経済なんでも研究会

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評判が悪すぎる 超大型経済対策 (下)

2021-11-25 08:16:32 | 景気
◇ 日本はまた置いていかれる = 欧米諸国もコロナ対策に腐心し、巨額の財政支出を強いられている。だが、そうしたなかでも各国は成長戦略を忘れない。アメリカは110兆円にのぼるインフラ投資法案を成立させ、EV普及に8600億円、送電網の整備に3兆円を支出する。さらに200兆円の子育て支援・気候変動対策法案を下院で可決した。EUはデジタル分野に17兆円、財政赤字に苦しむイタリアでさえも水素燃料を使う鉄道の開発に3兆円の予算を投じた。

いま世界は、脱炭素に向けて突き進んでいる。これに後れをとると、世界の市場から締め出されてしまうからだ。それなのに新経済対策では、脱炭素の問題を重視していない。本来ならばEVや蓄電池、再生可能エネルギーの開発に5兆円ぐらい使ってもいい。だが政府はすでに4兆5000億円を積み立てている大学ファンドに、なんと5兆円も追加する。バランス感覚が全くないと言えるだろう。

ひとくちに経済対策と言っても、内容はいろいろ。福祉政策、当面の景気対策、インフラの補修、そして将来ビジョンに基づいた成長戦略。実際にはそのバランスが、きわめて重要だ。特に成長戦略が乏しいと、国民は夢を失う。今回の新経済対策はそのバランスが悪すぎたために、巨額の財政支出にもかかわらず株価は上がらなかった。

政府は32兆円の補正予算を組み、その財源はすべて国債発行で賄うという。すべて日銀が引き受けるとしても、国の債務は増大する。そんな状態のなかで成長が見込めなければ、日本経済の世界における地位はますます低下せざるをえない。特に脱炭素の競争で周回遅れになれば、日本は3流国への道を進むことになりかねない。

       ≪24日の日経平均 = 下げ -471.45円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


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