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12月B定期(デュトワ指揮)

2011年12月15日 | N響公演の感想(~2016)
12月15日(木)シャルル・デュトワ指揮 NHK交響楽団
《2011年12月Bプロ》 サントリーホール

【曲目】
1. ヒンデミット/ウェーバーの主題による交響的変容
2. プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番ハ長調Op.26
 【アンコール】
 ラフマニノフ/13の前奏曲Op.32~第12曲
Pf:ニコライ・ルガンスキー
3.バルトーク/オーケストラのための協奏曲


12月のN響定期の指揮者は恒例のデュトワ。最初のヒンデミットは、とても元気な曲を元気溌剌と演奏した。音は良く鳴るし、瑞々しい。以前聴いたヒンデミットのヴァイオリン協奏曲は、とても新鮮で面白かった記憶があるし、プログラムの解説によれば、ヒンデミットは当局から「退廃芸術の作曲家」のレッテルを貼られていた、ということでこの曲も楽しみにしていたが、曲としては元気がいいだけのような気が…

続いてルガンスキーを迎えてのプロコ。デュトワ/N響の演奏は流麗でスマート、ルガンスキーは硬質で磨きのかかったタッチで、スポーティーに弾き進む。プロコフィエフには欠かせないスピード感やリズム感は申し分ないが、「これは!」と言えるような個性や特長が感じられないまま終楽章へ。この楽章の終盤に来て演奏はみるみるエネルギーを蓄え、テンションを上げていき、白熱のエンディングとなった。とはいうものの、最後だけでなくずっとこの調子でやって欲しかったし、「凄味」を効かせるところがもっとあってもいい。

後半のバルトークはデュトワらしい冴えと流麗さを聴かせるだけでなく、お洒落だけれど下町風情が残る居酒屋的な「匂い」や、お茶目な遊び心もあって、楽しい気分で演奏に入っていけた。ソロ楽器も巧かったが、第3楽章や第5楽章でのヴィオラの人情味たっぷりの歌に耳を奪われた。ヴァイオリンセクションのトゥッティの勢いと伸びも素晴らしく、これがオケのアンサンブル全体をひとつの束にまとめ、終楽章の緊迫感と熱気を生み出していた。

終演後のデュトワはごきげんで、これまでに増して愛嬌をふりまき、楽員や聴衆をなごませた。これで年内に聴く予定だったN響演奏会は全ておしまい。シーズン幕開けのブロムシュテット指揮のB定期があまりに素晴らしかったせいもあるのだろうが、それに続く、プレヴィン、ヤルヴィ、メルクル、そして今夜のデュトワといった錚々たる顔ぶれの指揮者が登場する演奏会から、期待していたほどの感動が得られなかったというのが正直なところ。新年のスラットキンとエリシュカに期待!

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