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2015年12月B定期(デュトワ指揮)

2015年12月18日 | N響公演の感想(~2016)
12月18日(木)シャルル・デュトワ指揮 NHK交響楽団
《2015年12月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1. コダーイ/ガランタ舞曲
2.バルトーク/組曲「中国の不思議な役人」
3.サン=サーンス/交響曲第3番 ハ短調 Op.78「オルガン付き」

12月のN響定期の指揮台はデュトワの指定席。プログラム最初のガランタ舞曲が始まるや、今夜のN響の音にひときわ冴えを感じた。音が瑞々しく鮮やかに立ち上がってくるのと同時に彫りも深く、音によるダイナミックな3次元の世界が描かれて行く。弦が奏でる粘っこくて濃厚なメロディーにつけられるアクセントや、こぶしのような溜めが、とても民族的で衝動的な感覚を呼び起こしてくるが、これはジプシーのものだろうか。颯爽としてスマートなイメージがあるデュトワの指揮で、こんなディープで濃い歌が湧いてきたことも新鮮な驚き。クラリネットによる長いソロも、そんな気分を先導する見事な演奏だった。

続くバルトークも冴え渡っていた。今夜のN響はとにかく音がよく鳴る。トランス状態に陥った「中国人」の狂気ぶりが、全身全霊で迫ってきた。ここでも活躍したクラリネットのソロ。艶かしいメロディーで狂おしく訴えてくる表情など、指揮者は奏者に任せてもいいところを、デュトワはオケ全体を指揮するように気合いを入れて表情付けをしていた。まさに指揮者と団員が一丸となった熱演。

後半はサン=サーンスのおなじみのシンフォニー。ここでもデュトワ/N響の鮮やかで瑞々しい演奏が花を咲かせた。デュトワはオーケストラのドライブが大胆だ。太い筆にたっぷりと絵の具を浸して、勢いよくダイナミックな線を描いて行く。そのパレットには様々な色が用意されていてどの色も魅力的。これにはN響の各プレイヤー達の腕の良さが貢献している。この曲からは音楽的な深遠さは感じない代わりに、祝祭的な要素が詰まっていて、この演奏では、鮮やかで華やかなパフォーマンスを次々と繰り出して、聴き手を大いに楽しませてくれた。また「オルガン付」と銘打っているにしては、このオルガンなら誰が弾いても同じでは?なんて思っていたが、今夜のオルガン(勝山雅世)は、入ってくるタイミングがいつも絶妙に感じられ、音量だけではない存在感を示していた。

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