facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ベルリン 町中探訪 その1 クーダム周辺、戦勝記念塔、アスパラ、綿毛・・・

2011年12月22日 | ウィーン&ベルリン 音楽の旅 2009
BERLIN

ドイツで一番おもしろい町はどこか?と訊かれれば、真っ先にあげるのが首都ベルリンだ。旅行パンフレットに載っているようなメルヘンチックなドイツの風景はほとんどないが、ドイツで唯一の大都会と言えるベルリンは実に様々な顔を持っている。いろいろな人種によって、様々なアートやファッション、音楽や食文化などがもたらされ、日々新しいことが起き、新しいものが生まれている。そんな魅力に惹かれて、世界中からアーティストがベルリンに集まってくる。一方で、ベルリンは東西分断の生き証人として、近代史の負の遺産を後世に伝え続けている。

世界遺産にも指定されている博物館島ではペルガモン博物館をはじめ、古今東西の大規模で貴重なコレクションに出逢えるし、ユダヤ人博物館や壁博物館といった負の歴史を伝えるミュージアムも数多い。ミュージアムリストを眺めるだけで楽しくなるが、オカマミュージアムとかエロチックミュージアムなんてのがあるのもベルリンならではだろう。オペラやオペレッタは連日連夜上演され、「カラヤン・サーカス」の名で有名なフィルハーモニーでは、世界に冠たるベルリン・フィルが定期演奏会を行っているこの町は、クラシック音楽好きにとっても絶対に外せない。

大都会とは思えないほど緑も多いし、ちょっと郊外に出れば本格的なピクニックを楽しめるのもベルリン。そして、そこに住む人々の人情は大都会と思えないほど厚く、居心地がいい。ウィーンにいたとき、町の雰囲気に何となくヨソヨソしさを感じて心寂しい気分になったが、ベルリンに来た途端、そんな寂しさが消えて癒された。この体験を、泊まっていたペンションの主人に話したら、「ベルリンはお母さんのような町、ウィーンは恋人のような町、って言われているんですよ。」という話をしてくれた。恋人につれなくされた心を癒してくれるのはやっぱり母親でしょ、ということだろうか。

ベルリンは何度来ても飽きないし、来るたびに発見がある。今回の4泊の滞在で見つけたものを中心に「ベルリン」をレポートする。

アンペルメンヒェン Ampelmännchen
ベルリンの町中を歩いていると、かわいらしい歩行者用信号機が出迎えてくれる。アンペルメンヒェンとは、ドイツ語で歩行者用信号機のことで、「シグナル君」といったニュアンスの愛称だが(アンペルマン-Ampelmannとも呼ばれている)、このシグナル君は、ドイツ分断の時代に東ベルリンで生まれ、東独全土に広まったもの。


統一を機に、西側のモノが東に押し寄せ、東のモノはことごとく駆逐されていった。東のアンペルマンもそんな西からの波に飲まれて、フツーの信号機に置き換えられて行くなか、このかわいいキャラの信号機を守れ!という運動が起こって東のアンペルメンヒェンは復権を果たした。

ドイツ語版Wikipediaによれば、2005年には、旧西ベルリン地区にもこの東の信号が現れ、ベルリンだけではなく旧西ドイツの都市にもこの信号機が設置されるようになったという。ノルトライン=ウェストファーレン州のヒュッカスワーゲンという町では、全ての歩行者用信号機がこの東のアンペルメンヒェンに替わったそうだ。このキャラクターはマスコットとしても人気で、マグカップやTシャツ、バッチなどに登場し、専門のショップまである。ドイツ統一で、もしかして唯一東から西へと広まったモノと言えるかもしれないこのシグナル君、国境を越え、海も渡って日本にもくると楽しいな!

カイザー・ヴィルヘルム記念教会 Kaiser-Wilhelm-Gedächtniskirche
市内屈指の目抜き通りの1つ、クーダム(Kurfürstendamm)の近くに異彩を放つ建物がこの教会。巨大な廃墟が街中にデーンと聳える姿は、ベルリンの象徴ともなっている。

第2次世界大戦中の空襲の惨劇を後世に伝えるために、このような姿をさらしているわけだが、空襲で破壊される前は、5つの塔を持つ堂々たるネオロマネスク様式の建造物だったそうだ。
今残っている塔がメインタワーで、当時は113メートルの高さを誇っていたそうだ(今は71メートル)。

この廃墟の隣にはとてもモダンな教会が建てられていて、そのコントラストが強い印象を与えている。跡地に新しい教会を建てるとき、最初は廃墟を完全に撤去するプランだったそうだが、保存運動でこのような特異な形が実現したとのこと。

