着物に入れる紋のお話です。
女性が着物を作る際に紋を入れる場合私は、
「結婚前に作る場合は実家の家紋を、結婚後に作る場合は婚家の家紋を入れる」一方で、
「結婚が決まってから作る着物については実家の家紋ではなくて、婚家の家紋をつけるという考えをする地域もある」
と結婚前に通っていた着付け教室で教わりました。
さて、30年近く前、私の結婚が決まった時、母が
「喪服は誰かが亡くなりそうだからと言って作るものではない、皆んなが元気な時に作っておくのが良いから」
と嫁入りの準備として誂えることになりました。
何と私の実家の家紋(父は東京都出身です)と婚家(京都府です)の家紋は偶然にも『丸に剣酢漿(まるにけんかたばみ)』という同じ紋でしたので、呉服屋では何のためらいもなく『丸に剣酢漿』の紋をつけてもらいました。
出来上がってきた喪服をたまたま義母に見せる機会があった時に、
「女性が着る着物に男紋を入れるやなんて、聞いたことあらへん。普通は女が着る着物には女紋を入れるもんやと思うけど。私はそんなこといちいち気にせえへんけど、気にしゃはる人は気にしゃはるえ」
と言われました。
「男紋って?そして女紋って???」
「丸に剣酢漿は男紋?」
「女性が着たらおかしいの?」
その時に通っていた着付け教室の先生(千葉県出身)に尋ねると
「女紋なんて私は知りません。結婚前に作った着物に実家の紋を入れたんでしょ、婚家の紋も一緒なら尚更何もおかしいことはないと思いますけど…」
女紋についてたまたま関西出身の知人に聞いてみたところ、
「代々の女性に継がれていく紋」
として女紋というのがあるということがわかりました。
でも、義母のいう女紋と言うのはそういう考え方でもなく、『五三の桐』、『蔦』、『揚羽蝶』の紋の中で好きな紋を入れたら良いと言われ、確か、義母と義妹の喪服には『揚羽蝶』の紋が入っていました。
「気にしゃはる人は気にしゃはるえ」
などと言われては私は京都では、誂えた『丸に剣酢漿』の紋が付いた喪服を着るわけにいかないと思いました。義父の葬儀には『五三の桐』が付いているという着付けの先生の着物をお借りして参列することとなりました。
その後義母から譲り受けることになる訪問着には『蔦』が、黒留袖には『中陰桐胡蝶紋』が入っていることがわかり、全て違うものとなっていて統一性が無いことや、私が当たり前のルールだと思っている、「黒留袖には必ず日向紋を入れる」ということとも違っていて(中陰紋なので。)、何ともモヤモヤするところです。
京都にはそんなしきたりがあるのかと思ったものですが、最近になって京都で悉皆業を営む方が発信されているYouTube動画より、
1.関西の一部の地域に女紋をつける風習があること
2.関東には女紋という考え方はほぼ無いということ
3.女紋の考え方にも色々な考え方があるということ
4.それゆえに関東の人が関西に嫁ぐ、あるいは関西の人が関東に嫁ぐことで紋の考え方の差異からトラブルがあり、離縁に結びつくようなことも実際起こっていること
などを知りました。
実際にその悉皆業を営む方が日本全国、あちこちの呉服屋に尋ねて纏められた『女紋』という本を今になって私も取り寄せて読んでみることとなり、各地でさまざま考え方があるということを知りました。
もっと早く知っておきたかった内容にはなりますが、つくづく日本の中でも様々な文化があって、正解不正解を求めるのは難しいな、と思いました。
本当に奥が深いです。
しかしながら、今後私が紋付きの着物を作りたいと思った時、どんな紋を入れたらいいのでしょうね…?
