経済なんでも研究会

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妙手か悪手か? 石油備蓄の放出

2021-11-26 08:11:02 | 原油
◇ 消費国vs産油国の抗争に発展も = バイデン米大統領は23日、原油価格の高騰を抑制するため「主要消費国と協調し、石油の国家備蓄を放出する」と発表した。アメリカは数か月間にわたり、5000万バレルの石油を市場で売却する。また日本・中国・韓国・インド・イギリスの5か国も、同調することになった。消費国が石油の価格を抑える目的で、備蓄を放出するのは初めて。また消費国が協調して、国家備蓄を放出するのも初めて。特に関係が悪化しているアメリカと中国が同調したことは、きわめて注目される。

岸田首相は24日「アメリカの要請を受けて、日本も備蓄石油を放出する」と発表した。日本の国家備蓄は石油備蓄法で90日分以上と決められているが、現在は145日分の備蓄を保有している。ここから年内に420万バレルを放出する方針。またイギリスは150万バレル、インドは500万バレルを放出する模様。中国については、まだ情報がない。

原油の国際価格は、世界的な需要増加と産油国の増産拒否でウナギのぼり。ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は10月に1バレル=85ドル台に高騰した。国家備蓄放出の報道を受けて一時は75ドル台まで下がったが、すぐ78ドル台に反発している。OPEC(石油輸出国機構)やロシアなどの産油国が減産して対抗するのではないか、という思惑が働いたためである。

仮に産油国側が減産に踏み切っても、消費国側が備蓄を放出し続ければ、価格は下がるだろう。だが消費国側に、それだけの覚悟があるかどうか。いまのところは不明である。その覚悟がなければ、今回の協調放出は愚策となってしまう。その覚悟があれば、消費国と産油国の厳しい駆け引き、抗争が続くことになるかもしれない。

        ≪25日の日経平均 = 上げ +196.62円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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