夕暮れ

先日、夕暮れ時に
私は馴染みのない町で焼きとり屋に入りました。
もちろんそのお店は初めてです。

ごく普通の下町の焼きとり屋さんに入り、
ごく普通に焼きとりを注文して、
ごく普通にビールを飲みました。

でも、ただひとつ違っていたのは、
お店のご主人が女装をされていたのです。

いや、正確には、
ただの女装なのか、
本格的なユニセックスな方なのかはわかりません。
性別に偏った話し方もされないですし。

ただ、ばっちりと施した女性然としたメイクの下には
確かに“おじさん”がはっきりと存在するのです。

あまりに突然過ぎる出来事に
椅子から転げ落ちそうになるのを
ギリギリ持ちこたえながら、
「こ、これは一体…？」
とその正体を把握するために
頭の中で観察・仮説・検証を繰り返すも
答えが出るはずもありません。

やきとりの味付けは塩かタレがはっきりしいてるが、
この問題はしかし…

酒がすすんで
ますますわからなくなるも、

はっきりさせなくてもいい
あやふやなまんまでいい

というTHE BLUE HEARTS「夕暮れ」の歌詞に煽られて、
判然としないまま
このデリケート過ぎる問題をやり過ごしたのでした。

今はそういう時代。
これでいいんですよね。


小林朋広



PINS FACTORY（ピンズファクトリー）は
オリジナル・デザインのPINS（ピンズ・ピンバッジ・ピンバッチ）を
受注製作する専門メーカーです。
http://www.pins.co.jp