着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

着付け教室不要論

2018-06-29 14:52:38 | 着付け教室
ある茶道教室に通っていらっしゃる私の生徒さんからの話です。
そこの教室の、あるお仲間が、
「着物を着られるようになるのに、着付け教室なんかに通わなくても大丈夫。現に私は書店で動画付きの着付けの本を買って、それを見て自主練習して着られるようになった」
とのこと。
確かに昔とは違って、身近に着物が着られる人が居なくても、今は動画付きのテキストの他、YouTubeなどでアップされた動画があったりと、その手段も数多くあります。

では無料または破格の値段でここまでの技術を見ることが出来る世の中なのに、着付け教室に通う必要性はあるのでしょうか?

その生徒さんは、
「私もパソコンで動画を見ましたが、例えば基本のお太鼓結び一つとっても沢山の動画があり、やり方も幾通りもあるというのは分かりました。でも、果たしてどのやり方が自分にとってやりやすいのかの判断が出来ないし、また、実際試してもみましたが、『うまくいかない、わからない』となった時、動画の先生には質問が出来ない。そして、そもそも茶道教室の、その着付け教室不要論を唱えているお仲間が上手に着物を着ているか?と言ったらそうでもないと思えて、やっぱりきちんと自分が納得できるまで教わりたいと思ったんです」
と仰いました。

着付け教室に通わず着物を着たり着せたりしている方がいらっしゃるのは事実です。ただ、私の生徒さんのように、情報が溢れる今日だからこそ教室に通い、しっかり学びたいと思われる方がいらっしゃいます。このためこれからの着付け教室は本や動画で解決できない細かい部分や、応用力に繋がる、プラスαの力が身に付かねば意味がないと思います。

ではプラスαの力が身に付く教室になるためにはどうしたらいいでしょうか?

第一に、今までのやり方にこだわらず、色々と実際に試してみる、経験してみることが大切だと思います。
私は色々な素材・サイズの着物や帯で綺麗に着装できるかを自ら試してみたり、着心地についても、長時間過ごしてみたり、自分の指導したやり方で私自身が実際に生徒さんに着せつけてもらったりすることで試しています。
また技術は進化します。色々な先生と交流を持つことで、色々なやり方を探り、実践しています。「簡単に、楽に綺麗に着る、着せる」ことができるために常に試し、研究し続けてきています。

第二に、着物を素材、染色、加工、構成、洗浄、色彩、デザイン、歴史と、様々な点からアドバイスできる豊富な知識も必要だと思います。
しきたり、マナーにおけるものの考え方も少しずつ変わってきている部分があります。先人の知恵に学ぶ伝統を大切にしながらも現代の気候風土などと調和させる柔軟な考え方も必要です。

このような豊富な経験と知識という資質が指導者には大切で、それこそがプラスαの力に繋がるのだと思います。

生徒さんが抱える疑問点を解消し、他で教えていない「プラスα」の技術や知識を提供して、楽しく、身に付く着付け教室だと思ってもらえるように、奥深い「着物道」の勉強をさらに続けていきたいと思います。


川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko/
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