ペコリーノのBL読書日記

BLスキーのペコリーノのBL読書日記。素人の感想&個人的な覚書です。100%自分向けのためネタバレ全開です。

「楽園の囚われ人」六青みつみ・著 イラスト・白砂順 幻冬舎リンクスロマンス

2008-09-05 22:50:02 | ボーイズラブ小説
「楽園の囚われ人」六青みつみ・著 イラスト・白砂順 幻冬舎リンクスロマンス
 2008年6月30日初版 262ページ 855円+税

 男だらけの後宮・・・・・・あっという間に旬が過ぎそうな気がします。


 ストーリーは・・・
 後宮で暮らすキリアは、王の寵愛を失い、臣下である将軍・ファリードに下げ渡されてしまう。自尊心と王への忠誠心を打ち砕かれ、生きる意味を失ったキリアは、ファリードに憎しみを向けることで、自らの心を保とうとする。心も身体もファリードを拒絶していたキリアだったが、彼とともに暮らすうちに、ファリードの優しさと誠実な心に好意を持ち始め…。六青みつみのドラマティック・ファンタジーが登場!!


●なかなか両思いにならないもどかしさ
 主人公・キリアは小国の王子だったが、両親を亡くしたあげく、美貌を見初められて後宮に入れられます。最初の数年は普通の小姓として使えていましたが、十二~三才でとうとう手をつけられます。
 初体験までの一ヶ月、宦官たちにより入念に仕込まれるキリア。そなあたりの描写も多少あります。
 キリアも王を一途に愛しますが、王はショタ好みだったらしく、キリアが十代後半になると、もっと年の若い男に寵を移すのです。
 キリアはそれでも王を愛し続け、宦官や他の小姓たちからの嫌がらせにもめげず、いつか、王からお呼びがかかるかもしれない・・・という一縷の希望を抱きながら生活します。
 そんな時、将軍のファリードが功績の褒美にキリアを所望。キリアに興味を失っていた王は、あっさりキリアをファリードに下げ渡します。
 数年前、実はファリードは暗殺者として王宮に忍び込み、怪我をしたところをキリアに助けられていました。その時、ファリードはキリアに一目惚れをして、いつか手に入れてやろうと思っていました。王を一途に愛するキリア。キリアを一途に愛するファリードという構図です。

 下げ渡されたキリアとファリードの初夜は、ちゃんと合体したのか公証人たちに示さなければなりません。
 「どうか許して・・・・・・ください。シャー(王)以外の方に肌を許せば、二度と後宮に戻ることが叶わなくなるのです。だからどうか、どうか・・・!」(P87)
 捨てられてもなお、王に操立てするキリア。ファリードの本心は、キリアが自分を受け入れるまで待ちたいのですが、公証人に初夜の合体を見せなければならないため、強引にキリアを抱きます。そして、キリアの後孔に出入りする自分自身を見せつけ、最後にはキリアの後ろからもれ出る自分の精液を、公証人に見せて儀式は終わります。
 後宮では小姓同士が情を交わさないように貞操帯をつけさせられていて、王の寵愛を失ったキリアが他の小姓の貞操帯を洗うように言いつけられたりとか、公証人がどうとか、こういう妙なディティールが凝っているところは、六青先生ならではだと思います。好きな人は好きなんでしょう。
 
 その後、キリアは自殺を図りますが、一命を取り留めます。ファリードはキリアが自分を受け入れるまで、決して手は出さないと誓います。
 王を思うキリアの心がなかなかファリードに向かないので、エッチはお預けのまま218ページまで進みます。
 物語の後半になり、宰相がいきなりファリードを拘束し、キリアを呼び出します。
 「そなたは元小姓らしく、客人の接待をしてもらおう」(P220)とのことで、キリアのリンカーンタイムが始まります。それもけっこうハードなプレイ。やられるだけではなく、精液をぶっかけられた食料を食べさせられたりと、読む人を選ぶ描写がけっこう長く続きます。
 宰相がこうなったのは、王と宰相の間の長きに渡る確執が原因でした。
 実は、宰相はかつて王と恋仲だったのですが、王の同性愛嗜好を嫌った王の母親が宰相を無理やり宦官にしてしまい、何もしなかった王を最小が恨み・・・という濃い愛憎劇があったのです。
 
 ファリードとキリアは過去に顔をあわせたことがあり、王と宰相も実はこんな過去が・・・と、まるで二時間サスペンスのごとく「実は過去にこんなことが・・・」で話を構成しているところは非常に安直だと思います。
 しかし、妙に凝ったデティールや、受けキャラの一途さ(今回の場合、カップリングの攻めキャラへの一途さというわけではないですが)は、六青みつみ先生ならではの魅力が感じられます。
 ノベルズで上下2段組のわりと長めのお話ですが、好きな方は長さが気にならないと思います。
 エッチ描写はわりに少なめですが、メインカプ以外の場面も多い+ハードな描写も多々・・・なので、苦手な方はお気をつけください。


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