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アンドレアス・オッテンザマー(指揮&Cl) 東京交響楽団

2022年07月05日 | pocknのコンサート感想録2022
7月3日(日)(指揮&Cl)アンドレアス・オッテンザマー/東京交響楽団
名曲全集第178回
ミューザ川崎シンフォニーホール


【曲目】
1.モーツァルト/交響曲 第35番ニ長調 K. 385「ハフナー」
2.メンデルスゾーン/オッテンザマー編/ 無言歌集から(クラリネットと弦楽オーケストラ版)
 道に迷った人、ヴェネツィアの舟歌第1、春の歌、羊飼いの嘆き、別れ、そよぐ風、子供のための小品、ヴェネツィアの舟歌第2
3.ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
4.ブラームス/ベリオ編/クラリネット・ソナタ 第1番ヘ短調 Op. 120-1(管弦楽版)


この演奏会を川崎まで聴きに行く気になったのは、オッテンザマーのクラリネットを聴くため。10年前、マゼール指揮のN響定期で聴いたウェーバーのコンチェルトが素晴らしかったことを思い出していたのだが、その感想を見直したらN響と共演したのは兄のダニエルだったと判明。けれど、弟アンドレアスのクラリネットにも、それに指揮にもほれ込んでしまった。

まずは指揮の感想から。「ハフナー」では、音楽の流れ、語り口、呼吸がとても自然で軽やか。シーンによって気分がサッと切り替わり、モーツァルトに相応しいディヴェルティメント的でレッジェーロなウキウキする気分を伝える。指揮姿も颯爽として、柔軟で生き生きとした音楽が見えてくるようだった。

東響は指揮者の求めに敏感に反応して、軽くてノリのいい息遣いと柔らかなハーモニーを聴かせた。ヴァイオリンのデリケートな線も美しい。3楽章のトリオでは弦も各パート1名で弾いて、室内楽風な自由さで陽気で田舎風ののどかな情景を描いていたのも良かった。4楽章の弾ける元気、ティンパニのパンチが刺激的で、オープニングに相応しいコンサートへのワクワク感を高めるステキなモーツァルトだった。

もう1曲、オッテンザマーが指揮棒を持って演奏した「オベロン」序曲もエネルギッシュで颯爽とした演奏。オペラの情景が見えるようで、踊りたくなるような溜めの効果もリアルで、臨場感があった。東響はこちらでは重量感を増し、アクティブに迫ってきた。オッテンザマーを前にした吉野さんのクラのソロも情感が伝わってお見事。

クラリネット奏者としてのオッテンザマーも、指揮と同様に自由で柔軟で歌に溢れた演奏を聴かせた。メンデルスゾーンの無言歌集は、オッテンザマー自身がアレンジしたシンプルで親しみやすい弦楽合奏に乗って、アンコールピース気分で伸び伸びとウィットに富み、詩情も滲ませる多彩な演奏。色香を湛えたクラリネットの音色、殊に繊細な弱音の美しさは、天上界の幸福感を思わせた。

ブラームスのソナタでも長くて深い呼吸でデリケートに、絶品の語り口と歌心を堪能。ブラームスが晩年に到達した彼岸の境地を、穏やかに気高く高い純度で表現した。ベリオの編曲ということでオーケストラがどんな響きやテクスチャーを聴かせるかも期待したが、ベリオにしては普通のアレンジという印象。オッテンザマーはフルオーケストラを指揮しながらソロも演奏していてちょっと忙しそう。こちらはクラリネットに徹してもよかったのでは?

久々に訪れたミューザ川崎だったが、相変わらずクロークやドリンクコーナー、ショップまで利用中止のまま。客席では感染症防止への協力を呼びかけるアナウンスを何度も長々と聞かされた。「ワクチン接種した人も同様にお願いします」とまで付け加える過剰な呼びかけ、酷暑の屋外でもマスクを外せないような、コロナのことしか頭にない人の意向ばかりに沿っていたら、通常のコンサートは永久に戻らない。アンケートに感染症対策についての詳しい質問があったので、過剰な感染対策は止めてほしいと書いておいた。

ジョナサン・ノット/東響のブルックナー4番 2021.10.16 サントリーホール
マゼール指揮N響(Cl:ダニエル・オッテンザマー) 2012.10.25 サントリーホール

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