成人式当日に某美容室で着せ付けをされたお嬢様たちの仕上がりの写真を載せた冊子を、私の生徒さんがたまたま見てその写メを撮りました。そして、
「先生〜、この着付け酷いと思いませんか?」
と私に見せてこられました。
「ん、どれどれ?」
「え?! 何これ?」
それら数人のお嬢様の写真は、恐らく同じ方が着せつけされたものと思われましたが、お客様たち共通に
⚫︎刺繍半衿が殆ど見えていない
⚫︎綺麗に着られるような体型補整が出来ていない
⚫︎裾線の決め方がよろしくない
⚫︎左右で半衿の見え方や伊達衿幅が違う(明らかな左右非対称)
⚫︎帯位置が低すぎる
⚫︎帯結び、ひだの取り方が雑
⚫︎おはしょりがぐちゃぐちゃ或いは全く無い
⚫︎帯揚げ帯締め、脇などの始末が雑
等々……
あげればきりがないほど稀に見る下手な着付けでびっくりしました。お母様やお婆様など、身内に着せてもらったということではありません。皆さんお金を払って着せ付けてもらっているはずなのです。私の教室の生徒さんであれば、まずこのレベルの方に現場に出る許可をくだすことはありません。
成人の日1日に限っては、着せ付けをされるお嬢様が沢山いらっしゃるので一時的に着付け師不足になるというのは良く聞くことですが、例えそれ以外の日でも、お客様の一生に一度のセレモニーの場での着付けを、腕がないのに受けるのは本当にやめていただきたいです。そして、そのような酷い着付けをする方の周りには、上手な着付け師がそもそもいないためにやっている(やらされている)ということでしょうから、自分に腕がないことに気づいていないということもありそうです。
私が携わってきている写真スタジオなどでは七五三からご成人まで一年中着付けをする機会があるので、成人式、卒業式の時期でしか着付けをしない美容室よりは格段に技術に差があるな、とつくづく思います。また、そのようなところでは着付け師自身も一緒に働く別の着付け師さんと技の共有をしたり、また、時にはスタジオさんからダメ出しされたりしながら技術が磨かれていくので、技術不足で着付けをされる方とは明らかに差が出ます。
お客様にとっても、苦しくなくて着崩れず、綺麗な着付けが出来るように常日頃から頑張っている着付け師さんに着せてもらった方が絶対にいいと思います。美容室も、定期的に着せ付けを頼まれることがなく技術に不安を感じるなら、専業の着付け師さんと提携を結べば良いと心から思います。
また、もしも着せ付けの仕事をしたいと思われる方は、現場に出ていらっしゃる着付け師の先生から技術をしっかり学んで研鑽することが必須です。それができないのなら、美容師であれば着付けの仕事は受けない代わりに、ヘアセットの技術を磨く方がいいのではないでしょうか。
大いに考えさせられる出来事でした。
川口着付個人教室
http://www.wbcs.nir.jp/~yoko