ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 不審者 (1951)

2020年01月12日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
中西部の田舎から西海岸の都会へ夢破れ、流れ着いた男と女を引き合わせたのは姿なき「不審者」だった。安定と引き換えに自由を奪われた女は、その男に現実逃避の幻影を求め、過去の栄光の燃え殻がいまだ燻る男は、その女を現状打開の手段として利用する。

そんな二人を再び現実に引き戻し、地の果てに追い込んだのもまた、姿もカタチもない“大衆の影”という「不審者」だったというアイロニー。

他愛のない逃避行サスペンスの向こう側に、得体のしれない脅威に対するルサンチマンが滲む。筆を奪われた時代のダルトン・トランボ脚本だそうだ。

(1月9日/シネマヴェーラ渋谷)

★★★

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