経済なんでも研究会

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「人手不足 = 好景気」 は 幻覚

2017-05-04 07:35:37 | 人手不足
◇ 求人倍率はバブル期並み = 人手不足が、ますます深刻になってきた。総務省が発表した3月の労働力調査によると、就業者は6433万人で51か月連続の増加。失業者は188万人で、同じく51か月続けて減少した。失業率は2.8%と完全雇用に近い状態を示している。一方、厚生労働省が集計した3月の有効求人倍率は1.45倍。バブル期だった1990年11月以来の高水準に達している。

常識的に言うと「人手不足は好景気が続いた結果、労働力に対する需要が強まり過ぎて生じる」現象である。だが現在は世間一般に、好景気という感じは乏しい。じっさい90年の経済成長率が5.57%だったのに対し、ここ数年の成長率は1%前後にとどまっている。日本経済の拡大スピードは当時の5分の1以下に減速しており、好況感は生まれにくい。にもかかわらず、人手不足は進行する。なぜなのか。

答えは、働き手が減少しつつあることに求められるだろう。就業者と失業者を合計した労働力人口は97年のピークから減り続け、この3月には6621万人となった。この間に180万人も減少している。さらに今後も急速に減少して行く見込みだ。したがって現在の人手不足は労働力に対する需要超過よりも、供給不足による面が大きいと言える。

政府や日銀は、こうした雇用統計の結果は景気の回復を示すものであり、アベノミックスの成果だと強調する。安倍首相に対する忖度なのかもしれない。だが中小企業の経営者などは「景気はいい」などと聞かされると、逆に「自分の会社は取り残されている」と感じてしまう。その結果は守りの姿勢に入り、設備投資や賃上げに二の足を踏むようになる。


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