ぴち子の忘れられない話…人、オウム、インコ、犬、猫等にまつわる実話

今まで出会った動物達とのエピソードや、素敵な人達の話を綴っていきます。

猫のおまじない

2013-01-04 23:10:39 | 
子供の頃、お正月の遊びというと百人一首でした。まず小さな子供は坊主めくりをして絵札に親しみ、やがて大きくなるに従ってかるた取りを覚えていったものです。
実家でも家族皆でよく遊びました。
中でも一番人気は中納言行平の句「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとしきかば今かへりこむ」
という札でした。妹も私もどうしてもこの句が欲しくて競い合ったのです。
それにはこんな理由がありました。
実家は皆猫好きで絶えず猫を飼っていました。
昔の家猫は、どこも放し飼いが普通で実家の猫も外に出られるようにしてありました。
雄猫は時々、家を出たまま何日か帰らない時があります。そんな時は猫が帰ってくるおまじないがあるのです。
それは 猫の出入り口のある所に たちわかれ いなばの山のみねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ と書いた紙札を貼っておくのです。
何故かこのおまじないはとても効き目があったのです。まあ ほっといてもお腹がすいて帰ってきたかもしれませんが(笑)
昔 叔母がこんな話をしてくれました。
ある時 新聞に猫探しの依頼の記事をみつけたんだそうです。内容は「老母の大切な猫が突然姿を消し何日も帰りません。母は心配のあまり寝込んでしまいました。どんな手がかりでも良いのでお知らせ下さい。」と猫の特徴と連絡先が添えてあったそうです。
叔母も猫好きで気の毒に思い、手紙を書きました。八方手を尽くされても見つからなければ おまじないをしてみてはいかがですか、とこの句を掲げることを勧めたのです。
それから何日も経ってから、叔母宅に見知らぬ紳氏が菓子折りを持って訪ねてきたのです。
お手紙を頂いた者です。あの時はありがとうございました。わらにもすがる思いでおまじないをしたところ、猫が帰ってきたんです。どこかにつながれていたらしく、首にひもが結ばれていて、先が噛み切ってありました。お陰さまで母も元気を取り戻しました。と丁重にお礼をされたということです。
これも偶然だったのかもしれませんが、優しい叔母の心遣いに感謝していたんだと思います。


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