ハリエンジュはマメ科ハリエンジュ属で北アメリカ原産。ニセアカシアとも呼ばれます。明治初期に渡来し、砂防用に植えられましたが、各地で川岸や土手などに群落を作って野生化しています。千曲川の河川敷にもハリエンジュが多数生息しており、その根元を観察すると面白いことに気づきます・・
ハリエンジュの根元から少し離れるとエノコログサなどの枯れ株があるのですが根元にはほとんど見られず、小さな草しか生えていませんでした。それにより樹木の周囲に色の濃いサークルができているように見えました。ハリエンジュの根元に生えている草は何?現在調査中で判明していません。
季節が変わって夏のハリエンジュの根元の様子はというと・・
これは過去に撮った写真で別の地区のハリエンジュ林です。樹木からすこし離れたところでは草が青々としているのに、根元だけ雑草が茶色く枯れてしまっていました。
上記のような根元のサークルはどうしてできるかについて・・これは、アレロパシーによるもので、ハリエンジュから植物の生長を阻害する化学物質が発せられているためです。根元の草が枯れていることから、雑草が生えてある程度たってから化学物質の影響を受けたことが想像できます。アレロパシーの原因物質としてフラボノイド類のロビネチンや(+)-カテキンが報告されていましたが、シアナミドも含まれることがわかり、植物生育阻害の中心的役割はむしろシアナミドであるということのようです。これらの生育阻害物質はハリエンジュの葉の中にあるので、葉の展開後に雨などで阻害物質が地上に達すると雑草が枯れてしまうということなのかもしれません。
ハリエンジュの花は・・
5月から6月にかけて白色の花を多数咲かせます。写真のように長さ10-15cmの総状花序でフジの花のような芳香があるので満開の時はとっても良い香りで感動しますよ。花は食べることもでき、天ぷらがおすすめ。ただし、花の中には小さな虫(アザミウマ?)が群れていることがあるので調理前には十分に注意しましょう。蜜源にも適しているので、ハリエンジュ林の中に養蜂家がミツバチの巣箱をよく置いています。
花を収穫するときは注意しましょう。というのも・・
枝にはこんなトゲトゲがあるから。葉痕を挟むようにして2本の鋭い棘、これは托葉が変化したものだそうです。そして この棘が植物名の由来となっています。すなわち中国原産のエンジュに似た木で枝に針(棘)があることから。
【まとめ】
- ハリエンジュはアレロパシーにより、根元付近の植物生育を阻害します
- その原因物質はシアナミド、およびロビネチンや(+)-カテキンです
- ハリエンジュの花はフジの花のような芳香があります。
- 河川敷で群生しているので花の時期は良い香りで感動するほどです
- 花は天ぷらにして食べられます
- 植物名の由来は、枝に針(棘)のあるエンジュに似た植物から
【今後】
- 花の季節にはハリエンジュ林を訪れたい
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