO(世界保健機構)は「世界のオミクロン感染はピークを過ぎたようだ」と指摘している。この判断は、おおむね妥当だろう。

国別の死亡者数をみると、アメリカは92万8519人。1週間で1万6264人増加した。この増加数は前週より1675人少なく、3週連続で縮小した。続いてブラジルが64万人台、インドが51万人台、ロシアが33万人台、メキシコが31万人台。さらにイギリスが16万人台、イタリアが15万人台、インドネシアが14万人台、フランスとイランが13万人台となっている。このうちロシア・インドネシア・フランス・イランで、死亡者が前週より増加した。

日本の感染者は累計425万6696人、この1週間で57万4632人増加した。死亡者は2万1260人、週間の増加数は1318人にのぼった。感染者は400万人台に、死亡者は2万人台に乗せている。1日の死亡者数は17日に271人を記録、昨年5月に142人だった第5波の最大値を大きく上回った。オミクロンの猛威は、少しも衰えていない。

ただ東京都など一部の地域で、感染者の増加数が前週を下回った。このため厚労省の専門家会議は「日本もピークを過ぎた可能性がある」と判断している。これを根拠にしたかどうかは不明だが、政府は「3月1日から水際対策を緩和する」ことになった。しかし、その一方で多くの都道府県に「まん延防止措置」を適用している。国民にとっては、政府の姿勢が判りにくくなってしまった。少なくとも「ピークを過ぎた」という判断は、尚早だろう。

        ≪18日の日経平均 = 下げ -110.80円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     

哲学がない ‟開国”宣言 (下)

2022-02-18 07:41:15 | なし
◇ 国民を惑わす政策に = アメリカをはじめ多くのヨーロッパ諸国、それにオーストラリアやカナダは、すでに外国人の入国を解禁している。さらに最近は東南アジア諸国も、次々と‟開国”し始めた。たとえばフィリピンは10日、ワクチン接種を条件に隔離なしの入国を認めた。マレーシアやタイも、近く同様の措置に踏み切るという。こうしてみると、安倍元首相が言うように「日本の出遅れ」は明かだ。

‟開国”した国の多くは、その理由を明らかにしている。それは「オミクロン株は重症化率や死亡率が低いから、それほど警戒しすぎる必要はない」「国内の感染者が多いから、いまさら水際で防いでも意味がない」という論理。つまりオミクロンと共存する道を選ぶことによって、経済の再生を優先する。だからビジネスであろうが観光目的であろうが、外国人を歓迎するというわけだ。

だが日本の場合、この論理は通用しにくい。オミクロンによる死亡者数は急激に増加しており、医療の逼迫が心配されている。36都道府県には「まん延防止措置」が適用中。アメリカ国務省は、日本を「渡航中止を勧告する国」に指定した。こんな状況の下で‟開国”が宣言されたら、国民は戸惑うに違いない。

すでに‟開国”した国々は、国内の規制も解除する方向にカジを切っている。「コロナと共生する」という哲学が貫かれているわけだ。日本もいずれ、そういう時期を迎える可能性は大きい。しかし少なくとも「まん延防止措置」が発令されているうちは、ムリである。右手で消火器を操作し、左手でガソリンをまくようなことになってしまうからだ。それでも3月に‟開国”宣言をする理由が「要求する声が強いから」では、国民の納得は得られない。

        ≪17日の日経平均 = 下げ -227.53円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

哲学がない ‟開国”宣言 (上)

2022-02-17 07:57:29 | なし
◇ 安倍元首相らの批判で決断? = いま日本は「外国人の新規入国を原則的に禁止」している。言うまでもなく、コロナ対策の一環だ。政府はこの規制を3月1日に撤廃する方針。ビジネス目的の外国人や留学生を、1日5000人まで受け入れる方向で調整している。さらに2月中にも、1日1000人程度の入国を認めることになりそうだ。なんだか大急ぎで、ドタバタ‟開国”する感じが強い。

出入国在留管理庁によると、昨年中に日本に入国した外国人は35万人。前年に比べて91.8%も減少した。およそ1割に減ったわけである。このうち留学生は、コロナ前19年の入国者が12万1637人。それが昨年は1-10月間で9930人、11月以降はゼロとなっている。すでに留学の認定を得ている学生は14万7000人もいるが、ほとんどの人が日本へ来られずにいる。まさに‟鎖国”状態だ。

この結果、いろいろな問題が現実に発生している。ビジネス面では役員会に出席できない、下見が出来ず不動産を買えない、商談が進まない。あるドイツ企業は、たまりかねて日本を脱出してしまった・・・。留学生が来られないから、交換留学制度は機能しなくなった。カリフォルニア大学は、日本人学生の受け入れを停止した・・・。

こうした結果を受けて、各方面から‟開国”の要求が強まった。たとえば在日アメリカ商工会議所は「日本が信頼できるパートナーかどうか疑問を生じる」と抗議。経団連も「鎖国を続ける意味はあるのか」と、政府に詰め寄った。とどめを刺したのは安倍元首相の「日本は立ち遅れる危険性に直面」という批判だったのでは。

                         (続きは明日)

       ≪16日の日経平均 = 上げ +595.21円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

失われた 21世紀 : GDP

2022-02-16 08:21:56 | 景気
◇ 2000年以降はほぼゼロ成長 = 内閣府は15日、昨年10-12月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率は5.4%。2四半期ぶりにプラス成長を記録した。昨年10-12月期はコロナの感染が下火になり、緊急事態宣言も解除されている。このため経済活動もかなり正常化した時期。個人消費が年率換算で11.5%増加して、成長率を押し上げた。企業の設備投資は1.6%の増加、輸出は3.9%の増加だった。

10-12月期の実質GDPは、年率換算で541兆円。コロナ前19年10-12月期の水準に1兆円とどかなかった。アメリカやユーロ圏、それに中国がコロナ前の水準を上回ったのに比べると、日本の回復力はやや弱い。ただコロナという異常事態に見舞われているから、短期的な動向を重視しても、あまり意味がないだろう。そこで、もう少し長期的にみてみよう。

21年を通じた実質成長率は1.7%で、3年ぶりのプラス成長となった。個人消費は1.2%の増加、設備投資は0.7%の減少、また輸出は11.6%の増加となっている。そして個人や企業の景況感と関係が深い名目GDPは、542兆円だった。ずっと時間をさかのぼってみて驚くのは、2000年の名目GDPが535兆円だったという事実。この20年間でわずか7兆円、率にして1%強しか増えていないことだ。

つまり日本の21世紀は、これまでゼロ成長。人口が減少しているとはいえ、あまりにも情けない実績だ。その責任は、おそらく政治の無策にあるのではないか。一例を挙げれば、エネルギー政策の失敗続き。再生エネルギーや原発に対する一貫した方針がなく、いぜんとして輸入に頼り続けるばかり。少しでも輸入を減らして購買力の流出を防げば、それだけGDP成長率は高まるはずだ。岸田政権は「なぜ20年もゼロ成長だったか」を、真剣に検証すべきだろう。

        ≪15日の日経平均 = 下げ -214.40円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>