1962年に建造された新しい教会はモダニズム建築で、堂内に入ると、全面のステンドグラスから注ぐ青の世界に息を飲む。2万個以上の色ガラスのパーツが使われていて、規則的な格子の枠にはめ込まれているデジタル的な姿が、古い教会のステンドグラスとはまた違った近代建築の美しさ放つ。ここに独り佇んでいると、外の喧騒がウソのような静寂に包まれ、平和を祈らずにはいられない気分になる。

廃墟の方の堂内では資料やパネルの展示もあり、新旧の教会の歴史と悲惨な戦争の様子を確かめることができる。


カフェ・リテラトゥーアハウス Café im Literaturhaus
カイザー・ヴィルヘルム記念教会からクーダムを西へ10分ほど歩き、ファザーネン通り(Fasanenstraße)を左に入り、数分歩いたところにあるこのカフェは、泊まっていたペンションからもすぐのpocknお気に入りの場所。ベルリンでも有数の繁華街のクーダムのすぐそばとは思えない、緑と花がいっぱいの静かな庭園内にあるカフェだ。

建物はベルリン市の文化財として保護されている由緒あるもので、カフェのエリアの他に、文学関連の展示エリアやブックショップもある。定期的に朗読会も行なわれていて、Literaturhaus(文学館)の名の通りの文学スポットになっている。

屋外の庭園やオープンテラス、アンティークな内装の建物内の好きな席に座り、お茶だけでなく食事もできる。お茶の種類も豊富だし、ケーキはお店のなかのケーキビュッフェから選べる。テラス席に座り、キレイな庭をボーっと眺めているととても落ち着く。おしゃれでエレガントでノスタルジック… 日本のカフェでこういう雰囲気のところはないかも。コンサートやオペラに出かける前にちょっとお茶したり、毎日深夜1時まで開いているので、夜遅くに出向くこともあった。

住所:Fasanenstr. 23

ペンション・フンク Hotel-Pension Funk
カフェ・リテラトゥーアハウスからファザーネン通りをさらに数分入ったところに、pocknがベルリンで常宿に決めているペンションがある。無声映画女優アスタ・ニールセン(知らない…)も住んでいたという、築100年以上になるこのアパートは「ユーゲントシュティル様式の影響を見ることができる」とパンフレットに書いてある。確かに古めかしいなかに洗練されたセンスがあるような…

リフォームもたいして行われていない感じで、この写真のエレベータは日本じゃあ使用禁止になりそうな超アンティークの年代もの。床もミシミシいうが、今回泊ったシャワー&トイレ付きの部屋は、明るくて広くて落ち着けた。ドイツの宿だから清潔度も問題ない。ペンションの主人がとても親切で気さくで居心地がいい。


朝食ビュッフェの種類の多さは一流ホテル並みに何でもある。素敵なアンティークで飾られたダイニングで、新聞を読みながらゆっくり朝食をとるのが、ベルリンでの楽しみのひとつになった。

クーダムから歩いてすぐの、こんなに交通至便でしかも静かなところに、こんなお値打ちの良いペンションがあるのは本当にありがたい。ベルリンの隠れ家的存在だ。

住所:Fasanenstr. 69


ペンション・フンクのホームページ


綿毛ふわふわ schwebender Flaum


町を歩いていると、たんぽぽの綿毛が固まったような大きな綿毛が、あちこちふわりふわりと漂っている。これ、前にもこの時期に研修でドイツのマインツにいた時に見かけたやつだ。同じ光景にまた出会えて、ちょっと懐かしい気持ち。ウィーンでもとんでいたが、ベルリンに来たらハンパでない量の綿毛が飛びまくっていた。地面は降り積もった綿毛で雪のように白くなり、それが風に舞い上がると結構すごいことになる。

この綿毛はいったいどこから来るのだろうか、と注意して樹木を見上げながら歩いていたら、綿毛がびっしりついた大きな木を見つけた。何の木だろうか… あとで何人かに訊ねてみたけれど、「さぁ、何の種かしらね。そう言えばとんでるよね…」と、あまり関心がなさそう。

ドイツは5月が花粉アレルギーの季節だそうだが、この綿毛もアレルギーに一役買っているに違いない。それなのにこっちの人はどうしてこんな無関心なんだろう。日本だったら、アレルギーの元凶扱いされるか、季節の風物詩として詩や歌に詠まれるだろうに…

アスパラガス Spargel
この季節の風物詩、と言えばドイツやオーストリアではアスパラガスを外すことはできない。ドイツ人は「シュパーゲル(アスパラガス)」という言葉を、胸の奥から憧れを込めて発する。ドイツ人の友人や知り合いから、5月に出るアスパラガスがどんなにおいしいかを何度も聞かされ、ずっと食べたいと思っていた。

