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MAROワールドVol.49 “バッハ Part Ⅴ” <ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会>

2024年01月17日 | pocknのコンサート感想録2024
2024年1月13日(土)
MAROワールドVol.49 “バッハ Part Ⅴ” by 篠崎“まろ”史紀&MAROカンパニー
<ブランデンブルク協奏曲全曲演奏会>

王子ホール

【曲目】
(献奏)バッハ/管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV.1068より「エア」
1.バッハ/ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調 BWV1048
2. /ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調 BWV1049
3. /ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調 BWV1046
♪ ♪ ♪
4. /ブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調 BWV1051
5. /ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV1050
6. /ブランデンブルク協奏曲第2番ヘ長調 BWV1047

【演奏】篠崎“まろ”史紀(Vn)+<MAROカンパニー>Vn:大江 馨、小林壱成、白井篤、西江辰郎、水谷晃/Vla:鈴木学、鈴木康浩、中村翔太郎/Vc:市寛也、北口大輔、笹沼樹/Cb:菅沼希望/Fl:斎藤和志、竹山愛/Ob:古部賢一、石井智章、江波戸大樹/Fg:長哲也/Hrn:日高剛、信末碩才/Corno da caccia:菊本和昭/Cem:山田武彦

新春のMAROワールドは、総勢23人が出演のマロカンパニーによるブランデンブルク協奏曲全曲演奏会。多彩なメンバーが腕と個性を競い合って演奏する6つのコンチェルトに、おなじみのトークや無茶ぶりなどが加わり、引き付けられっ放しの3時間半だった。

MAROワールドは、いつでも例外なくワクワクドキドキの、楽しくてエキサイティングな演奏会になる。バッハというと厳格なイメージや、「バッハはこう演奏すべき」といった時代考証が付き纏うことが多いが、MAROワールドの手にかかるとそんな小難しいことはさておき、バッハの音楽はとにかく楽しく、生きる喜びに溢れていることを伝えてくれる。

これはしかし「小難しいことはどうでもいい」という態度ではない。MAROワールドのメンバーはバッハが生み出した音の一つ一つにとてつもない価値を見出して共感し、それを見事に表現している。更に一人一人が自分の演奏とアンサンブルを心から楽しんでいる様子が見て取れ、プレイヤー同士が微笑みを交わしながら演奏するシーン(ヴィオラのヤスさんはいつもながら最高のムードメーカー)もMAROワールドならでは。そうした姿がストレートに音に反映されるので、喜びをステージと客席が共有できる。この臨場感、気持ちの共有こそ、録画や配信では得ることのできない、今ここでしか体験できないライブの醍醐味だ。

毎回毎回こんな凄いパフォーマンスを行うのは、いくら名手揃いであっても難しいはず。どうしてこれが可能かと思うに、それはこのメンバーが、とにかく音楽の楽しさ、素晴らしさを感じて伝えたいという思いに溢れ、その部分で無条件に意気投合しているからではないだろうか。MAROワールドが演奏するブランデンブルクは、だからピリオドとかモダンとかいう次元を超えて「バッハってこんなに素敵で楽しい」ということをストレートに伝えて来るのだ。

最後に演奏した第2番では、定番のピッコロトランペットではなくピリオド演奏でよく使うコルノ・ダ・カッチャを使い、しかもバルブ付きのモダン楽器で、この曲に新風を吹かせた。菊本さんの演奏がまた見事で、トークで言っていたように低くて優しい響きがアンサンブルのなかに美しく溶け込んでいたのが印象的だった。2番に限らず、6曲のブランデンブルク協奏曲どれもがそれぞれの花を咲かせて踊り、沢山の発見をさせてくれ、どの曲も益々好きになった。

こんな素敵な演奏に加えて無茶ぶりの数々がまた最高に楽しく、驚きの連続だった。まろさんが書き下ろした新曲をイッセーさんと山田さんが初見で演奏したり、北口さんがアレンジした近々出版されるゴルトベルクの無伴奏チェロ版のお披露目があったり、山田さん作曲の「バッハ家のお正月」を合奏したり・・・そして極めつけは、まろさんが密かに作ってきたカード(無伴奏チェロ組曲の計36曲の曲名が書き込まれたトランプ)を笹沼さんに引かせて、それを演奏させるという驚きのアイデア。笹沼さんは第1番アルマンドのカードを引き当て、暗譜で見事に迫真の演奏で弾いてしまったところからもMAROワールドのメンバーの尋常ならざるトップアーティストぶりを証明した。ちなみに笹沼さんがジョーカーを引いたら、まろさんがヴァイオリンを演奏することになっていたという2重のワクワク付きの企画は面白過ぎた。

ただ面白くて笑えるだけでなく、どんな状況でも動じずにお客を唸らせ、楽しませるパフォーマンスをやってのけてしまう能力もさることながら、そうしたキャラの持ち主の集まりがMAROワールドなんだと、あらためてメンバーの凄さを思い知ったコンサートでもあった。ひとつだけ希望を云わせてもらえば、休憩時間のザッハートルテのサービスを是非再開してください

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