大変ややこしいです。
本の紹介
「女紋」
森本 景一(もりもと けいいち)著
発行所 (有)染色補正森本
川口着付個人教室
http://www.wbcs.nir.jp/~yoko
女性が着物を作る際に紋を入れる場合私は、
「結婚前に作る場合は実家の家紋を、結婚後に作る場合は婚家の家紋を入れる」一方で、
「結婚が決まってから作る着物については実家の家紋ではなくて、婚家の家紋をつけるという考えをする地域もある」
と結婚前に通っていた着付け教室で教わりました。
さて、30年近く前、私の結婚が決まった時、母が
「喪服は誰かが亡くなりそうだからと言って作るものではない、皆んなが元気な時に作っておくのが良いから」
と嫁入りの準備として誂えることになりました。
何と私の実家の家紋(父は東京都出身です)と婚家(京都府です)の家紋は偶然にも『丸に剣酢漿(まるにけんかたばみ)』という同じ紋でしたので、呉服屋では何のためらいもなく『丸に剣酢漿』の紋をつけてもらいました。
出来上がってきた喪服をたまたま義母に見せる機会があった時に、
「女性が着る着物に男紋を入れるやなんて、聞いたことあらへん。普通は女が着る着物には女紋を入れるもんやと思うけど。私はそんなこといちいち気にせえへんけど、気にしゃはる人は気にしゃはるえ」
と言われました。
「男紋って?そして女紋って???」
「丸に剣酢漿は男紋?」
「女性が着たらおかしいの?」
その時に通っていた着付け教室の先生(千葉県出身)に尋ねると
「女紋なんて私は知りません。結婚前に作った着物に実家の紋を入れたんでしょ、婚家の紋も一緒なら尚更何もおかしいことはないと思いますけど…」
女紋についてたまたま関西出身の知人に聞いてみたところ、
「代々の女性に継がれていく紋」
として女紋というのがあるということがわかりました。
でも、義母のいう女紋と言うのはそういう考え方でもなく、『五三の桐』、『蔦』、『揚羽蝶』の紋の中で好きな紋を入れたら良いと言われ、確か、義母と義妹の喪服には『揚羽蝶』の紋が入っていました。
「気にしゃはる人は気にしゃはるえ」
などと言われては私は京都では、誂えた『丸に剣酢漿』の紋が付いた喪服を着るわけにいかないと思いました。義父の葬儀には『五三の桐』が付いているという着付けの先生の着物をお借りして参列することとなりました。
その後義母から譲り受けることになる訪問着には『蔦』が、黒留袖には『中陰桐胡蝶紋』が入っていることがわかり、全て違うものとなっていて統一性が無いことや、私が当たり前のルールだと思っている、「黒留袖には必ず日向紋を入れる」ということとも違っていて(中陰紋なので。)、何ともモヤモヤするところです。
京都にはそんなしきたりがあるのかと思ったものですが、最近になって京都で悉皆業を営む方が発信されているYouTube動画より、
1.関西の一部の地域に女紋をつける風習があること
2.関東には女紋という考え方はほぼ無いということ
3.女紋の考え方にも色々な考え方があるということ
4.それゆえに関東の人が関西に嫁ぐ、あるいは関西の人が関東に嫁ぐことで紋の考え方の差異からトラブルがあり、離縁に結びつくようなことも実際起こっていること
などを知りました。
実際にその悉皆業を営む方が日本全国、あちこちの呉服屋に尋ねて纏められた『女紋』という本を今になって私も取り寄せて読んでみることとなり、各地でさまざま考え方があるということを知りました。
もっと早く知っておきたかった内容にはなりますが、つくづく日本の中でも様々な文化があって、正解不正解を求めるのは難しいな、と思いました。
本当に奥が深いです。
しかしながら、今後私が紋付きの着物を作りたいと思った時、どんな紋を入れたらいいのでしょうね…?
大変ややこしいです。
本の紹介
「女紋」
森本 景一(もりもと けいいち)著
発行所 (有)染色補正森本
川口着付個人教室
http://www.wbcs.nir.jp/~yoko