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小林亜矢乃 ピアノリサイタル

2019年12月15日 | pocknのコンサート感想録2019
12月13日(金)小林亜矢乃(ピアノとお話)
渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

【曲目】
♪ ラフマニノフ/鐘
♪ ドビュッシー/月の光
♪ ショパン/革命
♪ 加藤旭/船旅
♪ ショパン/ピアノソナタ第2番変ロ短調 Op.35~第1楽章
(上記のほか、以下の曲目の部分演奏)
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番、リスト/ピアノ協奏曲第1番、グリーグ/ピアノ協奏曲、モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番
【アンコール】
♪ シューマン/トロイメライ

学生時代の合唱部の大先輩の紹介で行くことにしたピアノリサイタル。小林亜矢乃さんのことは知らなかったが、国内外のコンクールでの入選を皮切りに活動の幅を広げ、ヨーロッパのオケとも共演を重ねるなど海外でも活躍する実力派ピアニストであることが、プロフィールからはうかがえた。

リサイタルは一曲ごとにトークを交え、曲の触りの部分なども紹介しながら進められる和やかなサロン的なもの。最初にラフマニノフのコンチェルトの触りと「鐘」を聴いて、ピアノの弦の一番響く位置に狙いを定めてハンマーを打ちつけているかのような、音の核心を捉えた澄んだタッチが印象に残った。

そして「月の光」、「革命」、リストのコンチェルトの触りなどの演奏からは、小林さんがその曲に何を感じ、どう表現したいかという明確な意思が伝わってきた。聴かせたい旋律線に光と生命を注いで作り上げられる音像は生き生きと新鮮で、ディナミークのくっきりとした対比やアゴーギクの思いきった変化にもハッとさせる感覚を持っている。特にダイナミックな表現や無駄のないパワー配分が上手い。

いくつもの有名コンチェルトのピアノパートの一部をオケなしで聴くことで、普段は気づかなかったピアノの動きやハーモニーが白日の下に晒されたのも興味深かった。

トークでは「月の光」の終盤で協和音のハーモニーに現れる非和声音を「シミ」に例えて、この効果について語ったり、モーツァルトのピアノ協奏曲にベートーヴェンがカデンツァを書いたことで、2人の全く異なる作曲家の音楽がこの曲にあるという話から、モーツァルトの音楽に、いつもは意識していなかったベートーヴェンの存在を感じたりするなど、トークの中身も興味深かった。

ただ、曲目同士の脈絡が殆どなくて、なぜこれらの曲を選んだのかという全体のコンセプトは感じられなかった。最後のショパンのソナタでは、準備不足と思われても仕方のないような場面が散見されたのは残念だったし、予定されていた僕の大好きなモーツァルトのソナタが「時間の都合」で演奏されなかったのはどうしたことだろう。このあとの交流食事会の時間が迫っていたためだとしたら、それはちょっと違う気がする。演奏からは良いものも感じた一方で、少々引っかかる気持ちで会場をあとにした。

♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美

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