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hibino/iBassoから登場、USB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ「MICRO PRECISION DH1」実力チェック

2014年06月28日 | オーディオ製品
【iBasso】







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hibino/iBasso「MICRO PRECISION DH1」。「VGP 2014 SUMMER」の「ヘッドホンアンプ(据え置きタイプ・5万円未満)部門において金賞を受賞!

実は長年、iBasso AudioにDAPなどとは別のスタイルの製品への参入を期待していた。それが「”ポータブルではない”USB-DAC/ヘッドホンアンプ」だ。

筆者は同社ポタアンの歴代主流ライン、現在だと「D55」を、自宅デスクトップで小型据え置きUSB-DAC/ヘッドホンアンプとして実際に使い、その音質と機能に満足してきた。しかしただ一点だけ、「この使い方だとバッテリー要らないんだよね…」という部分が引っかかっていたのだ。

バッテリー非搭載なら、その分のスペースやコストを削減してもっとコンパクトにもっと低価格にできるはず…。そんなモデルが出たら筆者と同じ使い方を実践、もしくは想定している方々に向け、今以上に強力に推せる!そう願っていたのだが…。

出ました、まさにそれがコレ! hibino/iBasso「MICRO PRECISION DH1」だ!実売予想は2万円弱。

概要としては前述の希望通りのもので、iBasso Audioが磨き上げてきたUSB-DAC/ヘッドホンアンプ技術を、バッテリーを省いた分、より小さいサイズとより手頃な価格に凝縮したものだ。

■シンプルながら使い勝手や高級感も高いDH1

USB-DAC部分のスペックはPCM 192kHz/32bitとDSD 5.6MHzを”ネイティブ”再生。Windows 8以降という制限はあるが、32bitも”ビットパーフェクト”再生だ。DACチップはTI「PCM1795」を採用。動作基準のクロックは44.1kHz系と48kHz系の2つを用意し、再生音源のフォーマットに合わせて動作する。なおDSDへのネイティブ再生対応は、iBasso Audioの製品として初めてのはずだ。

使い勝手も万全だ。カードケースサイズのため、デスクトップで全く邪魔にならない。電源はUSBバスパワーなので配線もすっきり。必要とあらばノートパソコンと一緒に持ち歩いて使うことも容易だ。

ボリュームは+とーのボタン式で、64ステップのデジタル制御。64ステップというのが絶妙で、1回押せば音量は確かに変化するが、変化しすぎない。続けて押せば、チマチマではなく、サッと大きく変化してくれる。ただし手持ちのパワードモニタースピーカーに直結した際にはステップごとの変化が大きくなり、微調整は難しかった。

また、ヘッドホン出力に並んで出力レベル固定のライン出力も搭載。両出力は同時出力なので、随時差し替えて使い分けることが必要だ。

音質
■カッチリしたサウンドが持ち味だがDSDの柔らかさも引き出す

「MICRO PRECISION DH1」のサウンドだが、やや硬質でカッチリとした描写が持ち味だ。低音側の厚みや重みは適当には確保するが、無理に稼いではおらず、リズムをもたつかせない。

上原ひろみさんのピアノトリオ「ALIVE」では、細かなリズムを刻むハイハットシンバルがまさにカッチリ。その明確さで重層的なリズムの構築美を際立たせる。シンバルの音色はシャープさも印象的で、実に切れがよい。このあたりはK812の特質でもあるが、それを引き出す実力を本機は備えている。

ベースやドラムスといった低音リズム楽器の厚み重み、ぐいぐいのドライブ感は、ナチュラルさが持ち味だ。「無理しているけれど足りていない」「無理してるから逆に飽和している」という感がなく、「無理せずやれる範囲のことをちゃんとやってます」といった堅実な低音描写だ。

ポップユニット相対性理論はアルバム「TOWN AGE」から数曲を試聴した。こちらではエレクトリックギターの硬質なクリアさが実に好印象だ。ぱきっとして艶やかな音色に続くディレイ(エコー)成分もいわゆるクリスタルな音色で、それが空間に散らばる様子が見事。複数の弦がほどよく分離し、コードの解像感も高い。

強いて言えば、この作品の特徴であるウェットな感触、湿度感の表現は、もともとの音調が硬質でシャープな傾向といった要因からか、もう少し改善の余地がある。残念と言えるのはその点くらいであろうか。

女性ボーカルはやくしまるえつこの他、坂本真綾と宇多田ヒカルで確認した。彼女たちの声の描写もやはり硬質、シャープな傾向ではあるが、耳障りな嫌な硬さや鋭さはない。例えば宇多田ヒカルの声は、包み込むような優しさよりも「ニガくて切ない感じ」の方が強まるが、個人的にはこちら傾向の表現も悪くないと思える。

最後にHoff Ensemble「Quiet Winter Night」でDSD 5.6MHzをチェック。なおMacのAudirvana Plusでは、PCM→DSDの切り替え時には非常に微小なノイズ、DSD→PCMの切り替え時には微小なノイズが発生したが、いずれにせよ微小だ。

同じ曲をPCM 192kHzと聴き比べると、重心が気持ちばかり下がり、全体に滑らかさを増す。印象的だったのは曲の冒頭の衣擦れ等の演奏ノイズ。PCMではノイズのように聞こえがちだが、DSDだとほどよく和らいだ気配感として届いてくる。個人的にはこの録音はDSDで聴きたい。

ハイレゾ定義の意義とは?

