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後席シートベルトと自動車メーカー

昨日から後席シートベルト着用が義務付けられた。乗員の安全を考えれば大変結構なことである。また義務化は後席シートベルトを着用してないケースの重大事故発生率が高いという事実の裏返しでもある。

私が自動車免許取立ての頃は驚く無かれ、ドライバーのシートベルト着用義務すら無かった。当時の新車でさえ運転席に2点式の簡素なシートベルトが付いているだけで、助手席用はオプション扱いであった。私は運転席のシートベルトをより安全な3点式に変え、オプション代を払って助手席にもシートベルトを取り付けていた。

この頃、夜間の信号待ちで停車中に追突事故に遭った。私の車の後部は大破したが、三点式シートベルトのおかげで私の身体は無傷であった。追突した車のドライバーはむろんシートベルトを着用しておらず、フロントガラスで頭を強打して気を失って病院行きとなった。事故の際のシートベルトの威力を身を持って体験した訳である。

着用義務化と共に自動車メーカーに是非とも要望したいのは後席シートベルトの改善である。国産車の大衆車クラス(後席3人がけ)はほとんどと言って良いほど真ん中のシートベルトが2点式であり、ヘッドレストが無い。理由は単純。コスト削減の為である。2点式シートベルトの弱点は言うまでもない。またヘッドレストがないとムチ打ち症になりやすい。子供だましの大して役にも立たない装備を標準装備とするくらいなら、そのコストで真ん中の席も3点式のシートベルトとヘッドレストを標準装備にすべきである。例え百歩譲っても、オプション扱いでチョイスできるくらいにはして欲しいものだ。

また後席左右の3点式シートベルトも改善の必要がある。それは前席のシートベルトの様なベルトの高さ調節装置が無いことである。後席に座る人の身体の大きさは様々である。子供や小柄な人の場合、シートベルトの支点が高いと居眠りした際に胸ベルトの反対側に身体が外れて、安全ベルト本来の用を為さなくなったり、事故発生時ベルトが首を絞めるような事になりかねない。残念な事に後席のシートベルトに高さ調節装置が付いているのは高級車クラスだけである。安全、安全と声高に宣伝するわりには、乗員の本当の安全を考えているとは思えない。乗員の安全よりもコスト優先、利益優先のメーカーの本音が見えてくる。

販売台数の大半を占め大勢の人達が乗る大衆車クラスこそ、基本的な安全対策に力を注ぐべきである。

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