1月21日(木)トゥガン・ソヒエフ指揮 NHK交響楽団
《2016年1月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1. グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/star.gif)
2.ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18
【アンコール】
ショパン/マズルカ 嬰ハ短調 Op.63-3
Pf:ルーカス・ゲニューシャス
3.チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」Op.20(抜粋)![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_warai.gif)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/heart.gif)
今年初めてのコンサートとなったのはN響定期。指揮のソヒエフは2013年11月の定期にも登場したロシアの若手指揮者。その時は気合い十分で最高に充実したチャイ5を聴かせてくれたので、チャイコフスキーをはじめロシアものが並んだ今夜の演奏会も楽しみだった。
先ずは景気づけに「ルスランとリュドミーラ」。これは文句なしの快演。雌に自分の存在感と魅力を最大限に見せつけようとする雄鳥の羽や動物の毛みたいに、音たちが一斉にケバ立ってアピールしてくる。音が鳴りきり、エッジが効いて、目映くて生命力溢れた抜群のパフォーマンス。
続いて、これもロシアの若手ピアニスト、ゲニューシャスをソロに迎えたラフマニノフの2番。冒頭のピアノによる鐘の音を模した厳かな和音の連打は、大きな手を活かして一度に掴み、ずっしりと響く。オケが入って始まった息の長い第1テーマは、ロマンチックな甘やかさよりも、バス音をずっしりと刻んで、重々しい行進曲風に進んで行った。演奏全体が、この冒頭の空気に象徴されて硬質でがっちりしていた。
ゲニューシャスのピアノは常に能動的で冴えていて、とにかく音が立って輝かしく響く。ただ、それが何か飾り物のようなスタンドプレーに聴こえてしまうなんて言ったら怒られるだろうか?もっとオケと溶け合って、柔らかな色合いや香りを出してほしいと感じるところがいくつもあった。本来ロマンティシズム溢れる音楽が、覚醒し切ってバリバリで、糊が効きすぎたシャツのような着心地の悪さを感じた。
アンコールで弾いたマズルカは、最初は哀愁漂う大人の味わいを聴かせたが、最後はまたもやバリバリに力を誇示して終わった。ショパンのマズルカをこんな風に弾くなんて、やっぱりゲニューシャスにはデリカシーが足りない。N響はソリストにもっと日本人を登用してもらいたい。
さてさて、後半はお堅いN響Bプロとしては珍しく、華やかで楽しい演目。これはソヒエフ/N響の大勝利! 響きとパフォーマンスの素晴らしさに圧倒された。
音の先端まで養分が行き渡り、豊潤で明るく、躍動感、生命力に溢れている。響きはクリアーで実によく鳴る。「ワルツ」なんて聴いていると、自然に体が動いて踊り出したくなってしまう。これこそバレエ音楽の醍醐味ではないか!「乾杯の踊り」では、着飾った人達による華やいだ場面が見えてくるよう。「オデットと王子のパ・ダクシオン」では、オデット役のまろさんのソロヴァイオリンのとろけるような極上の甘い音色と歌、それに踊りが見えてくるようなたおやかで優美な仕草に酔いしれた。これを受け止める王子役、藤森さんのチェロのしなやかな身のこなしも決まった。
続く各国の民族舞踊の楽しいことと言ったら!ここでの力強い「マズルカ」を聴いていたら、ゲニューシャスがアンコールで弾いたショパンのマズルカはここに繋げたかったのかも、と思えてきた。「終曲」の何と言う華やかさ!オケ全体から、「のだめ」に出てきそうな、色とりどりで幸せいっぱいのイラストが舞い上がるのが目に見えるよう。幸せな音のシャワーを全身で浴びた。
この演奏は完成度も高く、是非ともCDにして欲しい!そして、Bプロでもこうした演目をどんどんやってもらいたい。
拡散希望記事!STOP!エスカレーターの片側空け
《2016年1月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1. グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミーラ」序曲
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2.ラフマニノフ/ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18
【アンコール】
ショパン/マズルカ 嬰ハ短調 Op.63-3
Pf:ルーカス・ゲニューシャス
3.チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」Op.20(抜粋)
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今年初めてのコンサートとなったのはN響定期。指揮のソヒエフは2013年11月の定期にも登場したロシアの若手指揮者。その時は気合い十分で最高に充実したチャイ5を聴かせてくれたので、チャイコフスキーをはじめロシアものが並んだ今夜の演奏会も楽しみだった。
先ずは景気づけに「ルスランとリュドミーラ」。これは文句なしの快演。雌に自分の存在感と魅力を最大限に見せつけようとする雄鳥の羽や動物の毛みたいに、音たちが一斉にケバ立ってアピールしてくる。音が鳴りきり、エッジが効いて、目映くて生命力溢れた抜群のパフォーマンス。
続いて、これもロシアの若手ピアニスト、ゲニューシャスをソロに迎えたラフマニノフの2番。冒頭のピアノによる鐘の音を模した厳かな和音の連打は、大きな手を活かして一度に掴み、ずっしりと響く。オケが入って始まった息の長い第1テーマは、ロマンチックな甘やかさよりも、バス音をずっしりと刻んで、重々しい行進曲風に進んで行った。演奏全体が、この冒頭の空気に象徴されて硬質でがっちりしていた。
ゲニューシャスのピアノは常に能動的で冴えていて、とにかく音が立って輝かしく響く。ただ、それが何か飾り物のようなスタンドプレーに聴こえてしまうなんて言ったら怒られるだろうか?もっとオケと溶け合って、柔らかな色合いや香りを出してほしいと感じるところがいくつもあった。本来ロマンティシズム溢れる音楽が、覚醒し切ってバリバリで、糊が効きすぎたシャツのような着心地の悪さを感じた。
アンコールで弾いたマズルカは、最初は哀愁漂う大人の味わいを聴かせたが、最後はまたもやバリバリに力を誇示して終わった。ショパンのマズルカをこんな風に弾くなんて、やっぱりゲニューシャスにはデリカシーが足りない。N響はソリストにもっと日本人を登用してもらいたい。
さてさて、後半はお堅いN響Bプロとしては珍しく、華やかで楽しい演目。これはソヒエフ/N響の大勝利! 響きとパフォーマンスの素晴らしさに圧倒された。
音の先端まで養分が行き渡り、豊潤で明るく、躍動感、生命力に溢れている。響きはクリアーで実によく鳴る。「ワルツ」なんて聴いていると、自然に体が動いて踊り出したくなってしまう。これこそバレエ音楽の醍醐味ではないか!「乾杯の踊り」では、着飾った人達による華やいだ場面が見えてくるよう。「オデットと王子のパ・ダクシオン」では、オデット役のまろさんのソロヴァイオリンのとろけるような極上の甘い音色と歌、それに踊りが見えてくるようなたおやかで優美な仕草に酔いしれた。これを受け止める王子役、藤森さんのチェロのしなやかな身のこなしも決まった。
続く各国の民族舞踊の楽しいことと言ったら!ここでの力強い「マズルカ」を聴いていたら、ゲニューシャスがアンコールで弾いたショパンのマズルカはここに繋げたかったのかも、と思えてきた。「終曲」の何と言う華やかさ!オケ全体から、「のだめ」に出てきそうな、色とりどりで幸せいっぱいのイラストが舞い上がるのが目に見えるよう。幸せな音のシャワーを全身で浴びた。
この演奏は完成度も高く、是非ともCDにして欲しい!そして、Bプロでもこうした演目をどんどんやってもらいたい。
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