経済なんでも研究会

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原油を巡って 丁々発止 : ロシア vs 西側

2022-12-09 08:32:45 | 原油
◇ やっぱり価格は高くなる? =ロシア産原油の輸出入取り引きを巡って、ロシアと西側諸国がツバ競り合いを演じている。OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国連合は4日の閣僚級会合で「現行の日量200万バレル減産を継続する」と決定した。増産をすれば国際価格が下がってしまうし、これ以上の減産で価格が上がれば西側諸国の需要が減るかもしれない。このため現行の政策を継続する‟様子見”に出たのだと考えられている。

あくる5日、こんどはEUが「パイプライン経由以外のロシア産原油の輸入を禁止する」措置に出た。同時にEUとG7(日本を含む主要7か国)とオーストラリアは「ロシア産原油の輸入価格を最高60ドルとすること」で合意した。具体的には60ドルを超える原油を運ぶタンカーには保険をかけないよう、西側の保険会社に通達している。

いまロシアは日量490万バレルの原油を輸出している。ただ西側諸国への輸出は大幅に減っており、その分だけインド・中国・トルコへの輸出が増えている。西側の保険会社が手を引くと、こうした国へのタンカーも60ドル以上の原油は運べなくなる。ところがロシアは大胆な対抗策を打ち出しそうだ。まずタンカーを世界中から買い集め、自前の輸送手段を確保。さらに政府が支援するロシアの保険会社に保険をかけさせるという。そのうえロシアは「60ドル規制に合意した国への輸出を止めるかもしれない」と脅迫した。

この勝負、どちらに軍配が上がるのだろうか。まだ始まったばかりだから、なんとも言えない。しかしEUはいぜんとしてロシア産の天然ガスを買い続けている。また西側諸国の一部は、インドで加工されたロシア産の石油製品を購入している。一方、産油国側は価格の下落に対しては‟減産”という切り札を持っている。もちろん収入が減るので簡単には減産できないが、最後の手段となることは間違いない。原油の国際価格は、下がるより上がる可能性の方が大きいのではないか。

        ≪8日の日経平均 = 下げ -111.97円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 
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