facciamo la musica!

作曲をするpocknが週1以上ペースで通っているコンサートの感想録を中心に、クラシック音楽を追求します。

2011年9月B定期(ブロムシュテット指揮)

2011年09月22日 | N響公演の感想(~2016)
9月22日(木)ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団
《2011年9月Bプロ》 サントリーホール

【曲目】
1. シューベルト/交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」
2. ブルックナー/交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版)

N響新シーズンのB定期は、ブロムシュテットの指揮で、厳かで感動的な幕開けとなった。「未完成」とブルックナーの7番というプログラムはブロムシュテットが最も得意としそうで期待は高かったが、ここまでやってくれるとは!

「未完成」は神聖なほど厳粛で、天上的な美しい演奏だった。誰に媚びることなく、ひたすら神様に捧げるような、欲望や外面的なパフォーマンスを廃した祈り。音楽は静かに、深く呼吸し、そこに穏やかな光が天から射し込むよう。例を挙げはじめたらきりがないのだが、第1楽章のチェロが奏でる第2主題の、「豊かな表情で歌う」なんて、普段褒め言葉として使っている言葉では表しようのない、ストイックでありながら彼岸を思わせる美しさ!オケの響きは、後光が射しているように柔らかく輝き、オーボエやフルート、クラリネット、ホルンといったソロ楽器は、天からの使いのように優しく、慈悲深く調べを奏でる。こういう演奏は「やるぞ」と言ってできる類の演奏ではない。N響は、ブロムシュテットの導きで、驚くほどの高みへ昇った。

こうなると、後半のブルックナーでの名演への期待は、なかば確信となる。そして、その確信を更に越えた演奏が実現した。こういう演奏に言葉は不要だが、演奏の本質は、「未完成」で感じたものと同じ。一言で言うなら、宇宙を司る創造主のような、とてつもない大きな存在と、その創造主から、下界の一人一人に分け隔てなく注がれる慈しみ深い眼差しを感じる演奏。大きな波が寄せる度に、音楽はエネルギーを蓄えて大きな感動を呼び起こすが、打ちのめすような威圧的なパワーではなく、どんどんと天の高みへ導かれるような、見えない大きな天の力を感じ、体が実際ふわっと昇ってしまいそうな感覚を味わった。これこそ、ブロムシュテットとN響の一期一会の稀有な名演だ。天から降り注ぐ光のシャワーを浴びている感覚の中で、これを越えるような感銘は、他のどんな演奏からも得られまい、と感じた。

ブロムシュテットが指揮する手が、神様の手のように感じたと同時に、N響の底力にも心底恐れ入った。揺るぎのない宇宙的壮大さを構築したオケの合奏力の凄さ。そして、各ソロパートの充実ぶり。松崎さんが入ったホルンも素晴らしかったし、第3楽章で何度も現れる大切なテーマをパーフェクトに聴かせたのをはじめ、随所で技が光ったトランペットさんにも脱帽。そして、神田さんのフルートは、全曲を通じて、まさに天から射す一条の光となった。演奏中、何度全身が感動で震え、トリハダが立ったことか。そして、フィナーレのエンディングでは天に昇った。

本当はもっともっと余韻を静寂のなかで味わいたかったが、取り合えず残響が消えるまでの静寂はあった。そして、大きな拍手とあちこちからのブラボー。そのトーンは、ブロムシュテットがステージに姿を現す度にヴォルテージを上げていった。楽員が引いた後にも、もう一度ブロムシュテットに出てきて欲しい!という大勢の聴衆の願いに応えて、鳴り止まぬ拍手に再び登場したブロムシュテットを、最高潮の拍手と歓声が包み込んだ。N響定期では稀な光景だが、何年かに一度はこんな演奏をしてくれるのもN響だ。今夜のコンサートマスターは、これまでにもN響の名演に何度も立ち会ったゲストコンマスのペーター・ミリング。
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4 コメント

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N響9月B定期 (一静庵)
2011-09-23 05:39:42
たまたま振替えていたので、聴けました。
本当に幸せ
台風 (pockn)
2011-09-24 00:47:19
一静庵さん、こんにちは。
2日目にいらしてたのですね。
1日目は、台風直撃でお客がとても少なかったようですが、
やはり飛び切りの名演だったというレポートを読みました。
ブロムシュテット/N響のブルックナー、
次は、あのマタチッチとの名演に並ぶべく、
8番をやってもらいたいです。
横浜も。 (minamina)
2011-09-26 21:49:59
コメント&TB、ありがとうございます!pockn様のブログ、いつも拝見しております。今後はコメント等でもちょくちょく立ち寄らせていただきたいと思います。よろしくお願い致します。

もうおっしゃるとおりの大変な名演で、天上に吸い込まれるような、神々しい演奏でありました。
ブルックナー演奏にありがちな「打ちのめすような威圧的なパワー」だけの演奏ではなく、実に丁寧で理知的で、非の打ち所のない演奏でした。
横浜も団員の方々が捌けたあとにブロムシュテットさんが呼び出され、大喝采を浴びておりました。実にいい光景でありました。
一般参賀 (pockn)
2011-09-28 00:23:53
minaminaさま、こちらこそコメントとTBありがとうございます。いつも当ブログをご覧頂いているうえにマイリンク集へ当ブログを貼り付けてくださって光栄です!これからは、度々「minamina日記」にもお邪魔させて頂きます。
横浜でも「一般参賀」があったのですね!
ブロムシュテットでこの光景を体験したのは僕は初めてでしたが、僕自身、オケ団員が退場したあとも「絶対にもう一度呼び出すぞ」という一心で拍手を続けました。
「やろうと思ってできる演奏ではない」次元の演奏でしたが、ブロムシュテット/N響は、また次もこんな演奏をしてくれるような気がします。本当に次も楽しみです!

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