けれどこの季節に仕事を休んでドイツへ行くのは難しく、やっとそれが実現したのは、上述の「綿毛」に初めて出合ったのと同じ、仕事の研修で5月から6月にドイツを訪れたとき。週末に、ヴェッセリングに住む友達のベルンハルトさん宅に招待され、そこで白アスパラガスをご馳走になった。皮をむいて丸茹でにした白アスパラガスに、ハーブ入りのバターソースをかけたシンプルな料理だが、やわらかく、香り高く、口のなかでその香りが広がって夢のようなおいしさだった。まさしく旬の味で、日本でいえば春の筍という感じだ。

5月の中ごろになると、ドイツではアスパラのシーズンになる。スーパーにも束で売られるが、「アスパラはスーパーのではなくて、朝市で買ってくるのが一番!」とベルンハルトさんは断言する。アスパラへの強いこだわりを感じる。
この時期はどのレストランでも、季節限定メニューとしてアスパラガスの料理があるので、今回7年ぶりに白アスパラにありつけた。ウィーンで食べたのがおいしくて、ベルリンでも2回食べた。フォークとナイフで切りながらいただくのだが、少なくなってくると食べ終わるのがもったいなくて、ナイフで切る長さがだんだん短くなってくる。

ドイツ産の旬の白アスパラガスが出回るのは、6月23日(ヨハネス祭)まで、と決まっているそうだ。土の中の深くで育つ白アスパラは掘り出すのが重労働で、主にポーランドなどからの季節労働者に頼っていることや、良い土壌を保つために土を十分休ませる必要があるので、時期が限られているという。

昔は稀少な食材として王族・貴族に珍重されていたらしい。それだけになお更、ドイツ人はアスパラへ憧憬の情を募らせるのかも知れない。何はともあれこの季節にドイツを訪れたら、レストランでは「シュパーゲル」を試してみてね。


カフェ・リテラトゥーアハウスで食べたアスパラと七面鳥のカツレツ

戦勝記念塔(ジーゲスゾイレ) Siegessäule
ドイツの観光地の多くは、見どころが旧市街に集中していて徒歩だけで回れるところも多いが、ベルリンでは公共の交通機関をフル活用するのが賢明、というか、そうしないとベルリンは見られない。地下鉄やバス、Sバーンという近郊電車や一部トラムなどが、ベルリンの見どころをつないでいる。


Zoo駅近くの巨大看板/この広告はベルリンのあちこちで見かけた

カイザー・ヴィルヘルム記念教会からすぐの動物園駅(Zoologischer Garten:通称ツォー駅)は、そうした交通機関の拠点。バスターミナルから観光に便利な100番の2階建て市バスに乗ると、まず最初に着く観光ポイントが戦勝記念塔だ。文字通り戦争でデンマーク、オーストリア、フランスに勝ったことを記念して1873年に建てられた塔で、この塔の先端には勝利の女神像が乗っかっている。映画「ベルリン天使の詩」でも有名だが、この映画はよくわからなかったなぁ… 帝国議会堂のあった当時の王宮広場(Königsplatz)から、ナチスによる都市改造計画の煽りを受けて、今の場所に移設されたのだそうだ。



この塔にはお金を払って上ることができる。階段だけでエレベータはない。落書きだらけの狭くて急な螺旋階段を延々と上ること285段で展望台に着く。

展望台からは塔を取り巻くティーアガルテンという広大な緑地帯の森を眼下に見渡せ、森の向こうにはぐるりと、ブランデンブルク門、ソニーセンターやフィルハーモニー、ベルリン大聖堂やテレビ塔など、ベルリンの有名なスポットがいくつも望め、地平線まで眺望が続いている。

塔は何本もの大通りが集まるロータリーの中心にあり、道路が塔を中心に放射状に伸びているので、展望台に立つとベルリンのど真ん中にいる気分になれる。


正面はブランデンブルク門、その左にベルリン大聖堂、テレビ塔、連邦議会議事堂

てっぺんの勝利の女神像は、2010~2011年に、400万ユーロをかけて金箔の貼り替えが行われたそうだ。今はこの写真よりもずっと金ピカに輝いているはずだし、もしかしたら階段の落書きも消えたか?

塔の土台部分はミュージアムになっている。塔の建設の歴史に関する展示や、模型などを眺めて外に出た。展望台から眼下一面に広がって見えたティーアガルテンの遊歩道を歩いた。大木が生い繁るなか、自然の沼のような池があったり、花が咲いている小径がどこまでも続いていて、まるで深い森のなかにいるような気分だ。シャクナゲがちょうど見頃で、あちこちで咲き競っていた。




こんな都会のど真ん中でこんなシャクナゲの大群落があるのもすごいが、それを見に来ている人が全然いなくてあたりがシーンとしているというのもある意味すごい。ドイツ一の都会、ベルリンであっても自然にはこと欠かないということだろう。

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ベルリン町中探訪 その3 カリーヴルスト、ニコライ地区、ジャンダルメン広場、CDショップDussmann


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