2014年06月28日 | オーディオ製品
ハイレゾマーク
アナログ系のハイレゾ対応機器について「スペック表記が40kHz以下でも認める場合がある」とオーディオ協会がコメント。このコメントをもとにした記事を掲載した後、オーディオ協会から「コメントは、機器に改良などを加えることによって40kHz以上をクリアしたら、ハイレゾ対応機器として認定する場合があるということ。あくまで、40kHz以上という数値をスペック上クリアしていることが『ハイレゾ対応機器』認定の条件」と、回答内容に訂正が入った。

日本オーディオ協会がオーディオ機器のハイレゾ対応について一定の基準を定めた内容。

オーディオ協会が発表した「ハイレゾ」マーク適用範囲

同様の定義はJEITAが今年3月に発表しているが、今回はアンプやスピーカーを含む広範囲な再生機器が満たすべき条件を示すなど、より具体的な指標を盛り込んでいることが特徴だ。

一方、デジタルオーディオ製品のハイレゾ対応については、JEITAの定義と一部異なる点があり、ビット数が大きくてもサンプリング周波数が低い音源をハイレゾ対応機器から外すなど、オーディオ協会の基準の方が対象を絞り込んでいる。

さらにオーディオ協会の基準は再生機器だけでなくマイクなど録音機器にも条件を課し、再生機器についてもアンプやスピーカーなどアナログ機器の高域特性を指定するなど、ハイレゾ対応機器の条件をより具体的に定めている点に特徴がある。

ハイレゾ音源の配信タイトルが増え、再生環境が多様化するなか、ハイレゾの基準を明確にする必要性は日に日に高まっていた。そんな要求に応える形で、ようやく基準が設けられたことには大きな意味があると思う。

その半面、定義の一部において2つの団体の基準が一致していないことからもわかるように、音質に関わるレイティングを決めることの難しさも浮き彫りになった。

ハイレゾオーディオのロゴマークを付ける条件を、既存製品へ厳格に適用するとどうなるだろうか。

スピーカーやアンプのなかには、仕様の数値だけ見ると「40kHz以上が再生可能」という条件を満たさない製品が無数に存在する。たとえば筆者が自宅で使っているB&WのSignature Diamondも再生帯域は32Hz~33kHz(-6dB)なので、同じトゥイーターユニットを積む800シリーズも含め、いずれもハイレゾの基準を満たさないことになる。

ところが、実際にSignature Diamondでハイレゾ音源を聴いてみると、手持ちのCDに比べて音色のなめらかさや音場の見通しの良さを実感でき、そうした音質面での特徴はこれまでハイレゾ音源の再生で経験してきた実感とよく一致する。数字上はハイレゾに該当しない再生機器を組み合わせても、CDに比べた優位性を確実に聴き取れる例は枚挙にいとまがない。

私の経験に基づいた推論だが、ハイレゾ音源の音質上のメリットは超高域成分の有無だけでは決まらず、いくつかの要素が複合的に重なり合って生まれるように思われる。過渡特性、時間軸上の分解能、倍音領域での歪み特性、空間情報の再現精度などがその一例で、いずれも録音から再生まで様々なプロセスで変化したり劣化することが知られている。それらの要素のなかには広帯域化を含む周波数特性の見直しによって改善するものもあるし、データ再生のメリットが相乗効果を引き出す例もありそうだ。ハイレゾオーディオが人間の感覚にどのように作用し、音の良さを実感できるのか、これからさらに議論を深める必要があると思う。

いろいろな要素が相互に関連するとはいえ、ハイレゾオーディオを数値で定義することに意味がないわけではないと思うし、実際に録音機器や再生機器の性能を判断するうえで具体的な指標があった方がいいこともたしかだ。JEITAとオーディオ協会が示した定義についても、その数値を絶対的な基準ととらえるのではなく、目標値やガイドラインとして、柔軟に受け止める方がいいのではないだろうか。数字が一人歩きすることは避けるべきだし、演奏家や録音のプロフェッショナルにも広く意見を求める必要がある。今回の「ハイレゾ定義」をきっかけに、音質についての議論が活発化することを大いに期待したい。

ところで、これはレーベルや配信サービスなどソフト側への注文になるが、多彩なハイレゾ音源を聴いてきた経験から筆者が強く希望するのは、オリジナルのフォーマットやサンプリング周波数など、録音データを販売時に明示することを徹底して欲しいという点だ。一部の配信サイトではすでにそうしたデータを掲載しているが、説明がない状態で複数のフォーマットを並列に販売しているケースも少なくない。

ハイレゾ音源はサンプリング周波数の数字が大きい方が価値が高いと考えがちだが、それが必ずしも正しくないことは何度も経験している。ハイレゾ音源のメリットをアピールするのであれば、オリジナルの録音形式を正確に表示することも条件の一つに加えるべきだと思う。